【本棚の地震対策02】対策1st.ステージ
いきなり妙なタイトルになりました。実はこのシリーズで紹介する対策は、ひとつの方法ではありません。いくつかの方法を組み合わせ、効果をアップさせるものです。そして、それをいかに安く、簡単に、手に入りやすいもので行うかということに重点を置いています。というわけで、専用の地震対策器具などは一切使いません。
今回は、最も簡単で基本的な、「ファーストステージ」の対策です。
前回記事で掲載の、本棚に見立てた実験器具を、再掲載します。
それっぽい本で揃えたかったのですが、ハードカバーに適当な本が無かったので、村上龍作品の登板となりました(笑)この器具に地震に近い揺れを加えることで、その際の本の動きと対策の効果を調べて行きました。まず、未対策状態からです。
その状態で振幅約30cm、振動周期約1秒の横揺れを加えると、中の本は揺れの1~2回目で簡単に滑り落ちてしまいました。実際の地震では、縦揺れ(初期微動)まではほぼ大丈夫ですが、横揺れ(主要動)が始まって最初の強い揺れが来た直後に、すべての本が一斉にばら撒かれるような状態です。実験で加えた震度7クラスまで行かなくても、おそらく震動周期が短い直下型の震度5強程度でも、大部分の本が早い段階で落ちる可能性が高いでしょう。
そこで、まず最も安価で簡単な方法から。使うのは、これです。
食器棚用の滑り止めシートです。本が滑って落ちるならば、滑りにくいように摩擦係数を上げようという発想です。画像の製品は幅30cm×長さ5mで199円と非常に安価。大抵の本棚はこれ一個で済むでしょう。ほとんどのホームセンターで、同様の製品が入手できます。
このシートを敷いてから、本を並べるだけです。食器棚用ですから、抗菌作用がある製品ならば、カビ防止効果も期待できるかもしれませんね。実験器具に敷いてもビジュアル的に変化が無いので画像は省略しますが、果たしてどれだけの効果があるでしょうか。
実は、震度7クラスの揺れになると、落下防止に関してはほとんど効果がありませんでした。それでも、揺れの1回目で滑り落ちていた本が、大きくズレながらも2~3回目まで持ちこたえます。結局は落ちますが、ほんの数秒間は落下を遅らせるくらいの効果はありそうです。
かなり高い効果が見られたのが、もう少し小さな揺れの場合。未対策の場合、振幅を半分の15cm程度にしても、揺れの3~4回目以降で本が飛び出しました。しかしこのシートを敷いた後は、10秒以上揺らしても本が落ちないことも、何度もありました。確実に落下を防ぐものではありませんが、感覚的に震度5弱程度まで、揺れ方によっては震度5強以上でも、かなりの効果を発揮しそうです。特に、震動周期がさらに長い、ゆらゆらと揺れる地震の場合には、より大きな効果があると思われます。
揺れの周期は、観測点と震源の距離で大きく変わりますから、実際にはどんなタイプの揺れが襲ってくるかわかりません。ですから、ここでは一番破壊力が大きな、震動周期1秒ほどの直下型地震をシミュレーションしていますが、その場合でも、震度5弱程度までは、この対策がかなり有効だと思われます。
もちろん、これは効果を保証するものではありませんが、こんな簡単な対策だけでも、未対策状態に比べてはるかに本が落ちにくくなることは確かです。まだ何も対策されていないのでしたら、まずはここから始められてはいかがでしょうか。
この後、ファーストステージに追加する形で、対策を進めて行きます。次回は、セカンドステージです。
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