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2014年4月30日 (水)

【ニュース解説】ピーチ機が異常降下

すいません今回の記事は、かなり個人的趣味でピックアップしました。

4月28日、那覇空港に着陸進入中だったピーチアビエーションのA320型機が、海面に異常接近してGPWS(対地接近警報装置)が作動、急上昇して着陸復航するというインシデント(incident。 accidentの一歩手前)がありました。

報道では、アルゼンチン人の機長が管制からの降下指示を誤認し、通常より早く降下を始めてしまったためとされており、機長もそれを認めているようです。管理人も、最初は「お粗末な」と思っただけなのですが、とりあえずはハイテク安全装備のおかげで大事に至らずに済みました。昔の飛行機なら、そのまま墜落していてもおかしくありません。もっとも、現代のハイテク機でも、ひとつ間違えれば大惨事につながっていた可能性も小さくありません。

なお、GPWSとは電波高度計による高度計測により、地表に接近しすぎた時に「terrain!」(テレイン! 地表接近)とパイロットに音声で警告し、それでも降下し続けると、警報音と共に「pull up !」(プルアップ!引き起こせ!)と警告するのが主な機能です。

ところが今日30日の報道では、当時の那覇空港は視界不良のため、ピーチ機はGCAアプローチを行っていたとされています。航空管制に詳しい方なら、すぐにおかしいと思いますよね。

GCAとはGround Control Approach(着陸誘導管制)のことで、滑走路脇に設置された、通常の管制レーダーより精密に飛行方向や高度を計測できるPAR(Precision Approach Radar 精測進入レーダー)を使い、管制官が無線の音声によって機体を誘導するものです。ILS(計器着陸装置)が無い空港で、主に視界不良時に使われます。その精度は非常に高く、本来のコースから数メートルずれただけでも、すぐに修正を指示されます。

誘導中は最低でも5秒に一回は管制からの送信が行われるのが規則で、その間機体側は受信だけしています。もし降下開始(begin desent)の指示が無いまま降下を始めたら、管制はほとんど同時にコースのズレを把握し、5秒以内に修正指示をして来るはずなのです。そして本来の進入コースに戻るまで、5秒以下の間隔で機首方位と降下率の修正を指示し続けます。進入コースに乗っていればon cource, on glide path (オンコース、オングライドパス 進入コースは正常の意)を繰り返します。

その状態で、滑走路の4キロも手前で海面高度100メートルを切るという異常に陥るまで、パイロットは管制の指示をずっと無視し続けていたのでしょうか。管制の方も、指示に従わないで異常に高度を下げる機体に対し、緊急事態の予期や着陸復航の指示などを、なぜ行わなかったのでしょうか。どうにも、降下開始指示を間違っただけという理由では説明がつかない状況です。

現時点では、ピーチ機がGCAアプローチを行っていたということしかわかりませんが、パイロット側と管制側のどちらにも疑問が残ります。個人的趣味に走ってはおりますが、大惨事にもつながりかねない非常に重大なインシデントですので、敢えて記事にしました。続報を待ちたいと思います。

余談ながら、ピーチアビエーションに関しては、機長の長期病欠多発などで、最大2000便以上を欠航することになりそうだというニュースがあったばかりで、このニュースの論調も「ここ、本当に大丈夫か?」とか「LCCなんてこんなもんだ」というようなニュアンスを感じます。メディア的には、ある意味で美味しい連続トラブルです。

しかしメディアの論調などどうでも良いのです。原因がどこにあろうとも、事故が起きない体制は絶対であり、もしローコストのために能力が著しく劣る人材を使っていたりするならば、それは全く看過できない問題なのです。

■お詫びと訂正
読者の方からのご指摘により、記事を一部訂正しました。
那覇空港は防衛省ではなく国土交通省の管轄による、官民両用空港です。通常、官民両用空港の場合は自衛隊が管制業務を行いますが、那覇空港のみは例外的に国土交通省航空局の管制官が管制業務を行っています。この部分に誤りがありましたので、記事の該当部分を削除しました。
管理人の認識違いでした。お詫びして上記のように訂正させていただきます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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日記・コラム」カテゴリの記事

コメント

>ちなみに那覇空港は航空自衛隊の管轄で、管制官も空自隊員です。

那覇空港の管制権は国土交通省航空局にあるのではないですか?
つまり管制官は空自隊員ではなく国土交通省職員では?
間違っていたらすいません。

>コメント主様

ご指摘ありがとうございます。管理人の認識違いでした。おっしゃる通り、那覇は官民両用ですが国土交通省の管轄で、他の官民両用空港とは異なり、例外的に国交省航空局が管制を行っていることを確認し、記事を訂正させていただきました。

それにしても、GCAで起きるようなインシデントですかね?

>てば様

私の方もGCAでこのようなことが起きるのはとても意外でした。

毎日新聞(4/30日付、21時50分配信)によりますと、
国交省によると、当時は小雨で視界が悪く、機長は地上のレーダー誘導を受けながら着陸するPARを選択。レーダー画面を監視していた管制官が高度が下がり過ぎているのに気付き、複数回、警告したという。(一部修正)

と書いてありますので、やはり機長、副操縦士、管制官のやり取りが重要な要因となってきそうですね。

>コメント主様

情報ありがとうございます。まあ、管制は当然警告しますよね。数回ってのは少ない気もしますが。問題は、コパイが降下開始地点の誤りを認識していたか、管制の指示がコパイ経由で機長にどう伝わっていたかという部分でしょうか。

管制はおそらくbelow of glide path,adjust rate of desentを繰り返したのでしょうが、機長はdesent開始地点が正常だと誤認しており、降下率は正常だったでしょうから、まさかそんなに低いとは思ってもいなかった、だからコパイの伝達を無視したという感じでしょうか。

そして、コクピット内でのコミュニケーションの問題。昔から意志疎通の不備が事故に繋がったケースは多いですからね。機長には絶対意見できなかったりとか。

視界不良ですから機上レーダーは気象か対空モードで、グラウンドは見ていなかったでしょうし、GCA受けていれば尚更かもしれません。むしろILSならグラウンドを見るかもですね。

これは想像ですが、perfome landing check辺りでdesent始めちゃった感じがします。

余談ながら、私は昔、入間でさんざんGCA聴いてました。Tー33の末期ですw

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