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2013年6月10日 (月)

【呆れました特集】専門家ってなに?【3】

まだ呆れます。

再び「節約・家事アドバイザー」のY氏(女性)。

「命に直接関わらないので優先順位は低く思われがちだが、都会人はエレベーターなどに閉じこめられることもあり、生理的なものは止めようが無い」
ということで、携帯トイレを常時携帯することを勧めています。さらに、これは発言とは別の地の文なのですが、「携帯トイレは(中略)密封して捨てることができる」とあります。内容自体に間違いは無いのですが、どうにも違和感が。

この記事に限らずいつも思うのですが、防災について生活者目線を取り入れることは大切なものの、実際の災害現場の知識や経験が無い人が語った結果、内容の致命的な誤り、現実には実行不可能やしてはいけないことが少なからず見られます。どうも、ご自分の専門分野の「トリビア」に偏りますね。せっかく取材受けたのだから、「他と違うこと」をアピールされるんでしょうが。このコメントには、生活者の目線はありますが、災害現場の目線が抜け落ちています。

携帯トイレは使用後に可燃ゴミとして捨てることはできますが、問題は「どこに捨てるか」です。ここでは都市での外出中の使用を想定しているので、コンビニや駅のゴミ箱、通りすがりのゴミステーションなどに捨てられることになるでしょう。実際の使用者はそれほどいないだろうから良いという問題ではありません。大災害下でゴミの収集は止まり、当分再開されないのです。

阪神・淡路大震災当時、便処理材はほとんど普及しておらず、ビニール袋にそのまま詰めた便が大量にゴミステーションに出され、大きな問題になりました。それに比べれば携帯トイレは衛生的かもしれませんが、便に限らず、収集が止まっている間は、ゴミは各自で保管しなければならないのです。もちろん、便もです。他人の迷惑も考えず、どこでも捨てればおしまいではありません。

当然、使用後の携帯トイレは「お持ち帰り」し、然るべき処理をしなければなりません。携帯トイレの常備を勧めるなら、そこまで指導しなければならないと思うのですが。そのためには、さらに密封できるフリーザーバッグなどの携帯も勧めなければなりません。

大災害下のトイレの問題は深刻です。実際の災害現場では、臭いも衛生的にも大変なことになっているのですが、その現実はあまりリアルに報道もされません。特に大都市部では、ちょっとくらいいいだろうという話では無いのです。


次は、これは全くその通りと同意できる話。阪神・淡路大震災記念「人と未来防災センター」の企画ディレクターH氏。
「電気製品以外は、100円ショップもので十分。全部投げ捨てて逃げなければならないこともある。でも中には粗悪品もあるので注意」

さすがに実際の災害を経験した方は違いますね。その通り、大混乱の中では持ち物を失うことは普通ですし、倒壊した家から、せっかくの備蓄を取り出せなかったという話も、実際にたくさんあります(だから備蓄場所も重要なのです)。もし100円ショップもので不満があれば、それなりにお金をかければいい。安いものでも、まず、それが「あること」が重要なのです。高価な高性能品を揃えられるのが理想かもしれませんが、その場合にも、全部失う覚悟も必要です。管理人、読みながらうんうんと納得したのですが、その次の内容に「は?」となってしまいました。

【常時携帯品】(管理人が言うところのEDCグッズですね)リストの中に、「命の笛」というのがありました。それを勧めるのは、テレビにも良く出演している防災アドバイザーY氏(肩書きそのまま書くと特定できちゃうので)
「濡れても音が出て、遠くまで音が届く。米国ではストームホイッスルと呼ばれる」優れモノだそうですが、価格がなんと1500円。

この記事は、いかに安価に「一週間自力で生き残る」備蓄を揃えるかという主旨のはずです。お勧めの【常時携帯品】の合計価格は、100円ショップものや安売り、私物を利用することで約4400円にまとめているのですが、その中で、笛だけが1500円!

