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2014年6月27日 (金)

【防災の心理25】恐怖の以心伝心?

今回は、お化け屋敷が怖い最後の要素、「恐怖の伝播」について考えます。

これはどこでもたやすく起こることで、集団の中で誰かが恐怖を訴えれば、それが周囲の不安や恐怖を呼び起こし、押さえる手段が無ければ加速度的に拡大して行く状態です。その結果、最悪の場合は集団パニックに繋がり、場合によっては二次的被害が起こることもあります。

特に、災害下など集団自体が不安を感じている時には、ちょっとしたきっかけで「安全弁」が外れて、強いパニック状態に発展しやすくなります。お化け屋敷に入る前にパニック状態の客を見せられて恐怖を煽られるのは、これのミニ版と言っても良いでしょう。

そんな場合に考えなければならない要素は二つ。防ぎ方と逃げ方です。

まず防ぎ方。誰かが一旦パニックに陥り、恐怖の伝播があるレベルに達すると、コントロール不能になります。ですから、ごく早い段階で恐怖の元、つまり恐怖でパニックに陥っている人を落ち着かせなければなりません。そのための方法として「言葉」と「接触」が考えられます。


まず「言葉」は力強く、断定的で、落ち着いていることが必要です。声を掛ける方が慌てていては、それがまた相手に伝わって逆効果になりかねません。

内容はシンプルに。「大丈夫、大丈夫、大丈夫」や「心配ない心配ない」などと繰り返せば良いのです。パニックに陥った人には、なぜ大丈夫かの説明を理性的に聞く余裕はありません。それ以前に、強い恐怖自体が大抵は理性的な判断の結果ではなく、感情の爆発に過ぎないのですから、それを押さえるのにも理屈は必要ではないのです。

極端な話、状況が全然「大丈夫」ではなくても、「大丈夫」と言わなければなりません。そこではパニック状態を落ち着かせることが目的ですし、パニックの拡大はさらに悪い結果に繋がりやすいからです。

次に「接触」。人間は不安になると、何かに寄り添いたくなります。これは生物としての本能です。例えば真っ暗闇の中で広い空間にいるのと、壁に寄り添っているのではどちらが安心か、寄り添っているのが動物だったら、さらにそれが人間だったらと考えるとわかりやすいでしょう。

ですから、パニックに陥った人の肩を抱いたり抱きしめたりするなどして身体を接触させると、心理的な不安を軽くする大きな効果があります。手を握るだけでも効果があります。恐怖の余り暴れる人を抱きしめて押さえるような場合でも、身体の暴走を押しとどめ、寄り添うことが心理にもフィードバックされ、正気を取り戻す助けになります。

もし、相手が「あなたになんか触られたくない!」と怒りだしたら、それはそれで「成功」です。少なくとも、恐怖によるパニックからは脱出させられたのですから。もっとも、そうなったら自分の精神的ダメージが心配ではありますがw。でも、今は非常時です。ぐっと堪えるしかありませんね。

映画などで、パニックに陥った人の横面を張り飛ばして落ち着かせるようなシーンがありますが、あれは身体の痛みと他人に殴られるという心理的なショックを与えて正気を取り戻させる方法であり、最後の手段として有効でしょう。でも、一発張り飛ばしてショックを与えた後は、抱きしめてでも寄り添うことを忘れずに。

それ以前に、恐怖を感じている人をパニックに陥らせない方法としては、常に話しかけて、相手にも話させることが効果的です。これは前出の「情報の遮断」による恐怖を和らげる方法です。できればその時の状況や、こうなったらこうするという情報を与えられたら良いのですが、雑談でも誰かの声を聞き、自分もしゃべることで不安を和らげる効果が大きいのです。人間は何か話している間は他のことをあまり考えられませんから、不安から目を逸らせる効果が大きいのです。


それでは、早い段階で「恐怖の伝播」を防げずに、集団パニックが拡大してしまったら。お化け屋敷の行列ならば平和ですが、災害下では何が起こるかわかりません。そうなったら、もう早くその場から逃げ出すしかありません。その方法は当ブログで何度も触れていますが、基本的に、大混乱になってしまってからでは手遅れなのです。

とにかく早い段階で、パニックが伝わっていないエリアに向かって移動する必要がありますが、密集の中ではそれも困難で、人をかき分けて逃げようとする行動自体が「恐怖の伝播」を加速するでしょう。逃げまどう人の姿は、理由もわからずに「とにかく逃げなければ」と周囲に警報を発するのです。

すると周囲も同じ方向に一斉に動き出すでしょうが、そこで誰か一人でも転んだりしたら何が起きるか。そんな中にいたら、鍛えられたプロでも安全に逃げ仰せることはできないでしょう。というか、プロは少なくとも、自分の意志では最初からそんな場所にはいないのです。


東日本大震災後、ターミナル駅前などに立錐の余地もなく集まっていた群集の危険性が何度も指摘されました。実際の災害下では、恐怖の伝播だけでなく余震、落下物、爆発、火災など、集団パニックを誘発する危険はいくらでもあります。そして恐らく、また同じような状況は繰り返されるでしょう。

それでもあなたが群集の中を目指すのかは、それぞれの判断です。その判断は起こった災害の規模にも左右されますが、群集の中にいて集団パニックが発生したら、どんな過酷な状況が起きてもおかしくない、ということだけは事実です。


最後に、もし管理人が災害下でそんな場所にいなければならなかったらどうするかについて。

まず、群集の奥には絶対に入りません。交通機関が動き出した時に早く乗れるというメリットを捨ててでも、群集の端の方に陣取ります。自分の意志で、素早く動けるという余地を確保するのです。そして周囲の危険要素、避難可能方向、避難可能場所を常にチェックします。

集まって来る人の流れに乗っていると、どんどん群集の奥の方へ入ってしまうので、常に自分が決めた「座標」を動きません。群集が拡大すれば、「座標」を群集の外へ向かって移動させます。

群集の中で騒ぎが起きるのを察知したら、それが拡大するか、自分の居場所まで伝わりそうかに関わらず、とりあえず一度群集を離れて様子を見ます。後から来た人にどんどん先を越されますが、それは最初から諦めています。

そして何より、最初からそんな場所にはできるだけ近付かないという選択肢を、最優先に考えるでしょう。

などと言うと難しそうに見えますが、要は「人に踏みつぶされるのはゴメンだ、そうならないためにはどうするか?」と考えているだけのことなのです。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

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