☆再掲載☆首都圏直下型地震を生き残れ!【2/54】
■■当記事は、過去記事の再掲載です■■
お待たせいたしました。最初のテーマは、すべての状況に共通する「屋外に逃げるべきか、否か」についてです。
「避難」とは、読んで字の如く「難を避ける」ことです。地震の際にはどんな「難=危険」があるのかを、まず知らなければ、正しい行動はできません。
都市部における地震災害での主な危険とは、家具備品類の転倒や飛散、壁や建物の倒壊、ガラス、看板や外壁などの落下、そして火災です。それらに巻き込まれないためには、落下物、転倒物を避けられる場所にいるか、危険からできるだけ距離を取らなければなりません。ですから、揺れと同時に飛び出せて、そこに他の危険が存在しないのならすぐに屋外へ、つまり「大草原の小さな家」のような場所ならば、迷わず屋外に避難すべきでしょう。
しかし、現実にはそうは行かない様々な状況があります。まず、地震の激しい揺れ。震度6強クラス以上の揺れの中では、建物の中を安全に移動することは困難です。立っていることも、場合によっては四つん這いになることもできなくなります。
緊急地震速報を受信してすぐに屋外に出たり、地震の最初の比較的小さなたて揺れである「初期微動」のうちに屋外に出たりできずに、大きなよこ揺れである「主要動」が始まってしまってからでは、安全な脱出は難しくなります。しかも、最も激しく危険な揺れとなる直下型地震の場合は、緊急地震速報が揺れはじめに間に合わなかったり、「初期微動」と「主要動」がほぼ同時に襲って来る可能性が高いのです。
特に耐震性が低い建物の場合は、揺れはじめからごく短時間で倒壊する可能性があります。1995年の阪神・淡路大震災では、特に1971年(昭和46年)以前の建築、実際には築後40~50年経ったの木造家屋の多くが全壊しましたが、ほとんどが揺れはじめから10秒程度で倒壊しています。10秒の間に激しい揺れの中を脱出するのは、戸口のすぐ近くにいた場合などを除いて、かなり困難です。
そのような家の場合は、逃げるかどうかの判断以前の問題ですから、倒壊しても家の中で生存空間を確保できるような対策が必要です。具体的な方法は、当ブログの「家の中の地震対策」シリーズで述べていますので参照してください。
耐震性能が高い建物の場合は、震度7クラスでもそう簡単に全壊はしないでしょうし、地震の揺れ方によっては、激しい揺れの中でも移動できることもあります。東日本大震災では、比較的長い周期の揺れだったので建物に対する破壊力がそれほど大きく無く、なんとか歩けるような状況でもあったため、震度6強~7の地域でも、揺れている最中に脱出できた例も多かったのです。
しかし屋外に出たら出たで、都市部には大きな危険が存在します。住宅街で最も恐ろしいのは、石塀・ブロック塀や石灯籠などの倒壊です。
鉄筋の入っていない、耐震性の低いブロック塀、石塀はこのように簡単に倒れてしまいます。1978年の宮城県沖地震では、28人の犠牲者のうち18人が、脱出後に塀の倒壊に巻き込まれたことによるものでした。瓦屋根の家では、脱出時に落ちてきた瓦の直撃を受ける可能性も高くなります。
これがビル街や繁華街になると、状況はさらに厳しくなります。とにかく何が落ちてくるかわかりません。窓ガラスの破片、看板類、ビルの外装タイルやモルタル、場合によってはコントロールを失った車が突っ込んで来ることもあります。ドライバーがすべて冷静だという保証は全くありません。
東日本大震災の都内の映像では、ビルから出てきた人が歩道にあふれ、まだ揺れているというのに、頭上や背後のビルに全く注意を払っていないというようなものがかなり見られます。そんな行動は、もっと揺れが大きかったら、自殺行為に他なりません。たまたま、そこまでの揺れでなかったというだけのことです。
管理人は、仙台や石巻で商業ビルの巨大で分厚いガラス壁が砕け散っている現場も実際に見てきました。そして、そのような建物はどこの繁華街にもたくさんあります。あのガラスの下に人がいたら、誰一人として生き残れなかったでしょう。耐震性の高い新しい建物でも、ことガラス壁や看板に関しては、破壊・落下の可能性が高いと言わざるを得ません。ちなみにガラス片が落下する際には、バランス的に必ず「尖った方を下にして」落ちて来ます。
阪神・淡路大震災における、ビルのガラスや外壁が落ちた様子をご覧ください。
これで下に人がいたら、どうなるかは言うまでもありません。阪神・淡路大震災では、発生がたまたま早朝だったために、人がほとんどいなかっただけなのです。画像の建物は、1980年以前の旧耐震基準建物だったこともあり、かなり大きく損傷しています。新耐震基準建物はここまで破壊されないケースが多いでしょうが、ガラスや外壁が落下してくる可能性が高いのは間違いありありません。
特に、前述のような商業施設などでよく見られる大きなガラス壁は、揺れ方によっては一気に崩壊することが危惧されます。重量のある厚いガラスですし、破断面はカミソリの刃のような鋭さになりますから、都市部においては、管理人はそれを一番怖れています。
長くなりましたので、次回に続きます。
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