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2013年10月10日 (木)

☆再掲載☆大火災編16【首都圏直下型地震を生き残れ!26/54】

■当記事は過去記事の再掲載です■


今回は、引き続き「昼間人口」の危険について考えます。
東日本大震災以来、大都市の「昼間人口」、つまり災害時に帰宅困難が予想される層に対して、「すぐに帰るな」という指導が一般的になって来ました。当ブログでも過去に「すぐに帰るな」という表現をしましたが、正確には「すぐに帰ろうとするな」と表現すべきでしょう。

災害時には、だれもが一刻も早く家に帰りたいもので、その気持ちは止めようがありません。しかし帰宅途上に予想される危険があまりに大きいため、状況が落ち着くまで踏みとどまるべきなのです。ならば、途上の安全が確認できれば、すぐに帰宅行動を始める選択肢もあり得ます。

私事で恐縮ですが、管理人はかつて埼玉南部から東京・浅草に通勤していました。そこは関東大震災、東京大空襲で焼け野原となった、火災危険地帯のまっただ中ですから、その当時は、大地震が発生し、大火災の延焼が予想される場合には都心方向のビル街、つまり大火災の危険が比較的小さな場所へ移動して、待機するつもりでした。帰宅方向とは逆です。

その一方で、すぐに帰宅する選択肢も考えていました。それは、可能性は少ないものの、隅田川を遡上する船に便乗する方法でした。埼玉県内まで行ければ、自宅は徒歩圏内です。これならば、余震や大火災、道路渋滞、橋の落下、そして津波の危険をかなり避けることができる、理想的な帰宅方法だったのです。

このように安全性が確保できる方法があるのならば、それもひとつの選択肢ではあります。しかし、それは滅多にありません。

行政やマスコミが「すぐに帰るな」と喧伝する一方で、待機中にどうしろという情報は、全く見かけません。企業や公共施設で帰宅困難者を受け入れる体制がどうのという情報ばかり目立ちますが、そんなものは650万人に上るとされる帰宅困難者の前には、事実上焼け石に水です。もし入れたらラッキーくらいの感覚でいるべきです。

そして大災害後は、どこにいてもその場所が待機中ずっと安全であるという保証は、全く無いのです。余震や津波に対して安全である場所も、大火災には太刀打ちできません。周囲が火に囲まれたら、致命的な状況になります。火災旋風は、まさにそのような、多方面から火が迫る状況で発生しやすいのです。

また、火災旋風はビルの風下側など、風が渦を巻きやすい場所でも発生することが、実験で確認されています。いわゆる「ビル風」が吹く場所も、火災旋風の危険地帯なのです。これは頑丈で耐火性の高いビル内にいても、周囲が一瞬で火の海になる可能性もあるということです。

また、高層ビルに囲まれた広場や公園には多くの避難者が集まるでしょうが、周囲に火が迫ったら、そこを火災旋風が襲う可能性が高いということでもあります。その場に火が無くとも、大火災が発生させる強風で竜巻が発生し、それが周囲から火を「引き込む」のです。ビル内にまで延焼する可能性も、決して小さくはありません。直接的に火を巻き込まなくても、数百℃の熱風による火災旋風が発生する可能性も指摘されています。

そこで必要なことは、当テーマの記事で述べた通り「24時間の火災監視体制」を構築しなければならないということです。大火災の勢力が収まるまでは、火災の延焼状況を常時監視し、逃げ場を失う前に「無駄足を恐れずに」避難行動を始める、最悪の状況下では、それしか「生き残る」方法はありません。実際、そこまでの「最悪の状況」になるかどうかはわかりません。しかし、そうなる可能性がある以上、最大限の安全を確保する行動を続けなければなりません。判断ミスは、一回たりとも許されないのです。

そこまでの状況で無ければ、自分の進むべき方向に大火災が発生していない、道路が車や人の渋滞で動けないような状況ではない、余震の際もある程度の安全が確保できる、途中の橋の落下や道路障害に対して、予備のルートが確保できるというような状況があれば、移動を開始するのも一つの選択肢なのです。

ここで注意しなければならないのは、以前の記事にも書きましたが、「確かな情報が入手できなければ動くな」ということです。デマや、裏付けが取れない誤った情報を信じ込んだり、ましてや「きっと大丈夫だろう」という希望的観測で行動を開始しては、取り返しのつかない事態になることもあります。あなたひとりならまだしも、他の人々を引率する場合には、これは非常に重要なポイントです。ですから、正しい情報の入手に全力を尽くさなければなりません。

このようなことを書くと、「手遅れになる前に動けとか、すぐ動くなとか、どっちなんだ」という文句のひとつも出そうです。しかし、管理人は理屈を並べて言葉遊びをしているのではありません。忘れてはならないのは、災害はあまりに「理不尽」だということです。

個人の都合も考えも、一切関係ありません。「生き残れる」状況にいた人が生き残り、そうでない人が犠牲になる、ただそれだけです。すべては状況次第です。その理不尽さを、我々は東日本大震災という巨大災害で改めて目の当たりにしたばかりですし、その後も災害が起こるたびに繰り返されています。

すべては、そのような理不尽な状況から少しでも離れて「生き残る」可能性を高めるためです。そのために不可欠なのが、正しい知識、正しい判断と行動、それをサポートする正しい装備です。そして、それらの大前提となるのが、「正しい情報の把握」ということであり、それが当シリーズだけでなく、当ブログ全体のメインテーマでもあります。


今回で大火災編を終了し、次回からは「高層ビル編」をお送りします。


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