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2014年11月25日 (火)

【長野県神城断層地震】直下型地震の恐怖

11月22日の長野県北部地震は、正式に『長野県神城断層地震』と命名されました。被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

本格的な寒さに向かう中で被災するということがどういうことか、そこで何が必要なのかを、現地の様子から我々も学ばなければなりません。


【神城断層が動いた】
この地震を起こした神城断層は『糸魚川ー静岡構造線』(フォッサマグナ)北部東側の破砕帯内をほぼ南北に走る逆断層です。

今回は北西ー南東方向にかかる圧縮力によって東側が西側に乗り上げるようにずれることで、マグニチュード6.7、最大震度6弱という大きな地震となりました。そのような断層のズレの一部は、地表でも観測されています。

神城断層の活動記録を、過去に遡って調べて見ました。

それによると、神城断層も含む一帯の断層帯が西暦800年頃にマグニチュード8クラスの巨大地震を起こした可能性があるものの、その後は今回の地震に至るまで大きな地震被害の記録は残っていません。

過去最も近い場所で起きたマグニチュード6以上の地震は、今回の震源から南西方向へ約30km程を震央として1714年に推定マグニチュード6.3が発生していますが、今回の被災地周辺には大きな被害の記録は残っていないようです。

その後も神城断層に続くさらに南部の断層は何度も動いていますが、今回被災した白馬村、小谷村付近では事実上有史以来初めての大きな被害である可能性が高いのです。

今回の最大震度6弱を観測したのは長野県の戸隠、鬼無里、小谷村小谷、小川村高府の4観測点ですが、甚大な建物被害の多くは白馬村神城に集中しているようです。

白馬村の最大震度は5強とされていますが、2000年(平成12年)改正の現行耐震基準建築か、少なくとも1981年(昭和56年)改正の新耐震基準建築と思われる建物が何棟も全壊しています(下画像)
14112201
通常、現行耐震基準の建物は震度5強レベルで全壊する可能性は低いのですが、あの被害状況からして、白馬村神城での揺れによる破壊力は事実上震度6強レベルにまで達していたものと思われます。

建物の破壊程度で見れば、東日本大震災の震度6強~7地域よりも破壊力がずっと大きな揺れだったのは間違い無いでしょう。

これは、直下型地震における震源直上付近の典型的な現象と言うことができます。


【直下型地震の恐怖】
今回の地震は震源深さが5km程度と非常に浅く、震源直上付近の白馬村神城では揺れの周期が1秒から2秒以下程度の“短くて速い”激しい揺れに襲われたと思われます。

そのような揺れは木造建物や低中層建物の『共振周波数』に近く、建物自体が揺れを増幅させて最も大きな破壊力をもたらすのです。

このタイプの揺れは、同じく直下型地震だった1995年の阪神・淡路大震災でも大きな建物被害を出しました。その破壊力の大きさから“キラーパルス”とも呼ばれます。

阪神・淡路大震災の震源深さが17km程度だったのに対し、今回は5km程度と非常に浅かったために、地震の規模ははるかに小さかったにも関わらず、震源直上のごく限られた地域においては同等に近いレベルの破壊力をもたらしたものと思われます。


【遠くなると緩くなる】
一般に、地震の揺れは震源に近いと周期が短く、震源から離れるほど周期が長くなって行きます。

地震波が地中を伝わって行くうちに、速度の違う波が合成されることにより、周期が長くなるのです。

広い水面に指をつけて細かく動かすと指に近い場所はさざ波が立ちますが、距離が離れるにつれてゆるやかな波になって広がって行くのと同じ現象が、地中でも起きているわけです。


東日本大震災はプレート境界型(海溝型)地震で、震源が陸地からかなり離れてる海底だったために、陸地に届いた揺れの主成分が周期2秒以上になっていたので、震度6強~7でも建物被害は阪神・淡路大震災ほど大きくなりませんでした。

その一方で、超巨大地震のエネルギーは震源から1000km近く離れた関西まで揺れの周期を伸ばしながら到達し、大阪では震度3だったにも関わらず、共振周期が近い高層ビルを大きく揺らしたのです。


これに対し、震源が浅い直下型地震は、岩盤の破壊による強烈な震動が短周期のまま地表に“そのまま届く”わけで、それが大きな破壊力をもたらします。

その破壊力は、震源との垂直距離が最も近い震源直上付近で最大となりますが、今回はそれが白馬村神城付近だったということです。

このように、地震の破壊力は揺れのタイプによって震度だけでは計れない違いをもたらします。言うまでも無く、もっとも危険な揺れが発生するのが直下型地震なのです。


【さらに短いとどうなるか】
木造や低中層建物に最も大きな破壊力をもたらすのは、前述のように周期1~2秒程度の短周期の揺れです。

加えて、震源域直上付近ではさらに短い周期0.2~0.5秒程度の『極短周期』の揺れ成分も大きくなります。

このタイプの揺れは、山や崖などを崩す力が非常に大きくなるのです。

典型的だったのが2008年の岩手・宮城内陸地震で、この地震では極短周期の揺れが強く発生したために、建物被害がそれほど大きくなかった一方で、栗駒山系で大規模な山体崩落が発生しました(下画像)
Photo
今回の地震でも極短周期の揺れ成分もかなり大きかったと思われ、震源域周辺では山崩れも多発しています。

そのような揺れが市街地を襲えば、構造物への破壊力は小さなものの、堤防、土手、盛土、斜面の宅地、切り通し、河岸段丘、台地の辺縁部などを崩落させる可能性が高くなります。

阪神・淡路大震災でも、あまり報道されていないものの宅地近くの土砂崩れでの犠牲者もかなり出ているのです。


【どこでも起きる】
日本列島の地下には、ほとんどどこにでもこのような地震を発生させる可能性がある活断層が存在します。

未だ発見されていない活断層も多いだけでなく、ほとんど動くことは無いとされていた断層が突然動くということもあります。

前出の岩手・宮城内陸地震を起こした断層など、30年以内に大規模地震が発生する確率は0.5%以下と評価されていたものです。


そして東日本大震災が発生し、大規模な地殻変動によって日本列島全体に大きなストレスがかかっています。

それがどこの断層にどんな動きを誘発するか、残念ながら現代の科学では予見し切ることはできません。

今回の地震を起こした神城断層も、震災後にも目立った動きが無いまま大きく動きましたが、それはすなわち大きな歪みエネルギーが溜まったままの断層が、あちこちに存在するということの証左でもあります。

“その時”は、いつ来てもおかしくありません。そして、それがあなたの居場所の真下であっても。


テレビで災害被災者を見ても、なんとなく“自分とは違う”人々に見えてしまうものですが、災害被災者とそれ以外の人の違いはただひとつ、“その時”の居場所だけに過ぎないのです。

長野県神城地震に関する記事はこれで一端終了し、当ブログは通常ペースに戻ります。何か特記事項がありましたら、随時関連記事をアップします。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

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