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2013年9月 4日 (水)

【9/2の竜巻はF2】スクープより十分な防護策を!

9月2日に埼玉県越谷市、千葉県野田市とその周辺を襲った竜巻は、気象庁調査チームの現地調査により、竜巻の規模をF0(ゼロ)~F5の6段階で表す藤田スケールの上から4段階目に当たる、F2(風速50~69m/秒)に相当すると発表されました。

昨年(2012年)5月6日に茨城県つくば市周辺を襲った竜巻(F3)の一段階下となります。

主な竜巻の移動距離は約19kmに及んでいるとのことですが、同時に「多重渦」と呼ばれる複数の竜巻が発生し、約1000棟もの建物を損壊させたとのことです。撮影された映像を見る限りでは、「多重渦」はF0(ゼロ)~F1クラスだったようです。

今回の竜巻でも、典型的な現象がたくさん観測されました。まず晴天の中で急速に発達した巨大積乱雲「スーパーセル」によって、場所によっては雷と共に時間降雨量80mmを超える豪雨が降り出しました、そして強い風が吹く中、低く垂れ込めた雲から逆三角錐型の「漏斗雲」が地表に向かって伸び、それが竜巻に発展して行く様子が鮮明に捉えられています。さらに複数の「多重渦」が発生しました。

このため、早い段階で竜巻発生を察知でき、素早く身を守る行動を取れたことも多かったようで、それが建物などの被害の割には、人的被害を少なくすることに繋がったようです。視覚的に、早くから自分に接近する竜巻を察知しやすい条件だったのです。

ただ、「漏斗雲」は必ず観測されるとは限りませんから、空が暗くなって強い風が吹き始めた段階で竜巻が発生する可能性が高いと考え、特に屋外にいる場合は予防的に避難を始めることが必要です。竜巻を起こすような強い積乱雲は、豪雨や雹を伴うことが多いのですが、今回のように竜巻が先に来ることも少なくありません。

竜巻が起きなくても、積乱雲からの強い下降気流である「ダウンバースト」によって、例えばテントなどを吹き飛ばすような突風が吹くことも多いのです。

今回のように「多重渦」が発生していれば、ひとつの竜巻が通過したと思って安心したところへ別の竜巻が接近することもありますから、空が明るくなりはじめ、風が弱まるまでは避難行動を続ける必要があります。

その間、竜巻の接近を見ようとして窓際などに近づくことは危険極まりありません。竜巻がある程度遠くにあっても、巻き上げられた飛来物がどこから突っ込んで来るかわからないのです。窓際にいたら、瓦一枚の直撃で致命傷にもなりかねません。言うまでもなく、開けた場所や窓際でカメラを回し続けるなどもっての他です。

テレビでは視聴者撮影映像をたくさん流しておきながら、一方で「撮影などしないで逃げろ」と矛盾に満ちたことを言います。比較的安全な場所から撮られているから(窓際など十分危険な映像も流れていますが)、結果的に撮影者が無事だったから良いというものでもありません。メディアには、「素人スクープ合戦」を助長するような「煽り」は自重していただきたいと強く思いますが、「ヤバい」映像ほど数字になるという現実の前では、あまり期待しない方が良いのかもしれません。

大竜巻(トーネード)が多発する米国中西部では、映像撮影や学術調査のために竜巻に接近する「ストームチェイサー」と呼ばれるプロがいますが、竜巻を知り尽くしたそんな人たちでさえ、判断を誤って犠牲になることがあるのです。くれぐれも「スクープ」のために生命を危険に晒すような行動はされませんように。

東日本大震災においては、津波の映像を撮ろうとして低地に降りて犠牲になった人の数は、全被災地で数百人では済まないはずです。津波も竜巻も、映像的には非常に「オイシイ」素材なのは確かですが、そのために素人が危険を冒すほどのものでもありません。今回も「無事」に撮影された映像は、たまたま「竜巻の規模がそれほどでもなく、自分の居場所を直撃しなかった」という、単なる偶然の上に成り立っているに過ぎません。

最終的には個人個人がどう考えるかなのですが、あなたの生命は、あなただけのものではないのです。


・・・などとメディアに苦言を呈するのも、こういう事態になるとたいてい、放送局のリモートホストからのアクセスをいただくからなのです。放送制作のための情報収集の一環だとは思いますが、是非ともこういった意見にも耳を傾けていただきたいと思っております。


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コメント

視聴率を取れる取れないの問題もあるでしょうが、津波や竜巻の危険性を知るには動画が一番インパクトがあるという側面も否めませんね。あくまでも報道機関を善意に捉えた場合ですが…
ジレンマではあると思うのですが、一方で今回の竜巻でもマスコミ各社がTwitterで画像クレクレ、連絡クレクレ合戦をやってたようで、こんなことやってるうちは賤業呼ばわりされても致し方ないかと思います。
画像なり動画を撮りたいなら自分たちで装備整えて張り込めと言いたいです。

>tntさん

こういっちゃなんですが、私がもしテレビ屋ならば、やっぱり映像かき集めるでしょうね。何をやってもド迫力映像を超えることはできませんから。

なんたって、プロなら二の足を踏むような映像でも「自主的に」撮って、いくばくかの謝礼だけで喜んで提供してくれる「素人パパラッチ」の存在は、メディアにはありがたすぎる。しかも本人がどうなろうが関係ないどころか、「撮影中に死亡」なんてことになると、神妙な顔して「まずは身の安全を」とかいう「良識」をアピールするネタが出来上がるという寸法。どっちに転んでもオイシイわけで。

だから、視聴者からの批判の声が多くならないと、何も変わらないでしょう。でも、言い続けないと。

今日のニュースを見てガラス越しに真ん前を通過する竜巻を撮影している様子に呆れました。一部の動画では窓ガラスが飛び散り悲鳴が上がっていましたがそれに関して一切のコメントをしない某放送協会には呆れを通り越して怒りさえ感じました。
あぶねえ、等と笑いながら撮影している動画も放映され竜巻への危機意識を削いでいるように思われました。

前回の視聴者投稿動画に影響?されたのか今回は鮮明な動画が多かったように思います。今後、けが人が出ないことを祈るばかりです。

>りぴ太さん

NHK(はっきり書きますとも)はちょっとはまともだと思っていたのですが、栃木の竜巻ニュースでは、中学校に接近した竜巻の映像を、「生徒が撮影した」と言って流してました。

間違った危険行動をしている子供のことより、番組的に迫力のある映像の方が大切だという姿勢がむき出しです。その一方で「身を守る行動を」と言うのだから大したもの。何が起きても責任かぶらないように、しっかり押さえは入れてあるし。

この風潮は、撮影していた人間が何人も死ぬとかしないと、どうにも変わらないでしょうな。「素人ストームチェイサー」は確実に増殖して行くでしょう。

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