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2015年1月15日 (木)

まだ続く。池上彰防災特番にもの申す!

前回記事から続きます。できましたら、ひとつ前の記事からお読みいただければと思います。

当記事は、1月14日にTBS系列で放送された防災特番阪神大震災20年 生死を分けたドキュメントが語る!池上彰の生きるための選択について述べています。今回は、その番組の中で管理人が一番問題だと思った部分です。


【すぐに助け出すな!】
番組では、JR福知山線脱線転覆事故の現場で、阪神・淡路大震災の教訓が生かされたというテーマでの再現ドラマがありました。

大破した車両内で両足を長時間挟まれていた方が、阪神・淡路大震災の教訓で設立されたDMAT(災害派遣医療チーム)の医師の正しい判断と処置で生還したという話です。

というと、もうおわかりの方もあるかと思います。そうですクラッシュシンドローム(=クラッシュ症候群、坐滅症候群)です。

クラッシュシンドロームとは、手足などを長時間に渡って強く圧迫された後に圧迫が解放されると、損傷した細胞から漏れだした高濃度のカリウムが体内を循環し、高カリウム血症を引き起こして高い確率で死亡に至るという危険な症状です。

阪神・淡路大震災の時にまだあまり知られておらず、かなりの数の方がそれが原因で亡くなりました。その教訓から、災害現場での処置が大きく変わったのです。


番組ではまず、再現ドラマの後のコメントに致命的な誤りがありました。クラッシュシンドロームが疑われる場合、まずできるだけ水分を補給しなければなりません。理想的なのは点滴による輸液です。

これは、損傷した細胞に体内の水分が吸収されるために、極度の脱水症から急性腎不全を発症するのを防ぐための処置です。しかし番組では(それも池上氏が)「血液内のカリウムを薄めるため」と解説しています。

輸液によって血中の水分が増えれば、確かにカリウムの濃度を下げる効果はあるのでしょう。しかし高濃度のカリウムが体内を循環して心停止に至る高カリウム血症を発症するのは、圧迫が取り除かれて損傷部位の血流が回復した後のことです。経口や輸液での水分補給はその前段から、主に圧迫されたままの状況で、脱水状態を改善するために行う処置なのです。

あの池上氏にしては、随分とお粗末な発言でした。

さておき、JR福知山線事故では、阪神・淡路大震災の教訓からクラッシュシンドロームが疑われる負傷者をすぐに助け出さず(圧迫部位をすぐに解放せず)、十分な治療体制が整うまで輸液を続けるという処置によって、生還者を増やしたのは確かです。

さらに、カリウム循環による影響を小さくする処置も行われたはずで、教訓が生かされた事例としては良いでしょう。


【ならばどうしろと?】
とは言え、あの事故は非常に過酷だったものの、短時間でDAMTが臨場するという、救急体制が整った状況だったのです。でも大災害の現場では、すぐに十分な医師の処置が受けられることなど、ほとんど無いでしょう。

ならば、我々はどうしたら良いのか。だれもがそう思ったはずです。しかし、それについては一切無し。簡単な説明さえも全く無し。教訓が生かされたことを、長々と紹介して終わり。医師がいなかったら、あきらめろと?

一体、何のためにクラッシュシンドロームを採り上げたのでしょうか。単に感動的な生還ドラマ制作のため?数字取れそうなネタとして?『九死に一生』的な番組ならともかく、防災情報番組なのです。


【困難、しかし道はある】
正直、素人がクラッシュシンドロームに対してできることは、非常に限られます。それでも、生き残る可能性を上げる方法はあります。

それに全く触れないで、何が【生きるための選択肢】なのでしょうか。

『こうすれば助かる』というわかりやすい方法が無いから、責任も取れないからカット、知りたければ自分で調べて自己責任でやれということなのでしょうかね。

そうならそうと、処置は複雑なので良く調べてからやってくださいねとか言っていただきたい。でもそれはメディアのプライドが許さないとか?


この番組に対する管理人の感想を、以下の一文にまとめます。

『阪神・淡路大震災20年の節目で防災ネタが注目されるから、人気の池上氏をフィーチャーして低予算でとりあえず作ったやっつけ仕事』

これに尽きますね。池上氏もほとんどありきたりの事しか言わず、全然キレが無い。池上氏にしても、やっつけ仕事にしか見えません。

防災というと、メジャーな商業メディアにはこういうトリビアや感動モノのしか期待できないということでしょうか。池上氏のイメージも、私の中ではガタ落ちです。


【ぜひ伝えてください】
ところで、管理人がなぜこんな長々と批判記事を書いたのか、理由を述べておきましょう。

実は当ブログ、この放送局から結構アクセスをいただいているのです。どのセクションの方かは存じませんが、前回と今回の記事をご覧いただけていたら、ぜひとも制作陣の皆様にお伝えください。

あまりにも『本当に大切なこと』が抜け落ちているんじゃないですか?と。

管理人がスポンサーサイドだったら、こんなの許さないんだけどなぁw


なお、当ブログではクラッシュシンドロームが疑われる場合のできる限りの対処方法について、別記事でまとめてます。文末にリンクしますので、是非ご覧ください。

目の前で瓦礫に挟まれているのは、あなたの家族や大切な人かもしれないのです。

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■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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