【本棚の地震対策06】スペシャルステージ【前編】
今回と次回は、題して「スペシャルステージ」です。ここまでの対策は、当ブログ読者のドクターから教えていただいた、スポンジテープを使う方法を管理人がアレンジしたものでした。ここからは、実験をしている最中に「あれも使えるんじゃないか?」と、ふと思いつき、テストを繰り返した方法です。
フォースステージまでは、4つの資材を使って本の滑りと跳ね返り、さらに回転を抑えることで、落下を防ぎました。ならば、最初から本を「動かなく」してしまっても良いのではないか、という発想です。
そこで用意したのが、これです。
特殊スポンジ製のノンスリップシートです。表面に非常に摩擦係数が高い加工が施された網の目状のスポンジシートで、クッション効果もかなりあるので、例えば車のダッシュボードに敷いて物を乗せておいても、普通の走行程度の震動やG(重力加速度)では全くずれない、跳ねない、落ちないという優れ物です。画像の製品は20cm×125cmで450円でしたが、大抵のホームセンターで同様の商品が入手できますし、もう少し安いものもあるようです。
余談ながら、ホームセンターには、防災用品売場以外にも災害対策に使える資材がたくさんあります。出来合いの製品はむしろ用途が限られ、コストがかさむことも多いのですが、このような「創意工夫」でより安く、簡単に対策できることも多いのです。
もちろん、専用の防災用品を否定するわけではありません。専用品ならではの性能が必要なことも多いのですが、そこは「ハイ・ロー・ミックス」という発想で。危険度が高い部分には十分コストをかけ、小さい部分はできるだけ安く上げるということです。本棚の例で言えば、本棚を壁に固定する器具は頑丈な専用品で、本の落下防止は、汎用品の流用で安く上げるということになります。すべて専用品だったら、本棚ひとつで対策に数万円かかりますから。
もうひとつ大切なことは、すべての災害対策に共通することなのですが、災害対策のために、日常生活のクオリティを落としてはいけない、ということです。これも本棚を例に取れば、本を落としたく無いのならば、まず「突っ張り棒」を本棚の前面に渡してしまえば、それだけでかなりの地震に耐えられるわけですが、それでは本の出し入れに大きな支障があります。そんな面倒なことをやっているうちに、「邪魔だからしばらく外しておけ」となって、対策が有名無実になっては意味がありません。
未だにありますよね、非常ベルの誤作動を嫌ってスイッチを切ってしまい、本当に火事が起きても気づかないというようなこと。ああなっては元も子も無いということです。
すっかり本題からそれてしまいましたが、災害対策を進める上でとても大切なことなので、敢えて記しました。
では、ノンスリップシートを本の下に敷いてみましょう。フォースステージまでの資材はすべて取り除きました。こんな感じです。
この状態で揺らしてみると、震動周期約1秒、最大振幅約30cm、さらに縦揺れも加えた、当シリーズで想定している直下型の震度7クラスの揺れでも、本は全く滑らなければ跳ねもしないのです。その摩擦力とクッション効果は絶大です。震度5クラス程度までは、これだけでかなり落下防止効果がありそうです。
しかし、この動きは防げませんでした。「回転運動」です。本はその場を全く動きませんが、揺れが強くなると、本は手前下側の角を支点にして回転し、転がり落ちます。このままでは、震度6クラス以上だと対応できないことも多いでしょう。スポンジテープ使用の対策の場合、本はある程度動くことができましたが、ノンスリップシートの場合、本は全く動きませんので、より早い段階で回転運動が発生してしまうのです。
その動きを押さえる方法は、また次回「スペシャルステージ【後編】」で。皆様もう大体おわかりですよね。でも、さらにおまけもあります。
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