【気象災害】笑い事で済めばいいけれど
今日6月29日は、埼玉県南部から東京23区を中心に激しい雷雨に見舞われました。今日の雷雲は、ここ数日のものより比較的大型で勢力も強く、降水量が一時間当たり80mmを超えた場所も少なくなかったようです。
そんな中で、Twitterを中心に拡散したのが、この画像。
JR渋谷駅前で、豪雨の最中にマンホールから雨水が間欠泉のように噴出しており、マンホールが「爆発」したというネタとしてリツイートされまくっています。
こんなのもありました。
冠水した道路にできた渦です。この下には水圧でふたが飛んだマンホールが口を開けているわけで、雨が止んだ後に、下水道に向かって水が流れ込んでいる状態です。
このような状態でも、被害らしい被害が無かったは幸いでした。でも、私の知人が行っていた地下のライブハウスでは、ライブ終了直後にエアダクトとエレベーターから雨水が一気に流れ込み、客は滝のようになった階段を上って地上に避難したそうです。これがもしライブ中なら浸水に気づくのが遅れたでしょうし、さらにそこで停電でもしたら、被害が出ずに済んだでしょうか。まさに間一髪の状態であり、このようなケースは他にもあったはずです。
さて画像ですが、マンホールの「爆発」は、いわゆる内水氾濫という状態です。短時間の豪雨が下水道に一気に流れ込み、容量を超えて逆流してしまったのです。渋谷駅前で激しく噴出したのは偶然ではなく、渋谷はその名の通り「谷」が集まっている地形で、渋谷駅付近が一番低い場所なのです。ですから周囲から水流が集中し、水圧が最も高くなったために、画像のように激しく噴出したわけです。今日の豪雨は降雨域が比較的広かったために、より大量の水が集中したのでしょう。
場合によっては、数十kgもあるマンホールのふたが跳ね飛ばされることもあり、それが当たったりしたら無事ではいられません。でも、それより怖いのがもう一枚の画像です。豪雨で冠水するような低い場所では、内水氾濫によってマンホールのふたが外れることが多いのです。
画像は水が引き始めた時なので、マンホールに流れ込む水が渦を巻いています。しかし、それまではマンホールの位置は全くわかりません。夜間や豪雨の最中だったとしたら、尚更です。そこを歩いたり、車で通過したらどうなるでしょうか。特に歩行中に浸水したマンホールに落ち込んだら、すぐに脱出するのはまず不可能です。
こんな場所を歩く時には、杖のようなもので足元を確かめながら進まないと、ひとつ間違えれば生死に関わることになります。
このような二次的な危険を知ることももちろん大切なのですが、それ以前に怖れるべきは、このような状態をもたらす過激な気象状況がここ数年当たり前になり、その傾向にさらに拍車がかかっているということです。この先、こんな状態はさらに日常的になり、重大な被害に繋がることも増えて行くでしょう。具体的には豪雨、豪雪、落雷、暴風、竜巻、雹などの発生が増え、被害も確実に増えるということです。
特に都市部では、脆弱性のある部分をピンポイントで突くように、被害が集中するでしょう。地下では、脱出できないほどの濁流に襲われるようなことも起きないとは言えません。
気象災害に関しても、「過去に無かったからこれからも無い」という発想は一切捨て、「何が起きてもおかしくない」という考え方で予防的な安全行動を取っていないと、取り返しのつかないことになるかもしれません。少なくとも、その可能性は年々増大しているのです。
今日辺りはほとんど笑い事で済みましたが、これは近未来に起こるであろう、さらに恐ろしい事態の序章に過ぎないのかもしれません。
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