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2013年10月24日 (木)

☆再掲載☆高層ビル編03【首都圏直下型地震を生き残れ!29/54】

■当記事は過去記事の再掲載です■


今回は、なぜ「長周期地震動」が高層ビルにおいて危険なのかについて考えます。

低層の耐震建物は、構造部材をがっちりと組み合わせることで地震の揺れに耐える「剛構造」(ごうこうぞう)です。これに対し、ある高さ以上の高層ビルは、構造部材の結合に意識的に「遊び」を持たせて、建物をある程度揺らすことで地震のエネルギーを吸収、発散させて主要構造の破壊を防ぐ、「柔構造」(じゅうこうぞう)になっています。実際、超高層ビルは強風でもかなり揺れています。

東日本大震災では、東京都内の超高層ビルが肉眼でわかるほどゆらゆらと揺れている映像をご覧になった方も多いでしょう。あれほどの揺れが実際に確認されたのは世界初のことだったのですが、あれはある意味で技術の勝利でした。設計通りの性能を発揮したのです。

一方で、大きな問題も露呈しました。超高層ビルの揺れが、想定していたよりも「大きく、長かった」のです。実は、「長周期地震動」というものの存在が明らかになって来たのはここ数年のことで、現在建っている超高層ビルの設計段階では、あのような大きく長い揺れが続くことは、あまり想定されていませんでした。超巨大地震による「長周期地震動」は、超高層ビルを想定以上に揺らしてしまったのです。

そのため、今後さらに強い「長周期地震動」に見舞われた場合、果たしてその揺れの大きさと、特に持続時間の長さに対して、ビルの主要構造が耐えきれるのか?そんな懸念が生じているのも事実です。しかし懸念される事態は、高層ビルがいきなりポキッと折れてしまうようなものではありません。ほとんどは、あくまで主要構造に想定以上のダメージが残るかもしれないというレベルの話ですから、あまり心配しすぎませんように。


では、なぜ超高層ビルは「長周期地震動」で大きく揺らされるのでしょうか。それは「固有振動周期」の問題です。
物体には、それぞれ固有の揺れやすい周期があります。物体に振動を加えると、振動がその物体の「固有振動周期」と一致した時に、物体の揺れは加えた振動以上の大きさに増幅され、大きな破壊力をもたらします。そして、超高層ビルの「固有震動周期」と、「長周期地震動」の震動周期が近いということが最大の問題なのです。つまり、「長周期地震動」は、超高層ビルの揺れを増幅するのです。

地震の震動周期と被害の関係を示す実例を挙げますと、1995年の阪神・淡路大震災では、低層建物の「固有振動周期」に近い、周期1~2秒程度の「短周期地震動」が発生し、低層建物が数多く倒壊しました。また、中高層建物の中層階が押しつぶされるという、想定されていなかった独特の破壊が起きました。2008年の岩手・宮城内陸地震では、山や崖の「固有振動周期」に近い、周期0.2~0.5秒程度の「極短周期地震動」が発生し、建物被害は少なかった一方で、大規模な山崩れや地滑りが多発しました。

そして東日本大震災では、関東を始めとする遠隔地の平野部で発生した「長周期地震動」によって、超高層ビルに過去最大の揺れが発生しました。このように、揺れ方によって主な被害は変わって来ます。なお、東日本大震災での東北地方では、比較的長周期の揺れが成分が主で、最も破壊力が大きい周期1~2秒の揺れ成分が少なかったために、最大震度7を記録した割には、建物被害は少なかったのです。各地に津波が押し寄せてくる前の映像でも、その時点で全壊している建物はほとんど映っていません。

建物の構造的な話はともかく、揺れが大きくなるということは、もちろん室内へのダメージも大きいということです。そのための対策はどうするかという話が一番大切なのですが、その前に、地震の揺れと高層ビル被害の関連について、もう一回だけ(もしかしたら二回かも)考えます。危険なのは超高層ビルだけではなく、「長周期地震動」だけでもない。そして「免震ビル」は、本当に地震からの救世主たりうるのか?という話です。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

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