☆再掲載☆大火災編15【首都圏直下型地震を生き残れ!25/54】
■当記事は過去記事の再掲載です■
今回は、首都圏の「昼間人口」の危険について考えます。
前回掲載した、東京直下型地震が最悪の状況で発生した場合の火災想定図を再掲します。
このように、現代の東京では都心部をとり囲むように大火災の危険区域が拡がっています。それはすなわち、都心部からどの方向へ行っても、猛火に行く手を阻まれる可能性が高い、ということです。
現在の想定では、東京直下型地震が発生した際に想定される死者数は9700人で、そのうち6200人が火災による焼死とされています。その数字の現実性についてはここで論じることはしませんが、ひとつ確かなことは、この数字はあくまで都内住民の犠牲を想定したもので、「昼間人口」である、一説に650万人にも上るとされる帰宅困難者の犠牲は、全く含まれていないということです。
何故なら、それは「想定しようがない」からです。帰宅のために徒歩移動する集団がどの方面でどのような事態に遭遇し、どのような被害が発生するかなど、前提条件があまりに多岐にわたるために、試算、想定することなど不可能なのです。しかし、例えば徒歩移動する帰宅困難者で「ラッシュ時の駅のような」状態の幹線道路を火災旋風が襲ったとしたら、そこだけで全想定死者数の何倍もの犠牲が出る可能性があることは、過去の事実が証明しています。
それが発生するのか、しないのか。するならば、どこで、どの程度の規模かなどということは、誰も予想することはできません。それは机上の話では無く、ある場所で帰宅困難者の群れに加わっているあなたにとっても、全く同じことです。そして上図が示す通り、その危険はどの方面でも高い確率で存在するのです。
あなたが休日にちょっと外出しようとして空を見たら、真っ黒な雲に覆われていました。用事は特に急ぎではありません。あなたはどうしますか?ならば「今日はやめておこう」というのが現実的な判断だと思います。それと同じことを、大災害時にも考えなければなりません。雨ならばずぶ濡れになるだけで済みますが、この場合は「生き残れない」可能性が大きいのです。
「災害時に一刻も早く帰宅するのは急ぎの用事だ」と思われたあなた、それは何故ですか?家族や大切な人の安否がわからないからですか?ならば、それがわかれば「急ぎの用事」ではなくなりませんか?
今までに当ブログでも何度も提唱していますが、災害伝言ダイヤル、メール、ツイッター、LINE、各種SNS、スカイプやネットの安否確認サービスなど、できるだけ多くの連絡手段を普段から確保、打ち合わせしておき、それで家族などの安否がわかれば、かなり余裕が生まれます。無事が確認できれば、危険を犯してまで無理に帰宅する理由はほとんど無くなります。
もし連絡が完全に途絶しても、普段から災害時の行動についてお互いに取り決めておけば、それぞれの判断で行動しているはずだという安心感も得られます。もし誰かが危機に陥っていたとしても、帰宅までに何時間も、もしかしたら何日もかかるあなたにできることなど、事実上ほとんど無いのです。ましてや、家にたどり着けないかもしれないとしたら。辛くても、割り切りが必要です。
この考え方は、東日本大震災で多数の帰宅困難者が出てからあちこちで言われ始めましたが、手前味噌ながら、管理人は当ブログ本館のmixiコミュニティ「生き残れ。~災害に備えよう~」において、震災以前から提唱してきました。それもどこかの受け売りでは無く、都市が大地震に襲われた時に起こることと人間の心理を考えた上で、どうするのがベストかを自ら導き出した結論です。
そしてそれを「大火災から生き残れ」というテーマ内で述べる理由は、帰宅困難者にとって、大火災こそが最も致命的な危険となるという考えからです。これに関連した当ブログの過去記事がありますので、本文、解説編とも是非ご一読ください。
■【シミュレーションストーリー】地震・帰宅困難編はこちかから
■【シミュレーション解説編】地震・帰宅困難【1】はこちかから
■【シミュレーション解説編】地震・帰宅困難【2】はこちかから
火災は、地震や津波に比べれば、避難のための時間的余裕があります。しかし、身動きが取りにくい群衆の中にいて火災旋風のような現象に遭遇したら、ほとんど何もできない可能性が大きいのです。
津波ならば、少なくとも来る方向はわかりますし、波高以上の高台や頑丈なビルに逃げれば助かります。しかし大火災現場付近での火災旋風は、どこから来てどう動くかもわかりませんし、屋外では事実上逃げ場はありません。屋内でも、建物全体に一瞬で火が放たれますので、逃げ場を失う可能性が高いのです。仮に建物を脱出できても、外は既に火の海です。
その中にあなた自身が巻き込まれていることを、できるだけリアルに想像してください。そして、その上でどのような行動を取るかは、あなた自身の判断です。
次回もう一度、「昼間人口」の危険について考えます。
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