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2014年8月15日 (金)

【防災の心理36】傍観は危機を招く?

1964年に米国で発生した『キディ・ジェノヴィーズ事件』では、35分間に渡って殺人犯から逃げ回る被害者を38人もの人が目撃しながら、誰一人として警察に通報しませんでした。これは、ただ"無関心”が生んだ出来事なのでしょうか。

事件後、専門家によって行われた社会心理学的な調査と事件で、そのような場合に陥りがちな、ある群集心理の存在が明らかにされました。

そ群集心理は、『傍観者効果』と呼ばれます。人はある状況において、自分以外の傍観者がいる場合には率先して行動しなくなる、つまり「自分がやらなくても、誰かがやるだろう」という意識を生みやすいということで、『キディ・ジェノヴィーズ事件』はその典型だったわけです。

これは学術的に指摘されるまでもなく、誰にでも覚えがあることだと思います。できれば関わりたくない、しかし重要な事態に直面した場合、自らは傍観、静観を決め込むことで"誰か”が動くのを期待してしまうということ、ありますよね。交通事故現場の"傍観”も、その典型的な例と言えます。ママさんにとっては、PTAの役員決めとか。そしてその心理は、傍観者が多いほど強くなって行くのです。

しかしそれは無関心でも悪意でもなく、人間の本能的な防御反応と考えられますから、それを批判しても始まりません。『キディ・ジェノヴィーズ事件』でも、もし誰かが「彼女を助けよう!」と駆け出していたら、同調する人や警察に通報する人が現れたに違いありません。"リーダー”の登場です。

『傍観者効果』が群集心理ならば、そのような付随行動も群集心理のひとつです。動き出すのは自分だけではない、危険も責任も分散されるという心理が、行動のきっかけを与えるのです。まさに『赤信号、みんなで渡れば怖くない』わけです。

問題は”本当に渡っても大丈夫か?”という判断も必要だということ。もし犯人が銃を持っていてこちらが丸腰だったら、リーダーがなんと言ってもまっすぐ突っ込んで行くのは危険すぎます。集団で赤信号を渡っていれば大抵の車は止まりますが、暴走ダンプが突っ込んで来ることもあるということです。

つまりリーダーにもついて行く者にも、それなりの知識と判断力が必要です。そしてそのレベルが高いほど、行動が成功する確率が高まります。例えばリーダーが歴戦の兵士だったら、協力者に安全な場所から犯人の気を引かせ、自分は手近なものを武器に死角から攻撃するという作戦も取れるわけです。


この『傍観者心理』というものは、他を助けるという場面だけでなく自分が当事者である場合に陥ることもあるから厄介です。例えば、この場所にいたら津波に襲われるかもしれない、しかし正しい情報も無ければリーダーもいないという状況では、自分の運命さえも"傍観”してしまう可能性があります。

特に、巨大災害のようにその恐怖を実感したことが無い場合には、「だれも言い出さないから大丈夫だろう」というような、前出の『正常化バイアス』や『楽観バイアス』にも陥り、自らリーダーとして集団を率いる行動をしづらくします。しかも本能的な群集心理により、集団の中にいた方が安心感がありますから、自分だけが逃げ出すという行動もしづらいという、なんだかがんじがらめの状態になってしまいやすいのです。

要は、人は想定を超える事態に直面し、さらにそれが集団の中だったら、基本的には"自分からは何もしたくない”状態に陥りやすいということです。

しかし現実は非情であり、間違った判断や行動は、それなりの結果につながるだけです。どんな理由にしろ、そこで求められる判断や行動を放棄したら、他を助けられないだけでなく自分も危機に陥ることがあるのです。

では、そんな心理を乗り越えて他を助け、それ以前に自分の安全を確かなものにするためには、どうしたら良いのでしょうか。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

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