【続報】台湾で旅客機が墜落
【墜落直前の事故機。両プロペラの回転が遅く、プロペラブレードがはっきりと映っているのがわかる】
台湾で発生したトランスアジア航空のATR-72型機墜落事故は、回収されたデジタルフライトデータレコーダー(DFDR)とコクピットボイスレコーダー(CVR)、いわゆるブラックボックスの解析結果により、衝撃的な事実がわかってきました。
通常、ふたつのエンジンが同時に故障することは、バードストライクなど不運な外的要因を除けば、確率的に考えられません。しかし今回の事故では離陸上昇中にそれが発生したと思われていたので、その原因が何かということが注目されていました。
事故直後に公開された映像でも、両エンジンのプロペラの回転が明らかに遅く、ほぼエンジン停止状態で風圧で空回りしているような状態であったことが見て取れます。つまりほとんど推力ゼロだったのです。
【信じられないお粗末さ?】
DFDR解析の結果、離陸後1分くらいの上昇中に、右翼の第2エンジンにトラブルが発生しました。それでももうひとつのエンジンが正常ならば、少なくとも飛行を継続して緊急着陸することには全く問題無かったのです。
しかし、直後に不可解な操作が行われました。故障した第2エンジンではなく、正常だった左翼の第1エンジンの出力が、『人為的に下げられた』のです。なぜそのような操作が行われたのかはわかりません。でも最も可能性が高いのは、錯誤による操作ミスでしょう。
その後第1エンジンも停止したようで、再起動の操作が行われた記録があるものの、再起動できないまま失速、墜落に至ったようです。
【事前に防げた事故】
その後ビルをギリギリで超えて川に「落とした」操縦は、あの状況下では最良のものであった可能性が高いのは、前記事で述べた通りです。
しかしそれ以前に、致命的な判断、操作ミスが起きていたのです。操作ミスを未然に防ぐようなフェイルセイフ思想で設計されている航空機ですが、故障したエンジンではなく、正常なエンジンを止めてしまうような誤操作を防ぐようなことはできません。訓練されたパイロットが、そのような意味不明の行動をすることは想定されていないのです。
誤操作の理由はまだわからないものの、ひとつ確かなことは、トラブル発生後に正常な操作が行われていさえすれば、エンジン片発故障による空港への引き返しだけで終わったということです。
実に不可解で理不尽な事故ではありますが、こういうことも起きてしまうのが現実でもあります。ハイテク化によって人間の負担はどんどん軽くなり、確率的な安全性は向上して行きますが、ヒューマンエラーを防ぎ切ることはいまだできないのです。
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