「過去に経験の無い」豪雨
山陰地方や東北地方を中心に、豪雨災害が発生しています。
特に山口県、島根県境付近では「過去に経験の無い」レベルと公式に形容されるほどの雨量になり、行方不明者が出てしまいました。その中には、豪雨の中を避難所に移動している途中に行方不明になった、24歳の男性も含まれています。
当ブログでは、豪雨災害に対しては、以前からとにかく早めの避難しかないと提唱して来ました。実際に危険が迫っているような段階になってしまうと、屋外は豪雨だけでなく道路の冠水などが起こっている可能性が高く、その中を移動するだけでも大きな危険を伴います。今回のように、若い男性でさえ行方不明になるような状況の中を、お年寄りや子供が安全に移動できるか考えてみてください。
今晩のNHKニュースでも、豪雨による山崩れや地すべりの兆候として、例の「斜面に亀裂が入る、水が湧き出す、山鳴りがする」などの例を挙げていましたが、当ブログでも過去から何度も指摘している通り、豪雨の最中、ましてや夜間にそのような兆候を把握することは、事実上不可能です。知識があっても、役に立てられないのです。
ですから、まず自分の居場所に洪水、土砂災害、土石流災害などの危険があるかどうかを把握し、豪雨になった際には「予防的に」早めの避難をすることしか、確実に安全を確保することはできないのです。
荒天の中を避難行動をする際には必ず複数で、冠水している場合には杖やゴルフクラブなど棒状のもので足元を確かめながら移動しなければなりません。見えない水中にどんな危険物があるかわかりませんし、下水が逆流する内水氾濫によって、マンホールのふたが外れている可能性も高いのです。開いたマンホールに落ちたらすぐに這い上がるのは困難で、致命的な結果となるでしょう。
ちなみに、NHKニュースでは、豪雨災害の危険地帯に留まる場合には「二階以上に上がれ」とも言っていましたが、これも当ブログで以前から指摘してきたことです。管理人が知る限り、テレビでこのような文言が流れるのは初めてではないかと思います。土砂くずれや土石流災害では、土砂が流れ込む一階部分で犠牲者が出ることが繰り返されて来ましたから、それを避けるための実に単純な対策なのですが、何故今までほとんど採り上げられなかったのか理解に苦しみます。
メディアでは「土砂災害に警戒してください」と毎回言いますが、どのように警戒するかは個人任せということなのでしょうか。ちょっとした知識と行動の有無だけで生死が分かれるというのに、具体的なアドバイスも無しに「警戒せよ」と投げっぱなしにされてきたことが、結果的に危機感を薄れさせているような気もします。
いずれにしろ、今回山陰地方で「過去に経験の無い」と形容される豪雨となったように、我が国の気象は確実に過激な方向へ推移しています。当ブログで何度も指摘している通り、「過去に無かったからこれからも無い」という発想は全く通用せず、ましてや過去に災害が起きている場所、即ち災害に対する脆弱性が存在する場所では、災害が繰り返される確率がより高くなっているということなのです。
災害対策というと地震や噴火にばかりに目が向きがちですが、気象災害の方が遭遇する可能性がはるかに高く、しかも短期間のうちに何度も繰り返されるという可能性が高いという当たり前のことに、改めて目を向けるときです。
地震対策で備えたものは、気象災害から避難する場合にも、ほとんどがそのまま転用できますし、危険地帯ではその確率の方がはるかに高いのです。タイミングを逃さず避難行動を始められるように、普段から非常持ち出しを準備し、避難経路などの確認をしておくことを、強くお勧めします。また、冠水する可能性のある場所では、自動車の避難場所も考えておくべきです。
これからしばらくの間は、各地で豪雨となる可能性が高い状態が続くようです。降り続く雨によって、土砂災害の危険性は漸増していますので、危険地帯の皆様は、手遅れにならないうちに備えを進めてください。都市部にお住いの方でも、例えば実家や親戚宅などに危険はありませんか?お年寄りだけではなかなか大変ですので、この機会に一度連絡して、具体的な対策のお話をされてはいかがでしょうか。
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