2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

« 2014年3月 | トップページ | 2014年5月 »

2014年4月

2014年4月30日 (水)

【ニュース解説】ピーチ機が異常降下

すいません今回の記事は、かなり個人的趣味でピックアップしました。

4月28日、那覇空港に着陸進入中だったピーチアビエーションのA320型機が、海面に異常接近してGPWS(対地接近警報装置)が作動、急上昇して着陸復航するというインシデント(incident。 accidentの一歩手前)がありました。

報道では、アルゼンチン人の機長が管制からの降下指示を誤認し、通常より早く降下を始めてしまったためとされており、機長もそれを認めているようです。管理人も、最初は「お粗末な」と思っただけなのですが、とりあえずはハイテク安全装備のおかげで大事に至らずに済みました。昔の飛行機なら、そのまま墜落していてもおかしくありません。もっとも、現代のハイテク機でも、ひとつ間違えれば大惨事につながっていた可能性も小さくありません。

なお、GPWSとは電波高度計による高度計測により、地表に接近しすぎた時に「terrain!」(テレイン! 地表接近)とパイロットに音声で警告し、それでも降下し続けると、警報音と共に「pull up !」(プルアップ!引き起こせ!)と警告するのが主な機能です。

ところが今日30日の報道では、当時の那覇空港は視界不良のため、ピーチ機はGCAアプローチを行っていたとされています。航空管制に詳しい方なら、すぐにおかしいと思いますよね。

GCAとはGround Control Approach(着陸誘導管制)のことで、滑走路脇に設置された、通常の管制レーダーより精密に飛行方向や高度を計測できるPAR(Precision Approach Radar 精測進入レーダー)を使い、管制官が無線の音声によって機体を誘導するものです。ILS(計器着陸装置)が無い空港で、主に視界不良時に使われます。その精度は非常に高く、本来のコースから数メートルずれただけでも、すぐに修正を指示されます。

誘導中は最低でも5秒に一回は管制からの送信が行われるのが規則で、その間機体側は受信だけしています。もし降下開始(begin desent)の指示が無いまま降下を始めたら、管制はほとんど同時にコースのズレを把握し、5秒以内に修正指示をして来るはずなのです。そして本来の進入コースに戻るまで、5秒以下の間隔で機首方位と降下率の修正を指示し続けます。進入コースに乗っていればon cource, on glide path (オンコース、オングライドパス 進入コースは正常の意)を繰り返します。

その状態で、滑走路の4キロも手前で海面高度100メートルを切るという異常に陥るまで、パイロットは管制の指示をずっと無視し続けていたのでしょうか。管制の方も、指示に従わないで異常に高度を下げる機体に対し、緊急事態の予期や着陸復航の指示などを、なぜ行わなかったのでしょうか。どうにも、降下開始指示を間違っただけという理由では説明がつかない状況です。

現時点では、ピーチ機がGCAアプローチを行っていたということしかわかりませんが、パイロット側と管制側のどちらにも疑問が残ります。個人的趣味に走ってはおりますが、大惨事にもつながりかねない非常に重大なインシデントですので、敢えて記事にしました。続報を待ちたいと思います。

余談ながら、ピーチアビエーションに関しては、機長の長期病欠多発などで、最大2000便以上を欠航することになりそうだというニュースがあったばかりで、このニュースの論調も「ここ、本当に大丈夫か?」とか「LCCなんてこんなもんだ」というようなニュアンスを感じます。メディア的には、ある意味で美味しい連続トラブルです。

しかしメディアの論調などどうでも良いのです。原因がどこにあろうとも、事故が起きない体制は絶対であり、もしローコストのために能力が著しく劣る人材を使っていたりするならば、それは全く看過できない問題なのです。

■お詫びと訂正
読者の方からのご指摘により、記事を一部訂正しました。
那覇空港は防衛省ではなく国土交通省の管轄による、官民両用空港です。通常、官民両用空港の場合は自衛隊が管制業務を行いますが、那覇空港のみは例外的に国土交通省航空局の管制官が管制業務を行っています。この部分に誤りがありましたので、記事の該当部分を削除しました。
管理人の認識違いでした。お詫びして上記のように訂正させていただきます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

【防災の心理13】悪いのは自分だけじゃない!

今回は、「群集心理に負けない」方法を考えます。

人は怖いとき、不安な時ほど、誰かと一緒にいたくなり、集団を形成します。それは人間の本能であり、しかも多くの場合、お互いに助け合うことにより、その方が良い結果に結びつきます。しかし、こと巨大災害など、ある「しきい値」を超えた状況になると、集団でいることが「生き残る」確率を下げてしまうことにもなります。その典型が、東日本大震災の津波被害でした。

状況が非常に厳しく、流動的な時点で集団の中にいることのデメリットは、危険の覚知が遅れがちになる、判断を他人に依存しやすくなる、行動の速度が遅くなる、集団と異なる行動をしづらくなる、小さなきっかけでパニック状態に陥り、二次被害が発生しやすいなどが挙げられます。

ですから、基本的にはそれなりの安全が確保できるまで、敢えて集団の中に入らないか、仮に集団の中にいても、意識して「自分の意志で動ける」余地を残しておくことが必要です。

では、そのためには何が必要なのでしょうか。前記事では、突き詰めればそれはたった一つの行動に集約されると述べました。その行動とは、「知る」ということです。

まず大前提として、集団の中にいることの危険を知らなければなりません。例えば東日本大震災での帰宅困難時、駅前などに立錐の余地も無いほど集まった人々の多くは、「みんなといることの安心感」だけを感じていたのではないでしょうか。しかしあの状況は、これまで述べたように、ある意味で危険極まりなかったのです。「たまたま」大きな混乱にならなかった、というだけです。

では、発災直後ではどうでしょうか。当テーマの最初の記事で、押し寄せる津波から避難する際に、集団と別行動を取って九死に一生を得た男性の例を挙げました。その男性は、何故そのような行動を取れたのかを検証してみたいと思います。それは、決して偶然では無かったのです。

その男性は、こう言いました。「みんなと同じ方向に逃げた人は、みんな死んでしまった」と。しかし、この場合は集団だから逃げ切れなかったということではありません。集団が間違った行動をしているのに、それに気付かず集団について行ってしまったことが誤りなのです。

では、なぜ男性は集団と別行動を取れたのでしょうか。実は、津波が来たらここへ逃げるということを、普段から考えていたのです。

過去に何度も津波被害を受けている三陸地方ですから、そのように考えていた人は決して少なく無かったでしょう。しかし実際に巨大な危険が目前に迫った時、恐慌状態に陥った多くの人は、ただ集団について行くことを選んでしまいました。それが「群集心理」の恐怖でもあります。冷静さを失い、多くの人が行く方向だから、それが一番安全に違いないという考えに捕らわれてしまったのです。

しかしその男性は集団から離れ、普段から避難場所と考えていた山の斜面を、藪をかき分けて登りました。もちろんそこは避難場所として設定されてはいないただの山でしたが、その男性は知っていました。津波の遡上速度は走るよりずっと速いから、とにかく最短時間で高い場所に上がらなければならないと。ですから、道が無かろうが藪が深かろうが、とにかく一番近い山に登ったのです。

その際、悲劇の集団はどうしたかというと、海を背にして街の奥の方へ、広い道を進んだのです。進むにつれて海抜が上がりますから、もっと時間があるか、津波の規模が小さければ、逃げ切れる人も多かったでしょう。しかし現実はあまりに過酷でした。

このような場合、集団は「最も簡単な方法」を取ってしまうことが多くなります。冷静さを失うと「ぱっと見で出来そうなこと」に偏りがちです。ですから、集団が最も進みやすい道を行ってしまったと考えられます。そして集団が進んでいるという事実が個々の考えを封殺しがちになり、さらに多くの人を引き寄せるという悪循環に陥るのです。なお、津波に関して言えば、集団が進みやすい方向とは、すなわち津波にとっても進みやすい、つまり最も遡上速度が速くなる方向です。

集団の中には「こっちでは逃げ切れない」と考えていた人もいたはずです。しかし、途中から集団を抜け出して独自の行動を取るには、とてつもない勇気と判断力が必要です。周囲に「絶対安全」と自信が持てる状況が無い以上、集団への依存を振り切って別行動をすれば、自分の判断だけが自分の運命を決めるという、完全に孤立無援の状態になります。それより、語弊を承知で言えば「他人のせい」にしておきたくなるのが、人の心理なのです。何が起きても「自分が悪いんじゃない」と。そして「群集心理」は、そのような依存心を増幅するのです。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というのは、主に集団ならば車の方が停まるという意味ですが、赤信号を無視するという罪悪感を集団が薄め、「悪いのは自分だけじゃない」と開き直りやすいという意味でもあります。

このような心理は、災害に関する根拠の無い予知だの予言だの、エセ科学やオカルトめいたものが衆目を集めることにも繋がるのですが、それは別稿で触れることにします。

ともかくも、件の男性は集団と別行動を取って生き残りました。それは、普段から「こうなったらこうする」という、確固たる考えがあったからです。だから集団の行動が誤りであると瞬時に判断し、そこから抜け出すことができたのです。と言うより、抜け出さずにはいられなかったでしょう。そして、それを可能にしたのは、正しいことを「知っていた」という事に尽きます。

ただ、正しいことを「知る」ということは、そう簡単なことではありません。巷に溢れる情報を、ただ受動的に眺めているだけでは、ほぼ不可能です。当ブログでいつも触れているように、「本当は役に立たない」情報ほど目につきやすく、興味も惹きやすいのです。あくまで能動的に「本当に役に立つ」情報を選択し、災害時には「何が起こる、その時はこうする」という様に、体系的に整理しておかなければ、いざという時には役に立ちません。役に立たないということは、「生き残れない」ということです。

あるアンケートによれば、災害対策用に用意しているものの筆頭は、懐中電灯だそうです。その後に水、食品などが続きます。懐中電灯(LEDライト)は管理人も重視していますし、水も食品も必要です。

でも、敢えて言いましょう。過去の災害で、懐中電灯があったから生き残れたという話、聞いたことありますか?災害後、我が国だけでなく、インドネシアでもハイチでもチリでも中国でもアフガニスタンでもトルコでもその他でも、大災害後に赤ちゃんひとりでも餓死したという話、聞いたことありますか?