そんなお金かけるなら、100円ショップのレスキューホイッスル10個買って、持ち歩くバッグ全部とあちこちのポケットに入れておく方が、よほど使えるというもの。管理人は断言します。100円ショップのレスキューホイッスルでも機能的には十分ですし、IDカードが収納できるタイプならば、むしろその方がお勧めです(過去記事で紹介しています)。それをたくさん揃える方がいい。ホイッスルは当然、家族がそれぞれ持つべきですが、これは4人家族分で6000円なんですよ。

別に、その笛が不要だと言うつもりはありません。お金をかけられる人は、高価でも高性能品を持つべきでしょう。ただ、大災害などの混乱下で使う装備には、突き詰めた機能よりも、「冗長性」が最も必要なのです。できるだけ多用途に使える汎用性、放っておいてもいつでも使える性能などのことです。そして、失った場合のバックアップも「冗長性」に含まれます。お金かけるなら、まずそれを重視しなければなりません。

安く上げようという記事にこういうのが登場するのも、いわゆる「大人の事情」なんでしょうね。「プロ」になると、いろいろ大変…という話では無いと思いますがね。

皮肉なことに、記事の最後には他の方のこんなコメントが。
「市販の防災セットを購入したあと、中身をチェックしなかったり、自分に必要なものをわかっていない人も」、
「セット商品は、商社が扱っているものを集めただけで、本当に使えるものかわからない。あくまで自分で足し引きする必要がある」。全くその通りでございます。でも、セット商品だけじゃなく、「専門家」のアドバイスも自分自身で良く吟味する必要がある、ということですね(笑)

ひとつ、実例を。管理人が過去に入手した「防災セット」に、非常用照明としてケミカルライト(サイリウム)が入っていましたが、30分発光タイプでした。8時間や12時間発光タイプもあるのですが、コストの関係でしょうね。災害現場では、30分ではほとんど使いものになりません。無いよりはマシですが。こんな例は普通にあります。そして、それを自分でチェックせずにいたら、いざ使う時に途方に暮れるわけです。

大災害下で、あなたには何が必要なのか。普段の生活を場面ごとに分け、そこで「当たり前に使っているものや設備」が無くなることを、真剣に考えてみてください。都市の中で、何も無い原野に放り出されたのに近い状態になる、そう考えてみてください。

引き続き、関連記事をお送りします。


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日記・コラム」カテゴリの記事

コメント


毎回 楽しみにしております!

ただ、 今回のトイレ問題。もっと掘り下げて知りたかったです。

東日本の震災の時も
そんなことを報じていたような気がしましたが、
あまり 詳しくは報道していませんでした。

ただ、これは とても大事な 不可欠な要素。
絶対、直面するであろうこと。

なので、実情などが
おわかりでしたら教えて下さい。

その時の報道では
避難所の学校のトイレについて衛生面の改善をしないと病気になる的な内容で、一塊にペールのゴミ箱にいれて、プールの水で流していたような…

あと、あんな大きな震災の時、『ガン』や『透析』『ICU患者』などは
どうしていたのでしょう?

とても気になっていたのですが、聞ける人がいなくて…

ご存知なら 教えて下さいませ。

名無しではまずいので、名前付けました。

糖尿患者さんは大変ですよね。
でも、他人事ではありません。

歯が痛くなっても歯医者が休業だといな治療できません。歯の痛みは辛いですからね…

>さびしんぼうさん

トイレの話は、壮絶ですよ。もっとも、私も被災者から聞いたり、書籍で読んだりしたもので、実体験ではありません。でも、一度トイレの話をまとめてみましょうか。

大災害時に必ず報道されるのが、トイレ環境が劣悪で伝染病の懸念がある、遺体が放置されていて、腐敗菌がばら撒かれて伝染病が・・・という話。確かにそのリスクはありますが、近年は海外でも大災害後に実際に伝染病が蔓延したことはありません。それよりも、瓦礫の埃による呼吸器疾患やPTSDの方がずっと深刻です。

トイレも、プールや川の水があるところはまだ良い方です。それも無い場所は、想像を絶する状態だったのです。

ICU患者や透析患者は、救援部隊や病院関係者などの必死の、いやむしろ決死の努力で、優先的に設備が整った場所に搬送されました。しかし、それが不可能だったり、間に合わないケースも数多くあったのです。チューブで栄養補給しているような寝たきりの老人をバスの椅子に座らせて、事実上何のケアもできずに何時間も移動したりして、その間にも次々に亡くなって行きました。行った先でも、暖房も無い体育館に毛布を敷いただけの場所だったりで、さらに命が失われました。

福島の一部の病院など、屋内退避状態で移動もできず、電気も水も薬も足らず、放射線を恐れて民間の救援も入らず、自衛隊や消防レスキューの活動も追いつかず、次々に命が失われたのです。でも、そんな現実はほとんどメジャーな報道には乗りません。

