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2014年9月14日 (日)

☆再掲載☆【対災害アクションマニュアル28】水中で何ができるか?

■当記事は過去記事の再掲載です。内容は加筆修正しています。


今回は自動車の危険のうち、落水について考えます。具体的には水中への転落、洪水や津波に巻き込まれる危険です。車に乗っていて水中に入ってしまったら、確実に「生き残る」方法は無いどころか、その確率は非常に低いと言わざるを得ません。これは、過去のあまりにも多数の実例が証明する、過酷な事実です。

では、車で落水した場合の死因は何でしょうか。これはほぼすべてが水による窒息、つまり溺死であることに疑いはありません。すなわち、車で落水した場合には、呼吸を維持できるかどうかが、生死の分かれ目となります。

とは言え、車は水よりはるかに重い鉄の箱です。本来ならばあっと言う間に沈みます。比較的静かな水面で、窓が閉まっていればしばらくの間は浮いていられますが、それもせいぜい1分程度と考えるべきです。強い流れの中では、転覆して流れに巻き込まれる可能性が非常に高くなりますが、これは百万言を費やすよりも、現実の映像がすべてを物語っています。

いずれの場合も、車の中が水で満たされた時点で、そのままでは生き残れる可能性はゼロになりますから、生き残るためには、その前もしくは直後に脱出することが、唯一の方法ということになります。

もちろん水深が車高より浅かったり、流れがそれほど強くなければ、車の中にいても生き残れる可能性は出てきますが、それはあくまで受動的な結果に過ぎません。ここでは、あくまで能動的に『生き残る』可能性を高める方法を考えます。

そのためにできることは、車が水中に入った場合には最短時間で脱出する、もしくは脱出できる態勢を作る、ということしかありません。躊躇している時間は全く無いのです。特に、重心が高いミニバンは水に浮いた時点で転覆する可能性が高いので、急がなければなりません。転覆したらガラスが割れて一気に水没する可能性も高く、それ以前に、逆さまの状態からの脱出は困難を極めます。


車から脱出するためには、ドアや窓を開ける必要があります。しかし車のドアは、車体が半分程度、タイヤの高さより少し上くらいまで漬かった時点で、水圧によって開かなくなります。水に浮いた状態では、ドアを開けることはまず不可能です。仮にドアが開けられても、水が一気に流れ込んで来て数秒で水没します。

一気に流れ込んで来る水の力は非常に強く、シートベルトをしていないと、車内で身体ごと吹っ飛ばされるでしょう。そうなれば窓を開けるしかありませんが、水に落ちた時点で車の電気系統が水没していますので、パワーウインドウはまず作動しないでしょう。

そこで必要になるのが、レスキューハンマーです。
Photo
(シートベルト切断用ハサミつきの一例)

既に車内に装備されている方も多いとは思いますが、問題は緊急時にすぐに手に取れる場所にあるかということです。理想的なのは運転席から手が届く場所に取り付けられている状態ですが、せめてグローブボックスの中にでも入っていないと、自分のためには役立てられません。既に備えている方も、トランクや荷室に入れっぱなしになっていませんか?

参考までに、北極圏などで凍った水上を走る車は、レスキューハンマーをルーフの中央につけています。これは前後席両方から手が届くことと、転覆してもすぐ頭上のハンマーがあるので、一瞬で手に取れる位置だからです。いつ氷が割れて氷点下の水中に落ちるかわからない車の、究極の装着位置と言えます。


車のサイドウインドウは、力を一点に集中できる、つまり鋭く尖ったもので強く叩くと、比較的容易に割ることができます。その場合、一気にガラス全体にヒビが入り、小さな破片となって崩れ落ちるように割れますから、一発で脱出口を開くことができるのです。

注意すべきは、窓枠の部分にガラスの破片が残る可能性が大きいので、そのまま窓枠をすり抜けようとすると、皮膚が切り裂かれたり、衣服が引っかかったりします。可能な限り窓枠に衣服などをかけて、怪我を防ぎます。
理想的なのは、車内のフロアカーペットを外して窓枠にかける方法です。もし時間的余裕があれば、対策すべきでしょう。

