2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

« 2014年1月 | トップページ | 2014年3月 »

2014年2月

2014年2月26日 (水)

【ご質問にお答えします】子供の頭を守るために

今回は読者の方からのご質問にお答えする形で、管理人からの提案をお送りします。

小さなお子さんをお持ちのママさんから、お子さんの防災用ヘルメットなどについてのご質問をいただきました。防災ずきんをかぶるにはまだ小さかったり、嫌がったりするお子さんにはどんなものが良いかというご質問で、安全性が高く、簡単に脱げたりしないものがご希望です。

まず、自転車用ヘルメットはどうかということでしたが、管理人としては、自転車用ヘルメットは防災用として非常に優れていると考えます。プラスチックの帽体の中に発泡スチロールの緩衝材が入っており、あご紐もしっかりしていて簡単に脱げません。自転車で転倒した際に頭部を守る機能があるものですから、落下物や衝突に対してもかなりの効果が見込めます。

衝撃に対する防護力は、いわゆる保安帽(工事現場などでかぶるプラスチックヘルメット)より高いはずです。自転車用ヘルメットは子供用はもちろん、大人の防災用としてもかなり有効かと思います。

問題としては、一般的には通気用のスリットが入っているるので、夏場は快適ですが冬場には寒いとうことと、スリットを抜けるような細いものの刺突に対して弱いということです。しかし、寒さはヘルメットの下に帽子をかぶったり、最悪、スリットを養生テープなどで塞いでしまうことで、ある程度解決できます。

刺突に対しては、お子さんの場合は上から防災ずきんをかぶれば事実上ほとんど問題無く、防寒・防火効果も加わります。でも現実的には、地震災害時にスリットを抜けるような細いものが刺突して来る可能性は低いかなとも思いますが。ですから、子供用のスリットが無いタイプならば上記のような問題も無く、お子さん用として理想的ではないかと思います。

ただ、自転車用などのヘルメットはそれなりのスペースを取りますし、自転車に乗る時以外も持ち歩くのは現実的ではありません。もう少し手軽なものが欲しいところです。そこで、管理人からの提案です。
Izano_cap_variation
これは日本のケミカルメーカーDICプラスチック(旧・大日本インキ化学工業)の製品で、商品名IZANO CAPというものです。帽子とたれ布(しころ)の部分は、火がつきにくく、すぐに燃え広がらないよう防炎加工を施した綿100%素材です。内部には、プラスチック製の衝撃吸収プロテクターが入っています。

黒い方はスタンダードタイプで防炎加工無し、オレンジ色はあご紐、たれ布(しころ)付きの防炎タイプです。なお、衝撃吸収プロテクターは、ペットボトルのキャップをリサイクルした素材です。

防炎タイプはあご紐つきで、簡単には脱げたりしません。ポイントは、あご紐が帽子部分ではなくプロテクターについていることです。つまりしっかり締めていれば、衝撃が加わってもパッドがずれにくいのです。また、ちょっと工夫すれば、パッドだけを取り出して、他の帽子の下に装着することもできるでしょう。

大きな特徴は、そのコンパクトさ。畳んで専用ポーチに入れると、ほぼ文庫本サイズになります。お子さんのランドセルの横にいつもぶら下げておくような使い方もできます。帽子のサイズは2タイプで、49cmから62cmまで対応していますから、小さなお子さんから大人まで使えます。多少大きくても、他の帽子を下にかぶるなどすれば十分に実用になりますし、その方がさらに防護効果が上がります。

製品の詳細は、下記メーカーサイトをご覧ください。内蔵されたプロテクターの形状や、収納時のサイズがわかるイラストなどもご覧いただけます。PDFファイルです。
■IZANO CAP製品情報

肝心の衝撃防護効果ですが、プロテクターが頭部にほぼ密着しているために、帽体の変形を許容し、衝撃を分散するための距離(スタンドオフ距離)が少ないので、その点ではヘルメット類にはかないません。それはこの製品に限らず、帽子タイプの限界ではあります。それでも、メーカーのテストによれば防災ずきんの3倍程度の衝撃吸収能力があるとのことですから、現実的には十分な性能と言えるでしょう。

価格は、スタンダードタイプが2800円、防炎タイプが3780円と少し高めですが、衝撃吸収性能、防炎性能に加えて持ち運びも容易という機能を考えれば、特にお子さん用として価値のあるものでは無いかと思います。もちろん、大人のEDC装備としてもお勧めできるものです。文末にAmazonの商品リンクを掲載しておきます。


実はこの製品、昨年中にある見本市で見つけました。実物を手に取ってチェックしながらメーカーの担当者さんの説明を受け、ブログでの紹介許可もいただいていたのですが、その時点では発売前で紹介できず、それから延び延びになっていたものです。この度のママさんからのご要望にぴったりだと思いましたので、ここでご紹介とあいなりました。

余談ながら、管理人はメーカー担当者さんと話しながら「帽子をノーメックス(高性能耐火繊維)で作ってくださいよ」と無茶振りをしたところ、担当者さんは苦笑いしておりました。一応、それも検討はされたそうで。ええ、わかっています。さらに素晴らしい製品にはなるでしょうが、価格は恐らく1万円を超えて、とても売り物にならないwでも、そんな高機能製品が安価で入手できる日が来ることを、管理人はいつも夢見ているのです。

ヘルメットの話が出たところで、次回もヘルメットに関する管理人からの提案をお送りします。

↓S/Mサイズへのリンクです。

↓M/L サイズへのリンクです。

↓スタンダードタイプへのリンクです。

■当記事は、カテゴリ【防災用備品】です。

2014年2月25日 (火)

小説・声無き声 第一部【あとがき】

22回に渡ってお送りしてきました「小説・声無き声 第一部」いかがでしたでしょうか。これは、前作の「生き残れ。」で登場した元陸上自衛隊員、三崎玲奈が、震災から二ヶ月後の福島へ被災動物救援ボランティアに行き、そこで体験したことの物語です。この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、設定は架空のものです。しかし、玲奈が体験する様々な事柄の多くは、周辺の設定に脚色はあるものの、ほぼ事実を描いています。

管理人は震災二ヶ月後2011年5月、つまりこの物語の玲奈と同じ時期に何度も福島へ入り、この作品で描いたような活動をして来ました。あの白い防護服を着るような「最前線」にも入り、報道には決して乗らない、過酷な現実も目の当たりにして来ました。この作品は、様々な問題を抱えながらも、ただ動物たちの命を救うために、小さくないリスクを冒しながら無償で活動を続ける人々の存在と、外からではほとんどわからない、福島の「本当のこと」を少しでも知っていただきたく、書こうと思い立ったものです。

管理人は、震災までは福島とは何の縁も無かったのですが、自分なりの被災地支援の方法として、福島の被災動物支援を選びました。その心情を作中で玲奈に代弁してもらっていますが、人に飼われていた動物を救うことで、ひいては人の心を救う力になれればという思いと、地震、津波に加えて原発事故という未曾有の状況となった「最前線」を、実際にこの目で確かめたいという思いからでした。

フィクションという形態を採ったのは、自分の体験をレポートするという形よりも、物語としてディティールを細かく書いた方が過酷な状況やそこに立った人間の心情をよりリアルに感じていただけると思ったからです。しかし筆力の無さから、事実を描き切れたとはとても言えません。実際の状況はこれよりはるかに過酷であり、それが現在も、そしてこれからもずっと続いて行くのです。

物語では、最後に"おばあちゃん”が登場します。ストーリーはかなり脚色していますが、その存在と言葉は、ほぼ事実の通りです。管理人はその「声」を聞きながら、自分も含めたボランティア達の存在が、少しでも人の心を救う手助けができたんだなと実感でき、深い喜びを感じました。ここへ来て、本当に良かったと。

しかし、そんな行為の見返りを求めるようにも見える心情に、違和感を感じられる方もあるかと思います。でも実際に現場に立って見れば、想像をはるかに超えたあまりに巨大で過酷な悲しみと苦しみの中で、自分の存在や行為が一体何の役に立つのだろうかという、不安のようなものにずっと苛まれていたのも事実なのです。想像を超える現実の前で、心のバランスを保とうとしていたのかもしれません。

それが、"おばあちゃん”の言葉で救われました。被災地に入った人がしばしば口にする「逆に自分が励まされた」とは、こういうことなのだと。被災地を目の当たりにし、被災者と触れあうほど、当事者と部外者の間にある越えられない溝を感じざるを得ず、「役に立ちたい」という思いが空回りしているような、不安と苛立ちもあったのですが、ひとつの言葉で、本当に救われました。

ひとつの行動は、必ずどこかで誰かを救う力になっています。被災地に行かなくても、実感など無くても、小さな寄付や被災地の産物を買うことなどもすべて、苦しんでいる人々や動物たちを救う力になっているのです。


震災から間もなく三年が経ちますが、被災地にはまだまだ多くの支援が必要です。皆様のできる範囲で、できる方法での継続的な支援を続けていただければと願っています。「明日は我が身」かもしれません。管理人としては、今後も福島の被災動物支援を中心に行って行きます。当ブログを通じて、今後もチャリティー企画等を行って行きますので、ご支援、協力いただければ幸いです。

なお、今回の作品は「小説・声無き声 第一部」というタイトルの通り、第二部を予定しております。第二部では、三崎玲奈が今度は宮城県の津波被災地へ行きます。内容としては、初回作の「生き残れ。」と同様、地震・津波対策マニュアル的な内容を盛り込んだものとなります。

ただ、かなり実験的な体裁を考えており、ご批判をいただくことになるかもしれません。それでも、管理人がお伝えしたいことをより良く表現するための方法として、敢えてトライしてみようと思っています。ご期待くださいと言う自信が無いのですが、お楽しみに。


■当記事は、カテゴリ【ディザスター・エンタテインメント】です。

2014年2月24日 (月)

☆再掲載☆普段持ち歩く防災グッズ【4】

■当記事は、過去記事の再掲載です。なお、初回掲載時から大幅に加筆しています。


今回は、「視界」編です。

大災害の目まぐるしく変わる状況の中で的確な判断をするためには、五感を研ぎ澄まさなければなりせん。その中でも最も大切なのが、「視界」だと考えます。ではまず、災害下で視界を失う状況を考えて見ましょう。

まずは停電による照明の喪失。一般に地下鉄や地下街を想定しがちですが、普通のビルの中も、真っ暗な場所が多くなります。窓の無いデパートの中で、停電になることを想像してみてください。夜間ならば、屋外も真っ暗です。関東地方の方は、あの計画停電の夜を思い出してください。多少の月明かりがあっても、建物の影、木立、地下道などは、墨を流した様な暗闇です。

次に、視力矯正の問題。メガネやコンタクトレンズを使っている方は、それらを失うと周囲から得られる情報量が激減し、的確な判断や行動が難しくなります。

そして、目への傷害。猛烈なホコリや煙などのために、目にダメージを受けたり、目を開けていられなくなることも考えられます。これらのケースに、持ち歩きグッズでどのように対応できるか、考えて行きます。

まず、防災グッズの中心的存在であり、東日本大震災の被災地では「いくつあってもいい」という声も聞かれた、ライト類です。持ち歩くライトに必要とされる条件は、軽量コンパクト、防水性能、そして何より十分な照度です。

管理人は夜間の計画停電の時、赤色誘導灯を持って近所の夜回りに出ていました。暗い街をライトを持って歩く人の姿も多く見られましたが、しかしそのほとんどがペンライトレベルのもので、足元を照らすのが精一杯という照度のものでした。平常時の街歩きならともかく、その程度の明るさでは、非常時の暗闇では明らかに不足です。

管理人が考える必要照度の目安は、真っ暗闇でも10m先の人の顔が容易に識別できる明るさ、というものです。そのくらいでないと、先々の状況を確かめながら、素早く移動することは困難です。例えば真っ暗闇のビルの中で、床の障害物、落下物を避けながら進むべき通路を探すようなケースを想像してみてください。10m先が薄ぼんやりでは、素早く動けないはずです。

十分な明るさを確保しながら、電池の持続時間もできるだけ欲しい。そうなると、LEDライトをおいて他にありません。さらに、堅牢なボディと雨の中や浅い水中でも使える防水性能も必須です。コンパクトさでは単4電池使用モデルが有利ですが、電池の持続時間の長さと、他の機器と電池サイズを共通にするという発想から、一番入手しやすい単3電池モデルをお薦めしたいと思います。ちょっと工夫すれば単3仕様モデルで単4電池を使うこともできますが、逆は不可能という理由もあります。

最近はライトの明るさを「ルーメン」という単位で表すことが多いのですが、最低でも25ルーメンは欲しいところです。これは商品のパッケージに表記してあります。下画像は、管理人の基本装備です。
Photo_012
小さい方は単3電池1本モデルで、明るさは26ルーメン、連続点灯8時間。これを常時ポケットの中に入れています。大きい方は単3電池2本モデルで、明るさは80ルーメン、連続点灯8時間。こちらはバッグの中に入れています。80ルーメンあれば、暗闇で50メートル先も十分見通せます。私は二本持ち歩いていますが、とりあえず単3電池1本仕様の、このクラスのLEDライトがあれば大抵のケースに対応できると思います。

参考までに、26ルーメンと80ルーメンの照射力の違いをご覧ください。下画像は2m程の短距離からの照射ですが、実際に見た感覚に近いものです。右が26ルーメン、左が80ルーメンの収束照射モードです。80ルーメンの強力さがわかります。
Bousai_029

ところで、緊急避難時に重要なライトですが、落としてしまうこともあり得ます。混乱の中では拾うのも困難なこともあるでしょうから、そのための対策が必要です。ライトには大抵ストラップが付属していますが、さらにちょっとした工夫をしました。
Light_016
Light_020
上画像は、ストラップに「タイラップ」を巻いて、手首部分で絞れるようにしてあります。つまり、某ゲーム機のコントローラーのストラップと同じように、激しく動いても落としてしまうことが無くなります。下画像のように、「輪ゴム」でも同様の効果があります。輪ゴム一本でできる、予防安全です。こうしてあれば万一建物の倒壊に巻き込まれたりしても、ライトが身体から離れませんから、被発見率が高くなります。


