【ヲタ目線地震教室01】『ドン!』が一番ヤバい(#958)
新シリーズを始めます。名付けて【ヲタ目線地震教室】
地震のメカニズムを基礎から詳しく解説します・・・というつもりはさらさら無くw、あくまで普段接する地震情報の気になる部分を、文字通りヲタ目線プラス斜め上から目線で解説して行きます。
【必殺震源推定法!】
いきなり手前味噌ではありますが、管理人の“特技”から。
管理人は地震を感じた際、揺れが収まった直後くらいに震源域と震源深さ、さらにマグニチュード値をある程度推定することができます。東日本大震災前の勤め人時代は、地震が起きると「いまのどこ?」と内線電話がかかって来たくらいでw その的中精度は、在住期間が長い関東南部ならば8~9割に上ります。
なぜわかるかというと、もちろん超能力でもオカルトでもありません。地震の揺れかたを、蓄積した知識と情報に照らし合わせることで推定します。その方法は、地震のメカニズムと深く関係していますので、まずはそのお話から。
管理人が震源域などを推定する際に照合する要素を、以下にまとめてみます。
■初期微動(P波=たて揺れ)を感じたか、その揺れかたと大きさはどうだったか。
■初期微動と主要動(S波=横揺れ)との時間差はどれだけあったか(反射的に秒数をカウントしてしまいますw)
■主要動の揺れ方はどうか。ポイントは以下の通り。
・強い揺れの立ち上がり方
・揺れの周期
・揺れの方向
・揺れの持続時間
■その地域における地震の経験則。不案内な土地では精度が落ちます。
以上の要素を総合的に判断し、揺れが収まったくらいで、例えば「千葉県北東部、深さ70から90km、マグニチュード4.5!」とか言い放ち、ドキドキしながら公式情報を待つわけです。きっちり読み切れたら、よっしゃぁとガッツポーズでしたね、震災前は。
時には、初期微動を感じた段階で「震度4くらい、来る!」とか言ったりして本当に来るので、周囲からは不思議がられるというより、むしろ変人扱いですねwでも、きちんと理屈に則って判断しているだけなんです。
【管理人のヲタ的頭の中】
地震を感じた際に管理人が考えることの一例を、文字にしてみます。
『お、地震だ。そんなに大きくない縦揺れだから、震源は遠くないけど規模は大したことないな。カウント開始1、2、3・・・横揺れ来た。時間差から距離は○○kmくらい、距離がそれほど無いのに立ち上がりが弱くて周期が長めの揺れだから、震源は深めだな。揺れの方向は東西が主成分だ。その方向で○○kmくらいならば○○震源域か。持続時間が長めだから、やはり深いぞ。○○震源域としてこの揺れならば、マグニチュード値は4台後半くらいだな。○○震源域では××kmくらいの地震が過去にも起きている。ならば○○震源域深さ××km、マグニチュード4.5から4.7くらいということで・・・』
・・・という風に考えているわけです。この中で、初期微動と主要動の時間差で、震源までの距離がある程度わかるということをご存知の方は多いと思いますが、揺れの方向で震源の方向を推定していることに疑問を感じられた方もあるかと思います。それについては、追々解説して行きます。
【実際に役に立ちます】
管理人がこんなことをするのは、防災ヲタだからではありません。これは、危険な地震をいち早く判断して対処したいという思いからのことです。
そんな思いと蓄積したヲタ知識が融合して、趣味半分でついでに震源当てをしているようなもの。もし被害が予想されるような揺れを感じたら、悠長に揺れを感じていないで、誰よりも早く動き出すでしょう。
そこで、今回のポイントを2点。こんな揺れを感じたら、すぐに避難・防護体制を取るべきだということについてです。関連するメカニズムなどについては、後記事で解説します。
【今回のポイント】
■下から突き上げるような『ドン!』という揺れを感じたら、最短時間で机やテーブルなどの下に入る、広い場所へ移動する、危険物から離れるなどの行動をせよ。
【理由】下から突き上げるような縦揺れは、震源が近くて浅い(5~15km程度)、規模が大きな直下型地震の特徴です。その直後には強烈で速い、破壊力が大きな横揺れが来ます。震源が本当に直下ならば、縦揺れと横揺れが混ざった振り回すような揺れが、ほぼ同時に来ることもあります。
横揺れが始まってしまうと、四つん這いにもなれないくらいの激しい揺れになることもある、最も危険な地震です。阪神・淡路大震災はこの典型でした。
■『ガタガタ、ビリビリ』というような縦揺れで、固定していない小物が動くような規模ならば、すぐに上記のような避難・防護体制を取れ。
【理由】これは震源が比較的離れている浅い地震のこともありますが、震源が深め(40~90km程度)で規模が大きな直下型地震や、東日本大震災のような震源が海底のプレート境界型(海溝型)大規模地震で感じられることが多い揺れです。
その後の横揺れは浅い直下型ほど強烈ではないものの、大きく振り回すような周期が長めの揺れに襲われる可能性が高く、震源が海底ならば、津波の危険があります。高層ビルを大きく揺らす、長周期地震動が発生することもあります。
理屈はともかく、今回のポイントはこの2点。最初に来る初期微動(たて揺れ)の段階で危険を察知できれば、身を守れる可能性が大きく膨らみます。重要なことは、強めのたて揺れを感じた段階で震源が近いか、遠くても規模がでかいかのどちらか、ということなのです。
もっとも、たて揺れか横揺れかはすぐに判断しづらいので、最初に『ドン!』や大きな『ガタガタ・ビリビリ』を感じたらすぐに動け、ということで良いでしょう。
なお、そのクラスの地震になると、ほぼ確実に緊急地震速報が発報されますが、震源が近い直下型の場合は、揺れの方が先に来ることも多いということも忘れてはなりません。
■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。
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