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2014年2月10日 (月)

【防災の心理02】あなたはどちら側?

前回の記事で、「災害対策をしっかりやっても、感心されても尊敬されない」と書きましたが、言うまでも無く誰もが尊敬されたくて対策しているわけではなく、ただ災害から「生き残りたい、苦しみたくない」という純粋な気持ちから生まれる行動です。そして、そんな気持ちは誰もが持っているはずです。では、なぜそうなるか。

いくつか実例を挙げましょう。これらはすべて管理人の知人の実話です。

幼稚園と小学校のお子さんを持つ主婦の方。日頃から水、食品の備蓄や防災グッズの装備に努め、家の中の対策はもちろん、周辺の危険要素や避難経路もしっかり調査されています。しかし旦那さんはそのような行動を全く理解せず、いつも「そんな無駄なことするな」と不機嫌になるどころか、新しい備蓄や防災グッズを用意すれば「無駄なカネを使うな」と怒り出す始末。

いくら説得しても取り付く島もない状態が続いたので、その方は決意しました。もし大災害が起きても、旦那さんを全く当てにはしない。そこに居ようが居まいが、自分の子供と家は自分で守ると。高い防災意識が、夫婦の信頼関係にヒビを入れてしまったようです。


中学生のお子さんを持つ主婦の方。大地震発生時、台風接近時や竜巻発生の危険がある時の、学校の対応に不満持っていました。そのような場合、基本的にただ「下校させる」となっており、危険が迫っているような場合でも「校内待機」という選択肢が無かったからです。このため、状況によっては校内待機として、どのような状況で判断するかを明らかにするように求めました。

しかし学校側にそのようなマニュアルは存在せず、指摘に対しても曖昧な反応しかありませんでした。周囲の父兄を巻き込もうとしても積極的な人は少なく、学校側も含めて「面倒な人」という印象を持たれてしまったそうです。


30代の独身女性。東京・原宿の表参道を彼氏と一緒に歩いている時、東日本大震災が発生しました。初めて経験する激しい揺れに、歩道脇のビルからの落下物の危険をすぐに考え、彼氏の手を引っ張って車道を渡り、ケヤキ並木がある中央分離帯に避難しました。そこならば、落下物の危険はほぼありません。見事な判断です。

しかし周囲にそのような行動をする人はほとんどおらず、しかも肝心の彼氏は「心配しすぎだ」と彼女をなじりました。そんな彼氏の態度を目の当たりにして「この人とはやっていけない」と感じ、その後すぐに別れてしまったそうです。


30代の男性サラリーマン。地震の知識が豊富で、地震が起きると初期微動と主要動の時間差、揺れの方向、揺れの周期などから震央位置から規模、震源深さまで、数秒でかなり正確に推定するのが特技。仕事中に地震が起きる度に、「ネタ」として喜ばれていました。

通勤バッグの中には各種防災グッズが入っていて、例えば新人が入って来ると、「あの人のバッグの中を見せてもらえ、すごいぞ」とか「ネタ」として話題にされたりします。でも、感心されても真似する人はほぼ皆無。そんな場合、周りはいつも半笑いで、基本的に「変わった人」と思われているようです。


・・・という4つの実例をご覧いただきましたが、さて、あなたは「どちら側」ですか?当ブログをお読みいただいている皆様は、防災意識の高い方が多いかとは思います。それでも、例えばあなたの周りにこんな人々がいたら、ちょっと引いちゃうと感じられたりしていませんか?

そして、「その人たちはきっと極端すぎるんだろう。ほどほどにしておけばいいのに」と思われた方、多いのではないでしょうか。彼氏と別れた女性など、別れた原因はそれだけじゃ無いのだろうとも。いえ、本人は断言します。「それだけ」だと。そんな彼女を、極端すぎると思われたりしませんか?さらには、「防災ヲタ」の管理人の知人だから、同類ばかりなんじゃないか?とかw

念のため申し添えますと、この方々は、防災とは無関係の知人ばかりです。お気づきの方もいると思いますのでひとつネタバレしますと、最後の男性は、サラリーマン時代の管理人自身ですw


そうなんです。ほどほどにしておけば、周りから変な目で見られることは無いでしょう。では、ただ「災害から生き残る」という目的だけにフォーカスした場合に、その方々の行動や対策は必要にして十分かというと、これは管理人も含めて、とても十分とは言い切れません。元来、災害対策に完璧は存在しないのです。

実際の大災害では、運に左右される部分が非常に大きいのも事実。そしてその代償は「死」なのです。そのことが、災害対策を進める上で、心理的に大きな壁になっているのです。

