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2014年7月

2014年7月31日 (木)

☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル18】避難所チェックリスト

■当記事は過去記事の再掲載です。内容は加筆修正しています。


今回は、避難場所に関するチェックリストをお送りします。

リストはふたつの項目に分けます。まずはフィールドワークに出る前にチェックしておくことと、現場でチェックすることです。


☆すべての避難場所共通の事前チェックポイント(地図・ハザードマップによる)

□津波到達予想範囲ではないか

□液状化危険地域ではないか

□火災危険地帯ではないか(木密地域内等)

□揺れが強くなる軟弱地盤地帯ではないか

□周囲に化学工場、コンビナート等はないか

□徒歩圏内に他の避難場所はあるか、その周囲はどうか

□自宅からの経路は複数あるか


☆現場チェックポイント

□避難所までの移動時間はどれくらいか
 (最も遅い人の速度で考える)

□移動した時、どれくらい疲労するか
 (荷物を持っての炎天下、酷寒、暴風雨など悪条件を想定する)

□自宅等からの経路と周囲に危険はないか
 (住宅密集地・繁華街・倒壊危険物など)

□避難所周囲に危険要素はないか
 □古い建物、ブロック・石塀など(倒壊)
 □繁華街(落下物・火災・爆発)
 □住宅密集地(火災・火災旋風))
 □中小河川(津波遡上・土石流)
 □崖、土盛り、石垣、切り通し(崩落)
 □中小工場、石油・ガスタンク等(火災・爆発・有毒ガス)
 □近隣の中高層ビル(ビル風による火災旋風)

□建物の場合、倒壊・損壊の危険はないか
 (耐震補強の有無、外壁やガラスの落下、ガラス壁の破損など)

□河川敷、運動場等の場合、すぐ脱出できるか、避難時にどの辺りに位置を取るべきか

□屋外の場合、風雨、直射日光を凌げる場所があるか

□家族などと離散した場合、再集合できる目印があるか

□周囲の見晴らしはどうか、監視できる場所はあるか
 (津波・土石流・火災等の接近を察知できるか)

□避難場所及び周囲の地面の状態はどうか
 (雨、冠水、液状化などでぬかるみになるか)

□脱出経路は複数あるか、それはどこで、周囲はどうか


現実的には、このくらいかと思います。あまり細かく気にしても、かえって混乱を招きます。しかしこれだけでも、各項目すべてで「安全」な場所など存在しないでしょう。そこで必要なのは、現実の危険を知った上で、事前にそれらに対処する行動を考え、装備を揃えておくということです。

そしてその備えこそが、ギリギリの時に「命の一秒」を稼ぎ出すことに繋がるのです。

各項目の中で最も大切なことを強いてひとつ挙げるならば、最後の「脱出経路は複数あるか、それはどこで、周囲はどうか」ということでしょうか。

これは避難場所に限らず、どこにいる時でも常に意識しておくべきです。つまるところ、どんな危険からでも脱出できれば良いわけで、それを最短時間で行える備えこそが最も大切なのです。

なお、本文では「津波避難場所」の危険を特に取り上げていませんが、他の避難場所の危険と基本的に共通するものです。ただ、建物でない「津波避難場所」の場合は自然の高台であることが多いので、斜面、崖、石垣などが崩落する可能性を特にチェックしておかなければなりません。

加えて「想定を超える」津波の襲来に備えて、場所によっては「さらに高い場所に上がれるか」もチェックしておくべきでしょう。また、急な坂や階段を上ることが多いですから、最も体力の無い人がどれだけの時間で安全圏に避難できるかも、事前に知っておかなければなりません。


ところで、「避難場所の危険」に関する情報は、少なくとも自治体などの公式リリースには存在しないはずですし、一般的な「防災マニュアル」にもほとんど見かけません。前述したように、公式には「避難場所は安全」という前提になっているからです。しかし、現実には多くの危険要素が存在することは、おわかりいただけたかと思います。

だから行政や他人任せではなく、自分の命は自分で守る。そのためには自分で危険を見つけ、自分で備えること。それが当ブログの主要テーマでもある、「セルフディフェンス」(自己防衛)と「フェイルセイフ」(予防安全)の考え方です。

あなたとあなたの大切な人の命を救うのは、管理人も含めた「防災屋」や各界の「専門家」ではなく、あなた自身なのです。

次回からは、その他の危険について考えます。


■当記事は、カテゴリ【災害対策マニュアル】です。

2014年7月30日 (水)

☆再掲載☆熱中症対策、間違っていませんか?

今年の夏も暑い日が続いています。最近、熱中症に関する過去記事へのアクセスが多いので、一部加筆修正の上で再掲載いたします。なお、初回掲載は2012年8月です。

(以下再掲載)
暑い日が続いています。連日、熱中症で救急搬送される人の数がニュースにならない日は無く、時には死者も出てしまっています。でも、そろそろそれが「当たり前」になって来ており、あまり注意が払われなくなっているような気もします。

熱中症対策は、どこでも盛んに言われている通り「体温を上げないこと」に尽きます。そのためには風通しの良い服装を心がけること、なるべく直射日光を受けないこと、暑い中での激しい運動を避けること、十分な水分と塩分など電解質を摂取すること必要です。ただ、水分の摂取に関しては誤解もあるようなので、ここで採り上げておきます。

先日、炎天下で少年野球の練習を見かけたのですが、子供用に親御さんが用意していたのは、緑茶のペットボトルでした。こんな間違いが、いまだにかなり見られます。なにが間違いかおわかりになりますか?おわかりにならなかった方、ここでしっかりと覚えてください。下手をすると、あなたやお子さんの命に関わる問題です。

緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、コーラなどのカフェインを含む飲料は、利尿作用、つまり尿を積極的に作り、体内の水分を排出してしまう効果があるのです。

多量の汗をかく運動をしている最中は、一旦尿になった水分も再吸収される部分が多いので、全体としてはあまり無駄にならないものの、尿になった段階で血中の水分量が下がり、汗となって排出される分量が減りますので、熱中症や脱水症のリスクはあまり下がりません。

汗をかき、それが蒸発するときに体表から熱を奪うことで体温の調節をしているので、汗が出ないことは即ち熱中症のリスク上昇に繋がるのです。

一方、あまり汗をかいていない時は尿の量が増えて、むしろ体内の水分量を減らす結果になってしまいます。暑い部屋の中で緑茶だけを飲んでいるような時は、自ら熱中症や脱水症のリスクを高めてしまっているようなものです。

ですから、熱中症対策としての水分補給は、カフェインを含まないかごく少量のみ含む飲料を飲まなければなりません。理想的なのは、電解質も一緒に摂取できるスポーツドリンクです。但し甘味料やカロリーの問題が別にありますから、それを除けば水、麦茶、ほうじ茶などが適しています。栄養ドリンク類は、一般に多量のカフェインを含みますので、別に水分補給をしなければなりません。

また、アルコールにも利尿作用がありますので、例えば炎天下でビールを飲んでいるような時には、別に水分補給をしないと、熱中症や脱水症のリスクが高まります。夏場のバーベキューパーティーなども、実は危険なのです。


暑い中で頭痛、めまい、吐き気などの変調を感じたら、すぐにたくさんの水分を採り、日陰や冷房の効いている場所で頭を高くして横になり、身体をしめつけているものを緩め、風通しを良くして休みます。すぐに体温を下げなければなりません。あおいで風を送ってあげると効果的です。また、氷やアイスパックがあれば、首の後ろや腋の下に入れて、動脈を流れる血液を冷やします。

この段階で、水分と一緒に塩の錠剤や塩分を含んだ飴などをなめると、脱水状態からの回復に効果があります。食塩を直接なめても、もちろんかまいません。

暑い中で頭痛を感じたら、それは脱水症の初期症状と考えられます。その段階を超えてめまいや吐き気を感じるようになると水を飲んでも回復せず、血中に直接水分補給する点滴が必要になることも多いので、決して無理をしないで、すぐに涼しい場所で安静にしてください。

水分補給のポイントですが、特に運動中は「のどが渇かなくても定期的に飲む」ということです。一定時間、例えば30分ごとにコップ一杯程度を補給するような方法で、熱中症や脱水症のリスクを大きく下げることができます。さらに、塩分を含んだ飴などをなめて、電解質の補給をすることで、さらに効果が上がります。

高血圧などで塩分を控えている人でも、たくさん汗をかいた際は、意識して塩分を摂ってください。塩分量を心配しすぎて熱中症になってしまっては、元も子もありません。心配な方は、かかりつけの医師に適当な塩分摂取量を確かめてください。

家の中などであまり汗をかいている自覚が無くても、身体全体から常時発汗していますので、水分量はどんどん減っていきます。特に下痢をしている時は、排便と共に大量の水分を失っていますので、意識的に多量の水分を採らなければなりません。

先日、熱中症や脱水症対策は当ブログでは採り上げないと書いたばかりなのですが、緑茶を飲まされている野球少年を見たら、やっぱり無視できなくなりましたw、いや、笑い事ではありませんよほんと。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

【防災の心理31】ブルーシートの向う側

私事で恐縮ですが、管理人は若い頃から二輪、四輪にどっぷりハマり、モータースポーツもやりました。競技や練習中のクラッシュは何度もあり、重傷を負ったこともあります。

一方、公道での他が絡む事故は、もらい事故が一回のみ。でも公道でいつも模範運転をしていたとは、口が裂けても言えませんwただ、とにかく他が絡む事故に対してはとても「臆病」で、長年に渡っていわゆる交通事故を起こしていないのは、その意識と行動の結果だと言えます。とにかく、公道では絶対に他を傷つけない、自分も傷つきたくないという意識が強いのです。

そんな意識の源を、管理人ははっきりと「あれだ」と指摘することができます。もし過去に大きな事故でもやっていれば、それが最大の教訓となるでしょう。しかし管理人のもらい事故はボディがちょっとへこむくらいの物損でしたので、恐怖を植え付けられる程ではありませんでした。まったく別の機会に、事故に対する根源的な恐怖を植え付けられたのです。

それは二十代前半の、札幌在住時代でした。当時かなり「元気」に走っていた管理人は、スピード違反の累積で免停になってしまいました。免許センターで免停講習を受けたのですが、その当時の北海道警の講習は、今では考えられない凄まじい内容だったのです。それ以前に関東で受けたものとも比べ物になりません。


講習では必ず交通安全の映画を見せられるわけですが、その内容が、とにかく想像を絶していました。上映中に、何人もが部屋を飛び出してトイレに駆け込むのです。管理人も最後には見ていられなくなり、目をつぶってこみ上げる吐き気を堪えていました。

その映画の内容は、実際の重大事故の現場写真をそのまま、ひたすら延々と流すものでした。それも事故の状況ではなく、被害者のアップなのです。敢えてそのまま文字で描写します。非常に凄惨な内容ですので、ご注意ください。

大型トラックの後部に高速で潜り込んだ乗用車の、潰された運転手。大型トラックに牽きつぶされた人。バスの後輪に巻き込まれた子供。ノーヘルで止まっていたトラックの後部に突っ込んだライダーの頭部。高速で転覆し、屋根が吹っ飛ばされた車の運転手は、運転席でシートベルトを締めたまま、鼻から上が無くなっている。お読みいただいて、具体的に想像できますか?

そんな画像を延々と、何十枚も見せられたのです。それはどこでも日常的に起きていながら、ほとんど覆い隠されている「ブルーシートの向こう側」です。それはどんな教育や説得よりも、事故=凄惨な死であることを、見る者に突きつけました。事故のニュースの表現である「全身を強く打って死亡」の現実なのです。

その後現在に至るまで、少なくとも管理人の頭の中にはあの凄惨なイメージが常にあり、運転する時にはいつも、心に一定のブレーキをかけているのと同時に、周囲の危険に対してより一層敏感にしています。そして、長年に渡って少なくとも自分が原因の事故はひとつも起こしていない理由のひとつは、あの凄惨な映像体験のおかげだと言うことができます。

加えて、実際の事故現場にもたくさん遭遇しており、中には死亡事故もありました。そんな現場では、命を救うために自分ができることはやろうという「バイスタンダー」としての意識も高まりました。そして管理人だけでなく、あれを見た多くの人に、同じような意識を植え付けたのではないかと思うのです。

その後、様々な配慮というか気遣いによって、そのような凄惨な映像が、公式に一般の目に触れることはほとんど無くなっています。数年後には、北海道警の免停講習もすっかりソフトなものになっていたそうです。でも、同じような現実は、変わることなく日々起きています。

生命が失われる、それも人の尊厳など無関係に、地獄のような状況の中で。それが事故や災害の現実なのですが、現代はそんな現実を、様々な「配慮」が覆い隠してしまっていて、生命の危機に対してリアルな恐怖を感じることはほとんどありません。悲惨な犯罪の報道でも、恐怖はあくまでも理性的なもので、生命が失われることに対する本能的、根源的な恐怖は感じられません。

しかし管理人は、現実を包み隠さず公開せよと言いたいのではありません。それこそ人の尊厳、プライバシー、そして情報が歪曲して受け取られる問題など様々な要素が存在しますから、「配慮」はあって然るべきです。ただ、目に見えないから、見せてもらえないからと言って、あたかもそれが存在しないような、極端に言えば「臭いものには蓋」で終わらせて良いとも思えません。

事故対策も災害対策も、その最大の目的は「生き残る」こと。そしてその最大のモチベーションとなるのは、「死にたくない」という気持ちかと思います。そんな気持ちを高める効果的な方法のひとつが、現実の死を身近に感じることだと思いますが、受動的でいるだけでは、なかなかその機会がありません。

そんな世の中で、どうしたら本当の意味で「生き残る」ための災害対策へのモチベーションを高められるかを、考えたいと思います。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

2014年7月28日 (月)

超満員のスタジアムで豪雨対策を考える

管理人が大規模ライブに行くと突然書く、なんとなく不定期シリーズ化している「超満員のスタジアムで○○を考える」、今回は炎暑の日産スタジアム(神奈川県)で行われた、6万人超の大規模ライブ会場での考察です。

まずは真夏のオープンエアスタジアムということで、猛烈な暑さが問題でした。現場は気温35℃くらいで、直射を受ければ優に40℃を超える状況です。ただ、さすがに熱中症対策には十分な水分補給ということはかなり浸透しているようで、会場へ向かう途中のコンビニでは、1〜2リットルのペットボトル飲料は午前中で売り切れていました。

