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2014年7月14日 (月)

【防災の心理28】災害対策で満足…できる?

私たちの生活の中で、個人の防災、つまり災害対策の優先順位はどれくらいでしょうか。まずは最優先課題で無いのは当然としても、実はこの「優先順位」という発想自体が馴染まない世界だと、管理人は考えています。

もし、災害対策を「モノの備蓄」や「避難訓練」というような行動に限るならば、ある程度の優先順位を決めることができます。収入のどれくらいを振り分けるか、休日にレジャーに行くか、地域の避難訓練に参加するかというように。

そのような行動の最大のメリットは、行動の結果がわかりやすいということ。水や食料があれば確実に渇きや飢えを防げますし、避難行動を学べば「こうすれば助かる(可能性が上がる)」という実感ができます。つまり、平時から行動による対価、すなわち満足感が得られるのです。

現実的には、我々が遭遇する可能性のある災害の大半は、危険な場所から避難して、その後しばらく持ちこたえられれば大丈夫ですから、前記のような災害対策の効果も最大限に発揮できます。被災後にも「備えておいて良かった」という満足感を得られますし、それを普段から想像して「自分は災害が起きても慌てない」というような安心感を得ることもできるでしょう。それも、災害対策の大きな意味だと思います。そのような満足感や安心感をどれだけ得たいと思うかによって、行動の優先順位が決まる部分でもあるわけです。


しかし、災害対策における最重要課題は、まず「生き残る」こと。災害の種類や規模があるレベルを超えると、発災直後にいきなり生命の危機に晒されます。しかも、生活のありとあらゆる場面で遭遇する可能性があるのです。

現実を見て見ましょう。阪神・淡路大震災では、6434人に上った犠牲者の約86%、約5500人もが自宅内で、その多くが就寝中に死亡しました。これは午前5時46分という早朝の発災であったことと、揺れが強かった地域に耐震強度が低い建物が多かったことによるものですが、発災時点で、すでにモノの備蓄や避難訓練の効果はほとんど失われています。耐震強度が低い木造家屋は、揺れ始めからほとんど10秒程度で倒壊したと言われています。

なお、この時は震源が浅い直下型の震度7でしたが、想定される東京直下型地震が最大規模で発生した場合、同様の非常に破壊力の大きな揺れとなることが予想されます。

東日本大震災は、午後2時46分という日中の発災です。多くの人が仕事や買い物などで外出していて、児童の帰宅時間帯でもありました。地震による直接的な犠牲者の数はそれほど多く無かったと思われますが、その後の津波で犠牲者が増えた要因のひとつとして、「ピックアップ行動」が指摘されています。

子供や家族を迎えに、つまりピックアップするために多くの人が主に自動車で津波危険地帯に入り、それが渋滞に拍車をかけて、避難行動の遅れを招きました。津波の危険がある時には、特に都市部では自動車で避難してはいけないというのが基本ですが、危険地帯からの避難だけでなく、外部からの往復の移動によって、よりひどい渋滞になったのです。

また、石巻市内のように大規模ショッピングセンターなどにいた客が、一斉に自動車で帰宅やピックアップ行動を始めたために、道路容量を完全に超えた「超渋滞=グリッドロック」状態になり、全方向へ全く動けなくなったところを、津波が襲った例もありました。大規模ショッピングセンターなど、津波避難所としては理想的だったのですが。


この例でも、モノの備蓄があり、避難訓練を行った自宅や職場を離れているという時点で、備蓄や一般的な避難訓練の効果は、ほとんど失われています。もちろん、「津波の危険がある時は鉄筋コンクリート造りの頑丈な建物の3階以上に避難」という教えに沿って助かった人も多かったのですが、様々な理由で動き出した人が少なく無かったために、結果的に犠牲者が増えてしまったという現実もあります。そんな中に巻き込まれてしまったら、それまでの備えはほとんど役に立ちません。

なお、それまで言われていた「3階以上へ避難」、つまり3階以上に津波が届くことはまずないという考え方では、最悪の状況では逃げきれないこともあるという現実を、東日本大震災は私たちに突きつけました。同様の状況は、想定される南海トラフ地震が最大規模で発生した場合に、より広大な、より人口密度が高い地域で起こることが予想されています。


このような現実により、災害の規模があるレベルを超えると、モノの備蓄やある定点での避難訓練など、言うなれば「満足感のある災害対策」が役に立たないことも多いということを、私たちは目の当たりにさせられているのです。

そんな状況で「生き残る」ためには、自分の周囲の危険要素を事前にできるだけ排除することと、自分の居場所と状況に合わせた瞬間瞬間の正しい判断が必要ですが、それを実現するにはそれなりの出費と手間、それなりの知識と家族や職場などとの協調が必須です。

ならばそんな備えを皆がすればいいじゃないかという話なのですが、そこからは、実に「面白くない」世界に入ってしまうわけです。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

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