レスキューハンマー以外でも、鋭く尖った金属ならば他のものでも代用することが可能です。詳しくは別項で述べたいと思いますが、ここでは管理人が常時持ち歩いているものを一つ紹介しましょう。
Photo_2
長さ12cmの小型バールです。これは以前にも紹介しましたが、むしろ交通事故などで他者を救護するときに、外からガラスを割るのに役立つものです。もちろん、その他にも利用価値は絶大です。使用時には、こんな感じになります。
Photo_3

その他にも、シートのヘッドレストを抜き取り、鉄製の脚の部分を叩きつけてガラスを割る方法もありますが、脚の先は安全のために丸くなっているので、鋭く尖ったものにくらべて何倍もの力が要ることは知っておかなければなりません。ヘッドレストの脚を使う方法は一部でトリビア的に語られており、不可能ではないものの、実際にはかなり困難なのです。

レスキューハンマーでも、加工不良で先端部が一見してもわからないくらいに丸まっていたため、実際にはほとんどガラスを割ることができずに、回収命令が出た商品もあるくらいです。


窓ガラスを割る場合、水深が窓ガラスより高い位置になっていたら、水が猛烈な勢いで流れ込んで来て、しっかりと身体を保持していないと吹っ飛ばされます。理想的にはシートベルトを締めたまま、しっかりと掴まった状態で車内が水で満たされるのを待つとされていますが、これは訓練を受けた人間でも困難だとも言われます。その恐怖たるや、想像を絶するものでしょう。

そこで管理人としては、やはりシートベルトを外してから、息を大きく吸って、ハンドルやグリップにしっかりつかまり、足を踏ん張ってからガラスを割る方が良いのではないかと考えています。水中でシートベルトを外し、身体に絡まないようにするのは、かなり難しいことだと思います。

車内が水で満たされれば、かなり水の抵抗は受けるものの、ドアを開けることができるようになります。しかし、その時点から車体は一気に沈み始めますから、最短時間で脱出しなければなりません。その時点でシートベルトなどが身体に絡んだら、冷静に外すことなど不可能でしょう。ですから、管理人としてはガラスを割る前にシートベルトを外すことを推奨したいと思います。“一発勝負”ですから、脱出を阻害する要素はできるだけ排除しておかなけばなりません。

その後のことはマニュアル化できるものではありませんが、とにかく、そのままでは死に至る可能性の高い、一つの大きな危機から脱出する方法ということです。


ところで、ここまでにドアロックの事は述べていません。最近の車は電動集中ドアロックが主流なので、水中では作動しないものと考え、脱出までにそれぞれのドアの手動用のロックノブを解放しておかなければなりません。実は自動ドアロックの方式には二種類あります。それは“走行中にロックするか、しないか”というもので、国やメーカーによって考え方が違い、国産車でも統一されていないのです。

まず、主流である米国式。これは一定の速度を超えると自動的にドアをロックし、乗車中はロックされている方式です。これは、米国では信号停車中に車に乗り込まれるような強盗犯罪が多いので、それを防ぐためという発想からです。

一方で、乗車中には自動ロックしないのがヨーロッパ式。これは、事故発生時の脱出や、車外からの救助活動の障害にならない事を最優先に考えているものです。管理人の知る限りですが、国産車ではスバル車がこの方式です。我が国にはこちらの方が向いていると思うのですが。

なにしろ、ご自分が乗る車がどちらの方式であるかを知り、緊急時には手動でドアロック解放の必要があるかどうかを、普段から意識しておくことが大切です。その知識ひとつが生死を分けることも、十分に考えられるのです。

次回も自動車での落水について考えます。

■再掲載に当たっての追記(2014,9,14)
車のドアロックは、最近は新しいタイプが出てきています。基本的には記事で述べた米国式、つまり一定速度以上で自動ロックされるものの、事故などで強い衝撃が加わった場合、自動的に開放されるシステムです。しかし、落水や強い水流に流されたくらいの衝撃で開放されるとは限りませんし、水で電気系統がショートする可能性が高いので、やはり自分でロックノブを開放することを考えておくべきです。


■当記事は、カテゴリ【災害対策マニュアル】です。


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