ちなみに管理人は、当然ながらそういう事態を想定して、地元で3リットルの水を買ってリュックで背負って行きました。重くても、売り切れていなくても、現地で長蛇の列に並ぶのはイヤなのですw

気になったのは、緑茶のペットボトルも売り切れていたこと。緑茶は利尿効果(水分を尿として排出する効果)があるカフェインを含むので、水分補給には適しません。

発汗で失われる塩分などの電解質を含んだキャンディーを持参している人も多く、その辺りは夏のアウトドアの「作法」として定着して来ているのを感じます。しかし、普段あまり炎天下に出ない人には熱中症の怖さが実感としてわからないことも多く、開場前に倒れて救急搬送された人もいたようです。

水分を十分に採っていても、寝不足、疲労、飲酒などで熱中症になる確率はぐっと上がります。特にアルコールには強い利尿作用がありますから、暑い中でビールなどをがぶ飲みするのは危険であると認識しなければなりません。

これはむしろ若い人が意識すべきです。体力があるだけに熱中症の症状である頭痛、めまい、吐き気などが現れた時には、既に重症化していることも多いのです。重症になると水を飲んでも吸収されず、点滴での水分補給が必要になってしまいます。


と、前置きが長くなりましたが、今回の本題はここから。今回の現場では、まず午後遅くまでは晴れて酷暑が、ライブが始まる夕方からは雷雨または本格的な雨が予報されていました。実際には午後の早い段階から雷雲が接近して断続的なにわか雨に見舞われ、開演直前には時間雨量30mmを超えるような豪雨になりました。でも開演とほぼ同時に上がるという奇跡に恵まれたのですが、それは余談。

管理人が気になったのは、豪雨に見舞われる開演前の会場内で、傘以外のカッパ、ポンチョなどを着ている人は、ざっと見て半分くらいしかいなかったこと。他はみんなずぶ濡れです。事実上スタンディングライブですから、開演後は傘は使えませんし、荷物も含めて傘で防げるような雨ではありません。

水が売り切れていたコンビニでも、店側が大量に用意したビニールカッパを手に取る人は、それほど多く無かったのです。ちなみに管理人は、以前ブログで紹介したEDC装備、砂漠迷彩色のポンチョを着用し、原色のファングッズ集団の中でかなり異彩を放っておりましたw

開演時間中に雨が予報され、そうでなくても晴れて暑い日には雷雨が来ない日の方が少ないというのに、6万人超の観客のざっと半分が雨対策をしていないということに、管理人は正直なところ驚きを感じました。気持ち的には、豪雨だったらずぶ濡れでも行くというノリはありますが、荷物や大切なファングッズを水濡れから守るためでもあります。

足下には水たまりができるほどの雨でしたので、椅子の下に置いた荷物もずぶ濡れ。荷物を守るビニール袋も必須です。ちなみに管理人のリュックは防水ですが、外装はぐしょぐしょになりました。

当日は雨の後も蒸し暑い状態が続いたのですが、雷雨の後は涼しくなることも多いですから、ずぶ濡れのままだと身体がどんどん冷えます。さすがに夏場は低体温症ということはまずありませんが、風邪をひいたり体調を崩したりすることは十分に考えられます。

これがもし災害時で、雨露を凌げる場所が無かったり、カロリーを十分に補給できない状況であれば、雨と身体の冷え対策の有無で、その後の体力維持にさらに大きな影響が出るわけです。帰宅困難で歩いている時に、開けた場所で豪雨に見舞われることを想像してみてください。

ともかくも、夏場のアウトドアでは、常に雷雨に対しての対策が必須です。ビニールカッパと大きなビニール袋を用意するくらいですから、大した負担ではありません。今回はライブに行くという高揚感が対策を甘くするという面も無きにしもあらずかと思いますが、せめて天気予報くらいは見て、必要な対策をすべきかと。

余談ながら、帰りの電車内は大汗をかいた上にずぶ濡れで生乾きの集団のから放置した洗濯物のような臭いが漂い、一般客に思い切り嫌な顔をされてしまいました。もっとも、臭いに関しては管理人も例外ではありませんでしたがw


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2014年7月25日 (金)

ご紹介ありがとうございます(多分)

最近、当ブログの過去記事をご覧いただいている方が増えております。ブログのサイドバーにも表示されていますが、「生き残れ」または「生き残れannex」というワードが、週間検索ワードランキングのトップから上位に入っていることも少なくありません。

これは、どこかで当ブログのことを話題にしていただいている方がいらっしゃるということだと思いますが、管理人が検索しても、そのようなブログやサイトはなかなかヒットしません。

恐らくTwitterやfacebookで紹介していただいているんじゃないかと考えているものの、実際のところ良くわかりません。もし「○○で紹介されているのを見た」なんて情報がありましたら、コメントやメールで教えていただければ幸いです。もちろん、紹介してくださった方のお名前やURLなどは必要ありません。ただ、ここで見たよ、というくらいで結構です。

できることなら役に立つブログとして紹介されていたいものですが、もしかしたら正体不明の素人がやたら理屈を並べてる、一度見てみろとか言うのだったらイヤだなとかw

でも、記事内容が役に立つかゴミかは、お読みいただいた皆様それぞれのご判断にお任せします。個人の現実的な災害対策のために少しでも役立てていただければ、それが管理人の無上の喜びです。


ちなみに、エンタメ性皆無のこんな理屈っぽいブログとしては、おかげさまでかなり多くのアクセスを頂戴しております。これで広告アフィリエイトとかやれば、少しは収益を上げられるとは思うのですが、管理人は敢えてそれをやらず、広告非表示の有料サービスを使っております。

その理由は、一般に販売されている「防災グッズ」、特に「防災セット」の多くに不信感を抱いているからです。広告表示を許可すれば、そのような関連商品の広告が表示されてしまいますが、自分が薦めないグッズの広告が表示されることは容認しがたいのです。ましてや、当ブログお薦め商品と誤認されることは絶対に避けたいわけです。

そこで、管理人お薦め商品に限り、記事中にAmazonのリンクを貼らせていただいております。そちらではアフィリエイトをやらせていただいておりますが、ひと月にほんの数百円、有料ブログ使用料金にもなりませんw

それはともかく、管理人としては、「本当に役に立つ」防災情報が皆様のひとりでも多くの方にお届けできれば本望ですので、当ブログが役に立つとお思いいただけましたら、今後ともご紹介いただければ幸いです。また、一言でも結構ですので、ご感想やご意見などのコメントをいただければ嬉しく思います。読者の方からのフィードバックは、管理人の大きなモチベーションになります。

また、各種媒体への寄稿や防災アドバイスも承りますので、もしご希望がありましたら、下記管理人宛メールにてお知らせください。
smc-dpl@mbr.nifty.com

そんなわけで、今後とも「生き残れ。Annex」を、よろしくお願いいたします。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル17】避難所に着いても気を抜くな!

■当記事は過去記事の再掲載です。内容は加筆修正しています。


今回は、学校や体育館などを利用した一般的な「避難所」の危険について考えます。

ここまで「一時(いっとき)避難場所」や「広域避難場所」の危険について考えてきましたが、実際には、そのような場所に行く前に、近隣の「避難所」へ直接向かうことも多いでしょう。

これは前に何度か触れていますが、まずはあなたの住む町が近隣の避難所の収容対象地域になっているかを、自治体に確認しておくことをお勧めします。避難所の収容スペースが不足しているケースが多い中、耐震性が高い建物が多い地域やマンションなどの住人は、収容対象にカウントされていないことも少なく無いのです。

過去には避難所で収容を断られたというケースは知られていませんが、特に大都市圏において避難所が物理的限界に達してしまった時(十分に予想されることです)、非収容対象者の優先順位が落とされたり、他の避難所への移動を指示されることも無いとは言えません。

ですから、まず近隣の避難所に入る権利があるのかどうかを確認しておき、非対象だったらば、自分でオプションの選択肢を考えおかなければなりません。そして、可能な限り自力で避難生活を送れる備えもしておくべきです。


さて、一旦「避難所」に入ったら、かなりホっとするでしょう。しばらくは動くことも億劫になるかもしれません。しかしすぐに気を抜いてはならなことは、東日本大震災の実例を挙げるまでもないでしょう。本当に安全が確認されるまでは、最低でも発災後24時間程度は、荷物を全部解かずに、いつでも移動できる体制を維持しているべきです。

場所にもよりますが、まず発災直後には津波の危険があります。発生した地震が「1000年に一度」や「数百年に一度」レベルだった場合、津波は現在のハザードマップに記された想定浸水区域を超えることもあるということを、我々は東日本大震災で目の当たりにしたばかりです。

自分でラジオなどを持っていなくても、避難所に行けば、地震の場所、規模、津波警報などの情報が得られるでしょう。まずはそれを確認し、津波が発生するのか、するならば自分の居場所に到達する危険があるのかどうかを確かめます。

しかしその場合、避難者同士の話から情報を得ることはできるだけ避けなければなりません。強い不安の中で、デマや尾ひれがついて大げさになった話が広まる可能性が一番高い時間帯だからです。逆に、だれかが「ここにいれば安心だ」と言ったとしても、裏付けが取れなければそのまま信じてはいけません。仮にそれが自治体職員、警察官、消防隊員などだったとしても、すぐに信じるべきではありません。裏付けを取るために、情報を集め続けてください。判断ミスは、ただの一回も許されないのです。


ベストの方法は、自分でラジオ、テレビなどから直接情報を得ることです。ネットの場合、気象庁など信頼できるソースの情報ならともかく、ツイッターやSNSなどで流れる、「素人」の情報を鵜呑みにするのはあまりにも危険です。ラジオで言っていたとか、気象庁の情報によると、とかのネット情報でも正確で無かったり、それ自体がデマという可能性があるのです。そのような公式情報めいたデマは、過去の災害でも数多く流れています。

とにかく伝聞やネットでそこが危険だ、安全だという情報に接した時は、まず疑って裏付けを取る、これを必ず実行しなければなりません。その際、平常時から自分が行くべき避難所について、ハザードマップの表示に十分な安全マージンを加えた独自の想定をしておけば、情報の真偽を判断する大きな助けになります。


津波到達の可能性が無くなった段階か、その危険が無い避難所において最も大きな危険は、大火災です。避難所の周囲はどうなっているでしょうか。最も危険なのは、木造家屋が密集した地域なのは言うまでもありませんし、そのような中の避難所は実に多いのです。

近隣の家が火を吹いていたら、避難所自体へ延焼するかもしれません。消防車は、まず来ません。来ても断水下では水利が確保できないことも多く、効果的な消火はあまり望めません。そして時間の経過と共に、あちこちで火災が大規模化します。それが自分の避難所に迫って来るのかどうかを、監視し続けなければなりません。

大正12年の関東大震災では、9月というあまり乾燥していない季節でも、台風の影響による強風下で火災は1時間に1kmほどの速度で延焼して行ったそうです。火災旋風が発生して風に流されれば、さらに速い速度で延焼することもあります。

そして乾燥した強風下では、さらに延焼速度が速まるでしょう。いわゆる「木密地域」では、耐火性は大正時代とあまり変わっていない上に、当時は少なかった電気、ガス、灯油、ガソリンなど、火災を大規模化させる要素がたくさんあるのです。木密地域やそれに近い場所で大火災が避難所から1kmに迫ったら、すぐに避難を始める必要があるでしょう。その後風向きが変わったりしなければ、ほぼ確実に避難所にも延焼することになります。

避難所において大火災を監視する具体的な方法と、危険が迫った時の集団避難の方法については、過去記事で詳しく触れていますので参考にしてください。
■首都圏直下型地震を生き残れ!【44】☆大火災編はこちらから

津波や火災の他には、有毒ガスの危険があります。近隣にコンビナートや化学工場があり、そこが爆発・出火した場合には、風向きによっては有毒ガスに襲われることもあります。東日本大震災では千葉県市原市の油脂タンクが爆発炎上しましたが、幸いにあの煙自体には強い有毒性は無かったものの、濃い油煙を浴びることになるかもしれず、その場合はパニックの発生も懸念されます。

もちろん、吸い込んだらすぐに危険な煙になることも十分に考えられます。しかし有毒性の有無は、現場ではすぐにわかりません。だからこそ、あの煙は非常に危険だという膨大なデマ情報がネット上を飛び交ったのです。

デマ情報に踊らされて、本来は安全な避難所から、さらに大きな危険の中に移動してしまうような判断ミスは、絶対に避けなければなりません。これに対しても、平時から避難所の周辺には何があるか、どんな危険物質が放出される可能性があるかを知っておくことで、情報の真偽を判断する助けになります。

しかし実際には、本当に危険な物質が放出されるかどうかの情報を素人が得ることは困難です。でも、仮に「ここからは危険なガスが発生することは無い」という情報を持っているだけでも、十分なアドバンテージになるのです。


そのほか、現実的な危険としては地盤の液状化があります。でも、これは避難開始時にはすでに発生しているものですから、避難所の危険というよりも、避難経路の危険と言えます。液状化のせいで、道路が通行できなくなる危険です。それに対応したオプションの経路を、平時から複数探しておくことで、危険の大部分は避けることができます。

なお、液状化に限らず水がたまって地面が見えない道路を進む場合は、沈んだ瓦礫を踏んで怪我をしたり、側溝やふたが外れたマンホールに転落する危険が大きくなります。地面が見えない場合は、杖をついて足下を確かめながら、慎重に進まなければなりません。

いずれの場合も、忘れてはならないのは、「避難場所も必ずしも安全では無い」という意識です。本当に安全が確認されるまでは常に情報収集を継続し、いつでも再避難できる体制を整えておかなければなりません。

次回からは、避難場所の危険を事前に知るための、フィールドワーク用チェックリストをお送りします。


■当記事は、カテゴリ【災害対策マニュアル】です。

2014年7月24日 (木)

【防災の心理30】どうしたら“本気”になれるのだろう

前回は全然防災の話じゃなかったのですが、ちょっとまとめましょう。

社会的存在としての人は、良くも悪くも他人との相互関係の中で自分の存在、立ち位置を確かめています。するとどうしても「他人の不幸」に目が行きがちになり、無意識のうちに「他人の不幸」と比較することで、「自分の幸福」の量を測ろうとしてしてしまいます。そのための象徴的なツールが、ワイドショーというわけです。もちろんワイドショーなど観ないという方も多いと思いますが(管理人もです)、生活の中で何かにつけて、そういった見方をしていることは少なく無いでしょう。

