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2015年3月19日 (木)

免震構造の弱点ついて知っておこう【2】(#956)

Iso
前回記事では、免震構造とはどういうものかということに触れました。今回は、免震構造建物は本当に安心か?ということについて。

結論から述べましょう。免震構造建物は、建物が倒壊したり大きく破壊されたりする可能性は、非常に小さくなります。しかし、“必ずしも揺れが小さくなるわけではない”のです。

これから述べることは、2012年3月8日に東京大学で行われた『首都圏直下型地震防災・減災プロジェクト最終成果報告会』で発表された内容に基づいています。

ご記憶の方も多いと思われますが、あの『南関東直下で震度7が起こる可能性ある』というレポートが発表され、結構な騒ぎになった時です。ちなみに、管理人もこの発表会に参加しています。


【免震構造の弱点とは?】
免震構造とは、前回記事のような装置によって、地面の揺れが建物本体に伝わりにくくするものです。しかし、どんな揺れも伝わりにくいかというとそうでもない、ということが、実物大模型を使った加震実験でわかってきたのです。

なお、いかなる揺れの場合でもその震動エネルギーを減殺する効果は大きく、建物の構造破壊を防ぐ効果は絶大であることは確かです。ただ、地震の場合は『建物が壊れなければ良い』というわけではありません。

ここで、発表会で配布された独立行政法人防災科学技術研究所のレポートから、関連部分を引用させていただきます。

【以下引用】------------
短周期地震動の加振では、高い免震効果が発揮され、床の最大応答加速度は十分に低減され、建物の構造的な被害もほとんど見られませんでした。
(中略)
一方、長周期地震動の加振では、免震構造でありながら、床の最大応答加速度が1.3倍に増幅してしまい250cm/s2程度となりました。これは、免震構造の固有周期と地震動が持っている最もパワーのある周期(卓越周期)とが近接しているため、免震建物が共振し応答が増幅してしまったものです。しかし共振しても応答加速度が250cm/s2程度であるため、建物の構造的な被害はほとんど見られませんでした。
【引用終了】------------

専門家向けの資料ですから、何やら難しいことが書いてありますが、おわかりでしょうか。

最も重要な部分は、

『免震構造に長周期地震動を加えた場合、共振現象によって揺れが増幅された』

ということです。長周期地震動とは、揺れの周期が2~5秒程度の“ゆらゆらとした揺れ”です。東日本大震災の時、関東付近から関西まで高層ビルを大きく揺らした、あの揺れです。

このような揺れは、大きな地震の震源から比較的距離が離れている場所や、平野部のような堆積地盤で発生しやすくなります。つまり、日本列島の平野部ならば、どこでも発生すると考えて良いでしょう。


【実例も確認しました】
実は、管理人も実際に見ています。東日本大震災の時、埼玉県南部の自宅、8階建て耐震構造マンションの2階では、キャスター付きワゴンが大きく動いた程度でした。

しかし、すぐ近くで地盤などの条件がほぼ同じの免震構造のマンション6階では、固定していない家具が倒れ、テーブルなども激しく移動していたのです。

当時は、2階と6階という違いだけでは説明がつかない大きな差の理由がわからなかったのですが、後に上記の説明会に参加して、それが免震構造の弱点だと得心したわけです。

でも恣意的なものなのでしょうか、この弱点はほとんど一般に公開されていませんね。建設会社や不動産会社からすれば、あまり知られたくない事実でしょう。


【弱点に対処するために】
では、その対処方法とは。

免震構造の弱点をわかりやすく言うと、免震構造建物がゆらゆらと大きく揺すられると、あたかも高層ビルの上階にいるかのように、速い速度で大きく振り回されることがあるということです。

ならば、もうおわかりかと思います。免震構造建物だからと言って、部屋の中の地震対策をしなかったり、簡単に済ませてはいけないということです。

それどころか、むしろ強化しておかなければなりません。大地震が起きた時、最初の危険は家具類が転倒したり、冷蔵庫やピアノなどの重量物が激しく動くことなのです。

免震構造建物に住まわれていたり、仕事をされている皆様、このことは是非覚えておいていただき、できるだけの対策を進めていただければと思います。

建設会社や不動産会社に文句を言っても始まりません。これは現在の、少なくとも実験で使用されたゴム製アイソレータ式免震構造にあまねく存在する、根本的な問題なのです。


※2015年3月26日 記事タイトルを一部変更しました。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


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