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2014年1月 5日 (日)

敢えて書く。エクアドル誘拐殺人事件

当ブログの主旨とは少し離れますが、「生き残る」ということに関連して、敢えて記事にします。


昨年末、エクアドルのグアヤキルで新婚旅行中の日本人カップルが誘拐され、夫は殺害、妻は重傷を負うという悲惨極まりない事件が起こりました。

現地ではExpress kidnapping(特急誘拐)と呼ばれる事件が多発しており、富裕な外国人がターゲットになっているとのこと。日本の外務省からも、現地の治安状況についての警戒情報がリリースされています。

特急誘拐とは、外国人などを誘拐して短時間のうちに金品を強奪したり、ATMで金を引き出させたりしてから解放するという手口だそうですが、報道のニュアンスを見る限り、殺人にまで発展することは多くは無いようです。実際、誘拐犯は金品が目的であり、殺人などという「面倒」はあまり起こしたくないはずです。

では、なぜこんな結果になってしまったのでしょうか。お断りしておきますが、管理人は被害者の行動などを批判するものではありません。あくまで「どうやったら防げたか」という視点での考察を行います。

まず、被害者が泊まっていたホテルは一流の「ヒルトンホテル」であり、その中にいる分には全く安全だったでしょう。治安が良くない場所に滞在する場合は、無闇に出歩かないのが安全のためには一番です。しかし、それでは旅の楽しみも限られます。

被害者は、「ヒルトンホテル」を出て、別のホテルのレストランへ食事に行ったそうです。でもそれ自体は問題ではありません。行きはホテルからタクシーに乗ったそうで、それも問題無いというか、最も安全な方法のひとつです。

問題は、帰りでした。ホテルに待機しているタクシーに乗らず、通りを流しているタクシーを拾ったそうです。時刻は午後10時過ぎ。そして帰りの道中、銃を持った8人組に襲われて誘拐されたとのこと。事件後、タクシー運転手も行方をくらましていることから、犯人グループとグルだったことが伺われます。

実は日本の外務省も、エクアドルへの渡航情報に「流しのタクシーは避けろ」と明示しています。タクシーに乗る際は大きなホテルに待機していたり、正規の登録証を掲出しているタクシーの利用を勧めています。その理由は、非正規のタクシーは犯罪グループと結託していることがあり、誘拐などに利用されることが非常に多いからなのです。

被害者がそれを知っていたら、敢えてホテル待機のタクシーを使わず、しかも夜間に流しのタクシーを拾ったでしょうか。現地で、ホテルのレストランに行くような日本人旅行者は、間違いなく「富裕な外国人」です。あまりに危険な場所に、自ら飛び込んでしまったのです。しかし、普通ならば金品を強奪されても、命まで狙われることは少ないはずです。では、なぜ最悪の結果となってしまったのでしょうか。


ここからは、想像が含まれます。繰り返しますが、被害者の行動などを批判する意図はありません。あくまで治安の悪い場所で「生き残る」ための考察です。

治安の悪い場所に行く時には、事前に外務省の渡航情報はもちろん、できる限り新鮮な情報を集め、自ら危険に近付かないような行動が必須です。現地では、地元の人に治安状況を訊き、それに従うことも大切です。それらは一般的な「常識」であり、誰もが言うことでしょう。

加えて、今回のような事件に遭遇した場合に、絶対に守らなければならないことがあります。でもこれは外務省どころか、どんな旅行ガイドにもまず載っていません。旅のベテランでも、ここまで言う人は少ないでしょう。何しろ、こんな経験をした人自体が滅多にいないのですから。しかし、それは治安の悪い地域や紛争地域における「常識」なのです。

それは、「武器、特に銃を持った人間には絶対に逆らってはいけない」ということです。

現実は、映画のような猶予はありません。少しでも相手の気に障れば、すぐに攻撃されるでしょう。どんなに悔しくても、すべて相手に従わなければなりません。今回のケースは、新婚旅行で女性同伴です。男性が、なんとか女性を守ろうとしたかもしれません。しかし相手は多人数で、銃で武装しています。いかなる抵抗も策略も全く通用しないどころか、抵抗すれば最悪の結果となるのが目に見えている状況です。

犯罪者も、犯行の際は恐怖を感じているということを忘れてはなりません。相手からどんな反撃をされるかわかりませんから、非常に過敏な状態です。少しでも危険を感じたら、先制攻撃をかけるのは当然なのです。余裕で「獲物」を捌くようなのは、映画やドラマの世界だけです。紛争地域においては、指示に従わない者はすべて「敵」と見なされてもおかしくありません。