では、それは何故か。これはもう人は誰でも幸福になりたい苦しみたくない悩みたくない楽に生きたいという、根源的な願望があるからと言えるでしょう。できるだけ、自分の「不幸の影」など感じたくない。当然、災害なんかに遭いたくないし、もし遭ってしまっても、できるだけ楽でいたい。

個人の災害対策の中で、水、食料や防災グッズの備蓄は、まず自分が災害から生き残るという幸福を前提として、苦しい状況をある程度回避することができるという、確かな満足感=幸福を感じることができる行動なわけです。ちょっと下衆な言い方をすれば、備えていない人に比べて「自分の方がマシ」という優越感を感じることもあるでしょう。

だからこそ、防災というと自然にモノの備蓄から入りがちです。そこには、「これがあればこれができる」という、わかりやすい「幸福」があります。もちろんそれでも良いのですが、それだけではダメなのです。


前々回の記事で、阪神・淡路大震災と東日本大震災での実例を挙げました。そこでの多くの犠牲者は、モノの備えでは回避できない理由で命を落としました。阪神の場合は主に建物の耐震強度、東日本の場合は、主に津波に対する知識と行動です。

建物の耐震補強もある意味で「モノ」の範疇ですが、その費用と手間を考えると、経済的、時間的にやりたいこと、優先順位の高いことをさしおいてやらなければならず、しかもそれが本当に役に立つかは大地震に遭ってみなければ実感できないという、かなり満足感=幸福を感じにくいものでもあります。

そして、知識と行動。地震が来たらテーブルや机の下に、というレベルなら誰でも知っています。では、実際にテーブルの下に飛び込んだおかげで生き残った人がどれだけいるかというと、統計は無いものの、ごく一部でしょう。

さらに、東日本大震災での「ピックアップ行動」のように、社会的な理由によって、自分の身を守るための最良の避難行動が為されなかったことも少なくありませんでした。他を助けるために犠牲になった方も多いのですが、自分が生き残るためには、ある段階で救出を諦めなければなりません。それは人の社会的存在を放棄することであり、とてつもない不幸です。


現実の災害では、ありとあらゆる場面でありとあらゆる危険があなたに迫って来るわけで、そこから「生き残る」ためには、場面場面に見合った正しい知識と、秒単位の正確な判断と行動が必要なのです。しかし、すべての場面で最良の判断と行動ができる力は、一朝一夕に身に付くものではありません。しかも、仮に最良の知識を持って最良の行動をしたとしても、生き残れるとは限らないという現実。災害が巨大になるほど、どうにもならない場面が増えるのです。

現実の災害で多くの犠牲者を出した危険を回避するためには、少なくない費用と手間をかけ、あらゆる場面で遭遇する危険を知り、それを最も効果的に避ける方法を体系的に学ばなければなりません。さらに、危機に直面しても「頭の中は真っ白で、身体が固まる」ことが無いような、メンタルの強さも求められます。

そのレベルに到達するのは、多くの人にとって遠い道のりでしょう。管理人とて、何も備えていない人よりははるかに「強い」のですが、いざという時に本当に最良の行動ができるかと問われれば、絶対の自信があるとはと到底言えません。さらに悪いことには、考えられる備えをすべて行い、必要な知識をすべて会得した、言わばレスキュー隊レベルの備えをしていても、生き残れるとは限らないという現実を直視しなければならないのです。

そんな、いつもなら自分の幸福を補強するために利用していた「他人の不幸」を、「自分の不幸」として認識しなければならないというパラダイムシフトが、面白いわけがありません。ワイドショーを観て溜飲を下げるような心理の対極です。しかしそれが、災害から「生き残る」ために、本当に必要な災害対策の根源なのです。

ではそんな心理を乗り越え、個人の災害対策をしっかりしなければならないと心の底から思うためには、どうしたら良いのでしょうか。結論を先に言えば、すべての人がそれを実現することは不可能だと、管理人は考えています。ただ、「やらなければいけないことはわかっている。でも、なんだか面倒で手がつけられない」のように考えていて、何かきっかけを求めている方ならば、やりようがあると思うのです。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

2014年7月23日 (水)

ちょっと旅に出ていました

私事で恐縮ですが、管理人はこの三連休に絡んで、関西方面を旅行しておりました。まあ旅行と言っても普通の観光地を巡るようなものではなく、あくまでマニアックなスポット(謎)を訪ねるヲタ旅です。ブログの更新も予告なく滞ってしまいまして、申し訳ありませんでした。

今回は、大阪をメインに京都と神戸に行きました。神戸では阪神・淡路大震災で焼け野原となった長田区へ二度目の訪問もしました。あれから19年、長田区は完全に復興を果たし、地震被害の痕跡は皆無です。でも古くからの街なのに、最近売り出した新興住宅街のようにすべての建物が新しいということが、あの時に震度7と大火災で「全滅」したということを、無言のうちに物語っています。

管理人にとって、災害の現場に立つことが防災へのモチベーションとなりますので、これからも折に触れて訪問することになるでしょう。


大阪では当ブログ読者さんにお目にかかりまして、ミナミを案内していただきました。ミナミは初めてではないのですが、観光らしいことをしたことが無かったので、実に楽しい体験をさせていただきました。この場を借りて、改めて御礼させていただきます。
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【画像は夜の道頓堀川】

ただ、ほろ酔い気分でミナミを歩きつつ、やはり「防災の目」は忘れていません。管理人にとってほぼ完全な「アウェー」で土地勘ほとんど無し、1981年以前の旧耐震基準建物多し、法善寺横町など狭い路地多し、頭上には「グリコ」「かに道楽」「づぼらや」などありとあらゆる看板類多し、ミナミの真ん中を流れる道頓堀川は津波遡上の可能性有り、どこでも人がいっぱいで外国人観光客も多しという場所で、しかも自分の含めて多くの人が酔っ払っています。管理人にとっては、これでもかというくらい防災的な条件は悪かったのです。

でも、ミナミをリクエストしたのは管理人です。日頃から備えろ考えろと言ってはいますが、防災のために生活のクオリティを落とすことはしません。行きたい場所には、条件が悪かろうと行くのです。但しそこで何が起こるか、起きたときにどうするかは常に考えており、その時に可能な最良の行動ができるような備えはしています。

もちろんEDC装備も忘れていませんが、今回はフル装備ではなく、街に出る時は身軽さを優先してワンショルダー型のバッグに収まるだけの装備に限定しました。これはいずれブログでも紹介させていただこうと思いますが、可搬量が限られるならばどう絞るか、という考え方でセレクトした「ミニマムEDC」です。ハンドバッグにすべてを収めなければならない女性の方にも、参考にしていただけると思います。

そんなわけで、おかげさまで現地も道中も何事もなく地元へ帰着いたしました。でも、大阪市内では猛烈な雷雨に見舞われるなど、ちょっとボーダーを超えたら災害に繋がるようなこともありました。今回は車での移動で、往復1200kmほど走る中で、いくつもの交通事故も見ました。巨大災害や大事故は滅多に遭遇しませんが、身体的危険に繋がる「災害」は、実はとても身近にあるのだなということを、改めて考えさせなれながらの道中ではありました。

もちろん車の中には、以前記事で紹介した車載EDCのA・B・C装備が搭載してある「移動避難所」+「簡易救護所」仕様です。こんな風に長距離移動する際には、どこで立ち往生しても三日は持ちこたえられ、ちょっとした怪我などは対応できるという安心感の存在が何よりです。災害に対する日頃の備えにおける最大のメリットは、(完璧は無いにしても)この安心感なのかな、なんて思います。

さて、コアな旅でリフレッシュしてきましたので、また通常営業に復帰いたします。これからもどうぞよろしくお願いいたします。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2014年7月18日 (金)

ウクライナでマレーシア航空機撃墜

当ブログの趣旨とは異なりますが、やはり航空機のことは書いておきたいのでご容赦ください。

現地時間の7月17日、ウクライナ東部でマレーシア航空機が何者かによって撃墜され、乗員乗客298名が絶望と見られています。強い怒りを覚えるのは、これは戦闘行為ではなく、全く意味の無い殺戮であることが明白だからです。

マレーシア航空機は、ウクライナ上空を通過する航空路を、高度約1万1千メートルで巡航飛行していました。これは全く通常のオペレーションであり、他の機体も同じルートを飛んでいたのです。今回マレーシア航空機がターゲットになったのは、全くの偶然でしょう。今年3月のマレーシア航空370便不明事件に続き、なんという不幸の連続なのでしょうか。

使用されたミサイルですが、米軍の発表によれば、ロシア製の地対空ミサイルSA11「ガドフライ」とされています。このミサイルはセミアクティブレーダーホーミング方式、つまり地上から電波を発射し、目標からの反射をミサイルが受信することで、目標に向かって誘導される方式です。この段階で米軍がミサイルの型式まで特定したのは、おそらく何らかの方法(偵察機、無人機、衛星など)で誘導電波を傍受し、その周波数などの特徴を確認しているのでしょう。

兵士が肩に担いで撃つ簡易な地対空ミサイルは、赤外線誘導方式で高度6000メートルくらいが射程と言われていますから、それでは高度1万1千メートルを飛ぶ航空機は撃墜できません。

SA11地対空ミサイルは、ウクライナ軍が装備しています。現時点の情報では、親ロシア派の武装勢力が撃墜したとの説がありますが、本来、軍隊ではない武装勢力が装備しているはずのない重火器なのです。ロシアから供与されていた、ウクライナ軍の装備を奪ったなどと諸説も流れていますが、仮に装備が入手できたとしても、専門的な訓練を受けていない人間が操作することは全く不可能であるハイテク兵器です。それを考えると、ウクライナ軍による誤射の可能性も現時点では排除できません。

このようなミサイルは通常、発射前にIFF(敵味方識別装置)の質問電波を発射し、応答が無い、つまり敵であると判断された段階で発射します。しかし民間機が装備する同様の装置、ATCトランスポンダーとは周波数も通信コードも異なりますので、軍用IFFに対して民間機が応答することはありません。つまり、狙われたら自動的に敵だと判断されてしまうのです。通常、交戦空域を民間機が飛ぶことは無いのですが、ウクライナ国内紛争は地上のみの戦いであり、航空戦は行われていない(親ロシア派は航空戦力を持たない)ために、通過航空路は安全とされて、開放されていたわけです。

つまり高度1万メートルを通過するだけの大型機など、ウクライナ軍、親ロシア派両者にとって軍事的脅威では無く、攻撃する必要など全く無い状況だったということです。実際には、ロシア側や米国側の偵察機が高高度を飛んでいるのでしょうが、少なくとも地上兵力が攻撃する必要は無い状況だったと考えられます。つまり、今回の撃墜は敵側に責任をなすりつけるための工作か完全なミステイクだった可能性が高く、犠牲者は無駄死にそのものです。全くやりきれません。いずれにしろ、いかなる状況でも民間機が撃墜されることなどあってはならないのです。

実戦軍用機ならば、ミサイルのレーダー電波にロックオンされると警報を発する装置が搭載されており、回避機動をすることで命中の可能性を下げることもできますが、それが無い民間機の場合はミサイルが命中するまで誰も気づかなかったでしょう。突然の爆発に見舞われたマレーシア航空機の乗員乗客のことを想うと、心が痛みます。

今後、状況は明らかになって行くでしょうが、国際法上も人道的にも全く容赦され難い蛮行であることは疑いありません。それが仮に誤射であっても、非難を免れることは無いのです。しかし真実がどこにあろうとも、犠牲者は還らないのです。ありきたりながら、ご冥福をお祈りします。


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2014年7月17日 (木)

☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル16】避難所にも危険がいっぱい!

■当記事は過去記事の再掲載です。内容は加筆修正しています。なお、過去記事にタイトルが酷似しているものがあったため、タイトルを変更しました(7/17)


今回は避難場所の種類と、それぞれにおける危険を考えます。前回記事の最後に「火災の危険」と書きましたが、それ以外の危険要素も含めるよう変更させていただきます。

まず最初は「一時(いっとき)避難場所」。住宅街の中のあまり大きくない公園、運動場や商業施設の駐車場、中小河川の河川敷などに設定されていることが多い避難場所です。

これは近隣の人々が発災直後の危険を避け、より安全な場所へ避難する前に集まるための場所です。その名の通り一時的な避難を想定している場所であり、特に都市部では、周囲の危険要素が最も多くなります。

市街地では、余震などによる近くの建物の倒壊、出火が最大の危険要素です。また、発災直後の混乱状態の中では、強い余震、近くの建物の倒壊や爆発などによってパニックが起きる可能性もあります。周囲の状況によっては避難場所に入りきらない数の人が殺到し、群衆が将棋倒しになったりする可能性もあります。

河川の下流域の避難場所では、発災後しばらくの間は津波の遡上を警戒しなければなりません。また、避難場所周囲に限らず発災直後の危険として、自動車の暴走があります。すべてのドライバーがすぐに車での移動をあきらめるとは思えず、さらに正常な判断力を失っているドライバーもいるかもしれません。

過去の地震災害では、家から飛び出した途端に車にひかれた実例はありますが、自動車の暴走による事故は知られていません。しかし絶対に起きないとはだれにも言えないのです。むしろ、起きて当然と考えておくべきでしょう。

このように「一時(いっとき)避難場所」やその周囲では、危険要素からあまり距離が無いことと、さらに発災直後の混乱による相乗的な危険が加わることが考えられます。


次に「広域避難所」です。これは大河川の広い河川敷、大きな公園、運動場、スタジアム、大規模商業施設など、広い範囲から数千、数万人規模の避難者を受け入れられる避難場所です。

このような場所の多くは、一旦その中に入ってしまえば、しばらくの間はかなり安全ではあります。しかし、安心し切るわけには行きません。

そこでの危険は、まず河川敷における津波の危険が最大のものと言えるでしょう。過去記事でも書いた通り数十cmの冠水でも人は簡単に流され、そして高い確率でパニックを誘発します。誤報やデマによってもパニックが発生することも考えられます。

