【続報・分析】長野県北部で震度6弱
11月22日午後10時8分ごろ、長野県北部の深さ5kmを震源とするマグニチュード6.7(当初の発表から修正)の地震が発生し、白馬村などで最大震度6弱を観測しました。
【震災余震とはタイプが異なる】
この地震は震源深さが5kmと浅い内陸直下型地震で、震源直上付近では短周期で建物への破壊力が非常に強い揺れに襲われたはずです。
震源が浅かったために強い揺れの範囲はかなり局限されましたが、地震の規模がマグニチュード6.7とかなり大きかったために、非常に広い範囲で揺れが観測されました。
震央に程近い白馬村神城地区では耐震性の高い新しい住宅も全壊していることから、局地的には震度6強レベルの揺れになったものと思われます。
気象庁の発表によれば、この地震は『北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型』とのことで、東日本大震災後に内陸部で多発している張力による浅い正断層型地震とはタイプが異なる、圧縮力による地震です。
【フォッサマグナの地震】
東日本大震災から約2ヶ月半後の2011年6月1日から過去7日間の震源図に、今回の地震の震央を重ねてみました。赤線で表示した『糸魚川-静岡構造線』(フォッサマグナ)北部東側の、赤と黄色の○印が今回の震央です。
この図からもわかるように、震災の影響による地震が多発していた時期にも、今回の震央付近はほとんど動きが無かったことがわかります。
その後の記録を見ても、ごく小規模の地震が散発的に発生しているだけで、目立った集中は見られません。
今回の地震は、日本列島の構造を東西で分断する『糸魚川・静岡構造線』(フォッサマグナ)付近の破砕帯内に蓄積された圧縮力によるひずみエネルギーが比較的大規模に開放された地震であり、震災による地殻変動の直接的な影響というよりも、あくまでフォッサマグナ付近の『ひずみ集中帯』が単独で動いたという性質が強そうです。
もっとも、東日本大震災による地殻変動でフォッサマグナにも大きなストレスがかかっているのは間違いなく、非常に広い意味では震災の余震と言うこともできるでしょう。
【神城断層が動いたか】
今回の地震は、フォッサマグナ東側の『神城断層』が動いたものと思われます。
本震が神城断層線直近で起き、その後の余震も神城断層に沿って発生しています。神城断層直上付近の白馬村神城地区の建物被害が最大であることからも、それが裏付けられます。
【前兆はあったのか】
この地震の4日前の11月18日に、ほぼ同一震源で震度1~2クラスの地震が3回発生し、3日前の11月19日にも震度1が1回発生しています。
比較的静かな震源域が1日に3回動いたということは、後から考えれば前兆と考えられなくもありません。
しかし、予知や警戒レベル上昇に繋がるような現象でもありません。この程度の連続地震自体は珍しくなく、その後大規模地震に繋がらないことがほとんどだからです。
【今後どうなるか】
気象庁発表の通り、地震発生から1週間程度は最大震度5強クラスの余震が発生する可能性があります。
しばらくの間は強い余震の発生を想定しておく必要がありますが、場合によっては近隣の震源の動きを誘発する可能性もありますので、いずれにしろ震央付近ではしばらく高い警戒レベルを維持することが必要です。
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コメント
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新月期の夜間の停電は真っ暗闇に近いですね。
近年は家庭向けのソーラー庭園灯が普及しているので多少明かりの足しにはなっているでしょう。
ちなみに僕の場合、乾電池については保管が楽で寒冷時の性能低下が少なく、ソーラー充電可能なニッケル水素電池を多用しております。
投稿: PAKA | 2014年11月23日 (日) 19時24分
>PAKAさん
今回のコメントは、EDC記事の方へ頂いたものですよね。まあいいですけどw
ソーラー庭園灯はいいですよね。それを置ける庭がある前提ですけど。暗闇の中の灯りには自然と人が集まりますから、いろいろな部分でメリットもあるかと。
ところで電池ですが、私は備蓄用ではなく趣味用のツールとしてニッケル水素電池を使っています。容量と強力な放電性能には満足していますが、防災用には根本的な問題があると思うのです。
ニッケル水素電池はその特性上、保存しておくだけでも自己放電してしまい、一ヶ月に一度くらいは補充電が必要だと認識しています。一度完全放電してしまうと再充電ができなくなるともされています。
普段使いならともかく、常時満タンにしておきたい防災用としては、ちょっとキツイかなと。
投稿: てば | 2014年11月25日 (火) 20時30分
>てばさん
すみません、コメ欄を間違えて書き込んだわけではないですが(^^;
今回の地震では、夜間、新月時に発生し、火災ゼロも重なり、どれだけ暗かったろうと思いまして。
ソーラー庭園灯には不満もあります。
受光パネルがどれも地面と平行に取り付けられたものがほとんどです。
多少割高になってもパネル面が傾斜しているか、可動式のモノが欲しいです。
ニッケル水素は自己放電が大きいとは、おそらく昔の話ではないでしょうか?
現在では一年放置でも8割程度の残量をキープするスペックがありますし、バッテリー切れが早くなってきた充電池は、リフレッシュ機能付き充電器で活性化できます。
アルカリ電池は個体差の性能が未だに大きく、新品でも信頼度が低いです。
液漏れ補償つきであっても液漏れします。
ニッケル水素の液漏れは記憶にないので、リサイクル、携帯性の観点からも充電式ニッケル水素乾電池です。
その昔は、リチウム乾電池がお気に入りでした。性能はともかく、4半世紀経った今でも使えてますよ。
投稿: PAKA | 2014年11月26日 (水) 03時04分
>PAKAさん
それは失礼しました。
都市部で暮らしていると夜の本当の暗さを忘れてしまいますが、足元も見えないのが普通の夜なんですよね。山間部は月明かりも届かないことも多いですし。
ソーラーパネル、個人的にはソーラーLED標識の上についてる斜めの奴がいいなと。もっとも、あの高さで取り付け方向が固定されているからこそできるのですけどね。
私が使っているニケ水は8.4Vで1800mAhの6セル積層という特殊な奴ですし、確かに初期のものです。
最近の汎用ニケ水のスペック見てきましたけど、かなり自己放電は抑えられているんですね。ならばパワーが必要な電気器具にはアリですね。
モバイルバッテリーとかは、早くリチウムポリマーが出ないかなと思ってます。コンパクトハイパワーが魅力ですが、専用充電器が無いとダメなのがネックですね。その辺なんとかしてほしい。
私は普通はアルカリを多用していますが、確かに安いものは持ちがイマイチです。でも時々通電してやれば、液漏れは皆無です。20年以上使っているマグライト、最近は出番が少ないのですが、数ヶ月に一度、数秒の通電で液漏れはありません。
普段使わない器具には入れっぱなしじゃなく、別に保存しておけば事実上大丈夫かと思います。リサイクル性の観点からは若干問題ですが、コスト、入手のしやすさからはアルカリが一般的かなと。
投稿: てば | 2014年11月27日 (木) 00時24分