ライトを収納場所しておく場所は、ワンアクションで手に取れる、いつも決まった場所にしておかなければなりません。非常時にライトが必要な状況は、即ち視界が失われている時です。その中でカバンの中をごそごそやっていて、中身をぶちまけたりしてしまってはおしまいです。そんなことの無いように、カバンでもポケットでも、いつでも「手を入れればそこにある」状態にしておくことが大切です。

ところで管理人は汎用性の高さを考えて、敢えて手持ちのライトを持ち歩いていますが、緊急避難時などに両手を空けられるヘッドランプを持ち歩くのも良いでしょう。これは皆様の考え方次第で、どちらでも良いと思います。画像は単3電池1本タイプのヘッドランプで、45ルーメン、連続点灯10時間のものです。ボディは堅牢な作りで、もちろん十分な防水性能もあります。東日本大震災被災地に災害派遣された自衛隊員の多くが、ヘルメットにこのモデルを装着していました。
Head

ここで紹介したモデルは若干高めの価格ですが、コストパフォーマンスが非常に優れている製品として紹介します。いざという時に命を託す可能性があるものですから、個人的には安いくらいだと思いますが。良好な視界は、緊急避難時に無くてはならない条件なのです。なお、LEDライトは明るさと電池の持続時間が年々進化していますので、最新モデルを選ばれるのが結局は一番お得かと思います。

さらに、ちょっと特殊なものではありますが、持ち歩き用として管理人が究極と考えるLEDライトを紹介します。PETZL e-LITE(ペツル イーライト)です。
Bousai_016
Bousai_034
ご覧のような超小型ボディで最大点灯時は26ルーメンの照射力があり、ボディに内蔵の巻き取り式ストラップで、画像のように腕や頭部に簡単に装着できます。重量は鶏卵の約半分、26グラムしかありません。電池はCR2032形コイン電池で、平時はコンビニで入手できます。そして電池を入れたまま10年間性能保証というのが大きな魅力です。つまり、普段はバッグの中に入れたまま完全に忘れていても大丈夫ということです。

ボディは非常に堅牢で防水性能も高く、米軍特殊作戦部隊の装備品として採用されていることが、高い性能と信頼性の何よりの証明です。このライトについては、別に詳しい記事をアップしておりますので、そちらも是非ご覧ください。

究極のEDCライトとは【1】
究極のEDCライトとは【2】
究極のEDCライトとは【3】

長くなりましたので、その他の項目は次回に続きます。

■参考データ
単3×1本モデル サンジェルマン㈱GENTOSパトリオ6 重量61グラム(タマゴ一個分)、価格1000円前後
単3×2本モデル サンジェルマン㈱GENTOSパトリオ7 重量113グラム、価格1400円前後。
ヘッドランプ サンジェルマン㈱GENTOS GTR 重量91グラム、価格1200円前後。
PETZL e+LITE 重量26グラム、価格3500円前後。

※重量はすべて電池込み。データは管理人調べ。下記に各製品のAmazon商品リンクを掲載します。

■このシリーズは、カテゴリ【防災用備品】です。





小説・声無き声 第一部【22・最終回】

■この物語は、事実を参考にしたフィクションです。登場する人物、団体、設定等は、すべて架空のものです。


"おばあちゃん”は、陽当たりの良い事務所前の椅子に腰掛けて、ぽつぽつと語り始めた。玲奈はその脇に佇み、じっと耳を傾けている。

「わたしはね、南相馬市の小高(おだか)という所の海沿いに、ずっと住んでいたの。わかるかしら」
それは玲奈も目の当たりにした。国道6号線沿いに、津波で内陸まで打ち上げられた漁船が並んでいた辺りだ。
「はい。先日私も行って来ました」
「そう。ご覧になったのね。酷かったでしょう」
「はい。もう言葉が無いというか・・・」
「長年住んだ家も全部流されてしまってね。飼っていたわんちゃん、トイプードルのモモちゃんというんですけどね、一緒に流されてしまったみたい。助ける時間が無かったの」
玲奈には、返す言葉が無い。

"おばあちゃん”は続けた。
「今はこっち、福島市の娘夫婦のところでお世話になっているの。ええ、良くしてもらってますよ。でもね、主人の位牌もモモちゃんもみんないなくなっちゃってね、一時はもう生きて行くのをやめようかって・・・」
玲奈は、息を詰めたまま黙って聞いている。この人の身に起きたこと、見たこと、そして計り知れない心の傷に対してかける言葉など何ひとつ、思いつかない。

「最初はね、ここの事を聞いて、もしかしたらと思って、来てみたの」
この人はやはり、行方知れずの愛犬を探しにこのシェルターを訪れたのだ。そんな人に対して、自分はなんという事を言ってしまったのだろう。玲奈は、取り返しのつかないことをしてしまったという自責の念に苛まれた。
「そうしたら、日本中から、すごく遠くからもいろんな人たちがたくさん来てくれているのね。そして、一所懸命に動物を助けて、世話をしてくれているじゃありませんか。そんな姿を見ていたらね、考えが変わってきたの。せっかく助かったわたしが、そんなことじゃだめだ、がんばって生きて行かなくちゃだめだって思えるようになったのよ」

"おばあちゃん”はそこで、一旦言葉を途切れさせた。そして遠くの空 ー浜通りの方角ー をしばらく眺めた後、言った。
「だから、みなさんはわたしの命の恩人なの」
大震災の後、全国各地から駆けつけたボランティアの存在が、たくさんの大切なものを失い、生きる力を失いそうになっていたこの人に、その力を取り戻させた。それは、玲奈が思ってもいなかった言葉だった。

その言葉に、玲奈の胸の中に何か暖かいものが広がって行った。こんな風に感じてくれていた人もいたなんて・・・。すると"おばあちゃん”は玲奈の方を向いて、その目をじっと見つめながら、言った。
「もちろん、あなたもなのよ」
優しい目だった。そして、想像を絶する苦難をも乗り越えようとする、しっかりとした光をたたえた目だった。

玲奈は突然、立っていられなくなった。椅子に座った"おばあちゃん”の横に、崩れるようにひざまづく。身体じゅうで、様々な感情が激しく渦を巻いている。悲しさ、悔しさ、怒り、驚き、やりきれなさ、後悔そして、喜び。被災地の想像を絶する状況に、今まで言葉にならなかった、できなかった全てが、一気に溢れ出した。

涙が、溢れた。もう泣かないなどというちっぽけな意地など押し流すように、もっとずっと深い場所からただ、涙が溢れた。玲奈はひざまづいたまま"おばあちゃん”の小さな手を自分の両手で包み、絞り出すような、震える声で繰り返した。
「ありがとうございます・・・ありがとうございます・・・」

そんな玲奈を穏やかな目で見下ろしながら、"おばあちゃん”は言った。
「お礼を言わなければならないのはわたしの方よ。ほんとうに、ありがとう。わたしもがんばって、負けずに生きていきますよ」
福島に来た時からずっと探し続けていた答えを、聞きたかった“声”を、最後に聞けたのかもしれない。

福島駅前は、相変わらず人の姿は少なかった。東京に帰る玲奈を、佐竹が土埃で薄茶色に汚れた白いワゴンで送ってくれた。駅前のロータリーで、佐竹が笑いながら言った。
「まあ、できたらまた来てくださいね。いつでも人手は足りねぇから」
そんな言い方は佐竹の照れだと思いながら、玲奈は言った。
「はい。お約束はできないんですけど、ぜひまた来たいと思ってます」
「待ってますよ」
「シェルターの子たちにも、また会いたいし」
「この先ずっと、長い戦いになるしな」
戦い。そう、戦いなのだ。先の見えない状況の中で人手を集め、資金を集め、途切れなく動物たちの世話をしながら、ひたすら命を繋いで行く戦いなのだ。玲奈は言った。
「東京からでも、できるだけお手伝いします」
「ああ、よろしく頼みます」

その時、ロータリーを回って来た黄色いフォルクスワーゲンビートルが、ワゴンの後ろにつんのめるように停まった。勢いよくドアが開き、三十代半ばくらいに見えるジーンズ姿のすらりとした女性が、ストレートの長い髪をなびかせるように下りて来るなり、良く通る声で言った。
「あー、間に合ったぁ!」
佐竹がびっくりしたように言う。
「あらぁ利香さんでねえの!」
アニマルレスキューの代表者、藤堂利香だった。普段は資金集めのために各地でイベントや講演に出ている事が多く、シェルターには滅多に来られないと、玲奈は聞いていた。

利香は、福島なまりで言った。
「佐竹さんがね、すごい別嬪さんがボラに来てくれてるって言うから、せめてお見送りでもって思って」
それを聞いた佐竹が、慌てて言った。
「そんなことバラさんでもいいっぺよぉ」
がらんとした駅前に、三人の笑い声が響いた。

玲奈は、ぎりぎりで初対面となった利香と挨拶を交わしながら、動物ボランティア団体の代表者が、こんな都会的な雰囲気の女性だということに、失礼ながら正直、驚いていた。利香と話しながら、玲奈はふと、ある思いを口にした。
「・・・いつまで続くんでしょうか・・・?」

すると、それまで笑顔だった利香の表情が急に引き締まると、言った。
「阪神・淡路大震災の時は、最後の被災ペットが引き取られるまでに三年かかったの。でも、福島はいつまでかかるかわからないわ。もっと長くなるのは間違いない。警戒区域の動物もいるし」
「長い戦いになるんですね」
「うん。長くかかるわ。でも、終わるまでやる。それだけよ」
そう言う利香の瞳には、戦い抜く決意を秘めた強い光が漲っている、玲奈はそう思った。

ふたりと別れた玲奈は、ずしりと重いリュックを背負って、がらんとしたコンコースをひとり、新幹線のホームに向かった。歩きながら、この一週間の様々な記憶が脳裏に蘇る。シェルターの犬や猫たち、津波跡の惨状、見えない放射線の恐怖、警戒区域で潰えたたあまりに多くの命と、生き抜いている命、危険を省みず無償でそんな命を支える人々。そして、再び生きる希望を取り戻した"おばあちゃん”。

自分がここへ来て、本当に役に立てたのかはまだ良くわからないけれど、これだけは改めてはっきりと言えた。福島へ来て、本当のことをこの目で見て、良かった。そして、これからは私も本当のことを皆に伝え、苦しんでいる人も動物も、できるだけ支援し続けて行かなければ。


東京行きの新幹線が、ホームに滑り込んで来た。いよいよ福島ともお別れだ。玲奈はシェルターの方角を振り返りながら、小さく声に出して、言った。

「また、来るね」


【完】

2014年2月21日 (金)

小説・声無き声 第一部【21】

■この物語は、事実を参考にしたフィクションです。登場する人物、団体、設定等は、すべて架空のものです。


5月も半ばの土曜日。福島市郊外の被災動物シェルターの上には、さわやかな五月晴れの空が広がっていた。玲奈が福島の動物救援ボランティアに来て一週間が経ち、そして今日が最終日だ。

いつものようにシェルターに出て、もうすっかり日常になった朝の作業をしながら、玲奈はこの一週間の出来事を思い出していた。それはここへ来る前の想像をはるかに超える、過酷な現実ばかりだった。しかしその一方で、そんな中でもたくましく日々を生きる人々や動物たちに出会い、逆に励まされたりもした。震災から二ヶ月が経ち、未だ先が見えない混乱のただ中でも、そこには"負けない命”の輝きがあった。それは遠くから報道を見ているだけでは決してわからないものだと、玲奈は思った。福島へ来て、本当に良かった。

玲奈は、作業のひとつひとつがとりあえず最後になるという思いで、丁寧に進めて行った。玲奈にすっかりなついて、それぞれの性格も良くわかって来た犬たちとも今日でお別れというのが、なんだか信じられない。玲奈は、一匹一匹を抱きしめながら、心の中で別れの言葉をかけて行った。言葉を口に出したら、泣いてしまいそうだ。

犬たちを抱きしめながら、玲奈は、ふと思った。私がここへ来て、ほんとうに小さいけれど出来ることをやって、苦しんでいる人たちの役に立てたのだろうか。もちろん感謝や見返りを求めているのではないし、そんな感覚は普通ならば思い上がりの類なのだろう。でも、このあまりに巨大な苦しみと悲しみの中にいる間、そんな思いが頭の隅にずっとこびりついている。一週間前、福島駅に着いた時に思った《私なんかが来て、いったい何になるんだろう》という思いの答えを、ずっと探し続けているような気がする。

それは、この過酷な環境で生きる人々や動物たちが、少しでも楽になって欲しい、早く笑顔と安らぎを取り戻して欲しいという、祈りなのかもしれなかった。でも、やはりそれは思い上がりだ。あまりにも小さな自分の存在への言い訳のようなものだろう。ここへ来て、できることをやった。それが全てだ。

シェルターの様子は、玲奈が最終日ということなどお構いなく、いつも通りだった。佐竹は相変わらず眠そうな目をこすりながら、犬たちの朝ごはんを作っている。飯田夫妻も、いつものように警戒区域へ向けて出発して行った。まだ不慣れな学生ボランティアが、吠えかかる犬に少し及び腰で、バケツに入れた飲み水を配っている。きっと今日もこのまま、いつものように一日が過ぎて行くのだろう。

朝の作業が一段落して皆が一息入れていると、シェルターに白い軽自動車がゆっくりと入って来た。佐竹が言う。
「あ、おばあちゃん来た」
特に仕切りなどないシェルターには、時々近所の人が顔を出して、犬をかまって行ったりする。中には毎日のようにやって来て、犬の散歩を手伝ってくれたりする人もいる。その"おばあちゃん”も時々やって来ては、犬たちを眺めてのんびり過ごして行くのだという。

車を下りて来たのは、七十歳くらいだろうか、白髪の目立つ髪をきちんとまとめ、ベージュのコートを着た身なりの良い小柄な女性だった。おばあちゃんと言うより、老婦人という雰囲気だ。その女性は、じゃれつく犬を軽くかまいながら、こちらへやってきた。佐竹が挨拶する。
「おはようございます。いい天気ですね」
女性はにこやかな表情で答えた。
「おはようございます。皆さんいつも本当にありがとうございますね」
ここに犬を預けている人なのだろうか。