また、パニック状態にはならないまでも、屋外の場合は突然の強い雨でも、群衆はあわてて右往左往することになるでしょう。その中での事故は十分に考えられます。

さらに、特に夜間には水や食料、雨具、防寒具、お金などの盗難や強奪にも警戒が必要です。残念ながら、これは確実に起きるでしょう。災害時における日本人の我慢強さ、秩序正しさは間違いなく世界一ですが、すべての人が同じ感覚や考え方ではありません。過去の大災害時にも、このような事例は少なからず発生しています。ただ、ほとんど報道されないだけです。

その対処方法は、とにかく一人にならないこと。特に夜間は、周囲の人と協力して監視体制を作り、行動時は必ず複数で。特に女性はそうするべきです。物ならまだしも、身体に危険が及ぶことも現実問題として考えておかなければなりません。

このように多くの人が集まる場所では、人、群衆そのものが危険要素という考え方も必要になります。特に災害下で不安心理が強い時には、普段は想像もつかないことが起こります。

もうひとつの危険は、やはり火災旋風です。これは周囲の状況に大きく左右されますが、周囲に大火災が迫って来たら、早い段階での移動も考えて準備しておかなければなりません。火災旋風が避難場所を襲ったら、多くの場合で手遅れなのです。屋内の施設では外の状況がわかりずらいので、意識して監視していなければなりません。

なお、屋外の避難場所に共通する危険として、地盤の液状化が上げられます。埋立地、河川敷やその周辺で起きやすい現象ですが、地盤の液状化は地震の揺れとほぼ同時に発生しますので、発震時にその場にいない限り直接的な危険は大きくは無いでしょう。しかし、液状化によって想定していた避難場所が使えなくなることは十分あり得ますから、液状化危険地帯では、それを前提に次の避難場所も想定しておく必要があります。

事前にハザードマップで津波、建物倒壊、火災、液状化などの危険地域を確認しておき、避難場所がその中にあったり近かったりする場合は、複数の避難場所を想定しておき、状況によって行き先を変える必要があるのです。避難場所が大丈夫でも、そこへの経路に障害が起きることもありますから、複数の経路を考えておくことも大切です。

次回は、学校や体育館などの「避難所」の危険を考えます。


■当記事は、カテゴリ【災害対策マニュアル】です。

2014年7月16日 (水)

【地震関連情報7/16】福島県浜通りで震度4

本日7月16日午後5時24分頃、福島県浜通りの深さ10kmを震源とするマグニチュード4.6の地震が発生し、福島県いわき市で最大震度4を観測しました。

この地震自体は、東日本大震災後に活発化している、福島県浜通り南部から茨城県北部にまたがる震源域で発生した過去にも良くあったタイプのものですので、取り立てて注目すべきものではありません。

しかし、今回はちょっと気になることがありますので、記事にしました。

この震源域は、上記のように福島県浜通り南部から茨城県北部にまたがっています。過去の活動経緯を見ると、震源域の福島県側と茨城県側で若干異なる活動が見えることもありましたが、基本的には一体の同一震源域と見なして良いかと思います。

この震源域で、震度4クラス以上が発生する間隔は、震災から時間が経つにつれて伸びて行き、最近は半年に一度と言えるくらいの低頻度になっていました。ところが、ここへ来て連続して起きているのです。

7月3日 茨城県北部 M4.1 最大震度4
7月10日 茨城県北部 M4.8 最大震度4
7月16日 福島県浜通り M4.6 最大震度4

このように震度4クラスが短期間に集中するのは、震災直後以来と言っても良いかもしれません。少なくとも、ここ2年ほどの間には見られなかったことです。

単純に、小さな地震の発生回数が増えると大きな地震も増えるという統計的事実もありますし、なにより同一震源域で中規模地震が続くということを、単なる偶然と考える訳には行きません。そこには何らかの理由があるはずです。それが何かはわかりませんが、今後さらに大きな地震の発生を警戒しなければならない状況かと考えます。

この震源域では、震災直後には震度6弱が、その後も何度か震度5強クラスが起きていますので、最大でその程度の発震を考えておくべきかと思います。もちろんこのまま沈静化する可能性も小さくありませんが、しばらくは警戒度を上げるべき状況だと考えます。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


自転車で災害予知?

私事ですが、管理人は最近自転車に乗り始めました。若い頃からずっと車やバイクなどエンジン付きの世界にどっぷりハマって来ましたが、ここへ来て始めての本格的スポーツ自転車を手に入れたのです。

オートバイの車歴はオフロードマシン中心で、エンデューロ(オフロード耐久レース)もやっていた管理人が選んだのは、やはりというかオフロード系のマウンテンバイク(MTB)です。今更オフロードをひっちゃきになって走ろうという訳じゃないのですが、街中のあらゆる場所を走れて(階段も下りられるw)しかも舗装路から気軽に外れられるというのが魅力ですね。

そんなわけで、最近は数kmくらいの移動はすべて自転車。ガソリンも高いですし。時には往復40kmくらい走ったりもします。暑い最中ですが、暑さへの耐性をつけるトレーニングにもなります。しかしまあ、最近のスポーツ自転車は本当に軽くて速いですね。びっくりしてます。

さておき、災害時に自転車が大活躍するのはもうお馴染みですよね。渋滞しようが燃料が無かろうが、道さえあればどこでも行けます。気をつけるべきは、災害後の道路はガレキや段差などが多く、とてもパンクしやすいということ。阪神・淡路大震災の時は、自転車屋、バイク屋がパンク修理で大忙しだったそうです。でも最近は、シティサイクル用にはゴムが厚い高耐久性タイヤや、チューブの代わりに発泡ウレタンなどを内蔵したパンクレスタイヤも一般的になって来ましたから、それを選んでおけば安心です。マウンテンバイクのゴツいタイヤも、災害時はかなり強そうです。

でも、今回はそんな話じゃ無いんです。自転車で気象災害を予知できるかも?という、一見意味不明のお話。

もちろんオカルトやエセ科学じゃありませんし、気象災害と言っても、なんでもわかるわけではありません。自転車でわかるのは「冠水の可能性」です。豪雨が降った時にどこが冠水しやすいか、実に良くわかるのです。

坂の下や谷間などの低地が冠水しやすいのは、一見してわかります。でも街中には微妙なアップダウンも多いのです。ところが、歩いてもほとんど傾斜を感じない場所もたくさんあります。そんな場所でも、自転車で走ると一目瞭然。一見すると平坦なのに、こがずにスーッと進む場所、意外にたくさんあります。

スーッと走って速度が鈍った場所、その辺りが「底」なわけで、豪雨が降ったらそこから冠水して行くわけです。一見平坦な住宅街でも、意外にアップダウンがあるもの。その「底」に自宅があったりしたら、水深が一番深くなるわけですから、浸水対策をしっかりやっておかなければなりません。

堤防が切れて広範囲が水没するような洪水はあまり起きませんし、川沿いの低地でなければその危険もありません。でも、これからは短時間の豪雨で、低い場所がごく局地的に冠水するような事態が増えて行くでしょう。高台の上でも、内水氾濫も含めて局地的な冠水は起こり得るのです。

そんな事態に備えて、皆様も自宅周辺などを自転車で走るとき、こがずに傾斜を意識してみてください。あれ、こっちに傾いてたんだ、とびっくりさせられることも多いはずです。見かけは傾斜していないし、地図でもわからない微妙の低地などを見つけるためには、その土地に長く住んでいる人に水が出やすい場所を聞くくらいしか無いと思っていたのですが、自転車に乗って気づきました。なんだ誰でもわかるじゃないかと。

何を今更と思われた方もあるかとは思いますが、最近自転車づいている管理人がふと気づいたことを、記事にさせていただきました。ちょっとした冠水でも生活には大きなダメージを与えますし、地下があればさらに大打撃です。せめて自宅がそんな「プチ盆地」にあるかどうかは、知っておくべきかと。そんな時、自転車が役立つのです。

あちこちの街を走って思いました。「プチ盆地」、意外と多いですよ。


■当記事は、【日記・コラム】です。


【防災の心理29】他人の不幸は…?

テレビでは相も変わらずワイドショーが人気コンテンツで、週刊誌の醍醐味と言えばやはりゴシップ、スキャンダル記事。ネットでは、なんだかんだとまとめサイトが人気です。

これらの人気コンテンツに共通するものは、敢えて思い切って断言しましょう。「他人の不幸」です。他人のひどい話ほど、耳目が集まるわけです。

「他人の不幸は蜜の味」という下世話な言葉があります。本来の意味は、周囲の他人に何か不幸があると、その分の利益が自分に回って来るということですが、事実上もうひとつの意味があります。語弊を恐れず言えば、「他人の不幸は面白い」のです。


ある有名作家が言いました。
「ある日突然、周りの人全部から『おまえなんか知らない』と言われたら、誰でもすぐに発狂する」と。実際にどうかはともかく、ある意味で真実を突いていると思いませんか。

言わんとすることは、精神的な意味で人の存在とは相対的なもので、周囲との関係性が必須であると。仮に社会との関係を自ら絶ったとしても、そこには社会と対立するという関係性が存在しています。なのに、ある日突然すべての人から関係を絶たれるどころか、「おまえなんか知らない」と存在さえ否定されたとしたら、人はとても正常ではいられないということです。

余談ながら、これはいじめの問題にも繋がりますよね。面と向かってからかわれたりケンカしているうちは、まだそこに関係性が存在するのですが、それよりダメージが深く大きいのは「無視」なのです。


さておき、そんな我々は、無意識のうちに自分の立ち位置を、周囲との相対関係の中に求めています。「私は他人の目は気にしない」と思っていても、それさえも「他人の目」があってこそ。絶海の孤島にひとりきりだったら、気にしないという概念自体が存在できません。

そんな我々が周囲との相対関係をを最も手軽に感じられるのが、「他人の不幸」というわけです。それも、自分とは直接関係の無い"赤の他人”であればなおよろしい。「あの人も大変だねえ」とか「バカだねえ」とか、心を痛めずに思えるのが一番です。最近話題の号泣氏など、はからずも見事にそのスロットにはまっているわけでw

そんな意識は、自分の立ち位置を相対的に押し上げます。「自分はあの人よりはマシだ」と、無意識のうちに感じさせてくれるのです。カタルシスを得られると言っても良いでしょう。

だから我々はつい「他人の不幸」に目をやり、「自分の不幸」を薄め、「自分の幸せ」を補強ようとします。そして、その手のネタを手軽に大量に供給してくれるのがワイドショー、週刊誌のゴシップ記事、まとめサイトなどというわけです。

しかしそのような意識は善悪だけで考えられる問題ではなく、我々が社会の中で生き、精神の健全なバランスを保つためにはある程度必要なことでもあります。もちろん、程度問題ではありますが。

ともかくも、ワイドショー系のネタは、あなたが見る見ないに関わらず、大抵の人にとって本質的に面白いわけです。と来れば、もう管理人の言わんとすることはおわかりかと。

防災とはワイドショー人気の対極に位置する「最も面白くない」ネタの宝庫というわけなのです。とても残念なことに。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル15】避難所を襲う火災

■当記事は過去記事の再掲載です。内容は加筆修正しています。


今回は、避難所における火災などの危険について考えます。

大正12年の関東大震災で、東京市本所区(当時)の陸軍被服廠跡地で起きた火災旋風による大惨事は、避難所における典型的な火災の危険と言えます。

なお、火災旋風は阪神・淡路大震災で大火災となった神戸市長田区や、東日本大震災における宮城県気仙沼市などでも発生が確認されています。関東大震災のように避難場所を直接襲うことは無かったのですが、延焼を加速し、犠牲者を増やしたことは間違いありません。

火災旋風は「炎の竜巻」と呼ばれることもありますが、それだけではありません。炎を伴わない、数百度に熱せられた空気の竜巻となることもあります。それでも燃えやすいものは発火し、人間の呼吸器は重大なダメージを受けるでしょう。喉や肺が、内側から焼かれるのです。

意外に忘れられているのが、竜巻としての威力です。自然に発生する竜巻と同等以上の破壊力があります。過去の例から推測すると、竜巻の威力を表す藤田スケールF0~F1クラスになると思われ、木造家屋の屋根を吹き飛ばすくらいの威力があると考えられます。阪神・淡路大震災の大火災の中で発生した火災旋風の目撃談によれば、一度倒壊した家が再び立ち上がったように見えたとのこと。猛烈な上昇気流で吸い上げられてそのように見えたわけです。

火災旋風というある意味で特殊な現象でなくても、避難場所に火が迫って来ることは十分に考えられます。現代は大正時代より建物の耐火性ははるかに上がっている場所が多く、それは延焼しずらいという効果を生んではいるものの、大火災に発展しないということではありません。むしろ、あの時代より市街区域ははるかに拡大していて、一旦大火災に発展すると、より広い範囲が危険に晒されます。そして市街区域の拡大は、危険地帯からの脱出を当時より困難にしているということでもあります。

しかも、いわゆる「木密地域」では耐火性という面においては大正時代とあまり変わらず、それに加えて当時はあまり無かった電気、ガス、灯油、ガソリンなどの出火、延焼危険物が全域に存在しています。当時は、かまどや七輪などの裸火を使用している昼時に木造家屋が倒壊することで多くの火災が発生しましたが、現代では出火原因こそ激減しているものの、一旦火がつけば、より危険な状態になるケースも多いのです。


また、これは本当のワーストケースですが、海岸部のコンビナート地帯から海上に油が流出し、それが燃え上がることもあります。そしてそれが津波で内陸に運ばれたり、沿岸部に漂着して火を放つという可能性です。

可能性というよりも、これは東日本大震災において宮城県の気仙沼市周辺で実際に起きたことです。水面に広がった油だけでは燃えにくいのですが、そこへ瓦礫が混ざると木材などがろうそくの芯のように油を吸い上げ、とても燃えやすくなるのです。火災だけでなく、燃える物質によっては有毒ガスの発生も懸念されます。

また、これも東日本大震災で多発したことですが、プロパンガスのボンベが津波で流され、噴出したガスに引火してあちこちに火を放ったり、爆発したりしました。プロパンガスを使用している地域が津波に襲われたら、どこでも確実に起こる事態です。