それは全く無かったということではありません。災害後に、脱水症や栄養不良が原因で潰えた命もあります。しかし、レアケースなのです。それ以前に、まず「災害の第一撃」を生き残らなければなりません。

大災害に遭遇すると、誰でも冷静な判断がしづらくなります。そして災害が巨大なほど、事態が緊急を要するほど「群衆心理」が頭をもたげ、誤った行動に繋がりやすくなるだけでなく、自ら危険に近付いてしまいやすくなります。

しかしそこに危険があるならば、自らの意志で集団から抜け出して、より「正しい」行動をしなければなりません。それを唯一可能にするのが、正しいことを「知る」ということなのです。

「本当は役に立たない」情報ばかり気にしていたら、その帰結を負うのは、あなた自身です。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

2014年4月25日 (金)

☆再掲載☆普段持ち歩く防災グッズ【13】

■当記事は、過去記事の再掲載です。なお、初回掲載時より大幅に加筆修正しています。


さて今回は、今まで紹介したグッズで実際の持ち歩きセットを組んでみたいと思います。当シリーズ冒頭に書いた通り、想定するのは大都市圏へ、公共交通機関で通勤・通学をしている人です。

まず、最も問題になるのが「重量」です。言うまでも無く、できるだけ軽くしたいもの。そこで、現実的な目標重量として、できるだけ500ccのペットボトル1本分、500グラム前後にまとめることとしました。

次に「容積」ですが、これは持ち歩くバッグ等によっても許容量が変わりますが、とにかくできるだけコンパクトにという方向で考えました。

それらを重視しつつ、防災グッズの6要素、■水分、■カロリー、■視界、■防水・防寒、■安全・衛生、■情報から、バランス良くグッズを選択してみました。まずは、画像をご覧いただきましょう。管理人が500グラム前後に纏めるならこうする、という一例です。
Carry_005
■水分は、浄水ストローにしました。浄水剤と一緒にフリーザーバッグに入れて35グラムほどですが、これを「スーパーデリオス」にすると、65グラムほどになります。「スーパーデリオス」の方が手軽に浄水できますが、ここでは軽量、コンパクト、低コストを優先しました。できれば「スーパーデリオス」装備の方がベターではあります。

■カロリーは、その名の通り「カロリーメイト」ひと箱94グラムをセレクトしました。紙箱が無ければ約90グラムです。ひと箱で400キロカロリーが補給できます。

■視界は、単3電池1本使用のLEDライト、26ルーメン、60グラム(画像は別項で紹介したものと異なりますが、同等のものです)

■防水・防寒は、100均ビニールカッパ100グラム、アルミレスキューシート60グラム、タオル70グラムの三種です。タオルはバッグの底に入れて、クッション代わりにしています。(防寒用手袋は通常装備と見なして除外しました)

■安全・衛生は、マスク3枚、ポケットティッシュ1パック、ウエットティッシュ10枚入り1パック、ラテックス手袋3組をフリーザーバッグに入れたセットで30グラムです。マスクは、抗ウイルスマスクがあればより良いでしょう。人工呼吸用キューマスクは、使用法の訓練を受けていることが前提ですので、ここでは除外しました。

■情報は、単3電池ラジオ95グラム、レスキューIDホイッスル10グラムです。(携帯電話、スマートホンとその充電器は平常装備と見なして除外しました)

これらを単純合計すると554グラムで、これに予備の単3乾電池(1本20グラム)を2本追加すると、約594グラムということになります。特に冬季には、喫煙しない方でも使い捨てバーナーライター(約20グラム)をひとつ装備してあると、より安心でしょう。

女性用品については通常装備と見なして除外してありますが、災害時を想定して、通常より多めに用意されておくことをお勧めします。家庭はもとより、勤務先などにある程度備蓄しておいても良いでしょう。阪神・淡路大震災、東日本大震災で被災した女性の声として、最低1周期分は用意しておかないと大変だったというものがあります。


なお、ここで組んだセットはあくまで一例ですので、地域、季節、気象条件、許容重量などによって、過去の記事を参考にしてアレンジしてみてください。ちなみに管理人の常時持ち歩き防災グッズの重量は、合計800グラム以上になり、バッグも防災グッズ収納を前提とした、コンパートメントやポケットがたくさんあるものを使用しています。

繰り返しますが、これは管理人が限られた条件を前提としてセレクトした一例です。これだけあれば安心、というものではありませんが、災害後に想定される状況に対し、比較的効率良く対応できる装備だと思います。ただしこれらは、あくまで災害の第一撃から「生き残った」後のための装備である、という事も忘れないでください。

「生き残る」ための防災とは、グッズを揃えるだけでなく、普段からの意識、行動、対策など、細かい要素の積み重ねなのです。そのためには、「その時」何が起こるかを正確に知ることが大前提となります。


…と、ここまでが2012年2月時点での記事です。その後、管理人自身の装備もアップデートといいますか、より現実に即した内容に変えている部分がありますので、それはまた当シリーズの最後に追加する形でお送りします。


■当記事は、カテゴリ【防災用備品】です。


2014年4月22日 (火)

【地震関連情報】環太平洋地域で大規模地震多発

いわゆる環太平洋火山帯に沿って、大規模地震が多発しています。

4月に入ってからだけでも、マグニチュード7以上の地震が、下記の通り太平洋を取り囲むように発生しています。
■4月2日 午前8時46分頃 南米チリ北部沿岸 M8.2
■4月3日 午前11時43分頃 南米チリ北部沿岸 M7.8
■4月11日 午後4時07分頃 南太平洋ソロモン諸島沖 M7.3
■4月13日 午前5時15頃 南太平洋ソロモン諸島沖 M7.6
■4月13日 午後9時36分頃 南太平洋ソロモン諸島沖 M7.4
■4月18日 午後11時27分頃 中米メキシコ・ゲレロ州 M7.2
■4月19日 午後10時28分頃 南太平洋ソロモン諸島沖 M7.5
(日時はすべて日本時間) 

当ブログでは、2004年のスマトラ沖地震を皮切りに、地球全体で巨大地震多発期に入ったという説を支持していますが、特にプレート境界型巨大地震が起きやすい環太平洋火山帯に沿って、一か月足らずの間にこれだけの大規模地震が発生する状況は、その説を裏付けるだけでなく、より危機的状況に入っている事を示していると言えるのかもしれません。

太平洋を取り巻くプレート境界型震源域のうち、2004年にスマトラ沖、2010年に南米チリ沖(今年4/2の震源より南側の別震源)、2011年に日本・東北沖、2013年にニューギニア沖でマグニチュード8超の巨大地震が起きました。そしてその他の環太平洋震源域で、特にここしばらくの間、マグニチュード7~8クラスの地震が多発しています。

環太平洋地域において、過去にプレート境界型巨大地震が発生していながら、21世紀に入ってから発生していない場所は、大雑把に言えばアラスカ及びアリューシャン列島付近と北米大陸の太平洋沿岸しか残っていません。さらに、他に例を見ない4つのプレートがせめぎ合うという特殊な状況を考えれば、日本列島の東海以西沿岸、いわゆる南海トラフも、東北地方とは別の震源域としてそれに付け加えなければならないでしょう。

このような異常とも言える地震の集中については、様々な見方があるでしょう。しかし人類は未だ地震発生メカニズムのごく一部しか知らないのですから、あらゆる説は仮説の域を出ません。ただひとつ確かなことは、「大規模地震が環太平洋地域で立て続けに起きている」という事実です。

それは地球規模で地震の発生を促す何らかの「理由」が存在し、未だ発生していない場所においても、そこに地震が起きるメカニズムとエネルギーが存在するならば、その「理由」が作用すると考えるのが合理的ということです。そして我が国にも、南海トラフを始めとして、その他にも千葉沖、北海道の太平洋沖など、「眠れる震源域」が存在しているのです。

さらに、プレート境界型巨大地震が発生する数年前から、震源域近隣の内陸や沿岸で直下型地震が増えるという統計的事実もあります。例えば、2010年1月の南米ハイチ地震(M7.0)はプレート境界型ではなく、あの地域では非常に珍しい直下型地震でしたし、東日本大震災直前の2011年2月に発生したニュージーランド・クライストチャーチ地震(M6.0)も、典型的な内陸直下型地震でした。

このような地震も、大局的にはプレート境界型地震の多発と関係があると考えねばなりません。つまり、「いつどこで起きてもおかしくない」という状況が、さらにその危険度を増していると考えるべきでしょう。各地の地震を、対岸の火事とのんびり眺めている時間は無いはずです。

この状況をどこまで真剣に考えて、どれだけ具体的な備えと行動に移せるか。それが、「結果」を左右するのです。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


韓国客船沈没事故・追記

韓国の客船沈没事故で、転覆寸前の船と船舶交通管制部との交信記録が公表されました。交信における船長の言動にも批判が集まっていますが、それについては触れません。

管理人が着目したのは、「傾きが50度に達し、船員も操舵室内で身動きができない」という部分です。

30度の傾斜でも、足場が良くても四つん這いにならなければ上れない程の急斜面です。50度ともなれば床は壁のようにそそり立ち、人は固定されたものにしがみつくか、下側の壁に身を寄せていることしかできないでしょう。