佐竹と"おばあちゃん”が話し込んでいる間、玲奈は糞集めや飲み水配りをしていた。水のボウルを蹴飛ばして、こぼしてしまう犬も多い。それが一段落してふと見ると、"おばあちゃん”は事務所前に出した椅子にひとりで腰掛けて、穏やかな表情で犬たちを眺めている。玲奈は、"おばあちゃん”と話してみたくなって、歩み寄った。

「こんにちは。本当にいい天気ですね」
「そうですね。それにみんな元気そうで。あら、あなたは初めてお目にかかるかしら」
「はい。東京から来ています。でも、今日で最後なんです」
「そうですか。それは残念ね」
「もっといたいんですけど・・・」
「でも、お仕事もあるでしょうしね。遠くからお手伝いに来ていただけるだけでも、本当にありがたいですよ。ここは大変ですから」
そう言いながら、"おばあちゃん”は丁寧に頭を下げた。
「いえ、大したお力にはなれませんが・・・」
玲奈も頭を下げながら、"大変”という言葉の裏にあるこれまでの過酷な体験を想像し、身震いするような思いがした。

玲奈は、気になっていたことを尋ねた。
「ここに犬をを預けられているんですか?」
"おばあちゃん”は一瞬、遠くの空を眺めるような目をしてから、答えた。
「うちの子は・・・津波で行方がわからないの」
しまった。余計なことを訊いてしまった。玲奈は慌てた。
「・・・ごめんなさい・・・失礼しまし・・・」
玲奈は言葉に詰まった。失礼?失礼ってなに?大地震と津波、それに原発事故で大変な思いをして、しかも愛するペットを失ったかもしれない人の傷口に塩を塗り込むような、なんてバカなことを言ってしまったのだろう。シェルターに来るのも、もしかしたらどこかで保護されているかもしれないという、一縷の望みにすがっているのかもしれないのだ。
「申し訳ありません・・・」
謝っても、取り返しがつかない。玲奈はそれでも、深く頭を下げるしかなかった。誰かの役に立つどころか、目の前の人を苦しめてしまった。どうしよう・・・。

そんな玲奈の様子を見て、それでも"おばあちゃん”は穏やかな声で言った。
「いいんですよ。お顔を上げてくださいな。うちの子のことは、もう諦めました。でも、ここで元気なわんちゃんたちを見ていると、なんだか落ち着くの。それに、ここへ来るのはそれだけじゃないのよ」
玲奈は顔を上げたものの、何も言えない。"おばあちゃん”は続けた。
「ごめんなさいね。気を遣わせちゃって。良かったら、話を聞いてくださるかしら」
玲奈は強ばった表情のまま一言だけ、答えた。
「・・・はい」

"おばあちゃん”は、穏やかな五月晴れの空をゆっくりと見上げた後、ぽつぽつと話し始めた。


※次回は、最終回となります。

■このシリーズは、カテゴリ【ディザスター・エンタテインメント】です。

2014年2月20日 (木)

【防災の心理03】誰がヒーローだ?

大地震直後、倒壊しかけた家から火が出て、急速に燃え広がって行く。その時、中から助けを呼ぶ子供の声が聞こえた。周りの人は火と煙の勢いにたじろぎ、助けに行けない。その時、ある男が身を挺して突入し、自らやけどを負いながらも、間一髪で無事子供を救い出した。

真冬の大地震後、大勢の人が避難している避難所に、大火災が1kmほどに迫ったが、避難所ではその危険を認識していない。その時、ある男が避難所に駆け込み、大声で叫びながら渋る人々を説得して、近くの河川敷に移動させた。移動が完了した1時間後、避難所を火災旋風が襲った。

深夜、直下型の震度7に襲われた新興住宅街では、全壊こそ無かったものの、建物の損傷や家具類の転倒などで、多くの負傷者が出た。犠牲者も少なくない。ほとんどの家で大きな被害が出る中、ある男の家は多少損傷したものの、十分な対策によって家具類の転倒や散乱は無く、寝ていた家族は全員無傷だった。その後、備蓄してあった水と食品などで、支援が届くまでの1週間、自力でしのぐ事ができた。


・・・突然ですが、3つの事例を挙げました。これらはすべて架空の設定ですが、管理人の事だから、このうちどれが一番望ましいかなんて聞くんじゃないかと思われるかもしれませんが、違います。

ここに登場した3人の「ある男」(もちろん女でもいいんですが)、の「ヒーロー度」を、直感的にランキングしていただきたいのです。極端な例えをすれば、もしあなたが監督として映画を撮るなら、どの事例が一番「画になる」と思われるでしょうか。

多くの場合、上から1・2・3位となるのではないかと思います。女性、特にママさんだと3番目を1位とする方もあるかと思いますが、正直、あまり画になりません。それに、もし倒壊家屋や避難所から助けられたのが自分の子供だったとしたら、やはり上から順番ということになる事が多いかと。

では管理人はどうかというと、やはり上から順番です。それではいかんなどと言うつもりは微塵もありません。一般的なヒーローと言えば、やはり冒した危険度、言うなれば「危機一髪度」に比例するというのが普通でしょう。世のヒーローもの映画では、主人公はいつも命の危険を冒して他を救うのです。そして特に男性の場合、できることならそんな「活躍」をしたいという意識を、少なからず持っている方が多いかと思います。

余談ながら、現実には猛火の中から人を救おうとしたら失敗する、つまりどちらも生還できない例の方がはるかに多くなりますし、避難所の人を移動させた後、避難所に何も起きなかったら、「ある男」は針のむしろです。「寒いのになんて余計なことしてくれたんだ!」と、ヒーローどころか狼少年扱いです。いくら「最悪のケースを想定して」という正論を言っても、納得してくれる人は少ないでしょう。上の2事例は、あくまで「結果論のヒーロー」に過ぎません。

さておき、なぜヒーロー度ランキングが災害対策と関係するかということですが、実は、他者のために大きな危険を冒す者をヒーローとし、さらに自分が危機に陥った時にヒーローに救って欲しい、ヒーローになりたいと望む感覚は、ある心理と深い関連があるらしいのです。

それは一体なんだという話は、また次回に。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

2014年2月19日 (水)

小説・声無き声 第一部【20】

■この物語は、事実を参考にしたフィクションです。登場する人物、団体、設定等は、すべて架空のものです。


白い犬の家を後にしたふたりの車は、警戒区域の奥へ向かいながら決まったポイントに餌と水を置いて回った。どの場所でも前回置いた餌はきれいに無くなっている。中には、前日に置いた20キロのキャットフードがすっかり無くなっている場所もあった。多少は鳥やネズミに食べられたかもしれないが、かなりの数の猫たちが集まったのだろう。それを証明するかのように、今日も新しい餌を置くふたりの姿を遠巻きにしている数匹の猫たちは、どれもやせ細っているようなこともなく、毛並みも悪くない。ボラたちのこんな活動が、無人の地に残された命を繋ぐ役に立っているのは確かだ。

一通り餌撒きが終わると、飯田が言った。
「今日も牛舎見ていきます」
その言葉に、玲奈は思わず息を呑んだ。つい先日見たばかりの凄惨な光景が、玲奈の脳裏にフラッシュバックする。一瞬、鼻腔の奥にあの"死の臭い”が蘇ったような気さえした。しかし、無言で固まっている玲奈をちらりと見ながら、飯田は笑っている。
「今日は大丈夫ですよ。むしろ平和な所です」
「そ、そうなんですか・・・?」
「ええ。牛たちのねぐらみたいな所ですから」
「ならいいんですけど・・・」
表沙汰にならない過酷な現実を自分の目で見たいという決意で福島にやって来た玲奈も、さすがにあの凄惨な牛舎の中をまた見たいとは思わなかった。必要ならば躊躇しないが、できることなら避けたいというのが本音でもあった。

ふたりの乗った銀色のワゴンは浪江町に入った。前回とは違う道を南下して行くと、広々とした草地に、茶色の牛たちが20頭ほど群れて草を食んでいる。やはり、事情を知らなければ平和な放牧地にしか見えない。そんな牛たちを横目で見ながら、飯田は道路脇の牛舎の前に車を停めた。ふたりは車を下りて牛舎に近づく。静まり返っているが、あの"死の臭い”は感じない。それでも、玲奈は牛舎に近づくにつれて思わず歩みが遅くなった。先に立った飯田が牛舎の扉を開く。そしてあの時のように、無言で中を指さした。玲奈は飯田の陰から、伸び上がるようにして恐る恐る薄暗い牛舎の中を覗き込んだ。

中は、がらんとしていた。牛の死骸も無ければ、閉じこめられている牛もいない。臭いも、ごく普通の牛舎のそれだ。玲奈は飯田に訊いた。
「牛さんたち、どこへ行ったんですか?」
飯田は穏やかな目をして言った。
「さっき、草地にいたでしょ。多分、あれがここの子たちです」
「ということは・・・」
「ええ。ここは早いうちに"開放”されました。昼間はみんな外へ出ていて、寝る時に帰って来るんです」
それを聞いて、玲奈は思わず大きくひとつ息を吐くと、言った。
「よかった・・・みんな元気なんですね」
「とりあえず、中に残っている子もいないし、そのようですね」

ふたりは牛舎の裏手に回る。そこは建物に隣接した牛の運動場のようなスペースだったが、鉄柵のゲートが開いたままになっていた。牛たちはそこから出入りしているようだ。飯田が言う。
「ここの子たちがどうしているか、久しぶりに確かめたかったんです。でも、この様子なら大丈夫ですね」
「そうですね。本当に良かった」
玲奈はほっと胸をなで下ろすような気持ちだったが、ふと思った。もしかしたら、ここへ来たのは飯田の気遣いだったのかもしれない。悲惨すぎる死の世界を見せるだけでなく、こうして繋がっている命も少なくないということを見せようとしたのかも。玲奈は、防護服とマスク越しにもわかる飯田の満足げな横顔を見つめながら、心の中で感謝した。

「さあ、今日はもう引き上げましょう。ここはもう5キロ圏近くですから」
明るい声で言い放つ飯田の言葉に、それでも玲奈は背筋に悪寒が走った。辺りは相当高いレベルの放射線に満たされているはずだが、当然ながら何も感じない。一見平和な田園地帯は、やはり既に普通の場所では無いのだ。

丁寧にブーツカバーの泥を払ってから車に乗り込み、車を出そうとした時、飯田が突然声を上げた。
「あー、こりゃまいったなぁ!」
「どうしたんですか?」
「うしろ、見て」
玲奈は助手席からうしろを振り返った。また誰かに見つかったのか。しかし、違った。そこには、20頭以上の牛の群れがいた。すると群れは見る間に車をぐるりと取り囲み、どちらへも動けなくなってしまった。

両耳に黄色い鑑札をつけた茶色の牛たちが、窓のすぐ外から玲奈たちを覗き込んでいる。まるでサファリパークだ。子牛の姿もある。人間や車の姿を見なくなって久しい牛たちが、自分たちのねぐらに近づく"異物”を警戒して戻って来たのか。もし怒っていたらどうしよう。車に体当たりでもされたら、無事では済まないだろう。

玲奈はひそひそ声で、恐る恐る飯田に訊いた。
「・・・牛さんたち、怒ってます?」
飯田は、運転席の窓から覗き込む若い雄牛とにらめっこするようにしながら、言った。
「・・・多分、興味を惹いただけだと思うんですけどね・・・刺激しなければ大丈夫かと・・・」
でも、その声はあまり自信なさげだ。
「とにかく、待つしかありません」

それからしばらくの間、牛たちは入れ替わり立ち替わり車に近づいては、玲奈たちを覗き込んでいた。車の前方が開ける時もあったが、エンジンをかけたら牛を驚かせ、興奮させてしまうかもしれない。すぐ近くに子牛もいるから、もし敵と見なされたら、どんな攻撃をされるかもわからない。

しばらくして、牛たちはどうやら怒ってはおらず、ただ車や人間に興味を示しているだけのようだということが、玲奈にもわかってきた。かわいらしい子牛の姿を眺める余裕も出て来る。良く見ると、放逐された牛たちは、周囲に草も水もたくさんあるから、みな健康そうで毛並みも良い。しかし放射性物質が付着した草を食べ続けているので、内部被曝が進んでいるはずだ。飯田が言う。
「この子たちも、しばらくはとりあえず元気に生きて行けるでしょう。でも、冬になって雪が降ったら、どれだけ生き残れるか・・・」
強い個体は雪を掘ってでも餌を探し出すだろうが、その力が無い個体の運命は、ひとつしかない。

10分ほど経っただろうか。牛たちはついに玲奈たちへの興味を失ったらしく、のっそりと牛舎の中へ戻り始めた。玲奈はほっとしたものの、まだ気を抜けない。好奇心旺盛な子牛と、それに寄り添う母牛が、近くにいる。玲奈は思った。ここを支配しているのは人間に見捨てられた動物たちで、自分たちはひ弱な”異物”に過ぎないのだと。人間が作ったシステムの中では、動物など自由にコントロールできると考えているかもしれないが、いざひとつの個体になった人間は、なんとか弱いものなのだろうか。

牛たちのほとんどは車の"包囲”を解き、離れて行った。飯田が大きく息を吐きながら言う。
「そろそろ、大丈夫そうですね」
飯田は車のエンジンをかけたが、牛たちは何も反応しなかった。そうなると現金なもので、玲奈はこの牛たちと別れるのが辛くなってきた。この先も過酷な環境を生きて行かなければならない牛たちに何もしてあげられないまま去るのが、申し訳無いような気もした。でも、それも人間の思い上がりなのかもしれないが。

車がゆっくりと動き出す。まだ道端で見守っている子牛に向かって、玲奈はゴム手袋をした手を振りながら、窓ガラス越しに叫んだ。
「バイバイ!がんばって生き抜いてね!」


■このシリーズは、カテゴリ【ディザスター・エンタテインメント】です。

2014年2月18日 (火)