次回も、そのことについて考えます。

■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

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防災の心理」カテゴリの記事

コメント

40代男性。3.11当日、地面が沸くような長いP波、なかなか本震が来ない事に不安を覚えるも、揺れ出した直後から、連れの20代女性を車に乗せて発進。怖がる女性に「大丈夫、建物から少し離すだけだから。」と、移動した直後に剥離した壁面が、他の車に直撃。

私は常に家族に生きて帰る事を忘れないで言い聞かせてました。
そのせいかはどうかわかりませんが 息子は石巻から無事帰還。
多めに持たせた食糧と寝袋1式・ヘッドライト・防寒具など結構役に立ったみたいです。

ポンチョの記事ありがとうございました。

防災EDCは普段からどんどん利用しています。
昼食を食べ損ねた同僚にカロリーメイトを分けてあげたり、絆創膏やウェットティッシュをあげたり。なるべくさり気なく出せるようにEDCのパッキングも工夫しました(笑)

でも、ライトとかは使い道が難しいですね。暗くて危険な所でもライトを取りだすと目線が痛いです。例えライトの恩恵にあずかっても「変な人」のままです。

結局「モノ」しか周りには受けないようです。

>グローヴァーMS さん

貴殿の場合、正しい知識と的確な行動は当然として、さらに超自然的な「何か」をお持ちのような。いろいろお話を聞いていると、世の中は現代科学だけで割り切れるものでは無いということを感じます。

予知できたら教えてくださいw

>うここさん

コメントありがとうございます。こちらではお初ですね。

息子さん石巻にいらっしゃったんですか。私も震災後何度か石巻にも行きましたけど、とにかく報道どころじゃない状況でしたし。あのような巨大災害を目の当りにすると、もう「命ってなんだ?生きるってなんだ?」というレベルのことを考えてしまいます。

何を失っても、とにかく生き残ること。突き詰めればそれだけなんですよね。そう考えれば、対策の主眼も見えてきます。

防災グッズという以前に、うここさんのように何もない場所で生きるには何が必要かを、ひとつひとつ考えて用意良いだけなんですが、都市生活者にはそれがなかなか実感できない。例えば、「夜は真っ暗」ということさえ忘れていたりしますもんね。

>りぴ太さん

お役に立てて光栄です。あのポンチョは高性能ですよ。

まあ、結局モノが一番わかりやすいですからね。当ブログの記事でも、カテゴリ【防砂用備品】の閲覧が突出して多いですし。意識や考え方は、ご本人がどれだけ真剣に考えるかによりますし。文章読んだだけで身に付くくらいなら苦労は無いのですが。

私もズボンのポケットにLEDライトを常備していますから、例えば暗い場所での会計(どんな店だw)の時や、誰かが床に落し物をした時など、さっと取り出して照らしたりする機会はかなりあります。

そして、感心されつつ「変な人」の道を歩んでいますw。まあ、何より自分のためですから。

ここは、所謂オカルトや、疑似科学を信奉する場所では無いと認識しています。
なので、予知などとてもとてもw
私自身もバリバリの技術者ですし。

人間には超自然的に見える現象も、単に科学技術が追い付いていないだけであって、
どんな物事にも理由がある、のです。

身の回りの自然の変化、動物達の挙動などは、一度だけでは、オカルト、後だしジャンケンに過ぎませんが、
このブログに度々登場する定点観測者は、黙々と井戸水の状態や、飼い猫、水槽の魚類のなどの挙動を報告してくれます。
それらの蓄積は、
「経験的に知っている。」という言葉で表現される事になります。

人間も(感覚が退化したとは言え)動物の一つです。
雨の前のあの匂い、
雪の前のあの空気のテンション、などは、多くの人が感じるクオリアです。
少し敏感な人になると、近くに雷の落ちる前の感触など、
感じた事はありませんか?
これは通常電気的にマイナスである大地が、雷雲の電磁誘導によって、プラスに荷電されている状態です。
地震のP波などは、気象庁などでは「地震計のみに観測され、人には感じられない。」と言われていますが、慣れればさもあらず。
揺れの方向や波長から、ある程度の規模や距離を推察出来るようになります。
距離が解れば、S波との速度差から、「本震まであと○秒」とか言えたりするわけです。
ここの管理人のような変態レベルになると、P波の「尖り具合」から、柔らかい表層部がずれたのか、硬いプレート部分が崩壊したのかまで解るようになります。

>グローヴァーMS さん

こんにちは変態ですwいえ、真面目にほめ言葉として受け取ってますよww

もちろん、私も当ブログもオカルトやエセ科学を肯定するものではありません。でも、オカルトだろうが超能力だろうが、本当に予知が可能ならばなんでも利用したいですね。しかしそういう情報を統計的に見ても、当然ながらなんら有意な相関は見えない。それでも「信奉者」は無理やりこじつけて、自分の信じる世界の優位性を喧伝しようとしているわけですが。