その状態からの脱出がいかに困難かは、想像に難くありません。しかも、固定されていない器具も多い一般船室内では、それらが崩れ落ちて障害物となっているのです。なお、操舵室は船の一番高い場所にあり、ほとんどの器具が固定されていて、ドア一枚抜ければすぐに船外に出られますから、その状態からの脱出も可能だったのでしょう。

船と管制の交信が行われている時点で、すでに船体内には浸水が進み、脱出経路を失った人々が地獄のような状態に晒されていたはずです。

一方で、船に「乗り慣れた」トラックドライバーが、自分の判断で傾きがまだ緩いうちに海に飛び込み、無事救助されていたという報道もありました。つまるところ、それがこの事故において「生き残る」ための最良の判断と行動だったのです。返す返すも、「動くな」という放送に従って脱出のチャンスを失った、特に修学旅行の生徒たちが哀れでなりません。


一般に、船舶事故は荒れた海で起こることが多いので、その中を海へ脱出するのはとてつもない勇気と判断力が必要です。しかし今回の事故は静かな海面で起きましたから、脱出への条件はかなり良かったので尚更です。

なお、管制の指示の中で「乗客に厚着させて脱出させろ」とあるのは、前記事で書いた通り低体温症をできるだけ防ぐための方法です。身体の周りに「動かない水」(static water)の層を作ることで、身体が直接冷たい水に晒されるより、体温の保持効果がずっと高くなるのです。

ところで、管理人は前記事で「上甲板に出る場合は傾きの下側へ」と書きました。これはおそらく「専門家」も言わないことだと思います。しかも、普通の心理ではより水面から遠い方、つまり傾きの上側に行きたくなるでしょう。今回の事故の映像でも、水面上に出た右舷側、つまり傾きの上側から乗客が救助されています。

沈む寸前まで船に残るならば、上側の甲板にいた方が良いかもしれません。しかし、上側にいると傾斜が急になるにつれて、甲板を滑り落ちる危険が大きくなります。そして舷側が水面から高く上がって飛び込めなくなり、船縁を乗り越えることも困難で、救命ボートの投下や吊り下ろしも、下側より早い段階でできなくなります。

下側の甲板ならば水面に近く、落下の危険も小さく、甲板が波に洗われる直前まで救命ボートの投下もできます。しかしその代わり、上側に比べて時間的な余裕はずっと少なくなります。ですから、傾きの下側、水面に近い方に位置を取ることは、「早い段階で、自分の意志で船から離れる」ということと不可分です。

さらに転覆と沈没時の渦に巻き込まれないように、船体から距離を取る必要もありますから、とにかく早い段階で船から離れる決断しなければなりません。救命ボートが使えない場合でも、まだ「浮いている」船を自ら放棄するにはとてつもない勇気が必要ですが、それが「生き残る」確率を高くするならば、そうすべきだと考えます。

もちろん、下側の甲板が水没するような状態になってからでは、上側に行くしかありません。ですから上甲板に出るのはもっと早い段階で、管理人の考えでは、前記事に書いた通り「10度傾く前に上甲板へ移動」ということです。船内の素早い移動を考えても、そうすべきなのです。なお、言うまでもありませんが、非常時には救命胴衣を正しく装着していることが前提です。

さらに付け加えれば、客船やフェリーボートでは、一部を除いて上甲板上で両舷側の間を移動できない構造になっていることも多いため、船室から最初に脱出する際の方向が、運命を決めてしまうこともあります。

脱出時、人の流れにただついて行ったら、おそらく傾きの上側の甲板に出てしまうでしょう。それが人間の心理です。ですから、そこで「自分の意志で」脱出方向を決めなければなりません。もちろん、船が急速に傾いたり沈んで行くような状況では、傾きの上側に出るという判断もあり得ます。

その際に大きな意味を持って来るのが、前記事にも書いた通り「乗船後に上甲板への経路を“複数”確認しておく」という備えです。

このような非常時には、秒単位で生き残る確率が減って行きます。躊躇している時間はありません。とにかく素早く行動に移ることが必要で、そのためには正しい知識と事前の備えが必要なのです。

なお、当ブログで韓国での事故について述べた一連の記事では、横転から沈没に至る事故を想定しています。しかし事故には様々なパターンがあり、すべての状況で「これが絶対」という方法はありません。船が沈む場合には正立したまま沈んで行くことはほとんど無く、船首や船尾が高く持ち上がることも少なくありません。

しかしいかなる場合でも、「事故を想定した事前準備」と「早い段階での行動開始」が、生き残る確率を高めることだけは間違いありません。それを応用することで、あなたが「生き残る」ための選択肢を増やすことになるのです。


最後に。当ブログでは、船舶事故に関しては船員の指示に従うという前提の下に、今までセルフディフェンスの方法を記して来なかったですが、今回のあまりに理不尽な事故の発生を受け、敢えて記事としました。今後は、事故の原因や運行側の責任追及が主になるでしょうが、それは当ブログの主旨ではありませんので、この事故についての記事は、これで最後とします。

■4/22 16:00さらに追記
過去に日本で発生した、荒天での荷崩れによるフェリーの転覆事故が、韓国の事故と比較されています。日本の事故は、乗員乗客合わせて28名が船長の指示によって避難し、全員無事でした。この場合、船は完全に横転したものの、座礁着底していたために完全に沈没しなかったのが幸いした部分もありますが、そのような状況を判断して、早い段階で船体の高い場所に避難指示した船長の対応が犠牲を防いだと言えます。

船舶事故においては、本来はこれが「当たり前」なのでしょうが、そうでないケースも考えざるを得ません。正直なところ、当記事のような行動をしなければならなくなったら、生き残れる確率はあまり高く無いでしょう。ほとんど「最後の賭け」のようなものだというのが現実です。

■4/23追記
「これで最後」と宣言してしまったので、こちらでまた追記させていただきます。報道によれば、左舷側から救助された人の数がずっと多いとのこと。これは右舷より早い段階で浸水が始まったので、早い段階で船を見切って露天甲板に移動し、海に飛び込んだ人が多かったからだそうです。それに対し、右舷側は最後まで船室の中に残っていた人が多かったために、犠牲者が増えたとのこと。

浸水が始まれば指示が無くとも脱出行動に移るのは当然とも言えますが、重要なことは「脱出が可能だった」という点です。つまり、早い段階なら船内を移動して、脱出可能地点まで行けたということです。傾きがさらに大きくなってからでは、上甲板に出ることもできなくなった人が大勢いたはずです。

このことからも、最初に移動すべきは傾きの下側で、とにかく早い段階で船から離れるべきということがわかります。特に救命ボートを使用できれば、両舷における脱出の時間差など、ほとんど問題になりません。何より「沈む船からは早く逃げる」ことが大切だということです。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2014年4月18日 (金)

韓国客船沈没事故の訂正と対策

韓国で発生した客船沈没事故の事故原因が見えて来ました。当初は座礁による船殻損傷という説が有力であり、管理人も前記事で「船殻の穿孔は確かだ」と書いてしまいました。しかし、それは誤りのようですので、下記のように訂正させていただきます。

船が傾いた直接の原因は、その理由は現時点で不明ながら、右への急回頭操作による「荷崩れ」のようです。左舷側に向かって強い遠心力が働いて積載した車両や貨物の拘束チェーンが切れ、重量物が一気に左舷側に偏って重心が大きく左にずれたことが、転覆に至る直接の原因となったようです。荷崩れが二次的に船殻を損傷し、そこから浸水した可能性も考えられます。

遠因としては、船体の改装によって客室など上部構造物の重量が増え、重心位置が高くなっていたことも影響しているようです。

海上で船同士が衝突を回避する場合には、右へ回頭するのが国際的な規則です。事故発生時、すぐ近くに漁船がいたとの情報が一部にありますので、急回頭は衝突回避操作だった可能性があります。そうだとしても、急回頭による回避が必要な状態だったとしたら、船員の見張り不足は否めません。


管理人は報道映像を見て疑問に感じていたのですが、短時間で転覆に至るほどの浸水をしたのならば、船腹部に大きな損傷があるはずなのですが、沈没するまでの映像に船殻の損傷が全く見られませんでした。水没して見えない左舷側にそれはあるのかと考えたのですが、やはり船殻はほとんど無事だったようです。

タイタニック号の時代には、船殻に使われた鋼板が現代より粘りがずっと少ないものだったため、水面下の氷山への衝突によって船殻に長い亀裂が入り、多数の水密区画に一気に浸水しました。しかし現代では、粘りの強い鋼板と溶接構造によって、船体の強度ははるかに高くなっています。


事故の直接原因はともかく、船長はじめ船員のほとんどが早い段階で復元対策や避難誘導を放棄したことは明らかであり、いかなる謗りを免れるものではありません。おそらく、これは「人災」だという論調が出てくるものと思われますが、天災だろうと人災だろうと不可抗力だろうと、我々は「生き残る」チャンスを自ら作り出さなければなりません。

この事故を受け、管理人はいろいろ考えてはいたものの、今まで敢えて書かなかった大型船での事故対策をまとめたいと思います。なお、原則はあくまで船員の指示に従うことですが、それに不備があると思われた場合に取る手段とお考えください。

■乗船時に、救命胴衣の収納場所を確認。そこで手に入らなかった場合に備えて、複数の場所を。特に子供用の救命胴衣の場所は要確認。装着方法も非常マニュアルや船員に聞いて確認しておく(これは常に行うべき行動)

■自分の居場所から上甲板への経路を複数確認しておく。大型船の構造は複雑なので、これは十分に。船内探索気分で実際に歩いて見ると良い。同時に、上甲板で救命ボート(ビヤ樽のような円筒形のカプセル)が並んでいる場所も確認(これも常時行うべき)
Boat_1

