東京・千代田区で震度5弱
5月5日、午前5時18分頃、伊豆大島近海の深さ160kmを震源とするマグニチュード6.2の地震が発生し、東京都千代田区で最大震度5弱を記録しました。埼玉県南部の管理人宅付近では震度4で、周期の長いゆらゆらとした揺れを、1分間以上に渡って感じました。震源が深い地震は揺れの周期と持続時間が比較的長くなり、揺れの範囲も浅い地震に比べて広くなります。この地震でも、新潟県中越地方で震度3を観測しています。
この地震は、震源深さが100kmより深い、いわゆる「深発地震」です。このタイプの地震は断層のズレやプレート同士の摩擦という一般的な地震とは発生メカニズムが異なり、特定の狭い範囲に集中することもなく、散発的に発生するものです。大局的にはプレートの動きと関連するものですが、震源深さが100kmより浅いような地震とは、直接の関連はありません。
震央の位置は大正12年の関東大震災の震源域に近いのですが、震源深さが全く異なるためメカニズム的な関連は無い、全く別の種類の地震です。伊豆諸島付近で普段発生している地震とも、関連はありません。
ですから、この地震がより大きな地震の前震である可能性はほとんど無いと言って良いでしょう。このような深い震源が連続的に動く可能性はあまりありませんし、余震が発生する可能性も、浅い地震に比べてかなり低いのです。しかし、この地震の揺れが他の浅い断層の動きを誘発する可能性は低いながらありますので、しばらくの間は少し警戒度を高める必要があるでしょう。
参考までに、東京大学ハーベスト震源マップからお借りした図をご覧ください。
これは関東付近で過去7日間に発生した地震の震源図(無感地震を含む)で、相模湾の伊豆半島の東側にある、濃いめの緑色の少し大きな正方形が今日の地震の震央を表しています。この図では、濃いめの緑色は震源深さ150~300kmを表しますが、ご覧のように緑色の震源は特定の場所に集中することなく平均的に散らばっていて、特定の場所で複数回集中するようなこともほとんど無いのがわかります。
東京23区で震度5弱を観測したのは東日本大震災直後以来ですから、かなり騒がれるとは思いますが、この地震自体は、それほど危険な状態に繋がるものでは無いと言って良いでしょう。不安を煽るような情報にはくれぐれもご注意ください。しかし前述の通り、他の浅い地震を誘発する可能性は捨てきれませんから、しばらくは警戒度を少し高めにするくらいの気持ちが必要かと思います。
続報がありましたら、当記事に追記します。
■5/5 13:00追記
この地震に関する気象庁からの発表がありましたが、内容的には午前6時アップの当記事本文に書いたようなことで、特に注目すべき内容はありませんでした。現時点では、身体に感じる余震も発生していません。
マグニチュード値は、当初の6.2から6.0に修正されています。一見、大した修正では無いようですが、0.2減るということは、放出された地震のエネルギーが半分ということを意味します。ちなみに、マグニチュード値が1減ると、エネルギーは約30分の1となります。
なお、この地震では、深発地震に特有の「異常震域」が見られました。震源が100km程度より深くなると、震源直上より少し離れた場所での震度が大きくなるという現象が良く見られます。この地震でも、震央近くの伊豆大島で震度3でしたが、東京都千代田区で震度5弱を観測しました。
震源直上よりも、地殻内のより長い距離を伝播する方が、岩盤の構造や密度の変化など様々な要因で地震波の屈折、反射が起こり、その結果地震波の合成が起こりやすくなるからです。今回は、最も強い地震波が東京23区付近に到達したわけですが、これはほとんど偶然であって、他の場所であっても全くおかしくありません。
ですから、都内の揺れが一番強かったからと言って、想定される首都圏直下型地震とは、何の関連もありません。但し、比較的大きな地震が他の震源域の動きを誘発する可能性も無いとは言えませんので、警戒は必要です。
言うまでもなく、先日の岐阜・長野県境付近での群発地震とは何の関連もありません。時間的に続いているように見えるのは、完全に偶然です。ですから、5/5の地震を岐阜・長野群発地震と絡めて、次はどこだとか危機だとか言っている(そういうの、必ずあるでしょう)ネタは、すべて何の根拠もありません。
■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。
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