☆再掲載☆普段持ち歩く防災グッズ【3】

■当記事は過去記事の再掲載です。なお、今回は初回掲載から大幅に加筆しています。


今回は「カロリー」です。もちろん食品のことなのですが、極端な話、カロリーが採れれば固形物でなくても、飲料でも良いわけです。しかし持ち歩きやすさや食べた時の満足感を考えると、やはり固形物ということになります。

ここで求められる条件は、なるべく軽量コンパクトかつ高カロリーであることです。そうなると、そのために開発された食品にかなうものはありません。定番は、やはりこれでしょう。
Photo_014
ひと箱約90gで400キロカロリーありますから、いろいろ考えても総合的にカロリーメイトを超える商品は、なかなか無いと思います。

もうひとつ要求される条件は、「入手のしやすさ」です。平常時に、ちょっと小腹がすいた時に食べてしまっても、コンビニなどですぐに補給できないといけません。カロリーメイト以外では、商品名で言えば「SOYJOY」や「スニッカーズ」辺りも、一個当たりの摂取カロリー量は少ないですが、なかなか良いですね。ちなみに管理人は、長年に渡ってカロリーメイト派です。

なお、カロリーメイトには5種類の味がありますが、管理人が特にお薦めするのは「フルーツ味」です。酸味があり、唾液の分泌を促しますので、水が無い時に最も食べやすいと考えています。


ところで、昔から非常食の定番と言えば「カンパン」ですが、非常食として売られているものは、保存性重視で缶入りのものが目立ちます。でも普段から持ち歩くには大きすぎです。下写真はどこでも手に入るものではありませんが、こんな風なパッケージのものなら、持ち歩きやすいと思います。
Photo_015
カンパンの問題はカロリー低くて、なにしろ味気ないことでしょうか。

かつては、乾パンには氷砂糖や金平糖が入っていました。でも最近のものはコストダウンでしょうか、入っていないものも多く見られます。氷砂糖などは、唾液の分泌を促して乾パンを食べやすくし、甘味は糖分の補給だけでなく、疲労感の軽減にも効果があります。水分なしで乾パンを大量に食べるのはかなりキツイもので、実際の被災者からもそんな声が多く上がっていながら、未だに非常食と言えば乾パンが主流というのもどうかと思います。紹介しておいてなんですが、正直言うと管理人は積極的にはお薦めしないものの、安価で保存性が良いという部分で、とりあえず。

意外にも非常食として評価が高いのが、森永のビスコ。甘いクリームサンドで食べやすいですし、保存性も十分。なにより、子供向けに栄養を強化しているのが好評価の理由でしょう。下記に商品リンクを掲載しておきます。


良く「防災マニュアル」の類で、非常食として普通のチョコレートを勧めているものがあります。確かに軽量・コンパクトで高カロリーという条件は満たしていますが、携帯用としてはそれこそ机上の空論です。チョコレートは28℃を超えると溶けてしまいますが、そのことを全く考慮していません。フリーザーバッグなどに入れておくという手もあるものの、余計な手間ですし、中で溶けたらベトベトです。

でもチョコレートの味と機能性は捨て難いので、このようなタイプはいかがでしょうか。
Photo
チューブ入りなら、一挙に問題解決です。さらにこれを塗ってやれば、味気ないカンパンもぐっと美味しくいただけるというものです。でも、どこでも手に入る訳ではないということが難点でしょうか。

日本の伝統食にも、良い物があります。ようかんです。比較的カロリーが高く、甘味が疲労感を和らげてくれます。非常食として長期保存ができる下画像のようなものが人気ですが、コンビニやスーパーで売っている、小分け包装されたようかんでも十分に実用的です。
Photo


常時カバンに入れておける、比較的入手しやすい高カロリー食品として、管理人のお薦めはこのような製品です。あとは、それぞれの条件に合わせて、持ち歩く量を調節してください。

その他、非常時にあるとうれしいものとして、飴類や氷砂糖があります。カロリーや糖分の補給というだけでなく、甘いものは疲労感を軽減し、良い気分転換にもなります。特に乾パンを常備される場合には、是非一緒にどうぞ。

夏場に欲しいのが、塩分の入った飴類です。発汗と共に塩分などの電解質が失われたままにしておくと、めまいや脱力感に見舞われます。さらにひどくなると、脱水症状や熱中症を引き起こします。ただでさえ水分が十分に採れない環境下では、致命的なことにもなりかねません。ですから、汗をたくさんかいた時は、適量の塩分補給が必須です。もちろんこれは飴類でなくても、食塩を少しなめるだけでも十分です。

最後に、これは持ち歩きグッズとは少し違うのですが、参考までに。
避難生活が長くなると、生鮮食品が不足して、ビタミン不足に陥りがちです。そのために、食品の備蓄にビタミンのサプリメントを入れておくことをお勧めします。多くのビタミンが配合された「マルチビタミン」というようなものが良いのですが、特に必要なのが、炭水化物のエネルギー化を促進し、疲労回復にも効果があるビタミンB1、免疫力をアップするビタミンCだということは覚えておいてください。

次回は、【視界】について考えます。

■商品リンク掲載にあたっての追記■
記事無いの商品のうち、主な商品リンクを掲載します。まとめ買いができるものは、ほどほどの分量と価格のページを選びました。乾パンや氷砂糖などは比較的入手しやすく、種類が非常に多いので、とりあえず掲載しません。




■このシリーズは、カテゴリー【防災用備品】です。

2014年2月17日 (月)

どうすりゃいいんだという話

前記事「大雪警戒情報の功罪」で、悪天候で移動困難が予想される場合などは、公式情報プラスαのレベルで個人的な警戒・対策をせよという意味のことを書きましたが、それについて、じゃあ実際はどうすればいいんだというご意見をいただきましたので、それについて。

まずは、そんな時何が起きるかを知らなければなりませんが、それは当記事執筆時点でも現在進行形の現実が教えてくれます。

交通障害が予想される筆頭は、大雪と台風です。それらは事前にピークとなる時期がわかりますので、まずはその情報を得ることから始まります。でも、大雪ならば今回のように降雪域や降雪量予想が正確でなかったり、台風ならば速度や勢力の変化によって大荒れの時間帯が変わったりしますので、その時点で時間や影響を、最低でも情報内容の50%増しくらいの感覚で考えておくことです。

そして、その拡大した時間帯や影響下で、自分が何をしているのかを予想します。特に問題になるのが、仕事上での移動と帰宅困難かと思います。仕事ならば、遅れたり目的地に行けないという前提での段取りをしておくのが当然ですから、ここでは帰宅困難について考えましょう。

大雪や台風で発生する影響は、高速道路や一般道路の通行止め、鉄道の不通、遅延、間引き運転、さらには停電もあり、すぐに復旧の目途が立たないことも少なくありません。今回の大雪では、通行止めによる車の立ち往生が各地で発生し、鉄道も豪雪や事故で長時間止まっており、多くの人が身動きできなくなりました。

そんな状況で何が必要かを考えれば、対策は自ずから見えてきます。まず服装。大雪や暴風雨に対応できる靴や防寒具、雨具が必要です。今回は、車や電車の中で暖房なしで長時間身動きできないというケースも発生しています。

そして、水と食品。せめて一晩過ごせる量を持参しているべきです。具体的にどんなものが有用なのかについては、現在再掲載もしている過去記事「普段持ち歩く防災グッズ」シリーズや、「自動車のに備えるEDCグッズ」シリーズをご覧ください。手前味噌ではありますが、今回の大雪で起きた状況については、管理人が実際に備えている装備で、帰宅困難も車の立ち往生もほぼ対応できます。それらを普段から装備していなくても、大荒れになりそうな時だけでも参考にされてみてください。

しかし、モノを備えれば安心ではありません。本当に大切なのは、考え方と行動です。

まず、移動、帰宅困難が予想される場合には、「帰らなくても良い」準備をしておくことで、ずっと楽ができます。でも、普通は勤め先には泊まれませんし、電車も動かなければタクシーも来ないとなったらどうするか。ならば、宿を取るのです。でも、大荒れの影響が出始めてからではほとんど不可能でしょう。

これは管理人が実際にやる方法ですが、居場所のなるべく近くの安い宿を、早いうちに予約してしまうのです。そこで大切なのがキャンセルポリシー。当日キャンセルでもキャンセル料金がかからない宿を普段から探しておき、大荒れの状況が予想された段階で、すかさず予約を入れてしまいます。普通のビジネスホテルならば長距離をタクシーで帰るよりは大抵は安上がりのはずですし、ベッドでぐっすり眠れて風呂にも入れるんですよw

近くにそんな宿が無い場合は仕方ありませんが、多少の移動を伴っても、一晩中悪天候の中に放り出されるよりはるかにマシかと思いますが、いかがでしょうか。サウナやスーパー銭湯でもいいですが、宿泊できないところもありますし、満員で入場できないこともあります。ネットカフェやカラオケルーム、カプセルホテルでも特に大荒れ時には直前予約は受けないでしょう。

車に乗っている場合は、「早めに諦める」のが肝心です。大雪や台風による通行止めや大渋滞は、長時間続くことが予想されます。そんな時、例えば高速道路に乗っていて、交通情報で通行止めや大渋滞の発生がわかったら、さっさと高速道路を下りましょう。つい、少しでも目的地に近づきたい、土地勘の無い場所にいたくない、なんとかなるんじゃないかという思いで、そのまま進んでしまうことが多いはずです。

でも、無理なものは無理と開き直ることも必要です。状況次第ではありますが、そこから一般道で進めれば大成功、ダメでも途中で燃料、食品などを補給できる可能性が高いですし、安全な車中泊場所を確保したり宿が取れるなど、とにかく選択肢がずっと増えるわけです。その状態で待機し、渋滞が解消されたら再出発すれば良いわけですし。

これが一般道だったら、「Uターンする勇気を持て」と。両方向が大渋滞することは、あまりありません。ならば、もし前進できる目途が立ちそうも無かったら、早い段階でとりあえず空いている逆方向へ向かうのも一つの手段です。これは意外と強い決断力が必要なのですが、その場で立ち往生するより良いかと思いますが。基本的には、にっちもさっちも行かなくなる前に、できるだけ多くの選択肢が得られる状態を確保するという考え方です。距離が伸びても、迂回ルートがあることもありますし。

もちろん、そういった選択ができないケースも多々あるでしょうが、できるならば迷わずやるという発想を、普段から持っていることが大切です。例えとしてははどうかと思いますが、「多少の犠牲を出しても、全滅するよりマシ」という考え方です。ポイントは、とにかく「早い段階で決断する」ということです。

これらはもちろん机上の空論ではなく、管理人は普段からやっていることです。管理人は幸いにして移動中に自然災害に巻き込まれたことは無いのですが、行楽シーズンの渋滞でも、ひどい事故渋滞の類だったらすぐに高速下りちゃいますね。そしてのんびりお茶でもしながら、状況を見極めて次の行動を決めます。

このような考え方の行動に加えて、せめて大荒れ時だけでも装備したいグッズ(過去記事参照)があれば、あなたは多くの人々よりずっと「楽ができる」はずです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2014年2月16日 (日)

ありがとう!60万PV

当ブログは2012年1月のスタート以来、約2年と1ヶ月で60万PVに到達いたしました。皆様のご愛読に、改めて感謝いたします。

PC、スマホ、タブレット等からのアクセスで表示されるアクセスカウンターは現時点で約50万6500PVとなっておりますが、これには携帯電話からのアクセスが含まれておりません。携帯電話からのアクセスを約9万5000PVほどいただいておりますので、合わせて60万PV超となります。

最近、使用しているココログのアクセス解析システムが変更され、携帯電話からの累計アクセス数が見られなくなってしまいました。最近はスマホの普及によって携帯電話からのアクセスがどんどん減る傾向ではありますが、まだまだたくさんいらっしゃいます。何しろ、管理人自身が信念を持ってw未だにガラケーユーザーでもありますし。

正確な集計データがわからなくなるため、このようなPV節目の記事はこれで最後にしますが、今後はアクセスカウンターの数値に加えて、携帯電話からのアクセスが最低でも約10万PVはあるという前提でご覧いただければと思います。

なお、携帯電話からアクセスしていただいている皆様に、ここでひとつお詫びなのですが、携帯電話からでは、記事中に掲載しているAmazonの商品リンクがご覧いただけません。もしお入り用の製品がありましたら、Amazonのサイトで、記事に掲載の製品名で検索していただければヒットしますので、そのようなご対応をお願いいたします。ご不便をおかけして大変申し訳ありません。


それでは、今後とも「生き残れ。Annex」をよろしくお願いいたします。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2014年2月15日 (土)

大雪警戒情報の功罪

太平洋沿岸各地が、今年二度目の大雪に見舞われました。当ブログでは、大雪に関しては特に触れるつもりはなかったのですが、ひとつ非常に気になることがありますので、記事にします。

今回(2/14~15)の大雪は、結果的に前回より積雪量が多く、交通障害や停電などの被害がより大きくなりました。でも、事前には多くの方が「前回ほどじゃない」と思われていたのではないでしょうか。実際に、会社や学校などが早上がりするような動きも少なかったようです。

例えば、東京都心部は結果的に27cmと前回と同じ記録的積雪量となりましたが、大雪情報では14日の夜まで、「東京都心部で10cm程度」と言われていたのです。北海道在住経験のある管理人でも、あの気温と湿った雪で10cm程度ならば、平坦で交通量の多い道ならば部分的にシャーベット状になるくらいで、車は夏タイヤでも走れる程度だと考えていました。さらに、関東南部では夜半に暖気が入って雨に変わるとも言われていました。それらの情報から、「今回は大したことない」と思われた方、多いのではないでしょうか。

しかし管理人は、日が暮れる頃に考えを改めました。明らかにすぐに雨に変わる雪ではなく、降る密度がどんどん上がって行くのです。しかも、水分量が多いために前回の乾いた雪よりずっと滑りやすい、一部の雪国で言う「あぶら雪」に近いものでした。その時点で、これは10cmどころじゃないぞ、良く滑る重い雪のせいで被害がより大きくなるぞと考えました。実際、夜になって一気に激しくなった雪による交通障害が多発し、滑りやすい雪による車や電車のスリップ事故、重い雪の着雪による停電など、前回よりずっと大きな影響が出たのです。