■電源喪失に備えて、ある程度強力なLEDライトを持参する。もちろん防水性能は必須。

■非常時には原則として船員の指示に従うが、救命胴衣はできるだけ早い段階で必要分を確保し、装着方法を確認しておく。皆が殺到してからでは、そこで入手できないかもしれない。

■救命胴衣装着時は、動きを妨げない程度に重ね着する。水中に入った場合、静かならば身体と服の間に入った水が体温で暖められ、直接水に晒されるよりも、わずかでも体温の放出が抑えられる。水を通さないゴム合羽のようなものがあれば理想的。このわずかな差が、低体温症による生死を分かつこともある。

■船が明らかに沈み始める、大きく傾き始めるなどした場合、船員からの指示が無くても、救命ボートがある上甲板に移動する。その場合は、小学校などの避難訓練で習った「お・か・し」で。つまり、押さない、駆けない、しゃべらない。他の人に避難を促す場合も、落ち着いた声でゆっくりと。大声はパニックを誘発し、自分が脱出できなくなることもある。

■これは管理人の個人的考えだが、船体が傾き始めた段階で、指示が無くても上甲板に移動する。10度傾いたらかなり危険。10度とは、歩いて上るのにも骨が折れ、普通の自転車では上るのが難しい角度。それ以上になると船内を移動したり、階段を上り下りするのが困難になる。

■上甲板では、傾きの下側の舷側で、できるだけ救命ボートの近くに位置を取り、救命胴衣の正しい装着を再度確認する。上側だと傾きの増加にしたがって船縁を乗り越えるのが難しくなり、大きく傾いた後に船体を滑り降りると、喫水線下についたフジツボなどで身体を切り裂かれる。

■傾きの下側にいて、傾斜の増加や沈下が止まらないと判断したら、可能ならば救命ボートを投下する。救命ボートの位置には、使用方法が示されていることもある。ボートを投下し、膨張したらすぐに飛び込む。ボートの縁にはロープがついているので、まずそれを掴んでひと息入れる。船に備え付けの救命胴衣は、正しく装着していれば首から上が十分に水面上に出るので、慌てることはない。水中からボートに自力で上がるのはかなり難しいので、まず体力のある者が乗り込み、他の人を引き上げる。

■救命ボートに乗ったら、服を脱いで水を絞り、再び着る。ずぶ濡れのままだと水分の蒸発によって体温を奪われ続ける。特に寒い場所では低体温症防止のために重要だが、暖かくてもできるだけ行う。夏場でも、体温が奪われると体力が低下する。救出まで長時間かかるような場合に、大きな差となる。

■救命ボートが使用できず、さらに傾斜や沈下が止まらなければ、上甲板が波に洗われる前に思い切って飛び込み、できるだけ船体から離れる。転覆した船の構造物にぶつかったり、沈没時に発生する渦に巻き込まれない距離を保たなければならない。上甲板が波をかぶってからでは、波に流されたり、飛び込んでも押し戻されることもある。船の大きさにもよるが、最低でも50m、できれば100m以上離れたい。泳げなくても、救命胴衣があれば必ず浮いていられるから、落ち着いてゆっくりと腕と脚で水を掻いて進む。

■救命ボートは、通常は全員が乗れる分用意してあるが、仮に満員で乗れなくても、救命ボートには、一般に非常用無線発信機(イーパブ)、海面を着色して位置を示す染色剤(シーダイマーカー)、水や食糧などが装備されているので、できるだけ離れないようにする。可能ならば、ボートと各人の救命胴衣をロープで繋ぐ。

■発展途上国などの場合は船に十分な非常用装備が搭載されていない、緊急時に作動しない、定員オーバーが常態化している、船員に避難誘導の能力が無いなどのケースも珍しく無いので、その前提で対策を考えなければならない。そのような場所ほど、事故発生率が高いのも事実。乗船前に詳しい情報を得ておくことが必須。

なお、ここではカプセル状のコンテナに入った自動膨張式救命ボートを想定していますが、大型客船などは下画像のような、カッターやランチタイプの救命ボートを装備している場合もあります。
Boat_2
このようなボートを海面に下すのは、デリック(クレーン)を操作できる船員でなければ不可能ですし、船体が大きく傾くと、上側のボートは下せなくなります。このような救命ボートを装備した大型船で船長や船員の「職場放棄」は起きないと思いたいのですが、2012年に地中海で座礁、沈没したコスタ・コンコルディア号は、このような豪華客船でした。特に海外の場合、見かけで安心はできないと考えねばなりません。

これですべてではありませんが、このようなことが、管理人が考える大型船における非常時のセルフディフェンスです。要点は「10度傾く前に上甲板へ移動、上甲板に水が来る前に飛び込め」です。今回の事故で、残念ながら他人任せだと生き残れないこともあると、またもや目の当たりにさせられました。そんな場合は、自力で運命を切り開かなければならないのです。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2014年4月17日 (木)

【ニュース解説】韓国で客船が転覆・沈没

韓国の珍島付近で、客船が転覆、沈没する事故が発生しました。未だ行方不明者が多数出ている状況ではありますが、この事故の問題について現時点での考察をさせていただきたいと思います。まず最初に、犠牲になられた方のご冥福と、心と身体に傷を負われた方々の快癒をお祈りします。

そして何より、行方不明の方々の一刻も早い救出を願わずにはいられません。状況からして、船内にはまだ多くの生存者がいるはずです。

この事故の直接の原因はまだはっきりとしていませんが、確かなことは、船体左舷側の喫水線下(海面より下の部分)の船殻に、大きな穿孔が発生したということです。そこから海水が流れ込んで左舷に傾斜し、転覆、沈没に至りました。

海面下に隠れた暗礁に衝突したという説や、積載した車両が爆発したという説がありますが、車両甲板は喫水線上にあるため、車両が爆発したとしても、喫水線下に重大なダメージを与えるとは思えません。それに報道映像を見る限り、火災の煙も見えません。転覆時に激しく上がった白煙のようなものは、船内の空気が噴出することによる水煙です。

一方で、船内からの電話で「やけどをした」という証言があったそうで、客室内などで小規模の火災などがあったかもしれません。しかし、転覆の原因とは直接の関係は無いでしょう。

喫水線下には機関室、燃料タンク、貨物室などがありますが、ディーゼル機関の爆発によって船殻が穿孔されるということは考えられず、燃料の火災も起きていません。しかし貨物室内などに強力な爆発物があったとしたら、船殻が破壊される可能性はあります。

外部からの攻撃の可能性ですが、考えられるのは魚雷、機雷、船殻に貼り付けられた爆弾、近距離からの水中成形炸薬弾による爆破です。しかし、いずれの場合も爆発時には巨大な水柱が上がりますし、船体が激しく動揺しますから、そのようなことが確認されていなければ、これらの可能性は排除して良いでしょう。

脱出者の証言によれば、「ドン」という音がしてからすぐに傾き始めたということなので、船殻にかなり大きな穴があき、大量の海水が一気に流れ込んだものと思われます。

船の中は浸水した区画を遮断する水密区画という部屋に別れていますが、水密区画のドアを十分に閉鎖することができなかったか、左舷側多数の水密区画に渡って、長い穴があいた可能性があります。船殻が長く引き裂かれ、多数の水密区画に一気に浸水したとすれば、あのタイタニック号と同様の状態です。

そうなると疑問になってくるのが、避難指示の遅れです。傾き始めてから転覆までに二時間ほどだったそうですが、その間に復元不可能という判断がなぜ為されなかったのでしょうか。脱出者の証言によれば、「救命胴衣をつけて船内から動くな」という指示があり、その後も「避難せよ」との指示は無かったそうです。

船が転覆を免れられるのが明らかならば、パニック防止のためには正しい指示だったでしょうが、今回のケースでは結果的に誤りだったことは明らかです。

報道映像を見る限り、海上に投下された救命ボートは一艘のみか、他にあったとしても多くは無いようです。映像にも映っていますが、救命ボートはカプセル状のケースに入って上甲板の両舷側に並んでおり、海上に投下すると自動的に膨張してボートになります。しかし知識の無い人が自分で救命ボートを投下することは難しいので、映像からは、最後の瞬間まで船員による脱出行動もほとんど無かったのではないかと思われます。

さらに、左舷側に大きく傾いたことで、左舷甲板は早い段階で水没し、右舷側は大きく持ち上がって、ボートの投下がかなり困難だったのではないかとも思われます。

これらの状況を総合すると、船が致命的な状況に陥っているにも関わらず、運行側はそれを正確に把握していなかったか、何らかの理由で適切な段階での避難指示・行動が行われなかったことが伺えます。もっと早い段階、例えば傾斜が30度以下のうちに「総員退船」(abandon ship)の判断がされていたら、救命ボートに乗れないまでも、大半の人が脱出できた可能性があります。

船内に残ったまま転覆した乗客の恐怖を想像してみてください。船室のドアが天井か床になってしまったり、上甲板に出るための階段は、壁のようになっていたでしょう。しかも、電源が落ちて暗闇なのです。映画「タイタニック」では最後まで照明が灯っていますが、あれはあくまで映画的表現に過ぎません。

何より、まだ船内に生存者がいる可能性が非常に高いので、一刻も早い救出を改めて願うしかありません。

最後に。管理人は、当ブログの過去シリーズ【対災害アクションマニュアル】で、いろいろな乗り物で事故に遭遇した際の対処法をまとめました。しかし、船については書いていません。それは、大型船の場合は事故発生時や直後にに乗客が危機に陥ることが少ないことと、脱出に関しては、つまるところ「船員の指示に従う」しか無いからなのです。つまり、セルフディフェンスの余地が非常に小さいのです。