東京湾をはじめとする海岸部のコンビナート地帯及び近隣地区では、プロパンガスボンベの発火を除いて、上記のような事例が東北地方よりもはるかに大規模に発生する条件が揃っています。東日本大震災での千葉県市原市の油脂タンク爆発炎上は、水上消防隊などの決死の活動によって延焼が最小限に食い止められ、海上への油の流出も無かったという点で、まさに幸運だったと言えるでしょう。もしあれが複数箇所で大規模に、同時多発的に発生していたら、しばらくの間は手のつけようが無くなってしまっていたかもしれません。

それらの影響は多岐に及びますが、まずは自分が行くべき避難場所にそのような危険、大規模建物火災、海上火災、有毒ガスなどの影響が及ぶ可能性があるのかどうかを、自分自身で確かめておかなければなりません。


行政側としては、基本的に避難場所は安全であるという立場を取ります。ただでさえ避難場所が足らないところが多いのに、「ここは危険だから行かない方がいい」などと公式には言えないのでしょう。

しかし現実には、住宅密集地のどまんなかの学校が避難所だったり、近くに化学プラントがあったり、沿岸部の津波到達予想範囲内だったりすることなど、ひと目見れば危険がわかる場所も少なくありません。特に港湾部近くであれば、津波で流された船や集積された大量のコンテナなどが衝突することもあり、その破壊力は東日本大震災で目の当たりにされました。

火災や津波だけでなく、避難場所が土砂崩れや土石流の到達予想範囲、または崩れる可能性のある崖の上だったりすることもあります。


このような多くの危険を突きつけられて、「そんなこと起きるはずない」と言ってしまうことは簡単です。人は巨大な危険に直面したとき、その危険を積極的に過小評価しやすくなります。対処しきれないと感じる、自分の能力を超える事象を過小評価することで、精神のバランスを保とうとするのです。これは心理学的には「正常化バイアス」と呼ばれるもので、誰でも陥る可能性があります。

しかしそれを理解した上で、恐怖や不安感に打ち勝って現実的な対処方法を考えておかなければなりません。それはかなり高いハードルであり、実は防災・減災活動を進める上で、心理的には最も大きな障害となるものでもあります。実は、いわゆる「防災の専門家」でも知らず知らずのうちに陥って、発想が甘くなってしまうことがあると指摘されています。


このように現実の危険を知れば知るほど恐怖、苛立ち、無力感に苛まれます。しかも、どうやっても「完全」な対処方法は見えて来ません。でも、それを乗り越えなければなりません。演劇の内容もせりふも知らないまま舞台に立たされるより、台本を読み込んで、リハーサルをしてからの方が上手に演じられる、突き詰めれば、ただそういうことです。

次回は、避難所の種類と火災の危険について、具体的に考えます。


■当記事は、カテゴリ【災害対策マニュアル】です。

2014年7月14日 (月)

【防災の心理28】災害対策で満足…できる?

私たちの生活の中で、個人の防災、つまり災害対策の優先順位はどれくらいでしょうか。まずは最優先課題で無いのは当然としても、実はこの「優先順位」という発想自体が馴染まない世界だと、管理人は考えています。

もし、災害対策を「モノの備蓄」や「避難訓練」というような行動に限るならば、ある程度の優先順位を決めることができます。収入のどれくらいを振り分けるか、休日にレジャーに行くか、地域の避難訓練に参加するかというように。

そのような行動の最大のメリットは、行動の結果がわかりやすいということ。水や食料があれば確実に渇きや飢えを防げますし、避難行動を学べば「こうすれば助かる(可能性が上がる)」という実感ができます。つまり、平時から行動による対価、すなわち満足感が得られるのです。

現実的には、我々が遭遇する可能性のある災害の大半は、危険な場所から避難して、その後しばらく持ちこたえられれば大丈夫ですから、前記のような災害対策の効果も最大限に発揮できます。被災後にも「備えておいて良かった」という満足感を得られますし、それを普段から想像して「自分は災害が起きても慌てない」というような安心感を得ることもできるでしょう。それも、災害対策の大きな意味だと思います。そのような満足感や安心感をどれだけ得たいと思うかによって、行動の優先順位が決まる部分でもあるわけです。


しかし、災害対策における最重要課題は、まず「生き残る」こと。災害の種類や規模があるレベルを超えると、発災直後にいきなり生命の危機に晒されます。しかも、生活のありとあらゆる場面で遭遇する可能性があるのです。

現実を見て見ましょう。阪神・淡路大震災では、6434人に上った犠牲者の約86%、約5500人もが自宅内で、その多くが就寝中に死亡しました。これは午前5時46分という早朝の発災であったことと、揺れが強かった地域に耐震強度が低い建物が多かったことによるものですが、発災時点で、すでにモノの備蓄や避難訓練の効果はほとんど失われています。耐震強度が低い木造家屋は、揺れ始めからほとんど10秒程度で倒壊したと言われています。

なお、この時は震源が浅い直下型の震度7でしたが、想定される東京直下型地震が最大規模で発生した場合、同様の非常に破壊力の大きな揺れとなることが予想されます。

東日本大震災は、午後2時46分という日中の発災です。多くの人が仕事や買い物などで外出していて、児童の帰宅時間帯でもありました。地震による直接的な犠牲者の数はそれほど多く無かったと思われますが、その後の津波で犠牲者が増えた要因のひとつとして、「ピックアップ行動」が指摘されています。

子供や家族を迎えに、つまりピックアップするために多くの人が主に自動車で津波危険地帯に入り、それが渋滞に拍車をかけて、避難行動の遅れを招きました。津波の危険がある時には、特に都市部では自動車で避難してはいけないというのが基本ですが、危険地帯からの避難だけでなく、外部からの往復の移動によって、よりひどい渋滞になったのです。

また、石巻市内のように大規模ショッピングセンターなどにいた客が、一斉に自動車で帰宅やピックアップ行動を始めたために、道路容量を完全に超えた「超渋滞=グリッドロック」状態になり、全方向へ全く動けなくなったところを、津波が襲った例もありました。大規模ショッピングセンターなど、津波避難所としては理想的だったのですが。


この例でも、モノの備蓄があり、避難訓練を行った自宅や職場を離れているという時点で、備蓄や一般的な避難訓練の効果は、ほとんど失われています。もちろん、「津波の危険がある時は鉄筋コンクリート造りの頑丈な建物の3階以上に避難」という教えに沿って助かった人も多かったのですが、様々な理由で動き出した人が少なく無かったために、結果的に犠牲者が増えてしまったという現実もあります。そんな中に巻き込まれてしまったら、それまでの備えはほとんど役に立ちません。

なお、それまで言われていた「3階以上へ避難」、つまり3階以上に津波が届くことはまずないという考え方では、最悪の状況では逃げきれないこともあるという現実を、東日本大震災は私たちに突きつけました。同様の状況は、想定される南海トラフ地震が最大規模で発生した場合に、より広大な、より人口密度が高い地域で起こることが予想されています。


このような現実により、災害の規模があるレベルを超えると、モノの備蓄やある定点での避難訓練など、言うなれば「満足感のある災害対策」が役に立たないことも多いということを、私たちは目の当たりにさせられているのです。

そんな状況で「生き残る」ためには、自分の周囲の危険要素を事前にできるだけ排除することと、自分の居場所と状況に合わせた瞬間瞬間の正しい判断が必要ですが、それを実現するにはそれなりの出費と手間、それなりの知識と家族や職場などとの協調が必須です。

ならばそんな備えを皆がすればいいじゃないかという話なのですが、そこからは、実に「面白くない」世界に入ってしまうわけです。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

2014年7月12日 (土)

☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル14】津波で危険な避難所とは?

■当記事は過去記事の再掲載です。内容は加筆修正しています。


今回も続いて、避難所における津波の危険を考えます。津波で危険な避難所とは、言うまでも無く津波到達予想区域内にある避難所です。問題は、それが「どこまで」なのかということ。

前回は、河川下流域の河川敷での津波の危険についてでしたが、津波の危険がそこだけでないことは、東日本大震災で証明されてしまいました。東北地方の場合、想定津波浸水域は詳細な記録が残っている津波、具体的には1896年の明治三陸津波以降の浸水域を基準に設定されていました。

しかし超巨大津波の襲来で、多くの避難所が津波に呑まれました。例えば、あの大川小学校のある場所は明治三陸津波、昭和三陸津波、チリ地震津波でも津波は全く到達しておらず、震災前の想定津波高さは0~1mとされていました。しかも避難所でもある小学校は通常の水面から5m近くある堤防の内側でしたから、事実上全く危険は無いとされていたのです。

今震災は、我々日本人に「1000年に一度」という、かつては考えたことも無かった時間軸を突きつけました。古代は決して教科書やドラマの中の話ではなく、現代は当然ながら悠久の歴史に連なる先端部だということを、改めて知らしめたのです。869年に東北地方を襲った貞観津波の話を聞いて、平安時代が妙に身近に感じた方も多いのではないでしょうか。

そしてその後の調査で、東日本の太平洋岸だけでなく、太平洋岸のほぼ全ての沿岸部で、記録に残っているものをはるかに超える津波の痕跡が発見されています。さらに沖縄など南西諸島も例外ではありません。

ともかくも、数百年から1000年に一度レベルの地震による津波が発生すると、河川敷に限らず、条件によっては海岸から内陸数kmまでの地域も危険に晒されるということを、我々は目の当たりにしました。そして、その範囲にある避難所は、全国的にかなりの数が存在しているのです。


では「1000年に一度」の大地震、大津波はどこでも起こるのでしょうか。この規模の地震になると、発生するメカニズムは事実上限られます。それは地球を覆う地殻プレートの境界で起こる「プレート境界型地震」です。それは地球そのものが生み出す超巨大なエネルギーによって発生する地震です。

プレート境界が海底にある場合は海溝が形成されていることが多いので、「海溝型地震」とも呼ばれます。東日本大震災は典型的な「プレート境界型(海溝型)地震」でした。


現在、我が国でそれが起こる可能性がある場所を考えて見ましょう。まず、東日本大震災の震源域では、膨大なひずみエネルギーが放出されたばかりですから、それこそ1000年レベルで発生しないでしょう。しかし、影響を受けた周囲の震源域ではマグニチュード8クラス、大雑把に言えば「数百年に一度」レベルの巨大地震と大津波が発生する可能性があります。

一方、関東西部から九州にかけての太平洋沿岸を襲ういわゆる南海トラフ地震、具体的には東海・東南海・南海地震も「プレート境界型(海溝型)地震」となります。これらが東日本大震災のようにほぼ同時に連鎖発震した場合、「1000年に一度」レベルの規模となる可能性があります。

例の「死者32万人、津波最大高34m」の想定は、そのようなケースが起きた場合です。ただし、南海トラフ震源域は、東日本大震災による地殻変動の影響を受けているのは間違いないものの、構造的にはあまり関連が無いので、震災の直接的な影響が大きいとは言えません。南海トラフで巨大地震が発生する時はあくまで、主に「南海トラフの都合で」発生することになるでしょう。


ただし、南海トラフの複数震源域が連鎖せずに単独の地震だった場合でも、「数百年に一度」レベルの規模となることは考えられ、その場合には、範囲は震災より限定されるでしょうが、震災と同レベルの大津波が発生する可能性はあります。南西諸島周辺では、少なくとも現時点では近いうちに巨大地震を発生させそうな震源域は確認されてはいないものの、小さな島がすべて水没するような、古代の大津波の痕跡が発見されたという研究成果もありますから、決して例外ではありません。

実際に、今震災の影響によって南西諸島周辺でも数cm~十数cmの変位が発生しています。その影響がどう出るかは、周辺部の歴史的記録や観測データが少ないこともあり、安易に判断できるものではありません。


まとめますと、東日本大震災震源域の周囲である北海道から青森の太平洋岸、房総半島沖、南海トラフ、そして南西諸島周辺で巨大地震が発生することが考えられ、このうち、広い範囲で複数震源が連鎖する可能性がある南海トラフでは「1000年に一度」レベルとなる可能性が比較的高いということです。

東日本大震災震源域での巨大地震は当分起きないとは言え、今回の被災地にも近隣震源域の地震による津波は到達します。さらに津波に関して言えば、震災の影響で発生する「アウターライズ地震」、いわゆる「津波地震」の可能性は、今後数十年に渡って続きます。

さらに、日本海側でも海底の浅い断層が動けば、プレート境界型地震ほどの規模では無いにしろ、津波が発生することもあります。

事実上東日本の太平洋岸から南西諸島まですべての地域で「想定を超える」津波が発生する可能性があり、その中で比較的可能性が高いのが、関東西部から九州にかけての太平洋岸と言って良いでしょう。一方津波の経験が少ない日本海側においては、「想定を超える」と言うより津波自体が現実的に想定されていないケースもあるかと思います。


乱暴に言ってしまえば、北海道から九州の太平洋岸から沖縄まで、さらに日本海沿岸部まで全部気をつけろ、ということになってしまいます。なんだ全く救いが無いじゃないかと思われるかもしれないですが、ここで忘れてならないのは、「本当に最悪の状況は滅多に起こらない」ということです。だから安心ということではありませんが、例えば富士山の噴火を考える時、日本一の山だから日本一の噴火をすると決めてかかっていませんか?富士山だって小さく噴くこともあるし、その可能性の方がずっと大きいのです。

それ以前に、今震災の影響で言えば、東北地方の火山の方がずっと危険な状態になっています。でも日本一の火山の近くに集中したインフラや首都機能が大ダメージを受けるというイメージだけが先行し(そんな風にメディアが煽っているからですが)、必要以上の不安を感じている方が多いのではないでしょうか。

そうなってしまうと言葉はあまり意味が無くなってしまうのですが、要は「正しく怖れろ」ということに尽きます。

避難所の危険と言いながらすっかりほかの話になってしまいましたが、つまるところ、海に近い低地にある避難所が津波で危険になるかはどうかは、すべて発生する地震の場所と規模に依存しているということです。皆様が避難する可能性のある避難所には、どんな危険があるかを、まず知っておかねばならないのです。

具体的には、まずはハザードマップで津波の予想到達区域を確認し、場合によってはさらに独自の安全マージンを加えて、避難場所を考えておくことが必要です。発生した地震の規模は、発災後比較的早い段階で確認できるでしょうから、それによってどこまで避難すべきかを判断するということです。

