【ホイッスルトライアル04】総合評価です
今回と次回は、レスキューホイッスルの総合評価と、トライアルの結果わかった、レスキューホイッスル選ぶときのポイントについてです。「究極の」ホイッスルのレポートは、その後にお送りします。
■エントリー♯1 アルミ製筒型単音階笛
本体が細く小さいせいか、最も高く鋭い音を出した。強い息では十分に実用になる。欲を言えば、もっと音の「厚み」が欲しい。弱い息ではひょろひょろとした頼りない音。
この笛に限らず、細い筒型単音階の笛は、箱型や複音階笛に比べて吹き込んだ息のかなりの部分が音にならずに吐き出されている印象が強い。
それでも、その小ささとアルミの外観は魅力で、サブ的にバッグなどにつけておくには良い。他にもこのタイプが市販されているが、価格が高いものはさらに良い音が出そう。
なお、金属製笛は画面や筐体に傷をつけやすいので、スマホや携帯のマスコットには向かない。
■エントリー♯2 プラ製箱型単音階笛
この製品はノベルティとして配られていたもので、性能的にはあまり突き詰められていない印象。強い息での音量は最も小さかった。弱い息での鳴りも良くない。
本体に組み込まれた付属の赤LEDランプは防水性が無いため実用レベルと言えないが、そこが改善されてもう少し照度アップすれば、コンセプト自体は悪くない。
角が丸められた箱型の本体はしっかりくわえやすくて良いが、やはり単音階のせいか、息がかなり無駄になっている印象。
なお、♯1と♯2は安価なノベルティということもあり、あくまでタイプ別の参考としてエントリーしたもの。
■エントリー♯3 プラ製筒型単音階笛(IDカプセル付)
このトライアルのきっかけとなった、100均ショップダイソーで販売している笛。コピー元が4000円クラスのコールマン社製品なので、形状やIDカプセルは高評価。カプセルの防水性も十分。吹き口は細いながら、ギザギザが唇の密着度を増し、空気漏れをかなり防いでいる。
強い息の音は甲高くて聞こえやすく、十分実用レベル。しかし弱めの息では♯1や♯2より良いものの、実用上十分とは言えない。しかし100円でこの機能ならば、最もコストパフォーマンスに優れる良品と言える。とりあえずの入門用やまとめ買いにお薦め。
付属のストラップは絡みやすく、プラ製のジョイントも外れやすいので、交換するかリングでどこかに取り付けておく方が良さそう。
■エントリー♯4 プラ製平型3音階笛
これは防災用と言うより、アウトドアでの注意喚起や熊避け用と言えるもの。音はまさに、バスケットボールの審判が吹く笛のそれ。かなり柔らかい音で耳あたりは良いのだが、音量と聞こえやすさは劣る印象。
弱い息での鳴りはエントリー中最も悪く、防災用途には適するとは言えない。サバイバル用として販売されていても、こういうものもあるということ。
本体は平たくて収納時に邪魔になりにくいが、付属のボールチェーンでぶら下げておくと、引っかかった時などに切れる恐れがある。
■エントリー♯5 プラ製平型2音階笛
840円という価格が信じられない安っぽさwしかし米国沿岸警備隊、日本の海上保安庁など各種公的機関で採用されているものと同等品とのことで、本体には「MEETS USCG REQUIREMENTS」(米国沿岸警備隊要求性能適合)の刻印があるプロ仕様。
その性能はさすがで、強い息の音は音量、音質とも抜群。録音では後の♯6より聞こえにくい感じもするが、実際には高音成分が強く、耳の奥に刺さるような感じでエントリー中最良の印象。騒音下や海上でも聞こえやすいというか、それが主眼かも。
弱い息での鳴り、音量、音質も最良レベル。このタイプの2音階笛は二つの笛の片方が弱い息に対応しているようで、それは♯6も同じ。
シンプル、コンパクトで高性能と言うこと無しだが、その価格がネック。ストラップもただのナイロンひもなので、持ち歩きや取り付けにはアレンジが必要か。
■エントリー♯6 プラ製箱型2音階笛
文具メーカーコクヨが販売する笛。強い息、弱い息での鳴り、音質、音量は最良レベル。特に最弱の【湯冷まし息】での鳴りは最良。