しかし、2012年に地中海で起きたコスタ・コンコルディア号座礁・転覆事故や、今回の事故のような避難誘導の不備による犠牲の拡大を見るにつけ、やはり最後にはセルフディフェンスの発想と行動が必要なのかなと思わずにはいられません。

■4月17日 22:50追記
最新の報道によれば、船長はじめ多くの船員がかなり早い段階で脱出し、救助されていたことがわかりました。多くの船客は、随時適切な指示があるものと考えて船内に残ったのでしょうが、「船内に残れ」と放送で指示してから、その後の状況を判断して避難指示を出す人間が残っていなかったのです。指示を待って脱出の機会を逃した船客が、あまりに哀れです。

船長が脱出したということは、その時点で船は復原不能と判断されていたということですが、多くの船客の命を預かるプロが、なぜそのような行動ができるのでしょうか。記事本文にも挙げた、コスタ・コンコルディア号事故と全く同じ状況です。もちろん、普通の船長、船員は乗客の安全を最優先に考えた判断をするはずです。しかし、このように悪質なクルーが存在する可能性がある以上、やはり最後には自分自身の判断で行動することが必要だと考えるしか無いようです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2014年4月16日 (水)

【防災の心理12】パニックはどこからでもやってくる

前回記事では、往年の名ギャグ「赤信号、みんなで渡れば怖くない」を例に引き、大抵の場合はそれで大丈夫だと述べました。しかし、状況がある「しきい値」を超えると、「みんな」でいることが危険を増幅することもあり得るとも。

具体的にどういうことかというと、大人数で赤信号を渡っていれば、平時ならば大抵の車は止まります。もし、よそ見している車が突っ込んで来たとしても、被害を受けるのは運悪く車が突っ込んで来る方向にいた一部です。つまり集団の端にいさえしなければ、少なくとも自分はほとんど被害を受けません。大抵の自然災害も、そういうレベルで収まるわけです。

でも、突っ込んで来たのがダンプカーだったら、しかも運転手は酒に酔っていて、パトカーに追われて正気を失い、アクセルべた踏みで突っ込んで来たとしたら。このようなことが「しきい値」を大きく超えた、滅多に起きない巨大災害ということであり、東日本大震災はそういうレベルだったのです。危険地帯にいたら、何もしなければごく僥倖に恵まれる以外に生き残る途は無く、行動してもそれが誤りや不十分だったら、結果はあまり変わらなかったのです。

もしそこで一人でいたならば、ダンプカーの動きを見極め、ほんの数歩移動して直撃さえ避けられれば無事でいられます。しかし集団の中にいたとしたら、まず危険の覚知が遅れがちになる、移動しようとしても周囲の人並みに阻まれる、他の人の動きや転倒などに巻き込まれるなどの阻害要因がある上、それ以前の段階で集団の中にいるという安心感がありますから、危険を覚知しても緊急避難モードへの移行が遅れがちになり、「みんなと一緒だからなんとかなる」という思考停止に陥りやすく、行動開始自体が遅れるでしょう。さらに他の人が恐慌状態に陥ったりすれば、それが伝染して冷静な判断がより難しくなります。高密度の集団ほど、恐慌状態が伝染、拡散しやすいのです。

ここで言う「しきい値」とは、集団に対して思考停止や恐慌を招く強度の不安や恐怖が与えられ、統制の取れた行動ができなくなるレベルのことです。注意しなければならないのは、それは決して災害など状況の重大さに限らないということです。巨大災害時に集団パニックが起こりやすいのは、ある意味で当然予想がつきます。しかし高密度の集団では、実際に危険が無くても、例えば誰かひとりが上げた悲鳴から集団パニック状態に発展することもあるのです。特に災害直後で不安心理が強い場合は、その可能性が高くなります。

そうであれば、発災直後の緊急避難時や、危険がまだ完全に去っていないうちに高密度の集団の中にいることは、避けるべきであると考えなければなりません。

繰り返しますが、大抵の場合は集団の中にいても大丈夫なのです。ですから、とりあえず皆と同じように動けというような経験則も生まれます。しかし状況が「しきい値」を超えると、集団は凶器にもなります。そして、その「しきい値」がどこにあるかは様々な状況に左右され、最終的には「実際に起きてみないとわからない」のです。それでもあなたは、災害時にただ集団の中にいたいですか?

とはいえ前述の通り、不安な時ほど集団の中にいたくなる心理は、人間の本能でもあります。ですから、それと異なる行動をするためには、不安を乗り越えて集団に依存したくなる気持ちを振り切る必要があります。それも発災直後の緊急避難時には、強い恐怖と不安の中で、ほとんど瞬間的に「独立思考」しなければなりません。それは、口で言うほど簡単なことでは無いのです。

管理人が考えるに、それを可能にする要素はただ一つです。そのためには様々な事前準備が必要ですが、突き詰めればたった一つに集約されます。それが具体的にどういうことなのか、東日本大震災における実例を元に、次回考えてみたいと思います。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

2014年4月14日 (月)

【防災の心理11】赤信号、みんなで渡っても…

当シリーズの前回記事で、今回はどんな心理について考えるのか、大体おわかりいただけたのではないかと思います。つまりは、人は危機に陥った時ほど誰かと一緒にいたい、誰かに道筋を示して欲しい、誰かに依存したいという心理です。

それを心理学的にどう呼ぶのかは不勉強にして明らかではありませんが、一般的には「群集心理」と呼ばれるものに近いものでしょう。もちろんそれは、危機でなくても生活のあらゆる面で顔を出します。

かつて「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というギャグが流行りましたが、あれこそが群集心理を端的に表したものでしょう。この場合は逆もまた真なりで、怖い時ほどみんなで集まりたくなるわけです。「怖いから、みんなで渡ろう赤信号」ということです。

このような心理は、人間の本能に根ざすものです。太古の昔から、個体単位で自衛の手段を持たない弱い動物は、群れになることで危機に対抗して来ました。それに由来することですから、その心理自体は消しようがありません。言うなれば、とても「人間らしい」気持ちでもあります。

弱い動物の動物の群れの中で、補食動物に最初に狙われるのは、群れから離れた個体です。群れの動きについて行けなかったり、はぐれたりした個体から食われて行きます。だから群れを追い、離れないようにすることが、本能的に安心感をもたらします。

その一方で、大きな群れは統制が効かなくなりやすいのです。例えば補食動物に追われた群れが川に向かって突進し、折り重なるように飛び込むことで、泳げる動物でさえ大量に溺死するというようなことも起きます。これが、避難行動中に恐慌状態となった集団が本来の危機回避能力を失うという、本来の意味での「パニック」です。

しかし、自然界では弱い個体である人類は、知性の獲得によって集団の利点を積極的に生かす方法も編み出しました。選抜された強い個体が集団になることで、補食動物や巨大な動物など「敵」の脅威に対抗できるだけでなく、それらを倒してたくさんの食糧を手に入れられるようになりました。さらに、強い集団が仲間の弱い集団を護るという機能を持ったのです。「軍」の誕生です。

これは余談ですが、我々は本能的に強い集団や個体を見分ける能力も持っています。極端に言えば、避難行動中に「防災の専門家」と「屈強な自衛隊員」に出会ったら、どちらについて行きたくなるかというようなことです。それは自衛隊員は、民間人より体力も判断力も優れているはずだという理屈を超えて、主に本能的な判断ということができるでしょう。だから、管理人の理想は「屈強な防災の専門家」なのですがw


さておき、残念ながら災害からの緊急避難時には、そんな頼れる「強い集団」に出会えないのが普通です。そうなると、いきおい「数の多い集団」に依存しがちになります。多くの人が集まっている=多くの人が安全だと考えている、という風に感じるでしょうが、それは前述の通りまさに本能的な感覚です。

そしてその感覚は、「結果的に」正しいことが多いのです。大集団にあまねく危機を及ぼすような大混乱、つまり巨大災害は滅多に起きません。ですから、集団の中に入った時点で、経験的にも「これで大丈夫」という思考停止に陥りがちになります。しかし、状況がある「しきい値」を超えた時、集団の中にいることが、すなわち危険を増幅することになります。

例えば、東日本大震災時の都心部で、駅前に立錐の余地が無いほど人が集まった時に、もう一度あの震度5強が来たとして、そこにいるあなたがいたとしたら、絶対に無事でいられたと思いますか?

周囲のビルからガラスや壁材が降り注ぎ、広い場所に逃げようとしても動けず、一方で建物の中に逃げようとする人波が衝突して人のなだれが起き、自分が動かないでいても無闇に逃げようとする人に突き飛ばされ、踏みつけられる、そしてそんな恐慌が加速度的に拡大して行くという、大パニックが起こる可能性は十分にあったのです。あくまで、「たまたま」それが起きなかったというだけで。

仮に、あなたがそこで起こり得る危険を正確に知っていたとしても、統制の無い集団の中にいると、行動の自由度が著しく制限されます。自分の思った通りの行動などできないと考えなければなりません。

大集団にあまねく危機を及ぼすような巨大災害は滅多に起きないのは確かですが、たった三年前に、我々はそんな巨大災害を目の当たりにしたのです。いや、本当に目の当たりにしたのでしょうか?被災地の方々が見た、経験した本当の恐怖が、被災地以外の我々にどれだけ伝わっているのでしょうか?