もし誘拐されても、金品だけで済むならばそれは幸運です。決して全財産を奪われるわけでもありません。ひたすら相手の指示に従い、怒りを買わないような行動に徹するべきです。しかし今回は女性同伴ということで、また別の危険もあったでしょう。そんな時、果たして相手の言いなりになっていられるのでしょうか。そんな場合の「正解」を出すことはできません。

残念でならないのは、今回のケースは「避けられたリスク」だということです。ホテルから正規のタクシーに乗りさえすれば、このような犯罪に巻き込まれることは、まず無かったのです。被害者がその危険を知っていたのかどうかはわかりませんし、誘拐されてから何らかの抵抗をしたのかどうかもわかりませんが、少なくとも、自分の意思と行動でリスクを軽減できたケースであることは間違いありません。

正しい知識、情報を持ち、それに沿った正しい行動をすること。犯罪でも災害でも、リスクを減らす方法は同じなのです。旅先でこのような犯罪や、大規模デモやクーデターなどの騒乱に巻き込まれることも、決して他人事ではありません。

亡くなられた方のご冥福と、怪我をされた方の速やかな回復をお祈りいたします。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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コメント

突然コメントしてすいません。信じてもらえない事を承知で書きますが2人の親戚の者です。30日にお嫁さんからの連絡があり事件の事を知りました。そしていつニュースになるか気にしていて、最近やっと報道されました。私はネットを普段からよく見ていてこの事件の事が報道された後もすぐネットで検索したりしました。そしたらすごく叩かれていて、たくさんの酷いこともかかれていて、見たらイライラするだけだからと思ってもどうしても見てしまうんです、2人の事を何も知らない人達が何故あんなに酷い事を平気で書けるんだってやるせない気持ちでいっぱいでした。それでも色々事件にたいしてかかれているサイトを見ていてこのサイトに辿りつきました。叩いたり晒すんでわなくて、そうゆう風に事件をとらえて書いてくれる人もいるんだと思うと、思わずコメントをしたくなってしまいました。いきなりすいません。

コメントありがとうございます。被害に遭われた奥様や関係者様のご心痛、そして何より亡くなられたご主人様のご無念をお察しするに、言葉もありません。通り一遍で恐縮ながら、お悔やみとお見舞いを申し上げます。

この事件がネット上などで叩かれるであろうことは、想像できました。ご本人たちのことを知らなければこそ、その行動の「間違い」をあげつらうことができるのでしょう。残念ながら、ネット上では事実が重要なのではなく、「どう思われたか」がほとんど全てです。

私にしても、おふたりの行動の詳細は知らない中で、あくまで一般論としての対策を書かせていただきました。関係者様から見れば、何を偉そうにと思われるかもしれません。記事では触れていませんが、仮に「正しい」行動をしていても、避けられない場合があることも承知しております。

ただ、報道から明らかな範囲で、果たしてどうすれば避けられる可能性があったのかを、リスクマネジメントの視点から考察させていただきました。その願いは、同じような悲劇が繰り返されることが無いように、それに尽きます。当ブログでは、主に自然災害から生き残る方法を考察しておりますが、今回の事件は採り上げざるを得ませんでした。あまりに悲惨で、悔しかったからです。

私事ながら、あの3月11日、私は米国におりました。手も足も出ないままにCNNを視ながら、祖国の大惨事にただ歯ぎしりするばかりでした。幸いにして私の関係者には大した被害は無かったのですが、あの時の悔しさは忘れません。

私は長年に渡って災害対策の研究をしてきましたが、震災の状況が明らかになるにつれて、ほんの少し違う行動ができれば助かったはずの命があまりにも多く失われたことに、痛烈なショックとさらなる悔しさを覚えました。その後、2012年1月からこのブログをやっているのは、その思いからです。

今回の事件には、あの時と同じような、歯ぎしりするような悔しさを覚えたのです。関係者では無いながら、こんなのは二度とごめんだ、そんな思いがあります。

すいません長くなってしまいました。この事件に関して、真実をお伝えするお手伝いがもしできましたら、微力ながらお手伝いさせていただきたいと思っております。もしよろしければ、下記アドレスまでメールでご連絡ください。メールは管理人である私以外は見ませんし、もちろん一切の秘密は厳守いたします。

当ブログはそれなりの数のアクセスを頂戴しておりますので、多少のお手伝いはできるかと思います。不躾に過ぎるのは承知ですし、私をいきなり信用していただけないかとも思います。でも、もし少しでもお役に立てそうでしたら、ご連絡をお待ちしております。

管理人専用メールアドレス
smc-dpl@mbr.nifty.com

It seems like you’re developing troubles your self by trying to solve this concern rather of looking at why their is a dilemma to begin with

>to Jocelyn

Thank you for the comment.

I am only wishing by considering this tragedy as teachings that the similar thing will be not repeated.

from Author Teba

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