こういう感覚は雪国生活経験が無いとなかなか得られるものではありませんから、誰にもそれが必要だと言うつもりもありませんし、ましてや自慢したいわけでもありません。何が問題かというと、結果的に正確でなかった情報により、対策が後手に回ったケースが非常に多かったということなのです。


今回の状況を見るにつけ、どうしても思い出さざるを得ないことがあります。東日本大震災では、当初は予想される津波高さが6mと発表されたために、避難行動の遅れを招いたケースが非常に多かったのです。パターンとしては、それと同じことだと考えねばなりません。

大雪に関しては、津波のように致命的な状況が起きるわけではありませんが、都市への影響は甚大です。もっと早い段階で高いレベルの警戒情報が出ていたら、例えば高速道路でのスリップによる交通障害や、交通機関の大混雑による移動困難はかなり緩和されていたでしょう。少なくとも、電車がほとんど止まって高速道路がほとんど通行止めになるレベルだという認識が広まっていれば、結果はまったく別だったはずです。

では、結果的に不正確だった情報を出した気象庁の責任を問うのかというと、そんなのは全く無意味です。我々が留意すべきは、地震、津波はもとより、気象に関しても常に得られた情報が絶対ではない、さらに状況が悪化した場合に備えてより高レベルの対応と行うか、少なくとも次善のオプション手段を常に考えておかねばならないということです。残念ながら現代の科学技術では、自然現象を予測する精度は「この程度」なのです。

もちろん、企業などの組織の判断は公式情報に拠らなければなりません。たとえ個人が「今日は30cm積もる」と予想していたとしても、組織の意思決定に反映されることは無いでしょう。それはある意味で仕方ありません。しかし、そのとばっちりを受けるのが我々個人ならば、個人レベルでできる対策をしておかなければならないということです。ひどい目に遭ってから、誰に文句を言ってもはじまりません。例えば今回の大雪で、個人的に雪の中での帰宅困難を想定して、事前にその対策を考えられていた方、どれだけいらっしゃるでしょうか。


もうひとつ。今回、埼玉南部では、2月14日の早朝から雪が降り始めていました。そして、その後大雪が確実だとされていました。なのに、子供が通っている学校では、ほとんどの生徒が制服指定された平底の革靴だったというのです。管理人は、黒いスニーカーを履かせて行きましたけど。

それは、校則違反です。でも、決まり事だから危険でも変えない、危険の可能性さえ考えないということが果たして尊重されるべきなのかどうか。いろいろな考え方はあるでしょうが、こと家族の安全に関しては、管理人はそんな杓子定規な考えを否定します。さらに、校則では許されていないウインドブレーカーを持たせました。結果的に、下校時に吹雪のような雪の中で遅れたバスを長時間待つ間、ずいぶん助かったと。他のほとんどは、制服のまま雪まみれだったそうです。

学生が制服で大雪の中を移動するなど、関東南部では想定されていない「非常事態」です。それでも「決まりだから」守らなければならないと言うどころか、そもそも決まり事が「非常事態」に対応できず、大きな危険を生むことに気づいてさえいなかったというならば、親も学校も管理者としてのリスクマネジメント能力が無いに等しいと言っても過言ではないでしょう。誰かが傷ついてからでは遅いのです。

まあ、これで何かあったら「学校の指示が無かった」とかねじ込む親がいたりするから恐ろしいwもっとも、そんな難癖を想定するのも、学校側のリスクマネジメントのひとつだと思うのですが。


まとめましょう。大前提として、公式に発表される気象情報などの重要さが揺らぐことはありません。それが無ければ、対策ひとつ立てることもままなりませんし。でも、「公式」だからと言って全面的に盲信するのも危険ということです。仮に正しい情報だったとしても、自然現象に関する情報の場合は地域差も大きくなります。例えば積雪量は風向や地形によって大きく変わりますし、津波は地形によってその高さが数倍にもなるということです。

そして、情報の不正確さや判断の誤りが誰の責任ということに関わらず、ひどい目に遭うのは我々個人だということです。ならば、常に公式情報や組織の判断プラスαのリスクを個人で想定し、できるだけ対策をしておくことが、結果的に一番「楽ができる」ということだと思うのです。生死にかかわる事態は、あまりありません。でも、ちょっとした対策で「楽ができる」ケースは、いくらでもあるのです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2014年2月14日 (金)

小説・声無き声 第一部【19】

■この物語は、事実を参考にしたフィクションです。登場する人物、団体、設定等は、すべて架空のものです。


玲奈はひとつ、心に決めていた。もう泣かない、と。今まではどんなに辛くても、人前で涙を見せたことはほとんど無かったと思う。涙を見せる自分は嫌いだったし、滅多なことでは泣かないという自信のようなものさえあった。でも福島に来てからは、もう何度も涙を流してしまっている。流れ出す涙を堪えようとする気さえ忘れるほど、この地の状況は想像を超えているのだ。

自分の目で見たものだけではなく、その裏に感じるあまりに巨大な悲しみと苦しみが玲奈の心の深い場所を強く抉り、それに対する反応は、流れ出す涙しかなかった。言葉など、あまり意味が無い。普段の"理性的な”暮らしの中で感じる悲しさや辛さとは全く異質のそれは、いのちの根源から、止めどなく涙を溢れさせるようでもあった。

でも、もう泣かない。泣いてる場合じゃない。少なくとも、人前では。この巨大な悲しみに、押し潰されたくない。そして、たとえひとりだけでも、笑顔を取り戻す力にならなければ。そのためには、自分が泣いてばかりでは始まらない。改めてそう思った。

玲奈と飯田が乗った銀色のワゴンは、人影の無い農道を走り、南相馬市小高区の市街地に入った。生活の痕跡を残したまま、突然人が消えた街。再び訪れたこの地の異常な光景を、玲奈は少し冷静に見ることができた。有り体に言えば、かなり慣れた。そして、自分が来るべき場所のように思うことができた。

その時、玲奈の視界に動くものが捉えられた。200mほど先に、白い犬がいる。こちらにまっすぐ身体を向けている。もしかしたら、保護できるかもしれない!運転する飯田を見ると、飯田も犬の姿を捉えていた。ちらりと玲奈を見ると、無言でうなずく。

車はゆっくりと犬に近づいて行く。中型の雑種で、緑色の首輪をしている。長めの白い体毛は泥で汚れて、ぼさぼさに逆立っている。健康そうには見えない。車が50mほどに近づくと、その犬はくるりと反対を向き、小走りに走り始めた。また、逃げてしまうのか。

しかし、その犬は全力で走ることはせず、少し走っては立ち止まってこちらを振り返り、また小走りに走り出す。警戒しながらも、明らかにこちらに興味を示している。もしかしたら、車と人間の姿を食物と結びつけているのかもしれない。

その姿を見て、飯田が言った。
「追尾します」
玲奈は思わず答えた。
「了!」
陸上自衛隊の無線交信で使われる、『了解』の短縮語だ。この環境に少し慣れたとは言え、やはりかなり緊張している。玲奈は、一般には通用しない言葉をつい使ってしまったことに慌てたが、飯田は何も言わずに犬の姿を見つめたまま、慎重に車を走らせている。

白い犬はまるで車を誘導するかのように、一定の距離を保ちながら走っては止まるを繰り返している。市街地を抜け、川の縁を走る小道に入っても、それは続いた。河原の草地では、放た

れた牛の群れがのんびり草を食んでいる。飯田が言う。
「あいつ、おそらく根城に案内しているんだと思います」
「本当ですか?」
「多分。外には敵が多いから、なるべく根城にいたいはずです。でも、腹が減っている。車が来れば、餌にありつけるということを覚えたのでしょう。それもこの世界で生きる知恵です」
「やっぱりそうなんですか。なんとかごはんあげたいですね・・・」

犬は小道を外れて、脇の草地に入った。おそらくそこが根城への最短距離なのだろう。玲奈は犬の行く先を見失わないように目をこらし続けた。すると、飯田が突然言った。
「まずい!」
その言葉に、玲奈は思わずびくっと身体を縮めた。反射的に、また警察と遭遇したのかと思ったのだ。飯田は静かに車を停めると、前を指さした。しかしそこにいたのはパトカーではなく、車一台分の幅しかない小道を塞ぐように佇む、茶色の大きな牛の姿だった。

その牛は20mほど先で、じっと動かないままこちらを凝視している。下手に近づいたり、ホーンを鳴らしたりして興奮させたら、突っ込んで来るかもしれない。近くには子牛もいるし、

牛たちにとっても、滅多に見かけなくなった車や人間は、ここではすでに"敵”なのかもしれないのだ。体重が数百kgもある牛の体当たりを喰らったら、車も無事ではいられない。そのまま、牛が動く気になるのをじっと待つしかなかった。その間に、玲奈の視界から白い犬の姿は消えてしまった。

そのまま5分ほど、静かなにらみ合いが続いた。するとその牛は車への興味が無くなったのか、のっそりと歩き出すと河原の草地へ入って行った。飯田と玲奈はほとんど同時に、大きく息を吐いた。ずっと息を詰めたままだったのだ。
「とりあえず、行ってみましょう」
飯田はそう言うと、犬が消えた方向の小道へ車を進めた。果たして、追いつけるのか。しばらく走ると、一軒の大きな農家が見えてきた。玲奈が叫ぶ。
「あ!あそこにいます!」
なんと、その農家の門の前に、あの白い犬が佇んでこちらを見ている。玲奈たちが来るのを、つまり餌が来るのをじっと待っていたのだ。相当腹を減らしているのだろう。飯田が言う。
「ここが根城、というより、この家の犬でしょうね」
「やっぱり、離れられないのかしら・・・」
「一番落ち着ける、あいつの縄張りですからね。犬には帰巣本能もあるし、縄張りを守ろうともしますから」

車が近づくと、犬は広い庭に駆け込んで行った。後に続いて車を庭に入れると、農機具倉庫の陰から、頭を下げて不安そうな目でこちらを見ている。身体は、あの横向きだ。知らない人間の姿を目にして、いよいよいつでも逃げられる体勢になった。それでも、食物への渇望は止められない。

防護服姿のふたりは車を降りると、ドッグフードの大袋と水タンクを下ろした。農機具倉庫の軒下には、他のボランティアが置いたと思われる、空になった餌と水のボウルがあった。やはり、人間の姿を見て家に帰れば、餌にありつけると理解していたのだ。

飯田の指示で、玲奈はドッグフードの大袋を開いて、そのまま軒下に置いた。少しは鳥やネズミに食べられてしまうかもしれないが、この犬が見張っていれば、当分は持つだろう。水もたっぷりとボウルに注ぐ。普段は川の水を飲んでいるのだろうが、少しでもきれいな水を飲ませてあげたい。その様子を、犬は倉庫の陰からじっと見つめている。

玲奈たちが離れると、犬は頭を下げて上目使いでこちらを見ながら、ゆっくりと餌に近づいて来た。警戒している。そして身体を横に向けたまま、横目でこちらを睨むようにしながらがつがつとドッグフードをむさぼり始めた。玲奈たち10mほど離れて、その様子をじっと見つめている。辺りを強く警戒しながら餌を食べるその姿は、既に飼い犬のそれではない。過酷な弱肉強食の環境を生き延びるために、否応なしに野生を蘇えらせた姿だ。

ひとしきり腹を満たした犬は、再び倉庫の陰に引っ込んだ。身体を横に向けたまま、こちらを凝視している。できれば保護したいと思っている飯田は、数歩進んではしゃがんで様子を見ながら、少しずつ犬に近づいて行く。餌をもらって多少は警戒が緩んだようにも見えたその犬は、しかし飯田が3mくらいにまで近寄ると、突然歯をむき出しにして唸り出し、飯田を威嚇しはじめた。それ以上は一歩も近づかせない。

しばらく経っても、その様子は変わらなかった。飯田は諦めて、玲奈の方へ戻ってきた。
「やっぱり、だめですね」
「なんとかしてあげたいけど・・・」
「とりあえず、どこかのボラがここを把握しているようですから、任せます」
「餌は十分届いているんでしょうか」
「それはわかりませんけど、私もこれから様子見に来ますよ」

玲奈は、相変わらず倉庫の陰からこちらを見ている犬に向かって手を振りながら声をかけた。
「がんばって生きてね!」
その瞬間、犬の目から警戒の色が抜け、耳をぴんと立ててきょとんとしたように頭上げたが、すぐにまた険しい目つきに戻った。玲奈の声が、誰か知っている人間の声に似ていたのかもしれない。その一瞬の表情が、この家で平和に暮らしていた頃の顔だと、玲奈は思った。できることなら、またいつかあんな顔でいられる日が来ればいいのだけれど。

ふたりは車に戻ると、ブーツカバーの土を良く払ってから乗り込んだ。飯田はカーナビにこの家の場所をマークして、次回来る時に備える。車が庭を出ようとする時、玲奈はもう一度後ろを振り返った。

すると、白い犬は広い庭の真ん中まで出てきていて、あたかもふたりの車を見送るように立ちすくんでこちらを見ている。その表情は、つい先程の敵意むき出しのそれとはうって変わり、飼い主が出かけるのを見送る犬が見せるような、ちょっと寂しそうな顔だと、玲奈は思った。


■このシリーズは、カテゴリ【ディザスター・エンタテインメント】です。

2014年2月12日 (水)

☆再掲載☆普段持ち歩く防災グッズ【2】

■当記事は過去記事の再掲載です。なお、以前掲載した他の再掲載記事と重複する内容が含まれます。


「普段持ち歩く防災グッズ」について、具体的に考えて行きます。このシリーズの【1】で挙げた6つの要件のうち、今回は「水分」です。

これはもちろん、水そのものを持ち歩けるのが一番ですし、すでにそうしている方も多いでしょう。でも500cc入りペットボトル一本の重量は約500グラムもあり、それなりにかさが張りますから、だれでも可能というわけでもありません。しかも500ccでは、いいところ1日分に過ぎません。