想定される首都直下型地震や南海トラフ地震が巨大規模で発生したら、前記のような「最悪の状況」が、各地で多発する可能性が非常に高いと言わざるを得ません。それらの想定被災地での人口、市街、産業等の集積度は、東北地方の比では無いということを忘れてはなりません。

主に東北地方に巨大被害をもたらした東日本大震災からの教訓を十分に検証・分析せずして、さらに重大な被害が予想される、いわゆる「太平洋ベルト地帯」における巨大災害への対策など絵空事だと言っても過言ではないと、管理人は考えます。水だ乾パンだと言っている場合ではないのです。

次回は、震災被災地で起きたことを検証しながら、「群集心理の壁」を乗り越える方法を考えます。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

2014年4月13日 (日)

☆再掲載☆普段持ち歩く防災グッズ【12】

■当記事は過去記事の再掲載です。なお、初回掲載時より大幅に加筆修正しております。


今回は「番外」編とまとめです。

ここまで、普段持ち歩く防災グッズについて、■水分、■カロリー、■視界、■防水・防寒、■安全・衛生、■情報の各ジャンルに分けて考えて来ました。

ここでひとつお詫びしなければならないのですが、【1】の本文中、「紹介するのはすべて管理人が実際に持ち歩いているもの」と書いたものの、すべてを一緒に持ち歩いているのではありません。どれも管理人の持ち物ではありますが、行先や状況によって、使い分けています。一応、全てのグッズは常時持ち歩きか、自宅に準備している非常持ち出しのどちらかには、必ず含まれています。

さらに、常時持ち歩いているグッズは他にもありますし、今まで出てきていないグッズを追加する場合もあります。今回は、それらの一部を「番外」編として紹介したいと思います。


まずはこちら、これはほぼ常時持ち歩いています。
Photo
防煙フードです。パッケージのイラストにあるように、空気を入れて頭からかぶるプラスチックバッグです。煙の中でも視界を確保し、5分程度は呼吸ができます。

これはもちろんビルや地下街にいるときの火災に備えたものですが、他者の救助も想定しています。火災の煙が薄くても、外から煙の中に飛び込むのは自殺行為です。火災の煙には、一酸化炭素や様々な有毒ガスが含まれるので、一息吸っただけで行動不能になることもあるのです。でもこれがあれば、熱と視界の問題が無ければ救出に行くことができます。さらに、また、トンネル内火災からの脱出を想定して、車の中には乗車人数分装備しています。ビルの中で仕事をされている方など、職場に用意しておけばかなり安心です。

次は、ベルトに常時つけているポーチに入れているものです。
Photo_2
長さ120ミリの、一番小さなサイズの豆バールです。これは、自動車や建物のガラス破壊、石膏ボードやモルタル壁の破壊、羽目板などのクギ抜きなど、閉じ込められた場所からの脱出を想定しています。それだけでなく、これの先端はかなり薄く尖っているので、かなり幅広いサイズのプラスネジや、比較的大きなマイナスネジを回すことができます。画像のもので、メガネに使われている直径3ミリに満たないプラスネジを回すこともできました。

「安全・衛生」編でも紹介した「衛生セット」の中に入れてあるのが、人口呼吸用フェイスマスク「キューマスク」です。(バッグの中の、日本赤十字のマークがついたもの)
Survive_009
これはマウスツーマウス人口呼吸時にバイスタンダーと要救護者の接触を防ぎ、血液や体液等による感染を防ぐものです。使用するには、日本赤十字や消防などの救急救命講習を修了していることが前提となります。

これは、出張や旅行に行く時に必ず持って行きます。
Paracode
15メートルのパラシュートコードです。その名の通りパラシュート用のヒモで、静荷重250kgに耐える非常に丈夫なものです。これは火災や建物倒壊時の脱出用を想定しており、裂いたシーツを結んで作ったロープにらせん状に巻きつけることで、まず切れる心配が無くなります。その他、洗濯ロープ、レスキューシートやポンチョと合わせて簡易シェルター作り、止血帯など、とても応用範囲が広いものです。

寒い時に被災した場合、屋外ではとにかく火を起こしたいもの。そのための装備がこれ。
Blog_007
ちょっとわかりづらいのですが、強い炎を噴射するバーナーライター(ターボライター)です。非常用装備に防水マッチや100円ライターを入れることを勧めているマニュアルは多いのですが、強風や雨、雪の中では、なかなか火口に着火できません。そこで、管理人は強力な炎が出るバーナーライターをお勧めします。画像はツインバーナーの大型のものですが、コンビニで使い捨てタイプで140円前後、ガス補給が出来るタイプでも300円前後で売っていますので、タバコを吸わない方も、ひとつ持っていると心強いものです。

ここまでシリーズで紹介してきたグッズを、管理人は状況に応じて持ち歩いています。参考にしてみてください。車やバイクでの移動ならば、全部を持ち歩くこともできますね。もちろんこれが全てでは無く、まずその時何が起きるか、それにどのように対処するかを正しく想定できれば、いわゆる「防災グッズ」でなくても、いろいろなものが「生き残る」ために応用できるのです。

さて、次回はまとめとして、実際の持ち歩きセットを組んで見たいと思います。


↓防煙フード。

↓豆バール。記事のものは120㎜ですが、Amazon扱いで最小のものは150㎜でしたので、そちらを掲載しておきます。さらに小型のものは、工具店やホームセンターで入手できます。

↓ロスコ社製パラシュートコード30m。耐静荷重250kg。他にも様々なカラーとデザインのものがあります。

※キューマスクは、Amazon扱いのものはセット売りだけでしたので、商品リンクはしません。「キューマスク」で検索すれば、販売サイトがたくさんヒットします。また、ターボライターはコンビニで売っているもので十分ですので、こちらも商品リンクはしません。

■このシリーズは、カテゴリ【防災用備品】です。

2014年4月11日 (金)

【防災の心理10】誰も一人では生きられないけど…

今回から、新しいテーマについて考えます。

前回までは、個人が災害対策を進める上で最大の壁と言っても過言では無い「正常化バイアス」、「楽観バイアス」について考えました。これは効果的な災害対策の大前提となる、災害時に自分の身に降りかかるであろう危険の想定を甘くし、対策の焦点をぼかしてしまうことにつながります。「本当に必要なこと」から、目を逸らさせてしまうのです。

今回からは、管理人が「その次の壁」と考える心理です。これは実際に災害などの緊急事態に陥った時に、顕著に現れるものです。

東日本大震災で、ある海沿いの街を大津波が襲いました。その時にはまだ多くの人が低地に残っていて、津波に追われるように一斉に避難を始めました。しかし、その街では200人以上が犠牲になってしまいました。低地にいて生き残った人は、ほんのわずかだったのです。

その中で九死に一生を得た一人、60代の男性は、後にこう証言しました。
「みんなが行く方向に逃げた人は、みんな死んでしまった」と。その男性は、逃げまどう人々が次々に津波に呑まれて行くのを、逃げた場所からすべて見ていたのです。

ではなぜ、この街で多くの犠牲が出て、その中でこの男性は生き残れたのでしょうか。先に申し上げておけば、その理由はひとつではありません。様々な要因の積み重ねの結果ではありますが、そこにある心理と、それに対処する方法が大きく影響していたのは疑いありません。


震災の日、東京都内では公共交通機関がほとんど止まり、大量の帰宅困難者が出ました。その時、大きな駅前などにはどんどん人が集まり、激しい混雑となりました。ではなぜ、人が集まったのでしょうか。交通機関が動き出したら、できるだけ早く乗りたいから?それもあるでしょう。でも、最大の理由は「そこに人が集まっていたから」ではないですか?


2001年9月11日、米国で発生した同時多発テロの時は、旅客機が突入したWTCビルから、退路を断たれた多くの人が飛び降りるという、あまりにも悲惨な状況になりました。そこでは多くが誰かと手を繋いで、時には何人もの人が手を繋いで、生還の見込みの無いジャンプをしたのです。

この時はすぐ背後に致命的な危険が迫っているという、その場にいたら生き残れる可能性がゼロという究極の状況だったのですが、そこで人々は「死のジャンプ」へ向けて、なぜ手を繋いだのでしょうか。


ここに挙げたようなことに繋がる心理が、大災害からの緊急避難時には、結果的に「壁」となることがあるのです。それは誰もが持っている普通の気持ちですすが、それが生き残れる可能性を狭めるならば、乗り越えなければなりません。

そんな心理と、それを乗り越える方法について考えます。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

2014年4月10日 (木)

「センセイ」の功罪【STAP騒動に寄せて】

当ブログの趣旨とは異なるのですが、いま巷を騒がせているSTAP細胞騒動に絡んで一言。もっとも、騒動自体に意見はしません。その裏にある、我々と「センセイ」の方々たちのギャップについてです。

今回の騒動は、当事者のキャラクターが世間ウケしたこともあり、論文の真偽よりも話題性優先の部分が大きいようです。いわゆる「才色兼備」の研究者が世紀の大発見をしただけで話題性抜群ですが、実はその発見が怪しいもので、しかもその裏に「学究の徒にあるまじき」作為やカネ、さらには男女関係などのドロドロが見え隠れしているのですから、ネタとしては美味しすぎる類ですね。

我々はつい、「教授」とか「研究者」とかの肩書きに、無私無欲の学究の徒という印象を抱きがちです。そして、そんな専門家が言うことはすべからく正しいと思いがち、いや思いたいのではないでしょうか。ある意味で、俗世の些事に影響されない、そんなものを超越した「最後の知の砦」であって欲しいのでは。

もちろん、多くの「センセイ」は信頼すべき仕事をされているのです。でも一皮めくれば、そこにも俗世となんら変わらない出世レース、功名心、カネ集めなどが存在します。それなりの実績を上げるにはそれなりのカネと体制が必要ですから、「センセイ」たちも好むと好まざるに関わらず、そこから完全に自由にはなれないのです。今回の騒動も、そんな「裏」がいろいろ絡んでいそうです。


当ブログでは、防災の分野における「センセイ」(民間の“専門家”を含む)たちの誤りや、非現実的な発言、指導などを、常に批判的な立場で指摘して来ました。そんな発言の裏には上記のような諸々もあるのでしょうが、それについて意見しても始まりません。

