☆再掲載☆本当に必要な防災グッズとは?【3】
■当記事は過去記事の再掲載です■
あなたの家が大地震で押しつぶされ、部屋はなんとか潰れなかったものの、出口を塞がれました。窓には金属製の格子があって脱出できません。どこからか焦げ臭い匂いがしてきます。
倒壊した建物の中の僅かに残った空間から、子供が助けを呼ぶ声が聞こえます。その建物は木造モルタル造りで、窓には格子がはまっています。素手ではどうにもなりません。強い余震が来たら、さらに倒壊しそうです。
倒壊した家の梁に、あなたの家族が挟まれています。落ちた梁は、人力では重くて持ち上がりません。次第に火災の火が迫っています。そんな時、あなたならどうしますか?
これらは、阪神・淡路大震災で実際に起きた状況を参考にした「想定」です。しかし、事実とほとんど変わりありません。こんな状況が、実際にたくさん起きたのです。
阪神・淡路大震災では、倒壊した建物に閉じ込められた状態から生還した人は、約35000人に上りました。そのうちの約77%、27000人が、近隣住民の手によって救出されました。残りは、警察、消防、自衛隊など公的機関による救出でした。近隣住民による助け合いが、最大の力になったのです。
しかし、上記はあくまで「生還した」人数です。ろくな救出器具も持たない人々の手に負えない状況も、非常にたくさんありました。生きているのがわかっているのに、素手では救い出せません。でも、せめて何か道具があれば救い出せるのに・・・という状況も、少なく無かったのです。
神戸市の海沿いに、阪神・淡路大震災の惨状と教訓を未来に伝える資料館、「人と未来防災センター」があります(画像は外観)
ここでは、阪神・淡路大震災の実際の被災者がボランティアの語り部となって、来館者にその惨状と生かすべき教訓を語ってくれます。
その中のひとりは、用意しておくべき「防災用品」について、熱い口調で語ります。「倒壊家屋からの脱出や救出のための道具を備えよ」と。その激しいとも言える口調からは、実際に目の前の命を救えなかった経験をしたことが、語らずとも窺えます。そこで語られる、用意しておくべき用品の筆頭が、前記事の大型バールなのです。
大型バールがあれば、テコにして重量物を持ち上げる、窓ガラスや窓格子を破壊する、モルタルや石膏ボード壁を破壊する、木造家屋の屋根板や羽目板を外す、ひしゃげたドアをこじ開ける、車のドアをこじ開けたり潰れた車の開口部を拡げる、エレベータのドアをこじ開けるなど、非常に多くの用途に使えます。実際に、これ一本あれば救えたはずの命が、何百とあったのは事実です。
語り部が次に用意せよと説くのは、これです。
上は一般的な乗用車用パンタグラフジャッキ、下は大型トラック用の油圧ジャッキです。テコで手に負えない重量物を持ち上げるのには、これしかありません。乗用車用でも1トンの重量を上げられます。大型トラック用は、5トン程度から20トン以上上げられるものまで、各種あります。写真のものは管理人の私物で、15トンタイプです。
乗用車用でも、木造家屋の梁をある程度上げる力はあります。大型トラック用なら、鉄筋コンクリート建物の倒壊でも、かなり対応できるでしょう。重量物を持ち上げるだけでなく、開口部を押しひろげるという使い方もあります。
大型バールとジャッキが、あの日、目の前で命が尽きるのをただ見守るしかなかった人たちが、心から欲しいと思った「防災グッズ」なのです。さらにできれば、チェーンソーまで用意せよとまで言いますが、さすがにそれは現実的で無いかもしれません。でも、チェーンソーがあれば、木造家屋に容易に開口部を作ることができるのは確かですし、プロのレスキュー隊も使っています。
これらが家に常備してあれば、自分の脱出はもとより、倒壊家屋に閉じ込められた人々の救出に、絶大な効果があります。閉じ込められているのは、あなたの大切な人かもしれないのです。
大型バールは、前回に掲載した750ミリのもので1800円前後で工具を扱っているホームセンターで入手できます。ジャッキは、乗用車用の新品がカーショップで3000~4000円程度で販売されていますが、自動車解体業者などからなら、安価で入手できます。もちろん、自家用車のジャッキも利用しない手はありませんね。
■商品リンク掲載に当たっての追記■
1tパンタグラフジャッキは、Amazon扱いのうち最安価のものを掲載しました。記事中の15t油圧ジャッキは海外製で5000円程度でしたが、Amazonにはその価格帯の扱いがありません。参考として、国産の5t油圧ジャッキで最安価のものを掲載しました。ネットで「油圧ジャッキ」で検索すれば、海外製の安価なものも見つかります。
さらに、電動チェーンソーの比較的安価なものも掲載しました。しかしお気づきの通り、大災害時には停電しているはずです。そこで、カセットガスボンベを使用する手軽な発電機(下にリンクを掲載)とセットで装備するのはいかがでしょうか。これはかなりコストもかかりますので、一般家庭用としてはあまり現実的ではありません。しかし町内会、マンション、学校、企業などの防災用備品としては十分に現実的かと思います。もちろん発電機の汎用性は非常に高いものの、ガソリンエンジン仕様のものは使用に慣れが必要で、燃料の保管や管理にも手間がかかります。でもカセットガスボンベ使用タイプならば、誰でも手軽に使えますので、検討されてみてはいかがでしょうか。管理人からの提案です。
■このシリーズは、カテゴリ【防災用備品】です。
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