エボラはそこまで来ている?
エボラ出血熱のアウトブレイクが止まりません。
先日は、中国でエボラ陽性43人が確認されたというニュースが一瞬ネット上に流れ、すぐに『誤報』として消去されました。
その真偽はともかく、世界各地へじわじわと拡大しつつある状況です。現時点では、西アフリカ地域以外での封じ込めには成功しているようですが、その包囲網が破られる可能性はいつでもあります。
エボラウイルスは、空気感染はしません。空気中を浮遊する少量のウイルスを人が吸い込んでも、肺から感染する可能性はほぼありません。
エボラは、ウイルスに汚染された体液との接触または飛沫によって感染するのです。感染者の体液にウイルスが排出され、それが他者の粘膜を通じて侵入して感染します。
感染者の体液に直接触れなくても、例えば感染者がセキやクシャミをして、テーブル上に飛び散った唾液を他者が触り、その手で目などの粘膜をこするなどして感染する可能性があります。 なお、エボラ出血熱の症状にはセキやクシャミは無いとされますが、他の理由で起こらないとは言えません。
そのように二次・三次感染した患者が世界のどこで発生するかわからず、潜伏期間のうちに他の場所へ移動することで、気づかないで感染を拡大させる可能性があります。
エボラ出血熱の潜伏期間は通常3~5日程度とされますが、最長21日という例も確認されています。潜伏期間中には感染力はほとんど無いとされますが、発病してもエボラとわからないうちに、各地でウイルスを”ばらまく”かもしれません。
日本政府は『水際阻止』の方針を発表しましたが、自覚症状の無い患者が世界のどこから入って来るかわかりません。アフリカ方面からの到着者だけを監視すれば済むわけではないのです。感染者が監視をすり抜ける可能性が高いと言わざるを得ません。
発病すると初期症状は風邪に似ていて、発熱、頭痛、関節や筋肉の痛み、倦怠感などから始まり、下痢や嘔吐も起きます。ただの風邪だと思って放置しているうちに、感染を拡大させてしまう可能性があるのです。
現時点では、感染者が我が国に入って来る可能性はあまり高くないものの、その可能性はいつでもあり、今後しばらくの間は危険な状況が続くと考えなければなりません。
【個人でできる対策は?】
エボラウイルスは感染者の体液を通じて感染しますが、体液が皮膚についただけでも、少量の飛沫を吸い込んだくらいでも感染しません。
それが粘膜に接触し、細胞内に侵入した段階で感染するのです。
ですから、最大の対策は感染者が触ったり、体液が付着した可能性のある場所に触れた後、そのまま目をこするなどして粘膜に触れず、その前に流水で良く手を洗うことです。エボラウイルスには、石鹸やアルコールの使用で消毒効果があります。
指の間、しわの中まで、良くこすり洗いするのがポイントです。ブラシを使うとなお良いでしょう。
その他、もし”感染者がどこにいるかわからない”ような状況になった場合には、抗ウイルスマスクも効果が見込めます。エボラは空気感染はしませんが、何らかの理由で飛散した体液の飛沫をを吸い込む可能性を大きく減らせます。
それ以前に、最も有効な対策は流水での十分な手洗いが基本であると覚えておきましょう。
【ウイルス消毒に効くのは?】
まず、手を洗う際に石鹸やアルコール系ジェル(アルコール60%以上含有のもの)の使用で、消毒効果が見込めます。アルコール消毒が効かないウイルスもありますが、エボラには石鹸もアルコールも効果があるのです。
さらに、他のウイルスと同じく『次亜塩素酸ナトリウム』が効きます。
次亜塩素酸ナトリウムを十分に水で希釈し、噴霧したり拭き取ることでウイルスを消毒する効果があります。
ただし、原液はもちろん希釈液でも絶対に皮膚や粘膜に使用してはいけません。刺激性、毒性があります。有毒の塩素ガスも発生しますし、金属を腐食させたり色物を漂白する効果がありますから、大量に使用してもいけません。
あくまで、感染者が触れた可能性のある場所の消毒に限定し、十分な通気を確保した上で使う必要があります。