問題は「センセイ」、つまり権威の影響力を背景に、災害から生き残るためには「本当は役に立たない」情報が拡散されていることであり、管理人はそのことに強い危惧を抱いています。

もちろんそれは「センセイ」方だけの問題ではなく、そういった「世間ウケする」情報だけを主に抽出しようとする、メディア側の姿勢もあります。様々な情報が氾濫する中で、ふと気がつけば、我々が得る情報のかなりの部分が電波・紙メディア経由であり、そこに偏った情報しかなければ、しかもそれが“権威”に裏付けられた「センセイ」からの発信であれば、それを知るだけで満足してしまうことが多いのではないでしょうか。

では、個人レベルで発信されるネット情報はどうでしょう。これは実に玉石混淆、何でもアリです。その中から、予備知識を持たずに有用な情報だけを抽出するのは、至難の技です。発信者はどんな意図を持った、どこの馬の骨かもわかりません。じゃあお前はどうなんだと思ったあなた、もちろん管理人も社会的権威など持たない市井のいち研究者、「どこかの馬の骨」の一本に過ぎません。

だから、一見役に立ちそうな情報を出していると思われても、まず疑ってください。間違いだと思われたら、ぶつけてください。管理人が最もお願いしたいのは、当ブログのテーマのひとつでもある「Think yourself」、あなた自身が「本当はどうなのか?どうしたら良いのか?」と考えていただくことです。

それが、少なくとも大災害から生き残るためには、最も大切なことだと信じます。何故なら、生命の危機に直面した混乱状態の中では受け売りの知識など吹っ飛んでしまいやすく、そこで本当に役に立つのは、あなた自身が普段から考え、それに沿って備えていることだからです。

権威のある「センセイ」の発言だからと言って、頭から信じないでください。根本から誤っていたり、ピントがずれていることはもとより、一部分が切り取られることが多いメディア上では、発言者の真意が伝わらずに誤解を招くことも少なくありませんから、まずは「本当にそうなのか?」と疑ってください。当ブログのシリーズ記事【防災の心理】の表現になぞらえて言えば、「権威の壁」を乗り越えてください。

我々の生活に直接関わらない、学術的な話ではありません。防災の知識は、我々の生命・財産を守ることに直接関わるのです。当ブログでは、「この情報はどうなのか?」というご質問を歓迎します。もちろん、当ブログの内容についてのご意見、ご質問、ご批判も歓迎します。

当ブログが、「Think yourself」のきっかけになっていただければ。それが管理人の願いです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2014年4月 8日 (火)

☆再掲載☆普段持ち歩く防災グッズ【11】

■当記事は過去記事の再掲載です。なお、初回掲載時から大幅に加筆修正しています■


「情報」編、続きます。

ちょっと持ち歩きグッズから離れてしまうのですが、気になることをひとつ。

防災グッズの定番とも言える手回し式ラジオ+携帯電話充電器ですが、最近はスマートホンの利用者が急増しているために、新たな問題が出ています。それは、充電能力の問題。携帯電話に比べてはるかに消費電力が大きいスマートホンは、手回し式充電器の能力では、実用的な充電をするのはかなり困難なのです。音声通話はもとより、メールやネット閲覧時でも、手回し式では十分に充電できません。特にi phoneは消費電力が大きいので、より困難です。


以前から手回し式を用意されていて、スマートホンに乗り換えた方、非常時の充電方法はありますか?よくコンビニで売っている、1500~2000円程度のモバイルバッテリーは、スマートホンのフル充電1~2回分程度が多いですから、普段のバックアップ用には便利ですが、長時間の停電が予想される災害時には不足気味です。

やはり、最低でも5000mAh(ミリアンペア時)の容量があるモバイルバッテリーが欲しいところです。できれば、10000mAhは欲しいところ。i phoneのバッテリー容量が1800mAh程度と言われますから、10000mAhあればフル充電5回分以上です。セーブして使えば、1週間以上持たすことも可能でしょう。これがいわゆるガラケーならば、バッテリー容量は一般に800mAh程度ですから、10回以上のフル充電が可能になります。

最近は様々なモバイルバッテリーが入手できますから、当ブログで特にお勧めするものはありません。ただ、海外製の粗悪な商品も出回っていますから、あまり安いものは避けた方が良いでしょう。使用者の意見を総合すると、やはり安価なものよりそれなりの価格のもの、できれば国産のものの方が、確実に放電性能が高いようです。安いものだと、表示容量まで使えないものも少なくないそうです。

ちなみに管理人は、5000、10000、20000mAhの3個を用意しており、用途によって使い分けます。長めの旅行には、携帯電話、タブレット用として3個、合計35000mAhを持参します。普段持ち歩くバッグの中には、10000mAhのものを常備しています。


携帯電話をお使いの方も、ずっと前から手回し充電器を用意されている方は、一度現品を確認されることをお勧めします。もしかしたら一世代前の、ドコモで言えばFOMAの前、MOVA時代のものではありませんか?他社のものでも、現行のものはすべて旧世代とは充電プラグの形状が違うので、流用できません。お年寄りのお宅など、ずっと前のものがそのままになっていませんか?まずは皆様のご実家など、一度確認されることをお勧めします。

実は過去に管理人もやってしまいました。阪神・淡路大震災後に入手した旧世代の充電器を、ずっと確認していなかったのです。慌てて最新のものを入手しました。皆様も、ぜひお確かめください。なお、最近の手回し充電器は携帯電話、スマートホン、モバイルゲーム機、タブレットPCなどに対応する、いろいろなプラグがセットになっているものが主流ですので、持ち歩き用でなくても、家庭にはやはり一台は用意しておきたいものです。
Sany0012_2


最後に、ちょっと違う方向から。これも定番と言える、エマージェンシーホイッスルです。これは、あなたから発信する、自分の存在を知らせる「情報グッズ」です。弱い息でも鋭く甲高い、遠くまで聞こえる音を発します。
Photo
倒壊した建物に閉じこめられた時、自分の居場所という情報を発信できなければ、発見されるのが遅れます。多人数が閉じこめられているときも、大抵は最初に居場所が特定された人から、救助が始まります。そう考えると、とても重要です。

防水のホイッスル本体の中には、住所、氏名、性別、年齢、血液型、緊急連絡先などを記したIDカードが入れられます。もしあなた自身が伝えられない状態でも、必要な情報が確実に伝わるのです。

家族全員にひとつずつ用意して、常に持ち歩くようにしましょう。何千円もするようなホイッスルを薦める“防災のプロ”もいたりしますが、画像の、100円ショップで売っているもので十分です。なお、さすがにAmazonでの扱いはありませんでしたので、楽天市場の販売ページをリンクしておきます。
楽天市場 100円ホイッスル販売ページ
http://product.rakuten.co.jp/product/-/7dadce84756dbc659cbbecd776088593/?sc2id=gmc_301614_7dadce84756dbc659cbbecd776088593&scid=s_kwa_pla

「情報」編は、以上です。次回は「番外」編と、まとめです。

■参考データ
エマージェンシーIDホイッスル 重量10グラム、価格100円(税別)


■このシリーズは、カテゴリ【防災用備品】です。

2014年4月 4日 (金)

☆再掲載☆普段持ち歩く防災グッズ【10】

■当記事は過去記事の再掲載です。なお、初回掲載時から大幅に加筆修正しています。


今回は「情報」編です。管理人が提示した6つの要件の最後になりますが、もう少し続きます。まず最初に、災害時に必要な情報とはどんなものか、そこから考えて見ます。

発災直後は、広範囲の情報が必要です。災害の種類、規模、大まかな被害の状況、重大な被害が出ている場所、広範囲の道路や交通網の状況など、災害の全体像を把握し、以後の行動を決めるための情報です。

すぐに帰宅行動を始めるか、その場にとどまるか、避難場所へ移動するかなどを判断するための大局的な情報が必要なわけです。災害の規模が巨大ならば、その時点で状況がわからない場所も、大きな被害を受けていると考えなければなりません。

そのような情報が無いままに行動を始めるのは、大災害時には自殺行為にもなりかねません。もちろん、帰宅経路の安全が確認されて、長距離の歩行が可能な装備が揃っていれば、帰宅という判断もあり得ます。

発災当初の行動を決め、それが完了した次の段階で必要なのは、自分の居場所周辺の情報です。火災、津波などの被害拡大状況、救難や支援などの進捗状況などが、市区町村レベルで必要になります。

さらに状況が落ち着いてくると、生活関連の情報、つまり救援物資の受け取り場所、ライフラインの状況、営業している店、罹災証明の申請方法など、さらに細かいレベルの情報が必要になります。

これらの情報を個人で受け取るために持ち歩けるのは、ラジオと携帯電話またはスマートホン、タブレット類ということになります。しかし、インターネット回線はダウンしている可能性もあり、回線が生きていても有用な情報サイトはアクセスが殺到してつながりにくくなるでしょう。ツイッターなどSNSは地域単位の情報を入手しやすいものですが、発信者が個人のため、情報の正確性に不安が残ります。

そこで、大災害時にもダウンする可能性があまりなく、確実な情報を得られる手段として、やはりラジオは欠かせないでしょう。携帯電話やスマートホンでラジオを受信できたり、ネットラジオ、ワンセグテレビ放送などもありますが、通信機器は本来の通信のためにバッテリーを温存するのを最優先すべきですので、やはり別にトランジスタラジオが欲しいところです。

普段持ち歩くラジオですが、なるべく小型軽量が望ましいのは言うまでもありません。ボタン電池や単4電池仕様のものがコンパクトですが、やはり電池の入手のしやすさ他の機器との共用できるものという発想で、単3電池仕様が良いでしょう。東日本大震災後には、被災地に最初に供給された電池は単3と単4だったそうで、これは今後も変わらないでしょう。単3電池仕様ならば、市販されている変換アダプターがあれば単4電池でも使えます。少しの工夫で、汎用性が大きく上がるのです。

