2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

« 【防災の心理30】どうしたら“本気”になれるのだろう | トップページ | ご紹介ありがとうございます(多分) »

2014年7月25日 (金)

☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル17】避難所に着いても気を抜くな!

■当記事は過去記事の再掲載です。内容は加筆修正しています。


今回は、学校や体育館などを利用した一般的な「避難所」の危険について考えます。

ここまで「一時(いっとき)避難場所」や「広域避難場所」の危険について考えてきましたが、実際には、そのような場所に行く前に、近隣の「避難所」へ直接向かうことも多いでしょう。

これは前に何度か触れていますが、まずはあなたの住む町が近隣の避難所の収容対象地域になっているかを、自治体に確認しておくことをお勧めします。避難所の収容スペースが不足しているケースが多い中、耐震性が高い建物が多い地域やマンションなどの住人は、収容対象にカウントされていないことも少なく無いのです。

過去には避難所で収容を断られたというケースは知られていませんが、特に大都市圏において避難所が物理的限界に達してしまった時(十分に予想されることです)、非収容対象者の優先順位が落とされたり、他の避難所への移動を指示されることも無いとは言えません。

ですから、まず近隣の避難所に入る権利があるのかどうかを確認しておき、非対象だったらば、自分でオプションの選択肢を考えおかなければなりません。そして、可能な限り自力で避難生活を送れる備えもしておくべきです。


さて、一旦「避難所」に入ったら、かなりホっとするでしょう。しばらくは動くことも億劫になるかもしれません。しかしすぐに気を抜いてはならなことは、東日本大震災の実例を挙げるまでもないでしょう。本当に安全が確認されるまでは、最低でも発災後24時間程度は、荷物を全部解かずに、いつでも移動できる体制を維持しているべきです。

場所にもよりますが、まず発災直後には津波の危険があります。発生した地震が「1000年に一度」や「数百年に一度」レベルだった場合、津波は現在のハザードマップに記された想定浸水区域を超えることもあるということを、我々は東日本大震災で目の当たりにしたばかりです。

自分でラジオなどを持っていなくても、避難所に行けば、地震の場所、規模、津波警報などの情報が得られるでしょう。まずはそれを確認し、津波が発生するのか、するならば自分の居場所に到達する危険があるのかどうかを確かめます。

しかしその場合、避難者同士の話から情報を得ることはできるだけ避けなければなりません。強い不安の中で、デマや尾ひれがついて大げさになった話が広まる可能性が一番高い時間帯だからです。逆に、だれかが「ここにいれば安心だ」と言ったとしても、裏付けが取れなければそのまま信じてはいけません。仮にそれが自治体職員、警察官、消防隊員などだったとしても、すぐに信じるべきではありません。裏付けを取るために、情報を集め続けてください。判断ミスは、ただの一回も許されないのです。


ベストの方法は、自分でラジオ、テレビなどから直接情報を得ることです。ネットの場合、気象庁など信頼できるソースの情報ならともかく、ツイッターやSNSなどで流れる、「素人」の情報を鵜呑みにするのはあまりにも危険です。ラジオで言っていたとか、気象庁の情報によると、とかのネット情報でも正確で無かったり、それ自体がデマという可能性があるのです。そのような公式情報めいたデマは、過去の災害でも数多く流れています。

とにかく伝聞やネットでそこが危険だ、安全だという情報に接した時は、まず疑って裏付けを取る、これを必ず実行しなければなりません。その際、平常時から自分が行くべき避難所について、ハザードマップの表示に十分な安全マージンを加えた独自の想定をしておけば、情報の真偽を判断する大きな助けになります。


津波到達の可能性が無くなった段階か、その危険が無い避難所において最も大きな危険は、大火災です。避難所の周囲はどうなっているでしょうか。最も危険なのは、木造家屋が密集した地域なのは言うまでもありませんし、そのような中の避難所は実に多いのです。

近隣の家が火を吹いていたら、避難所自体へ延焼するかもしれません。消防車は、まず来ません。来ても断水下では水利が確保できないことも多く、効果的な消火はあまり望めません。そして時間の経過と共に、あちこちで火災が大規模化します。それが自分の避難所に迫って来るのかどうかを、監視し続けなければなりません。

大正12年の関東大震災では、9月というあまり乾燥していない季節でも、台風の影響による強風下で火災は1時間に1kmほどの速度で延焼して行ったそうです。火災旋風が発生して風に流されれば、さらに速い速度で延焼することもあります。

そして乾燥した強風下では、さらに延焼速度が速まるでしょう。いわゆる「木密地域」では、耐火性は大正時代とあまり変わっていない上に、当時は少なかった電気、ガス、灯油、ガソリンなど、火災を大規模化させる要素がたくさんあるのです。木密地域やそれに近い場所で大火災が避難所から1kmに迫ったら、すぐに避難を始める必要があるでしょう。その後風向きが変わったりしなければ、ほぼ確実に避難所にも延焼することになります。

避難所において大火災を監視する具体的な方法と、危険が迫った時の集団避難の方法については、過去記事で詳しく触れていますので参考にしてください。
■首都圏直下型地震を生き残れ!【44】☆大火災編はこちらから

津波や火災の他には、有毒ガスの危険があります。近隣にコンビナートや化学工場があり、そこが爆発・出火した場合には、風向きによっては有毒ガスに襲われることもあります。東日本大震災では千葉県市原市の油脂タンクが爆発炎上しましたが、幸いにあの煙自体には強い有毒性は無かったものの、濃い油煙を浴びることになるかもしれず、その場合はパニックの発生も懸念されます。

もちろん、吸い込んだらすぐに危険な煙になることも十分に考えられます。しかし有毒性の有無は、現場ではすぐにわかりません。だからこそ、あの煙は非常に危険だという膨大なデマ情報がネット上を飛び交ったのです。

デマ情報に踊らされて、本来は安全な避難所から、さらに大きな危険の中に移動してしまうような判断ミスは、絶対に避けなければなりません。これに対しても、平時から避難所の周辺には何があるか、どんな危険物質が放出される可能性があるかを知っておくことで、情報の真偽を判断する助けになります。

しかし実際には、本当に危険な物質が放出されるかどうかの情報を素人が得ることは困難です。でも、仮に「ここからは危険なガスが発生することは無い」という情報を持っているだけでも、十分なアドバンテージになるのです。


そのほか、現実的な危険としては地盤の液状化があります。でも、これは避難開始時にはすでに発生しているものですから、避難所の危険というよりも、避難経路の危険と言えます。液状化のせいで、道路が通行できなくなる危険です。それに対応したオプションの経路を、平時から複数探しておくことで、危険の大部分は避けることができます。

なお、液状化に限らず水がたまって地面が見えない道路を進む場合は、沈んだ瓦礫を踏んで怪我をしたり、側溝やふたが外れたマンホールに転落する危険が大きくなります。地面が見えない場合は、杖をついて足下を確かめながら、慎重に進まなければなりません。

いずれの場合も、忘れてはならないのは、「避難場所も必ずしも安全では無い」という意識です。本当に安全が確認されるまでは常に情報収集を継続し、いつでも再避難できる体制を整えておかなければなりません。

次回からは、避難場所の危険を事前に知るための、フィールドワーク用チェックリストをお送りします。


■当記事は、カテゴリ【災害対策マニュアル】です。

« 【防災の心理30】どうしたら“本気”になれるのだろう | トップページ | ご紹介ありがとうございます(多分) »

災害対策マニュアル」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 【防災の心理30】どうしたら“本気”になれるのだろう | トップページ | ご紹介ありがとうございます(多分) »