ならば、発災後に水を補給をすることが、絶対に必要です。しかし停電・断水はすぐには復旧しないでしょうし、商店の品物は、あっという間になくなります。

そこでお勧めしたいのが、「浄水ストロー」です。
Photo
「浄水ストロー」はサインペン一本分ほどのサイズと重量で、持ち歩いてもほとんど負担になりません。濁りがあまりひどくない水なら、大抵は飲用にすることができます。本体はろ過資材が入っているだけで殺菌能力がありませんので、塩素系消毒剤の小瓶が付属しています。画像のようにフリーザーバッグに一緒に入れておけば、コンパクトで衛生的です。

さらに「浄水剤」があれば、より安心です。これも塩素系(次亜塩素酸ナトリウム)で、容器は目薬くらいの大きさと重量ですから、こちらも負担になりません。
Bulog_019

では、非常時にどんな水が飲めるのでしょうか。ビルの中ならば、まず屋上などに設置された配水タンクの水がいちばん有用です。タンクの流出口には水抜き用のバルブがあるはずです。もし無かったり、工具が無くて開けられなくても水を取り出す方法はありますが、それは後述します。

配水タンクの水は、もちろん水道水そのものですからそのまま飲めるものの、特に夏場に停電・断水で長時間に渡って循環が止まって長時間経過した場合には、雑菌の繁殖もあり得ますから注意が必要です。

屋内では、トイレのタンクの水も使えます。寒い地域では、水道管凍結防止用の水抜きバルブがついていますので、水道管の中の水も使うことができます。さらにいざとなったら、トイレの便座の中にたまった水も使えます。

そして雨水、川、用水路、池、噴水の水など、要はろ過と消毒さえできれば、ほとんどが命をつなぐ水となるのです。

飲めない水は、濁りが極端にひどい水、高濃度の有害な化学物質、放射性物質や病原体に汚染されている水などですが、濁りはタオル、ネルシャツ、洗濯用ネット、コーヒー用フィルターなどを使ってろ過すれば、かなり軽減できます。細菌など病原体には上記のグッズでもかなり対処できますが、さらに手軽な方法があります(ウイルスによる汚染を除く)
Delios
これは「スーパーデリオス」という製品です。これは中空糸膜と活性炭フィルターでろ過することで、細菌、微生物、寄生虫とその卵などのレベルまでろ過することができます。これだけでも大抵は安全な水になりますが、浄水剤を併用したり、煮沸することができれば、なお安心です。なお、煮沸する場合は、10分間沸騰させるのが目安です。

「スーパーデリオス」はマヨネーズ容器と同じようなボトルがついていますが、ろ過資材が入ったキャップはペットボトルにもつけることができますので、キャップ部分だけ持ち歩いても良いでしょう。


人間は水の補給が3日間無いだけで、死に至ります。それ以前に、まともに行動できくなります。水の確保は、「生き残る」ための最優先課題なのです。

他からの支援が得られない非常時に、上記のような水を「作る」グッズの有無が、どれだけ有効かを想像してみてください。文字通り「命の水」なのです。対処方法を持たずに汚染された水を飲んで、下痢になると身体の水分を大量に失いますし、体調を崩すだけでも、ろくに治療が受けられない非常時には命にかかわる事態にもなり得るのです。とくにお子さん、老人、身体の弱い方には重大な問題です。

各グッズはもちろん買ってそのままではなく、取り扱い説明書を良く読んで、できれば試しに使ってみて、使い方に習熟しておく必要があるのは言うまでもありません。

最後に、あまり露骨にお勧めはできないことなのですが、ビルの屋上の配水タンクについて。配水タンクの素材は薄い金属板かFRP(ガラス繊維強化プラスチック)がほとんどですので、バールなどの道具で穴をあけることは比較的容易です。ですが、これは「生き残る」ための最後の手段ということにしてください。一度穴を開けると、雨水やゴミなどが入って、せっかくの浄水が汚染されてしまうということも十分に考慮しなければなりません。

次回は、「カロリー」編です。

■参考データ
浄水ストロー「MIZU-Q」 重量(本体+浄水剤容器)31グラム
浄水剤「ピュア」15cc 重量30グラム
スーパーデリオス 重量(本体+収納袋)64グラム
※いずれも管理人調べ。

■商品リンク掲載に当たっての追記■
今回紹介した製品は、先日再掲載した「本当に必要な防災グッズとは?」シリーズの一記事と内容が重複しますが、こちらの記事だけご覧の方もあるかと思いますので、一応商品リンクを掲載してきます。なお、携帯用次亜塩素酸ナトリウム剤はAmazonでの扱いがありませんので、同成分で食品添加物認可なので飲料水の消毒に使える製品(ケンミックス4)をリンクしておきます。それを小分けにして持ち歩けば、より安価で済みます。なお、上記の携帯用浄水剤は、登山・アウトドア用品店ならば大抵扱っています。



■このシリーズは、カテゴリー【防災用備品】です。

三陸沖で連続アウターライズ地震発生

2014年2月10日に、三陸沖で小規模ながらアウターライズ地震が連続発生しました。

最初は午後6時38分頃で、その後午後7時31分頃までという1時間弱の間に、マグニチュード4.3~4.8という比較的近い規模で4回連続しています。震央は三陸沖の200km近い沖合で、震源深さはすべて約10kmですので、アウターライズ地震の特徴を備えています。なお、その後は48時間以上発生していません。

アウターライズ地震とは、陸側プレートの下に潜り込む海側プレートの動きが加速することによって、陸地から離れた海側プレートの盛り上がり(アウターライズ)の浅い部分にかかる引っ張り力が強まることで起こる、正断層型地震です。

海側プレートの加速は、同時に陸側プレートの下に潜り込んだ部分での圧縮力を強めますので、そこでは海側プレート内部の岩盤が圧縮破壊される、逆断層型のスラブ内地震が発生しやすくなります。つまり、アウターライズ地震とスラブ内地震は、海側プレートの加速という同一事由で発生する「セット」とも言えるタイプの地震です。

東日本大震災以降、陸側プレート(北アメリカプレート)の下に潜り込む海側プレート(太平洋プレート)の速度が上がっていることが実測されています。このため、震災後から主に岩手県から茨城県の沿岸付近でのスラブ内地震が増加し、現在も続いており、それに呼応するように、時々アウターライズ地震も発生を繰り返しています。


そして昨年末くらいから、震災からの時間経過と共に漸減傾向だったスラブ内地震が若干増える傾向が見えていますので、今回の三陸沖アウターライズ地震も、それに関連した動きかと思われます。

アウターライズ地震は、深さ10km程度という海底の浅い部分で発生するので、その規模がマグニチュード6台後半から7以上の規模になると、海底の変形によって津波が発生しやすくなります。そして、震央が陸地から遠いために、規模の割には地上の揺れはあまり大きくなりませんので、小さな地震だと思って油断していると、想像以上に大きな津波に襲われることがあります。

ですから、特に東日本大震災の津波被災地では、地震が発生したら揺れの大きさだけで判断せず、必ず津波情報も確認するように心がけてください。アウターライズ地震の震央は、一般に陸地から150km以上離れた場所となりますので、仮に津波が発生しても、陸地へ到達するにはかなり時間がかかります。

東日本大震災では、地震から30分程度で巨大津波が陸地へ到達した例が多いようですが、アウターライズ地震の場合はそれより確実に時間の余裕があります。地震の後に津波警報、注意報が発表されたら、慌てずに確実な避難行動をしていただきたいと思います。


震災後のアウターライズ地震は、本震の約15分後に発生したマグニチュード7.5を最大に、それ以降はマグニチュード7クラスに達する規模での発生はありません。しかし、その危険は非常に長い間続きます。例えば1896年の明治三陸津波を起こした地震から37年後の1933年に発生した昭和三陸津波を起こした地震は、1896年の地震の影響によるアウターライズ地震だとされています。

このように、大地震による地殻変動の影響は数十年単位で続きますので、震災後の余震、誘発地震がかなり落ち着いて来たように見えても、今後長い間に渡って安心することはできないのです。あとひと月で震災から3年が経過しますが、震災による地殻変動は、まだ「始まったばかり」くらいに考えるべきなのです。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2014年2月10日 (月)

【防災の心理02】あなたはどちら側?

前回の記事で、「災害対策をしっかりやっても、感心されても尊敬されない」と書きましたが、言うまでも無く誰もが尊敬されたくて対策しているわけではなく、ただ災害から「生き残りたい、苦しみたくない」という純粋な気持ちから生まれる行動です。そして、そんな気持ちは誰もが持っているはずです。では、なぜそうなるか。

いくつか実例を挙げましょう。これらはすべて管理人の知人の実話です。

幼稚園と小学校のお子さんを持つ主婦の方。日頃から水、食品の備蓄や防災グッズの装備に努め、家の中の対策はもちろん、周辺の危険要素や避難経路もしっかり調査されています。しかし旦那さんはそのような行動を全く理解せず、いつも「そんな無駄なことするな」と不機嫌になるどころか、新しい備蓄や防災グッズを用意すれば「無駄なカネを使うな」と怒り出す始末。

いくら説得しても取り付く島もない状態が続いたので、その方は決意しました。もし大災害が起きても、旦那さんを全く当てにはしない。そこに居ようが居まいが、自分の子供と家は自分で守ると。高い防災意識が、夫婦の信頼関係にヒビを入れてしまったようです。


中学生のお子さんを持つ主婦の方。大地震発生時、台風接近時や竜巻発生の危険がある時の、学校の対応に不満持っていました。そのような場合、基本的にただ「下校させる」となっており、危険が迫っているような場合でも「校内待機」という選択肢が無かったからです。このため、状況によっては校内待機として、どのような状況で判断するかを明らかにするように求めました。

しかし学校側にそのようなマニュアルは存在せず、指摘に対しても曖昧な反応しかありませんでした。周囲の父兄を巻き込もうとしても積極的な人は少なく、学校側も含めて「面倒な人」という印象を持たれてしまったそうです。


30代の独身女性。東京・原宿の表参道を彼氏と一緒に歩いている時、東日本大震災が発生しました。初めて経験する激しい揺れに、歩道脇のビルからの落下物の危険をすぐに考え、彼氏の手を引っ張って車道を渡り、ケヤキ並木がある中央分離帯に避難しました。そこならば、落下物の危険はほぼありません。見事な判断です。

しかし周囲にそのような行動をする人はほとんどおらず、しかも肝心の彼氏は「心配しすぎだ」と彼女をなじりました。そんな彼氏の態度を目の当たりにして「この人とはやっていけない」と感じ、その後すぐに別れてしまったそうです。


30代の男性サラリーマン。地震の知識が豊富で、地震が起きると初期微動と主要動の時間差、揺れの方向、揺れの周期などから震央位置から規模、震源深さまで、数秒でかなり正確に推定するのが特技。仕事中に地震が起きる度に、「ネタ」として喜ばれていました。

通勤バッグの中には各種防災グッズが入っていて、例えば新人が入って来ると、「あの人のバッグの中を見せてもらえ、すごいぞ」とか「ネタ」として話題にされたりします。でも、感心されても真似する人はほぼ皆無。そんな場合、周りはいつも半笑いで、基本的に「変わった人」と思われているようです。


・・・という4つの実例をご覧いただきましたが、さて、あなたは「どちら側」ですか?当ブログをお読みいただいている皆様は、防災意識の高い方が多いかとは思います。それでも、例えばあなたの周りにこんな人々がいたら、ちょっと引いちゃうと感じられたりしていませんか?

そして、「その人たちはきっと極端すぎるんだろう。ほどほどにしておけばいいのに」と思われた方、多いのではないでしょうか。彼氏と別れた女性など、別れた原因はそれだけじゃ無いのだろうとも。いえ、本人は断言します。「それだけ」だと。そんな彼女を、極端すぎると思われたりしませんか?さらには、「防災ヲタ」の管理人の知人だから、同類ばかりなんじゃないか?とかw

念のため申し添えますと、この方々は、防災とは無関係の知人ばかりです。お気づきの方もいると思いますのでひとつネタバレしますと、最後の男性は、サラリーマン時代の管理人自身ですw


そうなんです。ほどほどにしておけば、周りから変な目で見られることは無いでしょう。では、ただ「災害から生き残る」という目的だけにフォーカスした場合に、その方々の行動や対策は必要にして十分かというと、これは管理人も含めて、とても十分とは言い切れません。元来、災害対策に完璧は存在しないのです。

実際の大災害では、運に左右される部分が非常に大きいのも事実。そしてその代償は「死」なのです。そのことが、災害対策を進める上で、心理的に大きな壁になっているのです。

次回も、そのことについて考えます。

■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

2014年2月 9日 (日)

☆再掲載☆普段持ち歩く防災グッズ【1】

■当記事は過去記事の再掲載です。


今回から何回かに渡り、『普段持ち歩く防災グッズ』を考えて行きます。まずは基本的な考え方からです。

本文では、基本的に都市部へ電車通勤・通学をしている人を想定します。自動車やバイクでの通勤を想定しないのは、その積載力の高さから。あくまで「徒歩」での非常に限られた運搬力の中で、どれだけのことができるかを考えて行きます。その他、必要に応じて他の想定も加味して行きたいと思います。

まず、普段持ち歩く防災グッズ(以下、持ち歩きグッズ)に求められる条件を考えます。

まず何より、軽量・コンパクトであること。非常時に屋外を中心に使うものですから、堅牢で操作が容易であること。直感的に使い方がわからないものなど、非常時には役立ちません。機械類には、なるべく防水性能も欲しいところ。できるだけ複数の用途に使用できるもの。持ち歩きグッズは出来るだけ減らしたいものです。なるべく安価で、入手が容易なもの。高価なものは思い切って使えませんし、失くしたらしばらく入手できないようなものでも困ります。大体そんなところでしょうか。

ところで持ち歩きグッズに限らず、すべての災害対策グッズに要求される、基本的な要件があります。この要件を外すと、非常時に役に立たないただの“オモリ”になってしまいかねません。私は、その基本要件を6つのジャンルに分けました。以下の通りです。
■水分
■カロリー
■視界
■情報
■防水・防寒
■安全・衛生
これらを確保するためのグッズを揃えて行くわけです。あと、これは人によりますが、さらに■救護という要件、つまり他を救うためのグッズを用意することもあると思います。