次回からは、避難所における火災の危険について考えます。その後に、具体的なチェックポイントへ進みます。


■当記事は、カテゴリ【災害対策マニュアル】です。

【地震関連情報7/12】福島沖でアウターライズ地震

本日7月12日午前4時22分頃、福島県沖約140km、深さ10kmを震源とするマグニチュード6.8の地震が発生し、福島県や埼玉県など広い範囲で最大震度4の他、東日本から関西に渡る広い地域で揺れを観測しました。

この地震により、東北地方の太平洋岸に津波注意報が発表され、大船渡市、石巻市で20cmの津波を観測しました。通常は震度4くらいの地震で津波は発生しませんが、今回津波が発生したのは、この地震がアウターライズ地震だったからです。

この地震は震央が陸地から約140kmと離れていること、震源深さが約10kmと浅いことから、東日本大震災後の地殻変動によって誘発された、アウターライズ地震と考えられます。気象庁からも『東西方向に張力軸を持つ正断層型』と発表されており、発震機構からも、アウターライズ地震であることが裏付けられています。

今回はマグニチュード6.8と、震災後に発生したアウターライズ地震としてはかなり大きく(最大は最大のものは震災本震15分後に発生したマグニチュード7.5)、小規模ながら津波も発生しました。このタイプの地震は海底の浅い部分で発生するので海底の変形を伴いやすく、マグニチュード6台後半以上になると津波が発生することが多くなります。

震源が陸地から遠いために、マグニチュード6.8という、仮に陸地の直下10kmで起きたら震度6弱~6強に達するような規模にもかからわら、地上の最大震度は4でした。震源がさらに陸地から遠ければ、マグニチュード7超で大津波を発生させるような規模でも、地上の揺れは危険なほどでは無いということもあります。これが、揺れの割には大きな津波が来る、「津波地震」と呼ばれる所以です。

ここで、改めてアウターライズ地震のメカニズムについて確認しておきましょう。

アウターライズ地震とは、陸地側プレートの下に潜り込む海側プレートの表層近く(アウターライズ)で発生する地震です。下図の1です。
Photo
一般に、プレート境界域で巨大地震が発生すると、それまで固着していた部分がはがれて抵抗が少なくなり、海側プレートが陸側プレートの下に潜り込む速度が上がります。海側プレート(太平洋プレート)の加速は、震災後にも実測されています。

このため、海側プレート表層近くに大きな引張り力がかかり、岩盤が引き裂かれるようにずれる正断層型地震が発生しやすくなります。これが発生するアウターライズは、プレート境界部分の海溝からずっと沖の浅くなった部分ですので、陸地から遠い地震となるのです。アウターライズとは、「外側の、せり上がった部分」を意味しています。

アウターライズ地震以外にも、上図に示した3種類の地震はすべて広義における震災の余震であり、頻度は次第に落ちては来るものの、この先数十年間も発生は続きます。そして時には、被害が出る規模で起こることもあり得るのです。

ひとつの事実として、1933年に発生した昭和三陸地震・津波は、1896年の明治三陸地震・津波の影響によって発生したアウターライズ地震だとされています。その時間の開きは、なんと37年。そのくらいの時間軸で考えなければなりません。

ですから心配しすぎる必要は無いものの、同時にいつでも心の隅に留めておかなければなりません。アウターライズ地震は、地上の揺れの割には大きな津波が発生することがありますから、小さな揺れを感じただけの場合でも、必ず地震情報、津波情報を確認してください。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2014年7月11日 (金)

【気象災害】土石流の恐怖

7月10日、「数十年に一度」レベルの豪雨となっていた長野県南木曽町で土石流が発生し、押し流された家の中にいた家族4人が巻き込まれました。このうち3人は生命に別状無かったものの、中学生ひとりが死亡するという痛ましい事態となりました。

気象によって誘発される災害のうち、この土石流が最も恐るべきものと言えるでしょう。大量の水、土砂、巨石、なぎ倒された樹木などが谷筋を高速で流れ下るのですから、その破壊力は群を抜いている上に流動性が高いので、非常に広い範囲を壊滅させる力を持っています。豪雨に見舞われた山間部や山沿いの平地においては、最も警戒しなければならない災害と言えましょう。

一般に、土石流、崖崩れ、地すべりなど土砂災害の兆候として、下記のようなことが見られると言われて来ました。
■斜面やその下から、泥水が噴き出す。
■沢や川の水が濁る。
■沢や川の水が減ったり、水がなくなる。
■斜面や崖から、小石や土くれが落ち始める。
■斜面に亀裂が入る。
■山鳴りがする。
■山からミシッ、バシッというような音が聞こえる(地すべりによって、木の根が切れる音)
■生臭いような、不快な匂いがする

これらは実際に起こり得る現象なのですが、現実にはこのような兆候が出る時には既に大荒れの天候のことが多く、察知してから避難するのは事実上不可能だと、当ブログではずっと前から主張して来ました。夜間ならなおさらです。このことを最初に記事にしたのは、2012年7月の九州豪雨の際です。

その後、2013年10月の伊豆大島大土石流災害の頃から、それまで上記のような兆候に注意とだけ言っていたメディアの論調が変わり、兆候は察知不可能だから、危険が予想される時には天候が荒れる前に避難せよと、当ブログの主張とそっくりに変わって来ました。その理由はわかりませんが、より現実的な情報に変わったことは、喜ばしいことではあります。それまでは何だったんだという話でもありますがw

さておき、現実にはほとんど察知できない土砂災害の兆候ですが、長野県のケースでは、記録が残っていました。国土交通省の定点監視カメラが、上流での土石流発生の瞬間を捉えていたのです。下画像は、TVのキャプチャ画像をお借りしました。土石流が、カメラの前に到達した瞬間です。
Dosekiryu
動画で見ると凄まじい迫力で、こんなのに巻き込まれたら一瞬で命が無いなと思わせます。

しかし管理人は、その直前の画像に、より注目しました。
Nashizawa

水が茶色に濁っています。ここは「梨子沢」(なしざわ)という沢筋だそうで、普段は澄んだ水が流れているはずです。それがこれだけ濁っているのですから、この時点で山の斜面が削られ始めていることは確実です。上記の「兆候」のふたつめ、「沢や川の水が濁る」そのものが捉えられています。

そしてもうひとつ気になるのが、水量です。「数十年に一度」と言われるレベルの豪雨の最中としては、水量が少なく見えます。普段の水量がわからないので断定はできませんが、この前の時点で上流で山崩れが発生し、土砂ダムができていたのではないでしょうか。それが一気に決壊して、猛烈な土石流となって流下した可能性が高いと思われます。そうであれば、上記の「兆候」のみっつめ「沢や川の水が減ったり、水がなくなる」そのものです。

この画像は住宅地から2.5km程上流の山間部に設置された監視カメラのものだそうで、撮影時刻は午後5時40分頃とのこと。画像からもまだ明るかったことが見て取れます。もし梨子沢下流の住宅地でこの兆候に気づいていれば、少なくとも沢に沿った住宅街では対処のしようがあったのではないかと思うと、残念でなりません。

しかし、これが多くの場合の現実ということです。豪雨の時に家の中にいて、流水の変化に気づくことはまず無いでしょう。

この場合に取ることが可能だった、確実に「生き残れる」方法はひとつです。もっと早い段階で、沢の水量が増えて濁り出したはずです。その時点で土石流の発生を警戒し、想定される危険区域から避難するしか無かったのです。危険区域は、ハザードマップで確認できるでしょう。もし仮に水量が減るのを察知できたら、もう一刻の猶予もありません。即刻、流域からできるだけ直角方向の、なるべく高い場所へ移動するのです。

それがダメなら建物の二階以上に上がりますが、土石流の場合は今回のように家ごと押し流してしまうことが多いので、鉄筋コンクリートなどの頑丈な建物にいられないのならば、やはり早いうちの避難しか確実な方法はありません。土石流やがけ崩れの危険地帯では、そのような緊急避難に備えて、最短時間で安全な場所へ避難できる方向やルートをシミュレーションしておく必要があります。迷っている暇はありません。


台風8号の影響による豪雨もまだまだ続きますし、この先は「数十年に一度」と言われるレベルの豪雨が毎年来るようなことも、決して珍しく無くなるでしょう。過激化する気象は、弱点のある場所をピンポイントで突いて災害を起こします。「こんなの初めて」などと言っている場合ではありません。こんな場合でも、あなたとあなたの大切な人の生命を、あなたのちょっとした「知識」と「勇気」で守ることができます。


■当記事は、カテゴリ【気象災害】です。

2014年7月10日 (木)

【800号】福島動物支援チャリティーご協力感謝!

■当記事は、2012年1月のブログスタート以来、通算800本目となります。


当ブログ管理人とSMC防災研究所は、福島県の被災動物支援ボランティア団体、(社)SORAを支援しています。

「疾風伝説 特攻の拓」などでお馴染みの漫画家、所十三(ところ じゅうぞう)先生のご好意で無償提供していただいた、オリジナルチャリティーTシャツを5月から販売させていただいておりますが、この度、6月末までにご購入いただいた分から、製作実費を除いた収益の全額をSORAに寄附させていただきました。金額は15000円です。

SORA支援オリジナルTシャツは、現在も継続して販売中です。下記サイトから、お好みの色やサイズを選んで直接注文していたただけますので、今後とも是非よろしくお願いいたします。

【club T TEAM SMC Tシャツ販売ページ】
http://clubt.jp/shop/S0000046142.html

販売しておりますデザインは、過去記事に掲載しておりますので、そちらもご覧ください。上記販売サイトでもご覧いただけます。
■Tシャツデザイン記事
http://hurry911.cocolog-nifty.com/survive/2014/05/post-332d.html

なお、過去に当ブログでご案内したデザインと一部異なる部分があり、前面のSORAマークが当初のものと変更になっております。上記販売サイトでご確認ください。所十三先生のデザイン等については、変更はありません。


福島の被災動物支援は、これからも長い間続くことが確実で、その終わりは見えません。支援団体は経済的に逼迫しておりますので、是非とも皆様の暖かいご支援を、これからもよろしくお願いいたします。下記にSORAのブログをリンクします。最新情報がご覧いただけます。

また、直接のご寄附や物資のご支援も受け付けております。ブログ記事内にリンクがありますので、是非ご覧いただき、少しでも結構ですので、ご支援をよろしくお願いいたします。

■SORA公式ブログ
http://blog.goo.ne.jp/sora-fukushima

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

【台風8号】まだ警戒をゆるめずに!

台風8号は、当初の予想よりかなりゆっくりとした速度で移動しており、本日7月10日午前8時の時点で985ヘクトパスカルと、勢力もかなり弱まってきました。既に風速25m以上の暴風域も消滅しています。

今後はさらに勢力を弱めながら、九州から東日本にかけて縦断するような動きをすると思われます。特別警報レベルの勢力になることは、もう無いでしょう。

当初は「最強レベル」と言われ、「特別警報」も発表されている台風ですから、勢力が弱まってひと安心という感じになりやすいのですが、まだ気を抜くわけにはいきません。

さしあたって暴風、高波、高潮で大災害に繋がるような勢力ではありませんが、豪雨はこれからもしばらく続きます。豪雨は崖崩れ、土石流、洪水など、最も致命的な災害を引き起こします。

台風からは暖かく湿った空気(暖湿流)が大量に流れ込みますので、この先も各地で豪雨となる可能性が高まっています。特に山間部、川沿い、低地などでは、より厳重な警戒が必要です。

豪雨による土砂災害の場合、短時間に猛烈な雨が集中する場合はもちろん、強い雨が長時間続くことでも発生の確率が高まります。台風から遠く離れた長野県で土石流が発生し、犠牲者が出てしまいましたが、周辺では「数十年に一度」というレベルの豪雨が続いていました。

既に長時間強い雨が降っている地域も多いですから、これから台風が接近すれば、台風の進路付近以外の広い範囲でも、土砂災害や洪水の危険がぐっと高まります。

ここで一旦「最強の台風」だったということは忘れ、豪雨への対策を改めて考え直してください。対策と言っても、現実的には危険地帯からの早めの避難くらいしか有効な方法は無いのですが。

それに加えて、台風の影響で強力な積乱雲の発生による落雷、竜巻、降雹などの可能性も高くなっていることもお忘れなく。


■当記事は、カテゴリ【気象災害】です。

2014年7月 8日 (火)

【地震関連情報7/8】北海道・支笏湖畔で震度5弱

本日7月8日午後6時5分頃、石狩地方南部の深さ3km(気象庁発表暫定値。当初の発表は「ごく浅い」)を震源とするマグニチュード5.6の地震が発生し、白老町で最大震度5弱を観測しました。震央の位置は支笏湖の南岸付近で、震源がごく浅かったために、規模の割には強い揺れの範囲はかなり局限されています。

その後午後11時までの間に、本震震央周辺を震源とする、余震と思われる震度1~2の地震が5回発生しています。なお、一連の地震の震央付近は行政区の境界にまたがっており、「石狩地方南部」と「胆振地方中東部」と発表されている地震は同一の震源域です。

この地震は、気象庁の発表によると『西北西-東南東方向に圧力軸を持つ型』とされており、ごく浅い断層が圧縮力で動いたものと思われますが、圧縮力で発生するタイプである逆断層型か横ずれ断層型かについての発表はありません。なお、余震は「ごく浅い」から深さ10km程度までの間で発生しています。

今回の震源付近では、東日本大震災以降でも地震が多発しているようはことはないので、広義においても震災の余震ではないと思われます。なお、北海道全体とし見ても、特に地震が多い場所ではありません。ただ、今後しばらく余震活動が続く可能性があります。

また、本震から余震の震央が比較的広い範囲に分布しており、深さも3km~10km程度に渡るという比較的珍しいタイプのため、活動がこのまま収束しない可能性も無いとは言えません。一週間程度は推移を見守る必要があります。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


【台風情報7/8】台風8号 本州縦断コースへ

台風8号は7月8日午後2時現在、沖縄付近を通過して、ほぼ北に向けて時速30km程度で進んでいます。

今後、偏西風の影響を受けて東方向へ変針し、九州西岸に接近します。勢力は若干弱くなりそうですが、大型で強い勢力を保ったまま、九州に上陸するのはほぼ確実な状況です。

これから東方向へ向けて変針する間は移動速度が遅くなりそうです。気象庁の予報によれば時速15km程度まで落ちるとのことで、周辺地域では暴風雨がより長時間続くことになります。