電池の心配がいらない手回し発電式がいちばん安心と言えますが、持ち歩き用としてはサイズが多少大きいのが難点です。その点が問題なければ、ライトや携帯電話充電機能もセットされているものがお勧めです。
Survive_006
受信バンドは、AM・FMが受信できるものを。FM専用だと、山間部などでは受信できないことがあります。巻き取り式のイヤホンがついていれば、騒音の中でも聴き取れますし、夜の避難所など静かな場所でも安心して聴けます。しかもイヤホン使用時は、スピーカーに音を出す場合に比べて、バッテリーがはるかに長持ちします。

発災直後の広範な情報を得るためには、NHKのAMを聴くことをお勧めします。NHKは送信出力も大きく、送信所も各地にありますので、場所を問わずどこかの局が受信できるはずです。それに、過去の大災害や東日本大震災後の報道を見聞するに、やはり民放はどうしても「主観」や制作者の「意思」が比較的多く入り、余計な不安を煽るような報道も少なくなかったと感じていますので、やはりまずはNHKの情報を優先することをお勧めします。

自分の居場所周辺の被災情報は、その地方の地元AM・FM放送局が受信できれば、より詳細に入手できるでしょう。地元のコミュニティFM局が受信できれば、さらに身近な情報が入手できます。コミュニティFM局は、阪神・淡路大震災、新潟中越地震、そして東日本大震災でも、被災者支援のための大きな力になっています。

このようにAM・FMラジオがあれば、発災後しばらくの間に必要な情報は大抵入手できますし、いかなる巨大災害でも、すべての局が停波することは考えられませんので、必ず情報が入手できるのが最大の強みと言えましょう。


次に携帯電話、スマートホンです。これはもう自動的に持ち歩きグッズに入っていますが、そのネット機能が使えるかは、居場所の通信インフラが生きていることが、もちろん前提となります。ネット接続ができればあらゆる情報が入手できる可能性がありますが、問題は、情報の正確度です。

ツイッターなどSNSは発信者が個人である以上、必ずしも正確な情報とは限りませんし、ウソ、デマが大量に紛れ込むことは、東日本大震災で証明されてしまいました。膨大な情報トラフィックの中から正確な情報だけをピックアップするのは、事実上不可能です。

有用なサイト、例えば気象庁のサイトなどにはアクセスが集中し、つながりにくくなるでしょう。そして今後しばらくの間もっとも懸念されるのが、通信トラフィックの集中によるシステムダウンです。残念ながら、携帯電話の10倍と言われるデータを送受信するスマートホンの急速な普及による通信トラフィックの増大に、当分の間はシステムが追いつかないのです。

平時でもトラブルが起きている状況では、災害時、それもユーザー数が膨大な大都市圏が被災した場合に、正常に機能するかは全く未知数というか、少なくとも今後数年の間に発災した場合は、システムダウンは避けられないと考えるべきでしょう。携帯電話、スマートホンを経由したネット機能は、確かに有用ではありますが、冗長性、つまりいつでも安定して作動し、確実に情報が得られるかどうかについては期待しすぎない方が良いと、管理人は考えています。

そうなると、特に発災直後の、緊急性の高い情報を確実に得るためには、やはりラジオです。非常時に複雑なハイテクが機能せず、ローテクがその強さを見せつけた例は、過去にいくらでもあります。

ということで、当ブログとしては携帯やスマホに頼り切らず、持ち歩きグッズとしてもAM・FMラジオの装備をお勧めしたいと思います。しかし、実はコンパクトな国産ラジオは、思いのほか価格が張るものです。3000円くらいから、上は一万円近くまであります。

でもそこは実を取って、海外製のものをディスカウントストアやネットショップなどで探せば、1000円程度のものが見つかるでしょう。画像のものは、海外製で1000円でした。それでも、機能的には何の問題もありません。

長くなりましたので、次回に続きます。

■参考データ
画像のAM・FMラジオ(単3電池1本使用) 重量96グラム(電池込み)


↓単4・単3電池変換アダプター


■このシリーズは、カテゴリ【防災用備品】です。

2014年4月 2日 (水)

南米チリ沿岸でマグニチュード8.2

日本時間の4月2日午前8時46分頃、南米のチリ北部沿岸、イキケ付近でマグニチュード8.2の地震が発生しました。この地震により津波が発生していますが、震源直近のイキケ検潮所でも最大高さ2.11mということで、巨大津波とはなっていないようです。

南米の太平洋岸で津波が発生すると、ほぼ24時間後には日本列島付近に到達します。現時点の気象庁の予測では、日本時間の4月3日、午前6時頃から、太平洋岸の島嶼部や沿岸部に第一波が到達する可能性があるとのことです。途中、2日の午後11時頃に津波が到達すると思われる、ハワイ諸島の検潮所での数値で、日本列島への影響がある程度予想できるでしょう。

今回は、震源直近のチリ沿岸部でも巨大津波となっていないことから、日本列島に大きな津波が到達する可能性は低いのですが、海底や海岸の地形によって津波高さが上がることも予想されます。2010年2月のチリ地震津波では、東北地方沿岸の多くの場所で波高1m以下だったものの、リアス式海岸の奥では2m以上を観測した場所もありました。

東北地方以外でも、例えば神奈川県の三浦半島は典型的なリアス地形ですし、茨城県、千葉県沿岸部でも、遠浅の海底地形によって津波が高くなる場所があります。

現在は東日本大震災の影響での地盤沈下や堤防の損壊が発生している場所も多いので、特に太平洋の沿岸部では、津波到達時刻が近づいたら十分な高さまでの退避が必要です。また、海上の漁業用施設、港湾施設や港内の船舶などに被害が出る可能性もあります。2010年2月のチリ地震津波では、東北地方のリアス式湾内のカキ養殖いかだが数多く流され、大きな経済的被害が発生しました。


南米の太平洋岸、特にチリ沿岸では、過去から巨大地震が多発しています。この付近では海側の「ナスカプレート」が東向きに動き、陸側の「南アメリカプレート」の下に潜り込んでいる、日本列島の太平洋岸と良く似た構造を持つ「地震の巣」です。今回の地震も、両プレートの境界付近で発生した「プレート境界型(海溝型)地震」であり、東日本大震災と同様のメカニズムです。

今回の地震の15日前、3月17日にはほぼ同一の震源でマグニチュード6.7の地震が発生しており、今回の地震の「前震」と考えられます。今後しばらく余震が続くものと思われますが、今回の地震が必ずしも「本震」とは限らず、さらに大規模地震が発生する可能性も小さいながらありますので、しばらくの間は警戒しておくべきでしょう。


世界の巨大地震は、比較的短い期間に集中する傾向が見られています。20世紀に発生したマグニチュード9以上の巨大地震は、100年のうちのたった18年間に集中しています。21世紀に入り、2004年のスマトラ沖地震を皮切りに巨大地震の集中期に入っているという説がありますが、日本、インドネシア・ニューギニア付近、北米・南米の太平洋沿岸と、それを追認するように大地震の発生が続いています。さらに中東や中国大陸など内陸での発生も目立ちますから、どうやら何らかの理由で地震が集中するのは確かなようです。

日本列島付近では、やはり南海トラフ地震が一番の脅威です。過去の発生サイクルから予測すると、今後10年程度の間に発生し、後になるほど発生確率が上昇するという説がありますが、管理人としてはその説を支持しています。さらに、プレート境界型(海溝型)巨大地震が発生する10年程前から、震源域周辺で陸上や沿岸の比較的浅い断層が動く地震が増えるという統計的事実もありますから、「いつどこで来てもおかしくない」と考えていなければなりません。

今回のチリ地震も、全地球的な視点からは、全く「対岸の火事」ではないのです。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2014年4月 1日 (火)

【エイプリルフールウソニュース】地震予知可能時代へ

大注目のニュースです。PーCASTニュースから引用させていただきます。

(以下引用)----------------------
【地震完全予知の時代に】
国土交通省は1日、スーパーコンピューターを利用した地震予知システムの運用開始を発表した。このシステムは、探査船「ちきゅう」で巨大地震の発生が予想される南海トラフの断層内部に最新式のセンサーを設置し、そこから得られる断層の変位データをスーパーコンピューター「京」で解析することにより、高い精度で地震の発生を予知するもの。

断層内部のセンサーは巨大地震前に発生する断層内の微細な動きを捉えられるので、実際に地震が発生するよりかなり前の段階での予知が可能。国土交通省によれば、マグニチュード6を超える規模の地震が発生する1〜3日前に、99.5%以上の精度で警報を発表できるという。

実際の警報は「地震警戒予備情報」として、現在運用中の「緊急地震速報」と同様にテレビ・ラジオなどで発表される他、携帯電話、スマートホンなどにも配信される。国土交通省では、「地震警戒予備情報が発表されても、実際に地震が起きるまでには十分な時間があるので、慌てずに避難などの対応をして欲しい」と強調している。

このシステムの運用開始により、南海トラフ地震で被災が予想される地域での被害軽減に、大きな期待が寄せられている。なお、国土交通省は今後南海トラフに続いて日本海沿岸各地、東北地方から北海道の太平洋沿岸地域にも順次断層センサーを設置する計画で、5年後の平成30年度をめどに、日本全国での地震予知を可能にすることを目指している。

(引用終了)----------------------

ついに、いつ来るかわからない地震を恐れる必要が無い時代に・・・なんてことになったらいいなぁ!というお話ですw

もちろんエイプリルフール版ウソニュースですよ!いつかこんな時代が来たらいいですね。でも、そうなったら防災屋はほとんど失業ですなww

« 2014年3月 | トップページ | 2014年5月 »