3/14伊予灘で震度5強発生
2014年3月14日午前2時6分、瀬戸内海の伊予灘、深さ78kmを震源とするマグニチュード6.2の地震が発生し、愛媛県西予市で最大震度5強を観測しました。津波は発生していません。
発震機構は東北東-西南西に張力軸を持つ正断層型です。この地震は、震源が瀬戸内海であること、震源深さが80kmと深いこと、張力による正断層型地震であることから、想定される南海地震とは異なるメカニズムであり、直接の関連は無いものと考えられます。
想定される南海地震は、四国とその沿岸及び九州沿岸の太平洋海底が震源となる、震源深さ20~30km程度の圧縮力による逆断層型となりますので、明らかに異なっています。しかし、広義においては両者とも陸側のユーラシアプレートと、海側のフィリピン海プレートの相互関係によって発生する地震であり、完全に無関係ではありません。
今回の震源となった伊予灘付近は、普段からあまり地震が起きている場所では無く、東日本大震災後も目立った動きはほとんどありませんでした。今回の地震は、伊予灘で発生した地震としては、過去15年のうちで最大の地震となります。
伊予灘では1998年5月23日に、今回とほぼ同一の震央、震源深さ86kmでマグニチュード5.4、最大震度4が発生しています。2006年9月26日には今回の震源の南側海底、震源深さ70kmでマグニチュード5.3、最大震度4が発生しているのが目立つくらいで、基本的に地震が多い場所ではありません。
この地震は、前述の通り想定される南海地震とは異なる震源と発震機構ですから、南海地震の直接的な前兆ということはあり得ませんが、過去の例を振り返ると、南海地震のようなプレート境界型巨大地震が発生する数年~10年程度前から、周辺地域での比較的大きな地震が増えるという傾向が見られていますから、長期的には無関係とは言い切れないものの、すぐに心配する必要は無いでしょう。
但し、マグニチュード6.2と比較的規模が大きかったために、周辺の断層の動きを誘発する可能性はあります。この地震の約1時間46分後に、震央の東側に当たる安芸灘海底を深さ50kmを震源とする、最大震度2の地震が発生していますが、この地震の震央は2001年3月24日に安芸灘海底深さ46km、マグニチュード6.7、最大震度6弱を観測した、いわゆる「芸予地震」の震央、震源深さ共に近く、伊予灘の地震に誘発される形で、安芸灘海底の断層が動いたものと考えられます。今後しばらくはこのような可能性があるため、周辺地域では余震の可能性も含めて警戒が必要かと思います。
なお、四国で震度5強を記録したのは、前述の「芸予地震」以来約13年ぶりとなります。
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