九州に上陸する辺りから偏西風に流されて加速しますが、当初の予想より東寄りのコースとなりそうで、最悪の場合は九州、中国・四国、関西、中部、関東と日本列島をを半分縦断する可能性が出て来ました。

米海軍のNRL(Naval Reserch Center)が日本時間の7月8日午前3時に発表した針路予報図をお借りして掲載します。図中の時刻表記はグリニッジ標準時(GMT)で、日本時間マイナス9時間です。00=午前零時は日本時間で午前9時です。
Neoguri
ご覧のように、当初より東寄りの本州縦断コースの可能性が高まっています。九州上陸後は次第に勢力が弱まるでしょうが、それでも強い勢力を保ったまま本州を縦断し、各地に暴風と豪雨をもたらしそうです。

上陸前にも、現在西日本に停滞している梅雨前線へ向けて暖かく湿った空気(暖湿流)が大量に流れ込みますので、西日本を中心に豪雨となるでしょう。既に降っている雨も、より強く長く降ることになります。

本州上陸後は「特別警報」レベルには達しないかもしれませんが、強力な台風であることには変わりありません。過去に気象関連災害が起きている場所はもちろん、起きそうだと思われる場所、可能性が高いと指摘されている場所などでは、すべて実際に災害が発生すると考えるべきレベルです。

まず皆様の周囲の危険を、良く知ってください。最も恐ろしい土砂災害と洪水の危険地域は、ハザードマップで確認できます。事前の対策が不可能ならば、静かなうちに安全な場所へ移動してください。災害が巨大化したら、避難することしか確実に「生き残れる」方法は無いのです。

もし危険地帯に留まる場合は、できるだけ頑丈な建物の二階以上にいてください。建物ごと押しつぶされたり流されたりしなければ、危険なのはほぼ一階だけです。過去の土砂災害の犠牲者の大半は、一階部分で土砂に呑まれているのです。

土砂災害や洪水などの危険が大きな場所に限らず、暴風による破壊や飛来物、強力な積乱雲による竜巻、落雷、降雹などの危険はどこでも発生しますから、危険が完全に去るまでは不要不急の外出は控え、家の中でも飛来物の衝突などに備えた居場所を確保してください。暴風による設備の損傷などで停電する可能性もあるので、その備えも忘れずに。


■当記事は、カテゴリ【気象災害】です。

2014年7月 7日 (月)

【気象災害】台風8号 特別警報レベルに

『大型で非常に強い勢力』の台風8号が、間もなく沖縄に接近します。当初より多少勢力が弱まったようで、一時言われた「日本国土に上陸した台風の中で過去最強」という可能性は小さくなりました。しかし最強クラスの強い台風であることには変わりなく、災害の発生が懸念されます。

台風8号は沖縄付近を通過した後、進路を大きく東寄りに変えて、九州から西日本に上陸する可能性が高く、場合によっては関東付近まで縦断する可能性も出て来ました。各地で暴風、豪雨、土砂災害への最大限の警戒が必要です。

この台風の勢力をかんがみ、気象庁では「特別警報」が発表される可能性があることを示唆しています。「特別警報」は2013年8月30日から運用が開始された制度で、「警報」のさらに上位です。どのような場合に発表されるかというと、概念的には「記憶に残る大災害になるような気象」で、「重大な災害のおそれが著しく大きい時」ということになります。台風8号では、沖縄地方をはじめ各地でそのような状況になることも予想されているということです。

特別警報についての詳細は、管理人が運用開始前に気象庁の講演会に参加した時の過去記事があります。文末にリンクしますので、ぜひご覧ください。

注意しなければならないことは、「特別警報」が発表される場合は災害が切迫しているか、既に起きつつあってより重大な危険が予想される状況だということです。本来であれば、発表時点で災害危険地帯からの避難が完了していなければなりません。もし発表時に避難していなけば、「直ちに生命を守る行動をせよ」という意味です。

ですから「特別警報が出たから避難しよう」または「特別警報が出ていないから大丈夫だ」という発想は一切しないでください。発表時には既に豪雨や暴風などで大荒れの状態であり、安全な避難行動ができない可能性が非常に高いのです。

それ以前の「警報」レベルでも、屋外を移動するのは危険な状態になっています。ですから暴風、洪水、土砂災害の危険がある地域では、台風の進路情報や気象情報をこまめに確認し、「静かなうちに」安全な場所へ避難することが必要です。特にお年寄り、乳幼児などは早めに避難を完了しなければなりません。

「特別警報」以外にも、「記録的短時間大雨情報」、「土砂災害警戒情報」、「避難勧告・指示」等が発表されることがありますが、どれも発表時点では既に大荒れの可能性が高いので、避難開始のタイミングは自主的に早め早めで対応しておかないと、取り返しのつかないことにもなりかねません。

リンクする過去記事内にも書きましたが、自治体に対して「避難したいので早く避難勧告を出せ」と苦情が入ることもあるそうで。どこまで「お上」頼りなのかという、笑えない実話ではあります。基本はあくまでも自己判断、セルフディフェンスです。

暴風、洪水、土砂災害などの危険地域にお住まいの方は、「避難開始は、自主判断で静かなうちに」を徹底してください。必ずしも避難所に行く必要はありません。危険な時間帯だけでも安全な大型施設やホテル、危険が少ない友人宅などに移動しても良いわけですし、むしろその方が現実的でしょう。

なお、台風8号は梅雨前線を活発化させていますので、台風接近のかなり前から豪雨に見舞われることが多く、既に九州から西日本各地で豪雨となっている場所もあります。本州でも、避難すべきかどうかの判断は、既に始まっています。

手遅れにならないうちに、どうか早め早めの行動を。これだけ警報されているのに、後で「こんなことになるとは思っても見なかった」などと言うのは、ただの愚か者に過ぎません。

【過去記事リンク】
■『特別警報講演会』に参加してきました(前編)
http://hurry911.cocolog-nifty.com/survive/2013/08/post-3a87.html
■『特別警報講演会』に参加してきました(後編)
http://hurry911.cocolog-nifty.com/survive/2013/09/post-e30f.html

■当記事は、カテゴリ【気象災害】です。

読者の皆様へ【引用・転載等について】

日頃より当ブログをご愛読いただきまして、誠にありがとうございます。今回は当ブログのポリシーについて、改めて確認させていただきます。

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2014年7月 6日 (日)

台風8号沖縄に接近。そこで日米比較!

大型で非常に強い台風8号が、沖縄地方に接近しています。その後、九州から西日本に上陸し、広い範囲に豪雨や暴風をもたらす可能性が高くなっていますので、今後の情報には十分注意してください。

とはいえ、この記事は台風警報ではありません。台風が来ると、いつも管理人がチェックしている情報を紹介します。

まずは当然ながら、おなじみの気象庁からの情報。気象庁サイトから7月6日午前9時の進路予想図をお借りしました。
Kishouchou
台風はこの後東寄りに進路を変え、9日午前9時頃には九州地方が勢力圏に入る可能性があるのがわかります。


管理人は、台風に関してはもうひとつの情報を必ずチェックして、比較しています。これが結構違っていて、かなり興味深いこともあります。

そのサイトからの画像をお借りしました。Typhoon8 NEOGURI(ノグリー)情報、7月5日18時(グリニッジ標準時)の発表です。
Beigun

これは、米海軍のいち組織、Naval Reserch Laboratory(NRL)が発表しているもので、この時点で7月11日の予想位置まで発表されています。当然ながら先になればなるほど精度は落ちるわけですが、各地の在日米軍が活動するための基礎情報となるものですから、できる限り先まで予想しているのでしょう。

なお、太平洋地域の情報は、ハワイにある米軍のJTWC(Joint Typhoon Warning Center)が観測及び分析しており、極東地域の情報には日本の気象庁のデータも利用されているとのこと。それでも台風の予想進路などが微妙に違うことがあるのが、なんとも興味深いところです。

今回の台風8号情報については、まだそれほど違いが見えないのですが、結構大きな違いが出ることもありますので、要注目です。

なお、図に表記の時間はグリニッジ標準時(GMT)で、日本時間からマイナス9時間です。末尾についたZがGMTを表し、読む際には「Zulu」(ズールー)と発音します。

このふたつの進路予想、皆様も是非見比べてみてください。NRLの、日本列島付近の情報が見られる「西太平洋」ページを下記にリンクします。なおNRLのサイトでは全世界の気象情報や気象衛星画像が見られます。

■NRL West Pacific(西太平洋)ページ
http://www.nrlmry.navy.mil/tc_pages/tc_home.html
■NRL homepage
http://www.nrlmry.navy.mil/


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル13】避難所も安全じゃない!

■当記事は過去記事の再掲載です。内容は加筆修正しています。


今回は、避難場所における具体的な危険を考えます。

防災フィールドワークに出たあなたは、まず最初に避難するであろう場所に着きました。そこが学校や体育館などの避難所ならば、前回記事にも書いた通り、まずあなたの居住地が避難所の収容対象区域になっているかを確認しておきましょう。

その他「一時(いっとき)避難場所」、「広域避難場所」、「津波避難場所」のこともあるでしょうが、これらは多くの場合屋外です。特に悪天候下や寒さ、暑さがひどい季節には、屋外で軽装のまま長時間持ちこたえることは困難です。いずれはどこか雨露や寒さがしのげる場所に移動しなければなりません。

ですから避難場所を決める際には、「とりあえず危険を避けられる場所」と「避難生活を送れる場所」を、徒歩圏内で複数箇所選んでおく必要があります。しかし、いわゆる「避難所」でも、発災後1~2日の間には、様々な危険が襲いかかる可能性があります。東日本大震災でも少なくない避難所が津波に呑まれてしまいましたし、火災で焼かれた場所もあります。

特に沿岸部や都市圏の場合、避難場所なら安全、避難場所に着いたら安心という意識をまず捨てることから始める必要があります。その上で、あなたが行くべき避難場所の危険を詳細にチェックし、「最悪のケース」の対処方法を考えておかなければなりません。

避難場所での危険の主なものは、津波と火災です。津波浸水危険区域では、東日本大震災での気仙沼市のように、それらが同時に襲って来ることもあります。かなり内陸部でも、河川の近くなど条件によっては津波の危険があります。宮城県石巻市では、河口から5kmも遡った川沿いの大川小学校が津波に呑まれたことを忘れるわけには行きません。


では、具体的に避難所の危険を考えてみましょう。まず津波です。管理人が最も危惧するのは、河川敷に指定された「広域避難場所」です。もっとも、避難場所に指定されていなくても、下流域の広い河川敷には、数万~数十万人の避難者が集まるでしょう。

そこへ津波が遡上してきたらどうなるでしょうか。今震災のように数メートルの津波が遡上しなくても、例えば河川敷が50cmくらい冠水するような津波の遡上は、関東地方をはじめ大都市圏の河川でも十分に考えられます

今震災では、東京湾南部の木更津市や船橋市沿岸で2m以上、最大2.83mの津波を観測しました。東京湾最奥部では2m程度だったと思われますが、それでも荒川を埼玉県志木市付近まで、約35kmも遡上したのです。しかも、志木市の堰で止まったとのことで、もし堰が無ければ50kmは遡上したのではないかと言われています。

今回は河川敷の冠水はほとんどありませんでしたが、これが仮に3m以上の津波だったら、下流域の河川敷の多くが冠水するのは間違いありません。

50cm冠水すれば、津波が遡上する流速ならば人間は簡単に流されます。30cmでもあまり変わらないでしょう。河川敷で一旦流されたら、大抵は何もつかまるものも、流れ着く場所も無いのです。今震災で九死に一生を得た人のように、「木にしがみついて助かった」というような可能性はあまりありません。

しかし現実的にはそれ以上に恐ろしいのが、パニックです。数万人が密集している場所に津波が来たら、たとえそれが河川敷に溢れるほとではないにしても、群衆は一斉に堤防上に駆けあがろうとするでしょう。

たとえ本当に津波が来なくても、だれかが「津波だ!」と叫んだだけで、高い確率でパニックを誘発します。特に発災直後の夜間、停電下の暗闇ではそれだけでも不安感が強いところに、津波が事実かどうか確認することもできません。昼間でも、水面が見える人などわずかです。ですから、とりあえず逃げ出します。それも水面に近い場所にいる人から、群衆を押しのけて堤防を目指すのです。

どうでしょうか。もしあなたが暗闇の川沿いにいて津波が迫ったとしたら、そのような行動をしますよね。そしてそれは、ほとんどの人が同じなのです。さらに、群衆心理がそれに拍車をかけます。数万人がパニック状態になった中で、あなたは無事でいられるでしょうか。


今震災の津波からすんでのところで逃げ切った被災者の方の言葉に、恐ろしいけれどとても示唆に富んだものがあります。

「大勢が逃げる方にただついて行った人は、みんな死んでしまった」

これが現実です。群衆は、とにかく早く、たやすく逃げられそうな方角に、やみくもに移動しがちです。そして大きな人の流れは、群衆心理によってさらに膨らみます。みんなが行く方向なら、たぶん大丈夫だろうという心理が働くのです。しかしそれは、津波にとっても「流れやすい」、つまり流速、水深ともエネルギーが集中しやすい方角なのです。

しかしあなたがいるのは河川敷で、大抵は堤防が近くにあります。ならばそこに逃げた時何が起こる可能性があるかを知り、堤防上に最短時間で逃げるためにはどの辺りに位置を取るか、津波が来たらどの方角へ行くか、パニックの流れに呑まれないためにはどうするかを、十分に考えて行動を決める必要があります。

津波だけではありません。堤防沿いの街が大火災になっていることもあるのです。そのような危険がある場所は、都市部にはいくらでも存在します。そんな場合はどこへ移動し、津波が来たらどうするかなどの「オプション」を、十分にシミュレーションしておくのです。

群集心理に呑み込まれやすいのは、「自分の考え」を持っていない人です。どうすべきかの判断を急に迫られたとき、とりあえず大勢に依存してしまいやすくなる。そしてそれは、自分の運命をも他人に委ねてしまうことでもあります。


