2018年4月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

« 【地震関連情報6/16】関東・東北で連続地震 | トップページ | ☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル08】オプションを用意せよ »

2014年6月17日 (火)

【防災の心理22】頼りたい、でも頼れない

今回は、お化け屋敷の演出から「群集心理からの遮断」について考えます。

お化け屋敷や肝試しに大人数でぞろぞろ行ったら、普通は台無しですよね。群集心理が恐怖感を分散してしまって、ちっとも怖く無い。一人もしくは小人数でこそ、「何かあっても助けが来ない」という心細さを楽しむことができるわけです。

当テーマでは、これまで災害下における群集心理の危険性を述べて来ました。群集自体にパニックの危険性があるだけでなく、群集の中にいることが判断の遅れや思考停止を招き、付和雷同的に誤った行動に結びつきやすいのです。

その結果、状況が変化や行動の誤りに気付かなかったり、気付いても群集の中から抜け出すという判断が困難になります。それ以前に、群集から抜け出すということ自体が、物理的に困難なのです。

それを防ぐ方法として、群集の中にいることの危険性を「知る」ことが必須であり、早い段階で「自分自身の判断」で行動を決めなけばなりません。そして、特に理由がある場合を除いて群集の中には入らないか、すぐに抜け出せる位置取りをする必要があります。


では、災害下で人間の本能である群集心理を遮断されてしまったら、どうなるでしょうか。生命の危機に直面した時、だれも頼る人がいないという状況です。それは一人のこともありますし、周囲に子供やお年寄りなど「災害弱者」しかいないというようなこともあるでしょう。否応なしに、あなたが「リーダー」になってしまうような状況です。

お化け屋敷ならば、あなた一人か、一緒にいるのは恐がりの友人、彼氏や彼女、または子供だけで、進むも退くもあなたが判断することもあるでしょうし、時には足がすくむ連れを励まして行動させなければなりません。そんな状況が、意識的に作り出されるのです。実は、お化け屋敷は災害避難時のシミュレーションにもなっているわけですね。

そんな追いつめられた状況では、その人のパーソナリティが強く現れます。大まかに分ければ、「状況と戦おうとする」か「状況に飲み込まれる」かの違いです。さて、あなたはどちらのタイプでしょうか。


前者であれば、まずそこでどうすれば良いか考えるでしょう。この先は進めるのか、別の道を選ぶべきなのか、五感をフル回転させて周囲の情報を集め、それを自分の知識と照合して行動を決め、それを怖がる連れに伝え、励まして行動させようとします。

一方後者の場合は、自らが恐怖に飲み込まれ、理性的な判断ができなくなります。そして周囲にさらなる「弱者」がいれば、できれば依存したいリーダーが混乱する姿は、より強い恐怖を招きます。そして周囲が恐怖に戦く姿はリーダー自身に伝染し、より強い恐怖と混乱に陥るという悪循環になります。行き着くところは、その場にただ留まるか、パニックに陥って無茶な行動に走るかでしょう。そんな場合、かなりの幸運に恵まれない限り、大抵は悪い結果に繋がります。

ちなみに例のお化け屋敷では、動けなくなったりパニックに陥った人は、係員が誘導して脱出させてくれます。ああ、アトラクションで良かったw


ではどうするかという話ですが、そんなパーソナリティは一朝一夕に変えられるものでもありません。では次善の策とは。

仮に、あなたが「状況に飲み込まれる」タイプだったとします。恐怖に打ち勝つ自信は全くありません。でも、例えばあなたがそのお化け屋敷が二度目だったらどうでしょうか。出てくるお化けの大体の場所や種類、距離感、脱出路の存在や、最後には係員の誘導があると知っていたら。

「知っている」ことが確実に気持ちの余裕に繋がります。怖がる連れに、「お化けは絶対に襲って来ないし、最後は助けてもらえる、怖かったら目をつぶってじっどしていれば助けてもらえる」というような安心情報を与えて恐怖を和らげ、前へ進む勇気を与えることができるでしょう。情報だけでなく、「知っている」人が一緒にいるというだけで、周囲には大きな安心感を与えます。

もちろんあなた一人の場合でも、自分自身の余裕にも繋がるわけです。もっとも、それはアトラクションの楽しみを殺ぐことでもありますが、本当の問題はお化け屋敷ではなく、大抵は事前に経験していない災害現場の話なのです。


実際に被災して生命の危機に直面した人は、そこで「失敗」だと感じたことを、次は絶対に繰り返さないでしょう。まずはそんな声に耳を傾けなければなりません。しかし、本当に「失敗」した、つまり災害から生き残れなかった人の声は、聴くことはできません。そんな人々がもし語れたら何を言うかを、想像するのです。それが、当ブログでも繰り返し提唱している「声無き声を聴け」ということです。

しかし巷の防災情報は、地震のメカニズムや何年後に何%だとかが余りに多く、「生き残る」ための知識や技術は、何々に「注意しろ」とか「警戒しろ」という漠然としたものばかりではありませんか?そして水だ食料だと、生き残った後の話になってしまっていませんか?

メディアなどで伝わって来る被災者の声は、どんな悲惨な体験をしたとか言う話ばかりで、そこでどんな行動をして助かり、どんな行動をした人が助からなかったかというような、「本当に役に立つ」教訓はあまりありません。しかも本当に悲惨な話は、メディアが「自主規制」してしまう。

結局、伝わって来るのはお化け屋敷を出た人の「すごく怖かった」というような話ばかりではないでしょうか。お化け屋敷ならば、中の様子を語るのはネタバレになりますが、災害対策においては、体験者による本当の意味でのネタバレこそが必要なのです。

ならばそれを自ら探し、見つからなければ想像し、災害現場で得られた貴重な教訓を「知る」ことこそが、群衆心理から遮断されたあなた自身が、「生き残る」ために最良の判断と行動ができるようになるために必須なのです。それが恐怖を和らげ、「状況に飲み込まれる」かもしれないあなたに、「生き残る」ための勇気とチャンスを与えてくれます。

もちろん「状況と戦う」あなたにも、より多く知り、より多く考えることが「生き残る」力をアップさせることは、言うまでもありません。

あなたの防災知識、本当にイザという時に使えるものばかりですか?


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

« 【地震関連情報6/16】関東・東北で連続地震 | トップページ | ☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル08】オプションを用意せよ »

防災の心理」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543100/59830382

この記事へのトラックバック一覧です: 【防災の心理22】頼りたい、でも頼れない:

« 【地震関連情報6/16】関東・東北で連続地震 | トップページ | ☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル08】オプションを用意せよ »