【徹底的に防水・防寒を考える09】ずぶ濡れ!その時あなたは?【応用編1】
このシリーズでは、冬の山中で川に落ちてずぶ濡れになった状況を想定し、その対策を考えて来ました。
ある意味で、あまり現実的ではない想定です。こんな目に遭いたくなければ、ひとりで山に行かなければ良いのですから。
しかし前述の通り、同じ様な状況は街中でも起き得るのです。津波や洪水でずぶ濡れになり、不自由な場所に孤立するようなことは、実際に起きています。
さらにあり得るのは、例えば災害後に徒歩で帰宅中に、強い雨や雪に見舞われるようこと。十分な雨具が無ければ、かなり似た状況になります。
いずれも山の中よりは選択肢が増える一方で、街中ならではの困難さもあります。
身体がずぶ濡れでなくても、暖が取れず食事もできない中では、体温の低下によって動けなくなることは、街中でも十分にあり得ます。
そんな場合でも、生き残るという以前に、体力を維持して行動を続けられる状態でいなければなりません。
被災者が膨大な数に上る巨大災害下では、動けなくなったくらいでは救助の手が差し伸べられないこともあるはずです。
自分でなんとかしなければならないのです。
【正しい対応が導いた生還】
覚えていらっしゃるでしょうか。2004年(平成16年)10月、台風23号の影響で京都府舞鶴市内が洪水に見舞われ、その中でお年寄り37人が乗った観光バスが孤立しました。
水位はどんどん上昇し、バスは水没しました。そこで豪雨の中、全員がバスの窓から屋根の上に避難しましたが、一時は屋根上でも腰まで水に浸かったそうです。
携帯電話で救助は呼んだものの、すぐに日が暮れました。ゴムボートでの救出は、流れが速すぎて断念されました。結局、翌朝天候が回復してヘリに救出されるまでの約9時間以上を、全員が屋根の上で耐え抜いたのです。
豪雨、暗闇、ずぶ濡れ。バスの周囲は轟々と流れる濁流。いつ来るかわからない救助。そこで幸運だったのは、乗客の中に元看護師がいたこと。その方は、やるべきことがわかっていました。
低体温症の影響を防ぐために、全員で『結んで開いて』を続けたそうです。指を動かして血流を確保させたのです。
さらに、全員で声を合わせて歌を歌いながら、朝まで耐え抜きました。
そして皆が低体温症に陥りながらも、全員が無事生還したのです。報道にはありませんが、運動と歌だけでなく、きっといろいろな言葉をかけて、気力を維持させたのでしょう。
もしその方の正しい指導が無かったら、全員の生還はおそらく無かったのではないかと思われます。
このように知識と技術があれば、自分だけでなく他人を救うこともできるのです。
では、次回から街中での応用編をお送りします。
■当記事は、カテゴリ【防災用備品】です。
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