つまり、感染者が多数出るような状況でなければ、必要は無いということです。あくまで”最後の手段”ということで、覚えておくくらいで良いでしょう。
なお、塩素系台所用漂白剤(商品名キッチンハイター等)も、主成分は次亜塩素酸ナトリウムなので代用できますが、台所用には界面活性剤などの添加物が含まれているので、できればケンミックス4など専用の薬剤を使うことをお勧めします。
【消毒液の作り方】
この方法は、ノロウイルスやインフルエンザウイルスに効果のある方法として紹介されているものです。エボラ出血熱ウイルスにも効果が見込めるのは確かですが、完全に消毒できるとは断言できません。
ここでは、食品添加物として認可されている次亜塩素酸ナトリウム剤(商品名ケンミックス4)での消毒液の作り方を示します。この消毒液は、ノロウイルスなど他のウイルスの消毒にも有効です。(ケンミックス4は、文末にAmazon の販売ページをリンクします)
塩素成分が4%のケンミックス4では、500ミリリットルのペットボトルに入れた水道水に、そのペットボトルのキャップ半分強(約2.5ミリリットル)を混ぜることで、約250倍の希釈液ができます。これは、ドアノブやトイレの便座などの消毒に使います。
感染者の便や吐しゃ物がついた場所の消毒には、5倍の濃度にします。500ミリリットルの水に対し、キャップ2杯半くらいとなります。
なお、次亜塩素酸ナトリウムはプールの消毒に使う薬品で、使用すると“プールの匂い”がします。これは有毒の塩素ガスの匂いで、大量に吸い込むと頭痛などが起こることがありますので、使用する際には十分な換気が必要です。
【気にし過ぎないように】
こういう記事を書いておいてなんですが、現時点では我が国だけでなく西アフリカ地域を除く世界のどこでも、すぐに市民レベルの対策が必要な場所はありません。
あくまで可能性の問題なのですが、仮に我が国で感染者が出た場合に、対策がわからずに右往左往しないための知識として覚えておくくらいで良いでしょう。
もしマスメディアで対策が流されるような事態になったら、次亜塩素酸ナトリウム剤や抗ウイルスマスクは一瞬で売り切れますよw
【管理人はアオりが大嫌いです】
最後に、これは決して”アオり”ととっていただきたく無いのですが、今起きていることを正確に理解していただきたいために付記します。
エボラウイルスは、人類が知っているうちで“最凶”のウイルスで、感染すると致死率は最大で80%にもなります。
バイオハザード(ゲームじゃないですよ)の最高レベルP4という最厳重管理されるべきウイルスであり、有効な治療法もまだ発見されていません。
そして現在、人類史上最大のアウトブレイクが起きており、現時点では拡大こそすれ、収束の見込みは立っていません。
かつて西アフリカ地域で何度かアウトブレイクが起きましたが、感染者がその地域から外に出ることはありませんでした。
今回、医療関係者など濃密接触者が主とはいえ、史上初めてエボラ感染者が西アフリカ以外に出たのです。
現代における世界の濃密な人的交流を考えれば、他の地域に感染が拡がり、広範囲でのパンデミック(感染爆発)が “起こるかもしれない”状況が続いています。
決して”対岸の火事ではない”ということを正しく認識しし、いざ危険が迫った場合には、自分でできる有効な対策を覚えておくことが必要です。
【10/25追記】
既に、一部週刊誌などでエボラの危機をアオる記事が出始めています。近いうちにもっと扱いが大きくなり、あちこちで騒ぎになるでしょう。でも、あくまで『正しく怖れる』ことが必要なのですが、どうなることやら。
【10/27追記】
ついにというか、リベリアから帰国した男性が機内で発熱と体調不良を訴え、羽田空港で隔離されて現在検査中です。仮にエボラウイルス陽性だった場合、我が国における第一号感染者となります。しかし、発熱程度の症状の間に機内で感染が広まった可能性は非常に小さいでしょう。