次回からはそれぞれの要件ごとに、実際に起こりうる状況と、それに見合ったグッズを考えて行きます。手っ取り早くグッズのリストだけ見たいと言う方も少なく無いと思いますが、それだけでしたらいくらでも他に情報はあると思います。しかし当ブログの目的は、あくまで総合的な「生き残る」力のアップであり、通り一遍のグッズがあれば解決という考えは持っておりません。

ついでに申し添えますと、一般的な「防災グッズ」の中には、根本的勘違いをしていたり(持ち出しリュックの雨対策などいい例です)、コストの問題などで致命的とも思えるダウングレードがされていたりするものがあるのを、普段から大変気にしております。それなりのモノなら何でも良いというものではありません。

災害対策においては、その時に起こることを正確に知り、それに対処する心構えと装備を身につけることで、様々に変化する状況を柔軟に、そして力強く乗り越えて行けるのだと信じます。魂の入っていない机上の空論では、「生き残る」ことは困難です。

なお、これから紹介するものはすべて、私が実際に持ち歩いているものです。


■このシリーズは、カテゴリー【防災用備品】です。

2014年2月 8日 (土)

福島県沖で震度4連続発生

本日2月8日、午前2時18分頃と午前11時34分頃に、福島県沖を震源とする地震が発生し、どちらも陸上で最大震度4を観測しました。

最初の地震は震源深さ約40kmマグニチュード5.0、次は前回より陸地に近い海底の深さ約50kmマグニチュード4.8でした。この地震は、東日本大震災以降に東北地方から関東北部沿岸で多発するようになっている「スラブ内地震」と思われます。これは震災による地殻変動によって太平洋プレートが陸側プレート(北アメリカプレート)の下に潜り込む速度が上がって圧縮力が増大したために、太平洋プレート内部の岩盤(スラブ)が破壊されて起こる逆断層型地震です。

余談ながら、マグニチュード値は1増えると放出されるエネルギー量は約30倍となりますが、0.2増えただけでも2倍となります。初回の5.0は、二回目の4.8の2倍の規模だったということです。二回目は震央がかなり陸地に近かったために、陸上の揺れは同程度となりました。


震災の影響による「スラブ内地震」の発生頻度は、震災から時間た経つにつれて漸減傾向ではありますが、昨年末くらいからわずかに増える傾向が見られていますので、今回の連続も、その流れの中にあるようです。ただ、このタイプの地震が巨大な地震へ繋がる可能性はあまり大きくは無いでしょう。

ただし、このタイプの地震でも過去には宮城県で震度6弱、福島県や茨城県でも震度5強を記録する規模になったことがありますので、まったく安心という訳ではありません。震央位置にもより、陸地地下またはごく近い沿岸部で発生した場合には、今回と同様の規模でも陸上の揺れはかなり大きくなることもあります。また、近隣の他の震源域、例えば福島県浜通り南部の浅い震源などに影響を与えることがあるかもしれません。

とりあえず、東北から関東北部の沿岸部で、この「スラブ内地震」が若干増えていますので、今後も同タイプの比較的大きな地震が続く可能性がある、ということは言えると思います。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2014年2月 5日 (水)

700号☆再掲載☆本当に必要な防災グッズとは?【7・最終回】

■当記事は過去記事の再掲載です。なお、ブログスタートから通算700本目の記事となります。


地震を中心とする大災害が発生した場合、一般に「3日間は自力でしのげ」と言われ、その分の備蓄をすることが推奨されています。これは大体3日目くらいから、被災地に水や食料、医薬品などの公的支援が届くということが前提になっている考え方です。しかし東日本大震災で明らかになったように、被災地が非常に広い範囲に及んだり、道路が寸断されてしまった場合には、さらに長い期間に渡って公的支援が得られないこともあります。

仮に、現在想定されている東海・東南海・南海地震が短期間で連鎖して発生した場合、関東から四国・九州までの太平洋岸という人口とインフラが集中している地域が被災し、最悪の場合4000万人、つまり我が国の人口の三分の一が「被災者」になる可能性があります。なお、一般に「被災地」とは、何らかの被害が出る、震度6弱以上の揺れに見舞われた場所を指します。

それは最悪のシミュレーションですが、そこまで行かなくても、大都市圏が広範囲に被災した場合には、速やかな公的支援が得られない可能性は非常に大きいと考えなければなりません。それでも、とにかく支援が得られるまでは自力で「生き残る」必要があります。そんな場合、命をつなぐために一番大切な要素はなんでしょうか。

それは「水」です。

人間は、健康な大人ならば何も食べなくても、最大3週間は生きられる可能性があります。しかし水が無ければ、ほとんどの人は3日で死に至ります。災害報道で良く聞く、閉じこめられた人の生存率が急激に落ちるまでの時間を表す「黄金の72時間」(Golden 72hours)とは、すなわち水無しで生きられる限界を表しているのです。ただ、これはもちろん条件が良い場合のことであり、子供、老人、身体の弱い人や、暑さ、寒さ、怪我などの悪条件があった場合には、当然ながら短くなります。

すでに多くの方が水の備蓄をされていると思います。しかし想定より長い期間にわたって、外部からの支援が得られない場合はどうしますか?備蓄はいつかなくなります。

その場合には、水を「作る」のです。

我が国は、水の国です。雨や雪も多く降りますし、国土のあちこちに水が流れています。それを利用しない手はありません。しかし都市に存在する水を、そのまま飲用するわけには行きません。

それでも有害な化学物質が大量に含まれているような水でなければ、ろ過と煮沸をすることで、かなり安全な水にすることができます。その方法は別稿にゆずるとして、ここでは最も簡便な方法を紹介します。我が国は、高度産業国家でもあるのです。
Delios
画像は、「スーパーデリオス」という商品です。キャップ部分に中空糸膜フィルターと活性炭フィルターが入っており、水中の不純物から細菌までをろ過して、安全な水を作ることができます。条件が良い水の最大ろ過能力は200リットル、つまりドラム缶一本分にもなりますので、ひとつあるだけで非常に心づよいものです。キャップはペットボトルと同じサイズですので、大型のペットボトルにつければ、効率的にろ過ができます。これがあれば、風呂の残り湯でも安全に飲むことができるのです。ボトル部分はサイズも素材もマヨネーズの容器とほぼ同じで、空気を抜けば丸めてコンパクトに持ち歩けます。フィルター部分だけの重量は約60g、ほぼ卵一個分しかありませんので、普段から持ち歩けます。

次はこちら。
Photo
浄水ストローです。これは水を直接口で吸って飲むものですが、殺菌能力はありませんので、塩素系消毒剤がセットされています。川の水などを容器に汲み、消毒剤で殺菌してから、ろ過材が入った本体でストローのように飲むわけです。軽量コンパクトですので、普段から持ち歩くのも負担になりません。右が私の持ち歩きスタイルで、フリーザーバッグに入れて、カバンに入れています。家族ひとりに一本ずつあると良いでしょう。

これは徒歩移動中に水の補給があまり期待できない、帰宅困難時対応グッズとしても優秀です。川の水も雨水も、みんなあなたの「水場」になるんですよ(笑)

さらに大量の水を作りたい時、これが役立ちます。
Bulog_019_2
浄水剤です。これは不純物が無いきれいな水か、ろ過済みの水に入れて、微生物や細菌を消毒するものです。「スーパーデリオス」と併用すれば、さらに安心です。
価格は、画像にもあるとおり15ミリリットル(大さじ一杯分)で1250円程度です。

これらの商品は、ホームセンターなどの防災グッズコーナーではまず目にすることがありませんが、登山・アウトドア用品店なら大抵は扱っています。また、商品名で検索すれば、ネットショップがたくさんヒットしますので、入手は簡単です。でもこんな商品は、海外では手に入らないことが多いでしょう。我が国はまさに「災害列島」ではありますが、こんなに優れた商品が簡単に手に入る国であることを、「生き残る」選択肢もとても多い国であることを、誇りに思おうではありませんか。

水に関してひとつ補足しますと、喉が渇いたからと言って雪を直接食べてはいけません。雪を食べると身体を中から冷やしてしまい、体力を大きく消耗します。下がった体温を上げようとして、カロリーが無駄に使われるのです。雪は必ず溶かして、体温程度にまで暖めてから飲む必要があります。一番簡単な方法は、ペットボトルなどに雪を詰めて、それをしばらく服の中に入れておき、体温で溶かして暖める方法です。

最後に念のため申し添えますが、各商品のメーカー、取扱い店とも一切の関係はありません。あくまで「防災屋」の目でセレクトし、自分でも使っている優れた商品を紹介しております。

今回で【本当に必要な防災グッズとは?】のシリーズは、一旦終了します。

■商品リンク掲載に当たっての追記■
今回は、「安全な水を作る」ために管理人が最もお薦めするふたつのグッズです。どちらも持ち歩きにも備蓄にも適した製品で、淡水さえあれば渇きに苦しむことは無くなるのです。ちなみに管理人は、スーパーデリオス3個、浄水ストロー2本を備蓄とEDC(Every Day Carry)用に備え、最低でも浄水ストロー1本は必ず持ち歩いています。

浄水剤は、当初は持ち歩きを考えて登山用品店で購入したミニボトルを紹介しましたが、少量の割に割高でもありますので、家に備蓄しておくためには下記商品をお薦めします。商品名「ケンミックス4」という次亜塩素酸ナトリウム剤です。この製品は食品添加物の認可を受けていますので、安心して水の消毒に使えます。希釈液を作れば、ノロウイルスをはじめとするウイルスの除去にも効果を発揮します。ウイルス除去用だけならば安価で主要成分が同じのキッチン用塩素系漂白剤(商品名キッチンハイター等)でも十分ですが、キッチン用には水酸化ナトリウムが添加されていますので、飲料水、食品用には適しません。なお、使用時には分量を正確に測って正しく使わなければなりません。酸と混ぜると猛毒の硫化水素が発生するので、その点も注意が必要です。


■このシリーズは、カテゴリー【防災用備品】です。

小説・声無き声 第一部【18】

■この物語は、事実を参考にしたフィクションです。登場する人物、団体、設定等は、すべて架空のものです。


金曜日の朝。空気が少し冷んやりと感じる、薄曇りの朝だった。玲奈と飯田、そして美咲は、シェルターで警戒区域へ運ぶ餌や水を車に積み込んでいた。一通り準備が終わると、美咲が玲奈に声をかけた。
「玲奈さん、じゃ、よろしくおねがいね」
「はい、がんばってきます」
玲奈そう答えたものの、思わず口にしたがんばるという表現が適当なのかどうか一瞬、迷った。美咲は続ける。
「うちのだんなも、よろしくね。玲奈さんと行くのが満更でも無いようだし」
横で聞いていた飯田が、慌てて口を挟む。
「な、何言ってるんだよ」
美咲はにやにやしながら答える。
「だって、また玲奈さんと行きたいって言ったのはあなたでしょ?」
「変な言い方するなよ」
さらに慌てる飯田に向かって、少し離れたて犬たちの餌を作っていた佐竹が畳みかけた。
「こんなべっぴんさんとまたドライブしたくなるのも無理ねぇよな」
「や、やめてくださいよ佐竹さんまで!」
しどろもどろの飯田の様子に、美咲と佐竹は声を上げて笑った。ネタにされた玲奈は、半笑いするしかない。

そんな楽しげな雰囲気は、端から見れば"被災地”には全くそぐわないかもしれない。不謹慎との謗りを受けるかもしれない。でも、どんなに過酷な環境でも、そこに入ればそれが日常になる。そして環境が過酷であればこそ、こんな笑いこそが必要なのだ。そうやって、人は精神のバランスを保つ。ここは報道の中の演出された世界ではなく、生身の人間がもがきながらも生きる世界なのだ。

玲奈と飯田が乗った銀色のワゴンは、手を振る美咲と佐竹、さらに犬たちの盛大な吠え声に見送られて、シェルターを出発した。シェルターを出ると、すぐに飯田は玲奈に言った。
「玲奈さん、誤解しないでくださいね。私がまた玲奈さんをお連れしたいと言ったのは本当ですけど」
玲奈は微笑みながら答えた。
「ええ、ご心配なく。美咲さんからきちんと聞いています」
「そ、そうですか・・・ならいいんですが」
玲奈は、昨日のうちに美咲からいきさつを聞いていた。警戒区域での玲奈の様子を見て、飯田は玲奈のためにもう一度行かせた方が良いと提案したのだと言う。強いショックを受けたまま終わりにしないで、改めて見て、感じることで気持ちの整理をさせた方が良いと。それに対し、美咲も自分自身の体験からもそうした方が良いと同意したのだという。玲奈は、その心遣いに感謝していた。

それでも玲奈は、少しいたずら心を起こして言った。
「飯田さん、"中”で何かあったら、私を守ってくださいね」
玲奈の思いもかけない言葉に、飯田は明らかに狼狽しながら言った。
「え・・・ああ、もちろんです」
飯田はひとつ深呼吸をすると、続けた。
「でも、冗談でもそう言ってもらえると、男としちゃあうれしいですね。うちの美咲は、何か起こったら自分から前に出て行くタイプだから」
玲奈は、自分も美咲と結構似たタイプだと思いながらも、言った。
「頼もしい奥様ですよね」
「いや、頼もしすぎるのもどうかと」
いろいろ含みがありそうな飯田の言葉に、玲奈は声を上げて笑った。飯田も笑う。しかしその笑いの裏で、これからまた目にするはずの過酷な世界のイメージが、どす黒い澱のようになって頭の隅で渦巻いている。

ふたりの車は山間を抜けて、浜通りの国道6号線を南下して行った。南相馬市に入ってしばらくすると、津波被災地域に入る。その光景は数日前と全く変わっていなかったが、海が全く見えない国道沿いに並ぶ漁船や破壊された建物群という異常な眺めも、二度目となる玲奈には少し違って見えた。初めて見た時はそのあまりの異常さに圧倒され、ショックで思考が停止していた。ただ、その光景を漠然と眺めることだけで精一杯だった。でも今回は、ショッキングであることには変わりは無いものの、より深く見て、何が起きたのかを考えられている。少しだけでも現実を理解し、受け入れられるようになっていた。