ああいう情報がはびこるのも、現在は予知不可能の地震災害の特徴で、そこにも人間心理の綾が隠れています。そのことも、当シリーズで触れて行きたいと思っています。

とはいえ、現代では「超常現象」と分類されるものでも、それがいつの日か科学的整合性を持って説明される日が来ることもあると思います。前記事で「現代科学では説明のつかない」と書いたのはそういう想いです。例えば理論的には宇宙質量の三分の二を占めるとされる、しかし正体不明のダークマター、宇宙構造に現代科学では説明のつかない斥力を及ぼしているダークエネルギーなど、見方を変えれば現時点では超常現象のような現実もあるわけです。でも、いつかは解明されるでしょう。その過程で、日常生活レベルの「超常現象」が解明されたりする日が来るのかもしれません。

おっしゃる通り、事実と経験の積み重ねから導き出される推測は、確実に有効なものです。私の震源推定にしても、十分な経験を持つ関東地方で最大の精度となります。あの震源であの規模の時、ああいう揺れ方をしたという経験則の積み重ねが大きいわけで、住んだことの無い地方の場合、その精度はかなり落ちることになります。

かつては仕事中に初期微動を感じ、その揺れ方から大体の震源と規模を推測して、横揺れが来る前に「震度3くらいのが来る!」なんて叫んで、本当に来たので驚かれるなんてこともありました。それも多くの経験あってのことで、地震変態の私にしてみりゃ別に大したことじゃないw

最大の問題は、そういう経験則がいくら集まっても、その機構がその時代の科学で証明されない限り、「専門家」は公式に認めない、認められないということですね。だから、素人だからこそできることもあります。いちばんタチが悪いのが、科学的専門家でもなく素人でもない、テレビとか良く出て適当なこと垂れ流してる「エセ専門家」なんですがね。

防災関連ではなく、化粧品や洗剤で20年ほど前にやっちまいました。
当時の私は「化粧品は皮膚に良くない」「洗剤は体に良くない」と訴えてまわる神経質OLでして、やはり変な人扱いされましたね~。
今はある程度の距離を覚えて、引き出しに入れている防災備品もしれっと隠しておりますが、いざというときに自分だけ対策している自己中さんのそしりは免れないかな? と少々諦めモードの今日この頃ですsweat02

>ぼたもちさん

お久しぶりでございます。

人は、何かを信じたい。何かを信じることで、安定が得られる部分も確かにあります。でも、世の中にはそんな気持ちを利用しようとする「悪意」も満ち満ちています。真実を見極める目が問われます。

災害は、すなわち死に直結します。だからこそ人の本能的な不安を煽り、人間の力などでは対処不可能という無力感が、さらに心の隙を広げます。だからいつも気になるか、無理矢理気にしないかという両極端の反応を生みやすいのです。

気になって仕方ないならば、その不安を最も救ってくれるのは科学です。万能では無いですが、その経験則の集積は、確実に不安を和らげてくれるはずです。災害を研究して、正しい防災グッズを用意することも、立派な科学の方法ですよ。

まあ、いざ災害になったら備えている人により大きな負担がかかるというパラドックスもひとつの真実です。普段何もしていない人が、いきなり助けを求めて来たりするんですから。でも、それも覚悟で備えましょう。自己中上等ですよw

最初の人物、私のことかと思いましたよ・・・(チビはまだ2歳ですが^^;)

てばさんのサイトに出会っていなければ、おそらく私もこの方と同じ決心をしていたでしょう・・・最悪、離婚に至っていたかもしれません。母としては、「親が子をどうやって守るか?」という根本の話をしているわけですし、それを「金の無駄」「時間の無駄」というのであれば、「あなたはこの子たちの親ではない!」と、思ってしまうでしょうから。

ただ、私もいけなかったんですよね・・・知識など何もいれずにただただ「地震が来たら大変だから!」とだけの理由でやみくもに防災対策しようとしてたんですから。

ま、実際は「このサイトを読んで!」で旦那はすんなり防災意識が芽生えたという・・・

ふざけたコメントでごめんなさい・・・

>はるママさん

どこがふざけているんですか。こういうご意見こそ伺いたいことですよ。

記事はもちろん別の方のお話ですが、実は、だんなさんの無理解に悩むママさん、ほんと多いんです。他にもたくさんお話は伺ってます。

このシリーズの中では、特に男性が、なぜそういう態度を取りやすいかも考えて行きます。結構単純なことだと思うんですよ。ですから、やり方を変えれば絶対に変わらないということでも無いと思うんですよね。

はるママさんのお宅では、当ブログがお役に立てたとのことで、私としてはそれが何より嬉しいですね。今後もお役立てください。

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