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2013年11月23日 (土)

火災旋風 対処法

今回は読者の方からのご指摘にお答えしたいと思います。

当記事のタイトルは、当ブログを訪れていただく方の検索ワードの中でかなり目立つものです。火災旋風については「首都圏直下型地震を生き残れ!大火災編」の中で、詳細に述べていますが、先日、「結局どうすればいいんだ?結論が無い」というご指摘をいただきました。

ご指摘の通り、「こうすれば大丈夫」というような、わかりやすい内容はありません。何故なら、火災旋風に対しては、そのような単純で確実な対処法は存在しないと、管理人は考えているからです。

しかしそれではあまり役に立ちませんので、ここで改めて火災旋風についてまとめてみたいと思います。

まず、火災旋風とは何でしょうか。
■大火災による強い上昇気流が渦を巻くことで発生する「炎の竜巻」である。
■高層ビルの近くで大火災の近くで大火災が発生すると、いわゆる「ビル風」でも発生する可能性があり、炎を伴わない「熱風の竜巻」となる可能性もある。
■風によって火点から流され、周囲に火を放ちながら移動することもある。

過去の例では、1923年の関東大震災において、三方向を火災に囲まれた東京市本所区(当時)の陸軍被服廠跡の広場で発生し、そこへ避難していた約3万8千人が焼死した。広場では、人や家財が空中に巻き上げられたとの証言がある。

1945年3月の東京大空襲による大火災では、東京都東部の隅田川付近で発生して隅田川上を移動したため、橋の上に避難していた人々が数千人以上焼死した。

1995年の阪神・淡路大震災では、大火災となった神戸市長田区付近で発生し、地震で倒壊した木造家屋が再び立ち上がるように見えたとの証言がある。

過去の例からわかることは、大火災による火災旋風とは高温の炎や熱風による竜巻であり、その威力は竜巻の規模を表す藤田スケールでF0~F1クラス、移動速度は普通の竜巻並みかそれ以上になることもあるということです。つまり、火災旋風が自分のいる方向に移動して来たら、高い確率で「近くに見えてからでは遅い」こともあると考えられます。

次にそのリスクです。
■数百度に達する炎または熱風により、直撃された人間は気道及び体表の熱傷で短時間で焼死する。移動した場合は、周囲の可燃物に一瞬で火を放つ。さらに強風により、火災域を拡大させる。
■木造家屋の屋根を吹き飛ばす以上の強風によって、人間は簡単に吹き飛ばされる。高温・高速の飛来物による被害も考えられる。
■大火災によって発生する複雑な風により、移動方向が一定では無い可能性がある。

では、どのように対処すべきでしょうか。

まず、火災旋風を竜巻として見た場合は、普通の竜巻からの避難方法が当てはまります。それは、竜巻の移動方向を見極め、その方向からできるだけ「直角の方向へ」逃げて距離を取るということです。

しかし、普通の竜巻は移動移動方向が急に変わる可能性が小さいのに対して、火災旋風の場合は前述の通り、複雑な動きをすることありますから、移動方向の見極めが困難なこともあるでしょう。

さらに、自分のいる方向に来ないからと言って安心はできません。火災旋風は移動経路に火を放って行きますから、安全な方向への経路を火で塞がれたり、最悪の場合は短時間のうちに周囲を火で囲まれてしまうことも考えられます。竜巻が同時に複数発生することがあるように、火災旋風もひとつだけとは限りません。

しかも、特に夜間や「熱風の竜巻」の場合、火災旋風が目視できるとは限らないのです。都市部では周囲の見通しが悪いので、そのリスクはさらに高まります。


次に、火災旋風を「移動する火災」として見た場合の対処法です。

火災から身を守る方法は、「首都圏直下型地震を生き残れ!大火災編」でも述べた三要素、「距離・遮蔽・冷却」です。このうち「距離」は上記の通り、火災からできるだけ距離を取ることです。「遮蔽」とは熱を遮って身体を守ることですが、周囲が短時間で超高温となる火災旋風の場合は、効果的な方法は考えられません。

普通の竜巻対処法のように、頑丈なビルの中や地下室に避難して直撃をかわせたとしても、火災旋風の通過後は、周囲が火に囲まれている可能性が高いのです。強風や飛来物がビルの窓を破り、内部に火を放つこともあるでしょう。さらに、炎の火災旋風は周囲の酸素を大量に奪うので、地下室など閉鎖空間では窒息する可能性さえあります。

「冷却」とは、火の熱を主に水で冷やすことですが、火災旋風が接近した場合に現実的に考えられることは、川や海、プールなどに飛び込んで、水中でやり過ごすことです。運が良ければ助かる可能性もありますが、また別のリスクがあります。

前述の東京大空襲のケースでは、火に追われた人々が次々に墨田川に飛び込みました。そのため、水中で人々が折り重なり、多くの人々が溺死したのです。

以上のようなことから、火災旋風から確実に「生き残る」ためには、十分な距離を取ることしか無いと言えるでしょう。そこで着目すべきは、火災旋風は大火災によって発生するということです。つまり、火災旋風以前に大火災から十分な距離を取っていれば、そのリスクを極限することができるのです。

そのために必要なことが、「首都圏直下型地震を生き残れ!大火災編」で述べたことです。すなわち、移動経路上の火災の状況がわからなければ、帰宅などのために移動を始めるべきではない、ということ。

そして、避難場所に待機する場合は、周囲の火災の勢力が収まるまでは、意識して「24時間の監視体制」を作り、火災が迫って来そうな場合には、危ない「かもしれない」という段階で安全な方向へ移動しなければならないということです。

特にお年寄りや幼児が一緒の場合や、避難所などで多人数の場合は、より早い段階での判断と避難行動しか、火災旋風のリスクを減らすことはできないと考えなければなりません。


まとめますと、火災旋風から確実に「生き残る」ためには、大火災から常に安全な距離を保つことが最善であり、そのためには、発災後しばらくの間は「24時間の監視体制」を構築しておき、危険を察知したら、早い段階での避難行動が必要である。

もし近くで火災旋風の発生を認知したら、すぐに可能な限り進路の直角方向に移動し、できるだけ距離を取る。直撃コースではないと判断しても、進路の急変や火災域の急拡大も想定して、予防的な避難行動をしなければならない。

以上二点が、当ブログが提唱する火災旋風対処法の「結論」となります。それ以外の方法は、上記の通り運に左右される確率が大きすぎるのです。

基本的に、火災旋風を「間近に見てしまったら手遅れ」だと考えなければなりません。

皆様からのご意見、ご感想なども伺えれば幸いです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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