【ヲタ目線地震教室02】地球の中は流れている(#965)
今回は、地震とは何かということについて考えてみましょう。
【地球は動いている】
とりあえず、一応基本的なことから入ります。
地球の表面の深さ10~60kmくらいまでは、卵の殻に例えられる固い岩盤である、地殻に覆われています。その下には、地殻よりは柔らかい岩盤である、マントルと呼ばれる部分があります。
マントルも岩盤なのですが、非常に長い時間のうちには、水のような流体と同じ性質を見せます。“流れる”のです。地球深部の熱で加熱された部分が軽くなり、地球表面に向けて沸き上がってきます。地球の内部では、高温高圧の地球中心部というコンロで熱せられたマントルが、あたかもお湯が沸く時のような対流を起こしているわけです。
マントルが湧き出る部分には海底山脈である海嶺が形成され、所々にはマグマが湧き上がるホットスポットができ、激しく活動する火山が形成されます。ハワイ諸島やアイスランド島が典型的なホットスポットです。
地球表面近くにまで沸き上がったマントルは、新しい地殻を作りながら横方向へ流れはじめ、その上に乗った地殻ごと動かして行きます。その速度は、年間数cm程度。
その動きによって起こるのが、大陸移動説やプレートテクトニクス理論とされているもので、要は大陸が乗った地殻は常に動いているわけです。
このため、太古にはひとつの巨大な陸地(超大陸パンゲアと通称)だった大陸が引き裂かれて移動しながら現在のような形になったとされ、それは現在も続いているのです。
実際に、現在の大陸の海岸線の形は引き裂かれた当時の形を残している部分も多く、例えば大西洋を挟んだ北米、南米大陸の東岸とアフリカ大陸の西岸を近づけてみれば、パズルのように、ほとんどぴたりと合うわけです。
【行き場所が無くなる】
このような働きにより、地球の表面はいくつかの地殻プレートに分割されて、常に動いています。
例えば、ハワイ諸島は年間数cmずつ日本列島に近づいていますし、伊豆半島はかつては島だったものが、日本列島にぶつかって、常に押しつけられています。伊豆半島で浅い震源の地震が多いのは、押しつけられる力による岩盤のひび割れ、すなわち活断層が多いことによるものです。
さて、マントル対流によるプレートの移動は、ある問題を引き起こします。移動する地殻プレートが隣の地殻プレートとぶつかると、それ以上移動できなくなります。
行き場所を失った地殻プレートは、仕方がないので隣の地殻プレートの下に沈み込んで行くことになります。日本列島の太平洋側はこの典型的な場所のひとつで、西向きに動いてくる海側の太平洋プレートが、陸側の北アメリカプレートやユーラシアプレートの下に沈み込んでいます。
日本列島付近は、陸側のユーラシアプレートと北アメリカプレートに対して東側から太平洋プレートが押し込んで来ていて、さらに南側からはフィリピン海プレートが刺さるように押してきていると言う、地球上で最も複雑な地殻プレート会合点ということができるでしょう。地震の巣にもなるわけだ。

地殻プレートが動く方向によっては、隣の地殻プレートと横方向にこすれ合っている場所もあります。北米大陸西海岸にあるサンアンドレアス断層は、そんな横ずれ断層の典型です。この断層は、太平洋プレートと北アメリカプレートの境界が地上に現れている、非常に珍しい場所でもあります。下画像は、サンアンドレアス断層の空撮画像です。壮大な“地球のヒビ”です。

【そりゃ地震も起きますよ】
このように、地球が生み出す巨大な力によって、地球上のあちこちで巨大な岩盤同士が常にグリグリ、ズリズリとこすれ合わされているわけで、そこでは当然、固い岩盤もぼろぼろになって、ヒビだらけになります。
こすれ合わされている部分の周りでも、岩盤に大きな力がかかっていますから、弱い部分にヒビができやすくなります。
それが時々、力に耐えられなくなってバキっと割れたりズリっとずれたりすることで発生する衝撃が、あたかも水中を伝わる波紋のように地中を広がって地表面を揺らす、それが地震というわけです。
地震は人間の生活に危害を及ぼしますから、当然忌み嫌われます。でも、地球さんにしてみれば、たまにセキやクシャミするように身震いを繰り返しているだけの、当たり前のことなのです。
【今回のポイント】
ある防災記事で、どこかの教授が妙なことを言っていました。曰く『地震や火山活動は地球の営みであり、災害だけでなく長い目で見れば人間にも多くの恵みをもたらす(温泉とかすばらしい景色とか肥沃な土壌とか)だから、怖れるだけでなく感謝の気持ちも持たなければならない』とか。
ご自分の家ぶっ壊されたり家族が犠牲になっても、同じことが言えますかね。人間の寿命が1000年くらいあったら考えてもいいかなと。全く、お気楽なものだw
さておき、今回のポイントです。
■地球深い部分の熱によって、地球内部ではマントルが対流していて、それによって表面の地殻プレートが動いている。
■地殻プレートの境界付近やその周辺では、岩盤の沈み込みや横ずれによって巨大な力がかかり、岩盤がもろくなっている。それ以外でも、力がかかる場所では同様のことが起きている。
■それが時々大きく割れたりずれたりして起こる衝撃波が、地震である。
ということでよろしいかと思います。
■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。
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