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2014年12月23日 (火)

無根拠の脅しなのか?【続々・間違いだらけの防災情報】

前回記事より続きます。

今回は、“防災・危機管理ジャーナリスト”を名乗るW氏のコメントについて問題点を指摘します。

なお、念のため繰り返しておきますが、管理人はこのコメントの問題だけをあげつらうのだけが目的ではなく、W氏に限らず、このような不良情報が無批判に拡散されていることを問題視して、このような記事をお送りするものです。

さらにはW氏に限らず、他の“防災・危機管理ジャーナリスト”も似たりよったりが多いことへの警告でもあります。


【脅せば良いのか】
W氏は、メディア上でこう言っています。

「脅し上等」

ご年配の割にはまるでやんちゃな中学生のような言い回しですが、どうやら防災意識を高めるためには脅しが有効だと考えられているようです。

しかし、こんな大災害が来るぞ手が打てないぞと脅すことと、正しい防災情報を啓蒙することは全く異質なものです。恐怖を煽るだけでは決して正しい災害対策へ発展しないことは、過去多くの事例からも明らかです。

あくまで具体的なソリューションとトレーニングを伴ってこそ現実的な対策となるのは、防災に限らずどの世界でも一緒。

脅すだけ脅しておいて、あとは各自で考えろというのが『専門家』、しかも“ジャーナリスト”だとは、あいた口が塞がりません。

そうでなくても、マクロ的な防災情報や現実には出来もしない、役に立たないソリューション(この御仁、そういうの目立ちます)を提示すれば『専門家』でございます、というのなら、そんなものいらない。

まあ、ソリューションは有料の講演や書籍をどうぞというプロモーションなのでしょうがね。もっともそこに有用な情報があれば良いのでしょうが、多くの場合ピントがずれていたり『生き残ってから』の情報に偏っているのは、これまで当ブログで指摘して来た通りです。

しかし“大御所”が百年一日の如くこんなことを平然とのたまい、それが有り難がられているのが、災害大国日本の現実です。


【お待たせしました】
前置きが長くなりました。本題に入ります。まずコメントの前半部から。以下に太字で再掲します。

『11月22日に長野県北部地震(長野県神城断層地震)が発生し、日本地下の活動がついに中央構造線にまで来たと思いました』

言わんとすることは、11月22日に発生した長野県神城断層地震が、中央構造線の動きによるものだと。

ここで、日本列島の主要な構造線(地質的に不連続となっている大規模断層)をご覧いただきましょう。ピンク色の×印が、長野県神城断層地震の震央です。
Photo
これのどこが、中央構造線の地震だと言うのでしょうか。


長野県神城断層地震は、青線で示した糸魚川ー静岡構造線の東側の破砕帯内を南北に平行している神城断層が動いたもので、赤線で示した中央構造線とほぼ無関係なのは一見してわかります。

気象庁からも、この地震の本震と余震が神城断層から東側に連なる地下の逆断層面で発生していることが発表されていますから、糸魚川ー静岡構造線と関連する地震であることが明らかです。

しかし『活動がついに中央構造線に来たと思った』と。一体何の根拠があってのことでしょうか。全く無根拠の思いつきか、単なるケアレスミスか。

それを言うなら阪神・淡路大震災の方が余程、中央構造線の動きに関連する地震に近いと言えます。でも「ついに」と言っているのですから、そうは考えていないのでしょう。

いずれにしろ、長野県神城断層地震が中央構造線付近の地震活動が活発化する嚆矢であるという理論は、管理人には見当たりません。ご存知の方は、ぜひご教示をお願いします。


問題は、情報の誤り自体よりも、このような無根拠の話を『専門家』がひけらかし、それが無検証で正しい情報の衣を着せられていることなのです。

曲がりなりにも『専門家』を名乗る人物が、正しい知識を持っていないのなら言語道断、無根拠の思いつきを言うのも言語道断、ノーチェックでケアレスミスをするのも言語道断。

「思った」とつけておけば、個人的な考えに過ぎないから問題無しというのならば、さらに言語道断です。


【うがって見てみよう】
ここからは管理人の想像です。これがケアレスミスで無いとしたら、どんな意図があるのか。

まず、中央構造線に関する大規模地震の発生確率が、地震調査研究推進本部の2011年の発表では、以後30年間にマグニチュード7.6 - 7.7程度で0.5 ~ 14%と、比較的高く見積もられていること。

ですからついに“それが始まった”という印象を与えて、お得意の脅しをかけようとしているのでしょうか。しかしこの数値は主に西日本地域の話であり、長野県など中部地域においては、歴史的に見ても中央構造線に関わる巨大地震は発生していないのです。


では、なぜ糸魚川-静岡構造線に関わる地震と言わないのか。

上図をご覧いただければわかる通り、中央構造線付近には大都市が連なっていますから、大規模地震が起きれば糸魚川-静岡構造線付近とは比較にならない規模の被害となり、被災人口も膨大な数になります。

しかもその大半が、現在最も懸念されている南海トラフ巨大地震の被災予想地域と重なるのです。

つまり、今最も地震や津波を恐れている人が多い地域に、さらに脅しをかける意図があるように見えないこともありません。

敢えて非常に不快な表現をすれば、それは“お客様”を一気に増やすことにもなります。脅しをかけて不安を煽れば、商売になる世界ですから。

商売は、需要と供給で成り立っています。需要が少なければ、“需要創造活動”をするのが商売繁盛の定石ですし。

とまあ、このようにいろいろうがって見ることもできるわけです。繰り返しますが、これは管理人の想像に過ぎません。しかし、異論反論ご意見は喜んでお受けします。

これがもし、単に糸井川-静岡構造線と中央構造線を取り違えたケアレスミスだったならば、そんな超基本的な事さえも混乱するくらいにヤキが回っているということなのでしょうかね。ならば、すぐに『専門家』の看板を下ろしていただきたいものです。


長くなりましたので、後半部は次回に続きます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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