戦争映画で(そんなの見ない人はごめんなさい)、初陣で緊張する兵士に上官がかける定番の言葉に、「訓練通りにやれば大丈夫だ」というのがありますが、そういうことです。初陣の戦場=大災害下では、普段やっていないことなどろくにできません。ほとんどの人が、恐怖におののく初陣の兵士と同じです。ただ、事前の訓練=シミュレーションが十分だったかどうがが、生死を分ける可能性が高いのです。

もちろんシミュレーションだけでなく、移動にはどれくらい時間がかかるか、どれくらい疲労するか、どれくらいの荷物を運べそうか、子供やお年寄りが一緒だったらどうかなどを、実際に身体を動かして体感、つまり訓練しておく方が良いのは言うまでもありません。条件によって、出来ること出来ないことは、大きく変わります。

兵士だけではなんですからスポーツ選手の言葉に例えれば、「練習は裏切らない」のです。


余談ながら、「防災マニュアル」やブログなどの表現で、例えば「海沿いでは津波に注意する」とか「住宅密集地では火災に注意する」、「繁華街では落下物に注意する」なんてものが良くありますが、注意ってなんですか。

それを、実際にはどう行動するかという部分にまで具体的に落とし込んでおかなければ、「その時」には何の役にも立ちませんよ。世間には、そんなお気楽「防災」情報がやたらとはびこってますよね。

次回も「避難所の危険」です。


■当記事は、カテゴリ【災害対策マニュアル】です。

2014年7月 5日 (土)

【地震関連情報7/5】岩手県沖で震度5弱

本日7月5日、午前7時42分頃、岩手県沖の深さ49kmを震源とするマグニチュード5.8の地震が発生し、岩手県宮古市で最大震度5弱を観測しました。

この地震は、太平洋プレートが西向きに動く力によって圧縮されたプレート岩盤内で発生した「スラブ内地震」です。気象庁の発表も『東西方向に圧縮軸を持つ逆断層型』となっており、上記のタイプであることを示しています。

このタイプの地震は、東日本大震災後の地殻変動によって誘発されたものであり、広義において震災の余震と言うことができます。ただ、今回の震源域では震災後にもそれほど多発はしていませんでした。このタイプは、主に宮城県沖から茨城県沖に連なる沿岸部で多発しています。

しかし、低頻度とは言え発生していなかったわけではありません。東北大学発表の資料をお借りします。
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上図は、震災から約2ヶ月後の2011年5月9日から、過去7日間に発生した地震の震央と規模を表しています(無感地震も含む)。

宮城県以南では猛烈な数の余震が発生している中で、岩手県沖ではそれほど発生していません。その中でも、青色の矢印で示した部分では少しまとまって発生しているのがわかりますが、今回の地震の震央もほぼこの位置です。なお、黄色の点は震源深さ30~80kmを示していますので、今回と同じタイプ地震が、震災直後から発生し始めていたことがわかります。

このタイプの地震は、震災によって震源域(プレート境界面)の岩盤が大きく破壊されたことによって「つっかえ棒」を失った太平洋プレートの動きが加速したために、岩盤内により大きな圧縮力がかかることで発生しているものです。ですから、このタイプの震源部分に、長期的に巨大なひずみエネルギーが蓄積されていることは考えられません。ひずみエネルギーが蓄積されるのは、あくまでプレート境界のすべり面であり、その深さは20~30kmくらいになります。ちなみに、東日本大震災本震の震源深さは24kmとされています。

このような状況からして、今後この場所でさらに大きな地震が発生する可能性は大きくは無いものの、ある程度の余震は発生するでしょう。また、上図を見てわかる通り、ごく近い場所に震源深さ0~30kmを表すピンク色の点も集中している場所ですから、周辺震源域での浅い地震を誘発する可能性は考えられます。今後一週間程度の間は、念のため警戒すべきかと思われます。


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2014年7月 4日 (金)

【防災の心理27】とかく防災は面白くない!

今回からは新テーマとして、「なぜ防災は"面白くない”か」について、から考えてみたいと思います。なんでこんなテーマを選んだかというと、管理人は常日頃から、防災をもっと面白く、楽しみながら考えられたらいいなと思っているからです。

1995年の阪神・淡路大震災は、1923年の関東大震災以来、事実上始めてとなる大都市を直撃した巨大地震災害で、6434人が犠牲となりました。そして2011年の東日本大震災は、南北500km以上に及ぶ地域が被災し、2万人以上が犠牲または行方不明になりました。

そして両災害とも、発生当時における世界最高レベルの情報量で、その惨状が伝えられました。そして何より、それが自分の国、自分の地域で起きたのです。つまり、「世界で最も良く知り、最も身近な巨大災害」だったのです。

我々はそんな、世界的にも希有な巨大災害を目の当たりにしたのですから、その教訓を額面通りに受け取れば、世界最高レベルの防災意識を持つことができるはずかと思います。

確かに、災害が起こるたびに多くの教訓が得られ、制度的な整備が進み、災害をより現実的な問題として考える人は増えています。しかしそれが、より多くの人の生命、財産を守る、そしてその集合体としての社会を守る効果的な行動に繋がっているかと考えると、疑問を感じざるを得ません。

もっとも、生きるか死ぬか、家を失って路頭に迷うかということが前提の話が、楽しいわけがありません。具体的に考えるほど、気が滅入ります。できることなら、「そんなこと起きるはずは無い」と高を括っていたいものです。でも、それができない。もしそう考えていても、厳しい現実の前では自己満足に過ぎず、いざ災害に直面すれば、ただの「弱者」になるだけのことです。

ならばできるだけ楽しみながら、気がついたら高い災害対応力が身についているような方法は無いものかと、今までにもいろいろな工夫もされて来ました。でも、効果的と言える方法は見つかっていないと言って良いでしょう。そこには、大きな心理の壁が立ちはだかっているのです。

目的は、とにかく災害から生き残り、可能な限り財産も守ること。そのための行動がたとえ面白くなくても、せめて「これはやっておかなければ」と誰もが思えるようなモチベーションを生み出せる(かもしれない)方法を、心理面から考えて行こうと思います。


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2014年7月 3日 (木)

【地震関連情報7/3】茨城県北部で震度4

本日7月3日午前7時58分頃、茨城県北部の深さ10kmを震源とするマグニチュード4.1の地震が発生し、茨城県日立市などで最大震度4を観測しました。

この地震の震源域は、東日本大震災後に急激に活発化した福島県浜通り南部から茨城県北部にかかる震源域で、深さ10km程度での浅い地震が多発しています。

震災後に活発化した震源域の中で、震災震源域以外では最も発生回数が多い震源域でしたが、震災から3年以上経ってかなり落ち着いて来てはいます。しかし現在でも他の震源域に比べてかなり頻発が続いています。下図は東京大学地震研究所発表の資料をお借りしたものです。
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上図は本日7月3日から過去一週間の震央ならびに深さを表していますが(無感地震も含む)、福島県浜通り南部から茨城県北部にかけて、ピンク色(浅い震源)の点が集中しているのがわかります。

また、他に千葉県北東沖で浅い地震が集中しているのがわかります。ここも震災後に急激に活発化した震源域ですが、福島県浜通り南部-茨城県北部震源域の方が、震災後からずっと発震回数ははるかに多くなっています。


福島県浜通り南部-茨城県北部震源域では、小規模地震が頻発する中で、時々震度4~5強の地震が発生するという傾向が見られますが、震災から時間が経過するにつれて地震発生回数は漸減傾向で、大きめの地震の発生頻度も下がってきています。

前にこの震源域で起きた震度4クラスは、今年1月9日のマグニチュード4.5でしたが、その直前の2013年12月31にはマグニチュード5.4、震度5弱が発生しています。同一震源域である福島県浜通り南部では2013年9月20日にマグニチュード5.8、震度5強が発生しています。震災から1年後くらいの段階では、1~2ヶ月に一度以上の頻度で震度4以上が発生していたことからすれば、発生頻度はかなり下がって来ているものの、まだ大きめの発震をするポテンシャルは失っていないようです。

この震源域でさらに巨大な地震が発生することは事実上考えにくいのですが、震源深さが10km以下と浅いために、震源直上付近では、マグニチュード規模の割にはかなり強い揺れになることが予想されますので、周辺地域では引き続き警戒が必要です。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル12】あなたは避難所に入れる?

■当記事は過去記事の再掲載です。内容は加筆修正しています。


今回は、「避難所の危険」をチェックします。でも、具体的な危険を考える前に、知っておかねばならないことがあります。まずそこから。

防災フィールドワーク中のあなたは、大地震発生時にまず最初に避難することになるはずの、近隣の避難所に着きました。この「避難所」には、一般に四種類あります。以下に列挙します。

■「一時(いっとき)避難所」。地震による建物の倒壊や火災から一時的に避難するための場所で、市街地の中にある中小の公園や運動グラウンド、中小河川の河川敷、ショッピングセンターなど。発災直後に最初に避難する場所を表す「一次避難所」と区別するために、「いっとき」と読みます。

■「広域避難所」。数千、数万人規模が集まれるような大規模公園、運動場、大河川の広い河川敷や、ショッピングセンター等の大規模建物など。

■「津波避難所」。津波到達予想地域やその周辺で、想定される津波高さに対して安全とされる高台や頑丈な建物など。

■いわゆる「避難所」。学校、体育館、公共施設など、ある程度の期間そこで避難生活を送ることを前提とした施設。

このうち上の3つは誰でもスペースさえあれば問題なく使えるものですが、まずお住まいの自治体に確認しておいていただきたいことがあります。あなたは4つめの「避難所」に入る権利があるのでしょうか。

実は、都市部の多くで避難所のスペースが不足しています。避難所の収容人数は、理想的には一人当たり4平方メートル、たたみ2畳強ほど必要とされていますが、それで収容対象区域の人口をカバーできている場所は多くありません。

実際には2~2.5平方メートル、つまりたたみ1畳分強から1.5畳分強ほどで収容人数を算定しているケースが多いのですが、特に東京23区内など大都市圏では、住宅密集地を中心にそれでも数十万人分単位で不足しています。ちなみにUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のデータによれば、一人当たり2平方メートル程度では、紛争地域における難民キャンプの平均よりも占有スペースが狭いとのこと。それくらい過酷な状況です。

しかも実際の発災直後には、自宅が居住可能な場合でもライフラインの途絶、余震の恐怖、支援物資の受け取りなどのために避難所に人が集まり、多くの避難所は横にもなれないほどのすし詰めになることが予想されます。それは阪神・淡路大震災でも東日本大震災でも現実となっています。

このような現状のため、耐震性の高い建物が多い新興住宅街や耐震基準を満たしたアパート、マンションなどの住人は収容想定人員に繰り入れられておらず、それが住民に周知されていないケースも多く見られるのです。ですから、まずはお住まいの自治体の「防災課」に、ご自分の地域はどうなのかの確認をお勧めします。

さらに勤務先など出先では、いわゆる「昼間人口」は当然ながらその地域の避難所の収容想定人員に入っていません。ですから、まず自分はどこかの避難所に入れるのか入れないのか、入れないのならば代わりとなる帰宅困難者支援施設があるのかを、勤務先などの自治体の「防災課」に確認しておくことも併せてお勧めします。

もっとも、避難所に集まってきた避難者を追い返すようなことは実際には無いでしょうし、それ以前に収容時に現場で居住地域をチェックすることなど事実上不可能です。だからこそ、横にもなれないくらいにすし詰めになってしまうのです。

それは、あなたが近隣の避難所に入れる地域の住人だとしても、そこで必ずしも必要なスペースが確保されているという保証は無いということでもあります。「困った時はお互い様」の精神は大切なものですが、気持ちだけで解決できる問題でもありません。

このように避難所に入れない、または避難所にスペースが無いということも、避難生活の危険のひとつとして考えなえければなりません。順番が逆になってしまいますが、防災フィールドワークに出る前に、まず行くべき避難所について自治体に確認しておいてください。


ではこのような現状に対してどう対処するかというと、これはもう大規模災害時になるべく「避難所」に頼らなくて済む体制を作っておくしかありません。

具体的には、家がとりあえず無事ならば、なるべく自宅や自家用車の中などで持ちこたえられるように水と食品、カセットコンロなど火力の十分な備蓄、トイレ用資材の備蓄、庭や駐車場などで過ごせるように、テントやブルーシート、ロープ、ガムテープなどの備蓄をしておくことです。

屋外で過ごす場合の最大のポイントは「防水・防寒」です。その点を良く考えて、備蓄をセレクトしてください。もちろん、備蓄品の使い方に習熟しておくことは、言うまでもありません。

さらに、用意しておくべき非常に重要なものがあります。それは「運搬手段」。これは意外に見落とされていて、世間の「防災マニュアル」でもほとんど見かけません。発災後しばらくの間は支援物資は避難所に集まり、そこで配布されますから、それを受け取って自宅まで運搬する手段が必要なのです。

特に、水の運搬手段が大切です。例えば10リットル入りタンクならば、重さは10kgです。20リットル入りならば当然20kg。あなたはそれを手に持って、どれだけ移動できますか?さらにマンションなどの上階へ、階段で運び上げることができますか?給水車から飲み水を運ぶだけでなく、川や池などからトイレ用などの雑用水を運ぶこともありますから、実はかなり頻度が高い作業です。

そのために、重量物の運搬のためには牽引式カート、台車、理想的にはリヤカー(最近は軽量の折り畳み式もあります)などの準備を、管理人はお勧めしています。ちなみにリヤカーは、自動車が無い場合のお年寄り、子供、傷病者の搬送にも理想的な手段です。なお一般的なショッピングカートくらいでは、10kg以上の荷重をかけて使うと壊れる可能性が高いので、それなりに頑丈なものが必要です。

さらに、重量物を階段で運び上げるための手段として、登山などで使う「背負子」(しょいこ)があれば理想的です。高層階にお住まいの方は、是非用意しておいてください。

具体例については、当ブログの過去記事「家に備える防災グッズ【3】」で触れていますので、参考にしてみてください。
■「家に備える防災グッズ【3】」はこちらから

なお、リヤカーなどを個人で用意するのが現実的でなければ、町内の防災備蓄やマンションの自治会レベルで用意しておくと良いでしょう。余談ながら、そのレベルであれば発電機と救助用の電動チェーンソーなども現実的な選択となります。エンジン式のチェーンソーは、素人がいきなり使うには危険すぎますし。

次回は、避難所の具体的な危険をチェックします。


■当記事は、カテゴリ【災害対策マニュアル】です。

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