防災グッズがどうの、というようなレベルの話では無かったのです。そんなのを知れば知るほど、トリビア大会みたいのが腹立たしくて。

>まったりさん

さし当たって、透析が必要な患者が一番深刻ですよね。広域災害になれば、自力で移動できる範囲内に実施できる病院が無いことの方が多いでしょう。

歯が痛くても、水が無くて歯を磨けないどころか、手も洗えない。開いている病院でも、トリアージのために軽症者は後回しで、薬も不足している。

そんな報道に乗らないレベルの話で、本当に苦労した例がいくらでもあるのですが、結果的に地味な話ですから、語り継がれることも無く、「専門家」も見向きもせず、忘れ去られてしまっています。


ありがとうございます。
聞けば聞くほど
どちらのことも
もっと知りたい衝動にかられました!

どんなに長文でもいいので、とりあげてくれたら
うれしいです!

だって、どちらも
深刻な問題でしょ?

防災のしようがないのかも しれませんが、
実際に 起こった状況を事前に把握することは
意識を高めるためには
絶対、必要!!

…なので、
できたら、 とりあげていただけると うれしいなぁ♪
お願いします!!

>さびしんぼうさん

私が知っている内容は、数少ない報道番組や、本などで得たものです。そして今回、福島と宮城の被災者の方から直接話を聞けて、それが追認されたというような感じです。しかしあくまで断片的な情報に過ぎませんし、語られない本当の困難さまでを代弁できる程のものでもありません。

当ブログは、現実の災害現場から対策を見出し、それを一般化することも主眼のひとつとしていますが、トイレや医療に関する対策は、「個人でトイレ資材を十分に用意せよ」と「行政などが被災地の重病者を早急に移送できる体制を作る」だけで終わりなわけです。当ブログの出番はあまりありません。

過去記事では、トイレ資材について当ブログ独自の対策もありますので、そちらもご参照ください。【家に備える防災グッズ】シリーズです。

そんなこともあり、この話題の詳細をブログで採り上げる予定はありません。悪しからずご了承ください。しかし、メール等ではお話できる部分もあるかと思います。


遅れましたが、トイレ問題に参加しますね。

大事だろうとは思っていましたが、後回しにしていた我が家の
「トイレ対策」このブログに出会ってからは変わりました!
考えてみたら災害時でなくとも、車でお盆休みに帰省した時のSA!女子トイレの行列はスゴいですよね。
そこで我が家の場合「携帯トイレ」を家族人数分を用意するなら「簡易トイレ」を用意したほうが、たくさん使えてコンパクト。ってなりまして、車の中に「トイレ」「ゴミ袋」「新聞紙」「トイレットペーパー」を段ボールに入れてます。てばさんのコメントを見て、ゴミ袋からジップロックみたいなチャックが付いてるのに変えようと思います。自分の分身(?)でも臭いのはツライ。

車以外にも、簡易トイレを用意してます。食べ物の配給はあっても、トイレの配給は時間がかかりそうですし。

てばさんが仰るような「避難生活快適グッズ」に偏らないように、ブログを読み返しながら点検するように気をつけてます。

てばさん、これからも宜しくお願いします!

>かなさん

いやほんといろいろ実践していただいて、ありがとうございます。そうなんですね。携帯トイレは、小用だと容量が足らないこともあり、大用だとちいさくて使いづらいんですよ。

ですから、車の中には簡易トイレの方がいいですね。そして、自宅には便処理剤とゴミ袋を大量に。便器にビニール袋を入れ、中に便処理剤を入れてから使えば、結構普通に用を足せます。

外出先での保管は、やはり密封できるジップロックが最適だと思います。かなさんはご自分でいろいろ考えて工夫さえていますが、それがすばらしいことです。お仕着せではなく自分流のアレンジをしたり、もっといい方法が無いかと日頃から考えることが、見えにくい危険を見出して、総合的に「生き残る」力をアップすることになると思います。

防災は道具が最優先ではなく、思考と行動あってこそ道具が生きるというものです。

ちなみに、恐らく支援物資としてトイレ資材が配布されることは、なかなか無いと思いますよ。あるとすれば避難所で、自宅待機者には恐らく回ってこないでしょう。やはり自分で十分に備蓄すべきだと思います。

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