この方は感染地域である西アフリカのリベリアから帰国したので、現地で感染した可能性がありますが、疫学の専門家によると、例えば米国で三次感染者(現在発生している二次感染者からの感染)が出るレベルになると、米国をはじめ他の地域からも我が国へ感染者が移動して来る可能性が高まるとのことです。
状況は危急を告げつつ、なお流動的です。今後の情報に留意しましょう。
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記事冒頭の中国で陽性患者、という報道は、陰性を陽性と誤訳したということになっているようです。
一番重要なところを誤訳するか と、信じがたい思いも多少ありますが、真偽は確認出来ません。
中国といえば02~03年にかけてSARSを隠蔽した、という前科があるため(奇しくも同じ広東省ですね)、つい報道も色眼鏡をかけて見てしまいます。その時に世界中から非難されて、次の新型鳥インフル(H7N9)の時には、積極的に情報を出していたようなのですが…一度失った信用を取り戻すのは難しい
私は普段化粧をしない女でして、目だの鼻だのも普段から触りまくるくせがあるのです。(フルメイクする女性は化粧崩れを防ぐため、顔を触ることに慎重です)
手洗いの癖付けと平行して、顔を触らない癖をつけなければ危ないわ…
投稿: ぼたもち | 2014年10月25日 (土) 15時37分
>ぼたもちさん
中国からはアフリカ方面への出稼ぎ労働者かなり多いのに、その動きとか一切報道されないってのも怖い。現実的な問題として、感染者が移動する可能性はすごくあるのですが。
まだ電車のつり革とか気にすることもないでしょうが、インフルやノロ対策も含めて、ちょっと手洗いを丁寧にとかアルコール系ウエットティッシュ持参とかすると、気分的に楽かもですね。
投稿: てば | 2014年10月26日 (日) 19時39分
こんにちは。
アルコール消毒ですが、濡れた手で使っても効果が半減してしまいます。
本当に効果を期待したいのであれば石鹸で手を洗ったのちにペーパータオルで手を拭ってアルコール消毒したほうが効果的です。
また、外出時は顔に菌が付着する確率が高いので洗顔したほうが良いと考えられますが、エボラの場合というよりインフルエンザ対策ですね。
菌を99%シャットアウトするマスクも販売されて売れているようですが、これも装着の仕方が疑わしい人がたくさんいます。
防塵マスクをゴムで顔ピッタシつけて粉じんただよう室内で作業をしたことがありますが、それでも鼻の脇から空気が入ってきてました。なかなか外気をシャットアウトするのは困難だと思います。
何が言いたいかといいますと、こちらのブログでいつも主張されている事ですが、使い方とそれによって低減できるリスクの見極めが重要かなと考える次第です。
投稿: whoki | 2014年10月30日 (木) 22時53分
>whokiさん
おっしゃる通りです。まさに道具は使いよう。ご指摘ありがとうございます。
今回は陰性だったようですが、まだ危機的状況は続いていますので、次回また採り上げる時には反映させていただきます。
実際、私はノロウイルス対策で過去記事でも紹介しているエタノールのスプレーボトルを持ち歩く時もあり、乾いた手に噴霧しております。やるときはきっちりやらないといけませんね。対策も記事も。
私は福島の警戒区域で防護マスクを使いましたが、実際、簡単に漏れますね。N95以上の規格のマスクでも、実際にはテープなどで目止めしなければ、特に鼻の横は簡単に漏れます。N95など通気性が低いだけに、実際にはほとんど鼻の横から入った空気吸っているようなもので。
軍用のガスマスクでも、ちょっとヒゲが生えているだけで漏れますしね。記事では不完全な部分もあって申し訳ありませんが、承知しております。以後、きっちりと記述させていただきます。
ありがとうございました。
投稿: てば | 2014年10月31日 (金) 01時02分