吹き口にキャップがついていて衛生面への配慮もあるが、片手だと外すのに苦労する。外したキャップはプラ一体成形で本体に繋がっていて落ちないが、吹き口に重なりやすく邪魔。落ち着いた状況ならともかく、緊急時、片手操作、機能障害者などの操作性には不安が残る。
本体は角が立った直方体だが、角が丸められていればなお良かった。ただ、バッグの中や暗闇で手探りで形を認識しやすいメリットはある。 しかし、視界が無い中や慌てている時、キャップの構造を知らないと、すぐに外して吹くことができないこともありそう。笛としては非常に高性能だが、操作性には改善の余地ありか。
吹き口のキャップについたタブでネックストラップなどにも取り付けられるが、そのタブがキャップの操作性を落としている印象もある。
作りは良いのだが、健常者がある程度落ち着いた状況で使うことが前提となっている印象を受ける。ストラップは携帯ストラップと同様の細い樹脂ワイヤーで、どこにでも取り付けは簡単。
キャップを外すには両手で持って引っ張るか、歯で噛みながら片手で引っ張る必要があり、それが困難な場合は吹けない可能性も十分に考えられる。 子供、お年寄りや機能障害者が常備する場合には、本体からキャップを外してしまうのも良いかもしれない。基本的に良い製品だけに、苦言が多くなった。
【さてランキングです】
最後に、総合的なランキングをしてみたいと思います。評価項目は、笛としての性能、操作性、付属品、価格です。
笛としての性能は#5と#6が飛びぬけており、甲乙付け難い印象。すぐに吹ける操作性は#5に分がある。そこで付属品の性能、コストパフォーマンスと入手しやすさも考慮した結果、#6がエントリー製品中最良と判断した。もちろん次点は#5だがその差はわずか。でも安い方がいいw
それに肉薄するのが#3の100均笛。弱い息での鳴りに不安はあるものの、100円でIDカプセル付きのコストパフォーマンスは大きな魅力。なお、同タイプで300~400円の製品もあるが、単音階笛の鳴りが#5や#6を超えるとは思えない。
次は#1のアルミ筒型笛。強い息での鳴りはかなり高評価。弱い息の性能は不足だが、そのコンパクトさと外観は魅力。
次は#2のLED付き笛。最大音量、音質、弱い息での鳴りいずれも不満足。タダでもらえるならサブにどうぞ、という感じ。
最後は#4の平型笛。これは管理人のセレクトミスかもしれないが、災害時の救助要請用にはあまり向いていない製品。特に弱い息では全くダメで、あくまでアウトドアでの注意喚起や熊避け用か。笛の空気穴が大きいせいか、最大音量を出すにもかなりパワーが必要だった。
というわけで、最終ランキングは以下の通りです。
良い方から#6→#5→#3→#1→#2→#4
となりました。選ばれる場合は、上位3位までがお薦めとなります。
なお、いずれの製品も本体の堅牢さは十分で、#2のLEDライトの防水性能を別にすれば、バッグや携帯電話などに取り付けておいても破損しやすいようなものはありませんでした。
【他にもいろいろあります】
このトライアルは、管理人の手持ちと独断で選んだ製品をテストしたものですが、もちろんレスキューホイッスルは他にもいろいろあります。
ただ、このトライアルを通じてどのようなタイプがより良いのか見えて着た部分もあります。次回は、当ブログが考えるレスキューホイッスルの選び方についてお送りします。
■■以下、Amazonの販売ページへのリンクです。なお、#6の「コクヨ防災の達人 ツインウェーブ」はAmazon調べ価格540円税別として記事や動画に表示しましたが、さらに安価(378円税別)で販売されていることがわかりました。下記リンクは、安価な方の販売ページです。お詫びして訂正いたします。
ダイソーの100円笛は、通販では入手できません。各店舗へお問い合わせください。
■当記事は、カテゴリ【防災用備品】です。
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