☆再掲載☆大火災編12【首都圏直下型地震を生き残れ!22/54】
■当記事は過去記事の再掲載です■
今回は、「冷却」について考えます。
時代劇で、燃える家の中に飛び込む時に、辻に置いてある防火用水の水を頭からかぶって行くシーン、たまに見ますよね。「冷却」とは、要はあれです。水で濡らすということは、その物体の温度を下げる、つまり「冷却」することです。
物が燃えるためには、三つの要素が必要です。それは「燃焼の三要素」と呼ばれ、「酸素」「可燃物」「温度」の三つです。どれが欠けても、燃焼はしません。つまり、そのうちの温度を低く保ち、物の「発火点」以下にまで冷却しておけば、火はつかないというわけです。
さらに、身体や服を濡らすことで、水分が蒸発する時に奪われる気化熱で体表の温度を下げ、火の輻射熱から服や肌を守る効果があります。火がつかなくても、当然ながら熱だけで化学繊維は溶けますし、肌は焼けるのです。ですから、水が豊富に手に入るなら、できるだけ全身びしょびしょになるまで水を浴びてから、ここまで述べて来た方法を併用しながら火点を突破すれば、致命的なやけどや服の発火までの「時間稼ぎ」をすることができます。
もしそこに川や池などがあれば、迷わず飛び込んで、全身くまなく濡れネズミになるのです。水分は多ければ多いほど良いのは、言うまでもありません。どんなに悪臭を放つ汚い水だろうと、ためらってはいけません。前の記事で述べた遮熱用の毛布や布団も、できるだけ水びたしにすることで、より効果がアップします。火にはとにかく、水です。しかし、都市部ではなかなかそうは行きませんよね。
では、あなたが持っている水が、例えば2リットルのペットボトル1本だとしたら、どうしますか?それを頭からかぶりますか?もちろんそれでも効果は見込めます。しかし、それでは60点というところでしょうか。頭から水をかぶっても、一部は服に吸収されますが、大半は流れてしまいます。ここでは、一滴の水も無駄にしたくありません。それに、水が染み込みにくい素材の表面を濡らしただけでは、猛烈な熱で一瞬で蒸発してしまいます。ならばどうするか。
水を「服の中」に注ぐのです。襟元、袖口、ウエストから水を注ぎ、服の内側から水を吸収させます。そうすれば、ほとんど無駄になりませんし、外から熱を受けても蒸発するまでにより時間がかかり、服の外側を濡らした場合より、長い時間に渡って致命的なやけどから守られます。上着に火がついても、それを脱ぎ捨てられるくらいの余裕も生まれるでしょう。化学繊維製が多い下着を濡らせば、それが溶けるのを遅らせる効果もあります。
以前の記事で、天然繊維のシャツなどを重ね着すると遮熱効果がアップすると述べましたが、そうしてあれば保水量も多くなり、より長い時間の熱に耐えられるという効果もあります。しかし夏場で肌の露出が多く、保水量が少ない服装だったり、スカートの場合はどうでしょうか。肌についた程度の水は、一瞬で蒸発してしまいます。なんとかして、保水量を増やさなければなりません。
まず考えられるのは、天然繊維のタオルやシーツなどに水を含ませ、露出している肌を覆うことです。しかしそれができなかったとしたら?まだ方法があります。
それは「泥」。都市部でも、特に大火災の危険が大きな住宅街には、庭の花壇や植木鉢、プランターなどに、意外と土があるものです。その土に水を混ぜた泥を、まず露出した肌に、余裕があれば服もに塗るのです。頭を守るものが無ければ、髪の毛にもどろどろになるまでまぶします。
水を含んだ泥の断熱効果は非常に大きく、水分が完全に蒸発しきるまでに時間がかかり、その間は冷却効果が持続しますし、水分が無くなっても、肌を覆った土自体に断熱効果もあります。都市部ではあまり現実的ではありませんが、もし水を張った水田や泥地があれば、その中をごろごろ転がって泥をまぶし、全身泥人形になるのが理想的です。
側溝にたまった汚泥でも、ためらわないで顔や全身に塗り付けることです。どんなに臭くても辛くても、火に焼かれるよりはマシと考えれば。「生き残る」ためには、取り澄ました日常を自ら捨てなければならないこともあるのです。日頃から、「生き残るためには、できることはなんでもやる」という意識と覚悟をしておくことが必要です。
次回は、ここまで述べた「距離」「遮蔽」「冷却」の三要素についてまとめます。
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