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2014年1月11日 (土)

【ニュース解説】やはり動いていた房総沖

当ブログでは、昨年12月初旬頃から関東南部周辺の各震源域で中規模地震回数が増え、さらに今まであまり見られなかったタイプの地震が起きているとレポートして来ました。それにも関連すると思われますが、1月10日に国土地理院から非常に興味深い情報がリリースされました。以下に国土地理院サイトより発表文を引用させていただきます。

(以下引用)--------------------
房総半島の電子基準点観測データに、平成26年1月2日頃から、通常とは異なる地殻変動(非定常地殻変動)が検出されました。これまでに検出された非定常地殻変動は大きいところで約1cmです。

この変動は、房総半島沖のフィリピン海プレートと陸側のプレートの境界面※で発生している「ゆっくり滑り(スロースリップ)現象」によるものと推定されます。検出された非定常地殻変動からプレート境界面上の滑りを計算したところ、房総半島沖で最大約6cmの滑りが推定されました。
※この境界面は、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震を引き起こした太平洋プレートと陸側のプレートとの境界面とは別のものです。

房総半島沖では、1996年5月、2002年10月、2007年8月、2011年11月に、同じような場所でゆっくり滑りが発生したことが、電子基準点の観測データで確認されています。発生間隔は、それぞれ77か月、58か月、50か月でしたが、今回は27か月となり、電子基準点の観測データがある1996年以降に限ると最も短い間隔で発生しました。過去4回のゆっくり滑りでは、房総半島を中心とした領域で非定常地殻変動が約10日間観測されました。

なお、この非定常地殻変動は現在も継続しているとみられます。このため、今回得られた解析結果はあくまでも暫定的なものであり、今後のデータの蓄積、精査により、情報が更新される可能性があります。
国土地理院では、引き続き、この非定常地殻変動を注意深く監視していくこととしています。
(引用終了)--------------------

実はこの動きに関連するように、房総半島東方沖、深さ20~30km程度を震源とする中小規模の地震が連続しています。最初の発生は1月2日午後10時11分頃発生したマグニチュード5.1、最大震度3で、その後も小規模で数回発生しています。このタイプの地震は、震災後この付近ではあまり見られなかったタイプですので、上記「スロースリップ」現象と直接関係するものと考えらえれます。

なお、上記発表分中、「陸側のプレート」とされているのは、北アメリカプレートのことです。※印で注釈されているように、太平洋プレートと北アメリカプレートの境界で発生した東日本大震災本震とはメカニズムが異なります。

ではここで、日本付近のプレート構造図をご覧いただきましょう。
20130102
房総半島沖は、三つのプレートの境界が隣接しています。黄色の矢印は、海側のプレートが動いている方向です。オレンジ色の点線は、北アメリカプレートの下に潜り込んでいる、フィリピン海プレートの先端部です。

赤い小さな矢印は、今回スロースリップが観測された場所と、そのすべり方向を表しています。フィリピン海プレートに押し込まれた北アメリカプレートが、南東方向にゆっくりと「戻った」ということです。1月2日のマグニチュード5.1は、まさにこの場所が震源でした。この地震の震源深さが約30kmであることから、この付近でのプレートすべり面は、深さ30km程度であることがわかります。

今回注目すべきなのは、過去繰り返しこの付近で観測されているスロースリップ現象の発生間隔が、震災直後である前回2011年11月の発生から27か月と、それまでの発生間隔の半分以下となっていることです。その理由は明らかではありませんが、震災による地殻変動の影響を大きく受けていると考えるのが合理的でしょう。しかしこれが今後どのような動きにつながるかは未知数です。


スロースリップ現象の発生には、我々にとって良い面と悪い面があります。まず良い面は、プレート境界に溜まったひずみエネルギーがゆっくりと解放されることにより、大規模地震の発生確率が下がることです。ひずみエネルギーが一気にドカンと解放される、つまりプレート境界の固着域(アスペリティ)が一気にはがれるようなことが起こればより大きな地震となりますから、ゆっくり静かに滑ってくれるのは非常にありがたいと言えるでしょう。

悪い面は、この動きがさらに巨大な動きの前兆かもしれないということです。強く貼りついたプレート境界面の固着域がいよいよ耐え切れずにずれ出そうとしているのならば、その周辺の比較的「やわらかい」部分が先にズルズルと滑り出すこともあるわけです。上記発表文の最後に
『国土地理院では、引き続き、この非定常地殻変動を注意深く監視していくこととしています。』
とあるのは、この悪い可能性も考えているということを意味しています。

房総半島沖のスロースリップ現象は、この現象が観測で捉えられるようになってからは大規模地震に繋がったことはありません。しかし、日本列島は東日本大震災という超巨大地震と未曾有の大地殻変動を受けているのです。今回も今までと一緒だとは誰も言うことはできません。そして、仮に大規模地震に繋がるとしたら、ある日突然でしょう。過去、被害が出るような大地震がほとんどそうだったように、何の前触れもなく襲って来るものと考えなければなりません。後で考えたら「ああ、あれが前兆だったんだ」とわかるくらいでしょう。

さらに、房総半島沖だけが危険というわけでもありません。現に関東南部周辺での地震が増加していることからも、さらに大きな力が広い範囲に働いていて、房総半島沖の動きはその派生現象のひとつに過ぎないのではないか、管理人はそれくらいに考えています。

いずれにしろ、物心両面のでの備えを強化すべき時であると言えるでしょう。最後に、脅かす訳ではありませんが、ある場所に注目していると、「想定外」のとんでもない場所で発生するということも、実際には起きるのです。私は関東じゃないから安心、などとゆめゆめ思われませんように。

より詳細な情報をお求めの方は、国土地理院サイト(下記)をご覧ください。図表なども公開されています。
http://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/chikakukansi_boso20140102.html


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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