そこで、飯田が自分をもう一度警戒区域に連れて行こうとした意味を、玲奈は実感した。一度だけでは、ショックだけが残る。でももう一度見れば当初のショックは薄れ、過酷な現実をより理解し、受け入れやすくなると言うことだ。そう。外の人間である私は、この現実をできるだけ良く見て、伝えて行かなければならないのだ。上っ面だけを見て、酷い酷いと騒ぐだけでは意味が無い。

銀色のワゴンは、コンビニ前の検問に近づいた。今回は先にコンビニに寄って、飲み物を買ってトイレを済ませた。今日も、コンビニの駐車場には深緑色の自衛隊車両と白装束の隊員が集まっている。そんな光景も、数日前に初めて見たばかりだというのに、玲奈には何か懐かしささえ感じられた。相変わらず怪獣映画のワンシーンのように見えるが、それ以上に、白装束の隊員の顔が良く見えるようになった。彼らも、この異常な状況に関わるひとりひとりの人間なのだ。そして私も。また、戻ってきた。そんな思いが強かった。

銀色のワゴンはコンビニを出ると国道を逸れて農道を走り、"入り口”の農家に近づいた。玲奈は飯田に頼まれるまでもなく、言った。
「バリケードは任せてください!」


■このシリーズは、カテゴリ【ディザスター・エンタテインメント】です。

2014年2月 3日 (月)

☆再掲載☆本当に必要な防災グッズとは?【6】

■当記事は過去記事の再掲載です(加筆修正あり)


今回は、低コストで効果的な「防水・防寒」グッズの紹介です。

まずは再び登場のこれ。
Bulog_001
ニットキャップです。非常時にはとても重要なのです。実は、人間の体表面から放出される熱のうち、毛細血管が集中している頭部からの割合は、なんと全体の40~50%にも及びます。つまり、頭を保温しないと、膨大なカロリーの無駄遣いをしているわけです。普段は、おなかがすいたらすぐに何か食べられる、つまりカロリーの補給ができるので気づきずらいのですが、非常時でろくに食べられない時は、その差は歴然と現れます。

普段あまりキャップをかぶらない方は、試しに寒い日の外出時、ニットキャップの有り無しを比較してみてください。かぶっていると身体が楽なだけでなく、血液を無駄に冷やさないことで、身体全体の暖かさが全く違います。災害時は快適さも重要ですが、少ないカロリーを無駄なく使い、行動できる体力をなるべく温存することが大切なのです。そして、極限状態にまでなってしまった場合、このわずかな残存カロリーの差で生死が分かれることもあるということを、現実の問題として考えてください。

とりあえず頭を保温できればなんでも良いのですが、耐熱性を考えると、ウール100%のものがベターでしょう。画像は私が普段から愛用しているものです。ウール100%の米軍放出品「ワッチキャップ」で、価格は1000円ほどの手頃なものです。

■管理人註:上画像のニットキャップは、ウール100%の米軍規格品ですがロスコ社製ではありません。再掲載時点では、管理人は汎用性の高さからロスコ社製をお薦めしております。文末に再度、ロスコ社製品の商品リンクを貼ります。

次は手。軍手は「防災グッズ」の定番ですが、防寒用としては風通しが良すぎて、寒い時に濡れてしまうと、かえって苦痛どころか、寒冷地では凍傷の怖れもあります。そこでお勧めなのがこれ。
Bulog_004
作業用の、厚手のゴム手袋です。できれば、防寒用の内貼りのついたものが理想的。これひとつで絶大な防水・防寒効果がありますし、避難生活中の作業用としても多用途に使えます。アウトドアでは、手を濡らさず、暖かく保つのは非常に重要なのです。東日本大震災の被災地でも、寒さの中で軍手よりゴム手袋が欲しかったとの声が多く聞かれました。軍手は濡れたらあまり使い物になりませんし、衛生維持の効果もありません。

こんなのも、かなり実用的です。
Bulog_005
園芸用、台所用などの薄手のゴム手袋です。防水はもちろん、それなりの防寒効果があります。もちろん、ろくに手が洗えない避難生活中にも大活躍です。不自由な避難生活中に体調を崩すと、生命に危険が及ぶこともあり得ます。衛生状態の維持は、平常時以上に大切なのです。

さらにゴム手袋は、負傷者救護時の血液感染防止用、カッパと併せて放射性物質防護用としても、是非とも用意しておきたいものです。余談ながら、私は震災後に福島県の某地域で、緑の奴(上画像)を実際に使って来ました。いずれもホームセンターで、安価で入手できます。

最後は火。身体が凍えてきたら、なんとしても暖めないと命に関わります。たき火をしたいところですが、雨、雪、強風の中では、マッチや100円ライターではなかなか火が起こせません。

山や森の中ならともかく、例えば雨の都市部で、燃やしやすいものがあるでしょうか。火口なるものもあまりなく、あっても湿っていて、木材などもみんな濡れているのです。そんな中で「強引に」火を起こさなければなりません。そこで用意したいのが、これ。
Bulog_006
Bulog_007
ターボライターと着火剤です。これなら強風の中でも、湿り気のある火口でも、かなり着火しやすくなります。さらに着火剤があればなお簡単。画像のライターはツールつきでツインバーナータイプのアウトドア用品ですが、コンビニで売っている200円程度のものでも、十分に使えます。

それをさらに強力にしたのがこれ。
Bulog_016
カセットボンベ用のバーナーです。キャンプ用や工作用のガスバーナーは良く見かけますが、これは低価格のカセットボンベを使うのがポイント。強力な炎で、多少濡れたものでも乾かしながら着火してしまいます。気温が低いとガスの気化熱でボンベが冷え、気化が追いつかずに火力が弱まりやすいので、ボンベ保温用として携帯カイロとセットにしておくと良いでしょう。これなど、普段からキャンプでの火起こし、屋外の害虫退治、工作などだけでなく、魚をあぶったり、グラタンに焦げ目をつけたりなど、いろいろ使いでがありますよ(笑)

災害時に火を手軽に起こせるということは、実用面だけでなく気持ちの面でも大きなプラス効果があります。何より暖かいと元気がでますし、冷えた食品も温められます。これはイワタニ製で、価格は1800円前後です(ボンベ別)

最後の最後は、ちょっとしたアイデアを。
Bulog_017
防災グッズの定番、アルミレスキューシートですが、たき火の際に実に効果的な使い方があります。たき火は、身体の片側は暖かいのですが、反対側が寒い。そこでたき火の近くにレスキューシートを広げれば、ストーブの反射板と同じ効果があります。表現はどうかと思いますが、「両面焼き」(笑)になりますし、広い範囲に熱を反射することもできますので、たくさんの人が火に当たれます。表裏で色が違うものは、金色の面を火に向けると、熱の反射率が上がります。

かなり長くなってしまいましたが、是非参考にしてみてください。いわゆる「防災グッズ」でなくても、工夫次第でいろいろなものが利用できるのです。冬、冷たい雨や雪の中、強い風が吹き、身体の熱がどんどん奪われ、ふるえが止まらない。そんな中に放り出されて、このままでは生き残れない。そんな時何が欲しいか、皆様ご自身でも考えて見てください。

あなた命を守るのは、あなた自身です。そしてあなたが生き残らなければ、大切な人を守ることはできないのです。

『本当に必要な防災グッズとは?』シリーズは、次回で一旦最終回となります。

■商品リンク掲載に当たっての追記■
ホームセンターなどで入手できないこともあるウール100%ウォッチキャップ、着火剤、カセットボンベ式バーナーのAmazon商品リンクを掲載します。また、最近管理人は現実的な保温効果の低さからアルミレスキューシートを持ち歩き装備としては優先しておりませんが、寝袋タイプならばかなり高い保温効果や防水効果が見込めますので、そちらもリンクしておきます。管理人も自宅の非常持ち出し用に装備しております。




■このシリーズは、カテゴリ【防災用備品】です。

【防災の心理01】防災なんてやってられない!?

新シリーズ、『防災の心理』を始めます。

初回からかなりあざといタイトルではありますがw、これは長年に渡って半分「趣味」で災害対策を考えて来た管理人の、本音のひとつでもあるのです。

誰でも、地震を始めとする自然災害の被害など受けたくないし、できることなら、そんなこと考えたくありません。そして、多くの人は自然災害で生命や財産の危機に晒されることもなく、とりあえず平穏な暮らしを送っています。

遭遇する確率で言えば、はるかに危険と言える交通事故や火災にさえ遭うことも少なければ、そんなのを目にする機会も滅多にありません。それでも、やっぱり無視できない。無理矢理に意識の外に追い出そうとしても、その恐怖は獅子身中の虫のごとく何かにつけて頭をもたげ、じわじわと心を蝕んで行きます。

たとえ誰かが「大地震なんか来ない。絶対に安心」と自信満々に言い切っても、それを素直に信じられる人など滅多にいないでしょう。仮にそれが、例えば本当に地震が滅多に来ない米国東海岸の人ならともかく、我々は「地震大国」である日本列島に生きているのです。そして我々は、大地震が人間の寿命くらいでは計れない時間の流れの中で繰り返されることを、事実によって知らされてしまいました。

思い出してください。1995年の阪神・淡路大震災が起きる前は、「関西には大地震は来ない」というのが、なんとなく定説になっていたことを。しかし歴史をひもといて見れば、関西でも過去何度にも渡り、多くの死傷者が出るレベルの地震に襲われているのです。それは他の地域でも例外ではなく、頻度や規模の差こそあれ、日本列島のどこでもいわゆる「大地震」と言えるレベル(現代の尺度で言えば震度6弱以上)の地震が繰り返されています。ただ、その多くが致命的な大被害では無かったために、広く口伝されていないだけなのです。そして「千年に一回」レベルと言われる(実はもっと短いらしいのですが)東日本大震災。

では、そのような現実を真摯に受け止めて、災害対策を進めるとしましょう。すると、これがまた難儀な話になります。

まず、大地震はいつ来るか、どのくらいの規模で来るか、それどころか本当に来るのかどうかさえわかりません。日常生活の中で「予定の決まっていないこと」への対応は、どうしても後回しにしたくなります。そうでなくても多忙な毎日です。

それでも気持ちを強く持って、「予防安全」の発想で対策を進めるとどうなるか。まず、費用がかかります。本当に役に立つ時が来るのかわからないものに、それなりの投資をしなければなりません。そして、手間がかかります。家具の転倒対策をして、防災グッズを揃えて時々点検し、居場所周囲の危険要素を調べ、地震発生時の行動を学び(それも居場所の状況ごとに違う!)、避難訓練や応急手当の訓練をして、家族などとの連絡手段をできるだけ多く確保して、帰宅困難対策もして・・・やることはいくらでもあります。

ところが、いくらやっても「これで絶対大丈夫」というゴールは見えません。いつまでも「とりあえず大丈夫(かも)」というレベルを抜け出せないから、ろくに達成感もない。それどころか、地震災害について知れば知るほど、対応すべき、しておきたくなる要素が増えて行くのです。基本的に、大災害の状況は人間の力でコントロールし切れるものではありませんから。これでもし現実の大災害の知識や教訓が無かったら、誰がカネと手間かけてやるかという話です。

管理人は、きっと臆病なのでしょう。昔、小松左京氏の「日本沈没」を読んで以来、大地震への恐怖がすっかり刷り込まれてしまい、それ以来、いわゆる「防災意識の高い人」です。防災マニア、防災ヲタと呼ばれることもあります。そのモチベーションの源は、もちろん自分や家族が無事でいたいという思いと、過酷な状況を正しい知識と行動で乗り越えたい、それができれば「カッコいいじゃないか」、突き詰めて考えれば、そういうことかもしれません。

では、そんな管理人(と、同じような人々)が、周りからどう思われるか。

基本的に、あまり尊敬されませんw感心はされますが、その裏に「心配しすぎ」、「臆病すぎ」、「所詮偏ったマニア」だというニュアンスがいつも見え隠れしています。それにはふたパターンあって、本当にバカにしている場合と、バカにするつもりは無いけれど、管理人の存在ができれば忘れていたい、考えたくない大地震への恐怖を呼び覚ましてしまう場合です。後者の場合、自分があまり備えていない、もしでかいのを喰らったら危ないという意識が、それなりに備えている人を見下す形で現れるのです。

そうやって、自分の「負い目」を帳消しにしようとするのも、災害対策に限らず人間心理の一面ではあります。しっかりと災害対策を進められている皆様、周囲からそんなニュアンス感じること多くありませんか?もっとも、管理人は自分と家族のためにやっていますから、全然気になりませんが。でも、決して気分の良いものじゃありませんよね。

それが関係の薄い人からの反応ならともかく、家族や近しい関係者の中だと、さらに難儀なことになります。実は管理人、防災意識の高いママさんから相談を受けることが結構あります。ママさんは大抵、いわゆる「マニア」ではなく、ただ家族を守りたいという意識が強い訳なのですが、特にだんなさんが理解してくれない、バカにされる、何も協力してくれない、頼りにならないという嘆きが聞こえて来て、それが家庭不和の原因になっていることもあったりします。

念のため申し添えますと、男性である管理人の防災意識が高い我が家は平穏かというと、それはそれで別の問題があるんですけどねw

そんなわけで、地震災害対策はカネも手間もかかる、でも「これでいい」という到達点がない、達成感も絶対の安全も無い、尊敬もされないしバカにされることさえあるという、「壁」だらけの作業だと思うのです。普通ならやってられないですよね。

でも、ほとんどの人が「自分には必要無い」とは言い切れないでしょう。何故なら、誰もが死にたくない、苦しみたくないからです。だから自分の気持ち、社会生活や人間関係の壁を全部飛び越えて、そのためだけに災害対策を進めなければなりません。しかし得られるメリットは「生き残る可能性が高まる」ことのみ。

当シリーズでは、そんな難儀な作業を少しでも円滑に進めるために、そこに立ちはだかる「心理の壁」と、それを乗り越える方法を考えて行きたいと思います。

■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

« 2014年1月 | トップページ | 2014年3月 »