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2015年4月21日 (火)

【ヲタ目線地震教室04】震源とは“始まり”の場所(#972)

前回の断層の話に、ちょっと補足です。

地殻プレートの境目は確かに断層の一種ではありますが、そのように異なった地質や構成の岩盤が大規模に接している部分は、構造線とも呼ばれます。

日本列島の主な構造線は、下図の糸魚川-静岡構造線と中央構造線です。
Photo
糸魚川-静岡構造線は北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界面、中央構造線はフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界面に続く、異なる地質と構造の接触面というわけです。

なお、構造線とは言うものの、岩盤の接点は線ではなく面です。線で表すのは、あくまで境界線をイメージした便宜的な方法です。

一般に、巨大な力がかかる構造線や大規模断層の両側には破砕帯と呼ばれる岩盤がもろくなってヒビが多い部分があり、その中には中小規模断層が多く存在します。


【震源はどこだ?】
東日本大震災の後、こんな図を良く目にしました。
Photo_2
東日本大震災は、×印の場所を震源(震央)としてマグニチュード9.0の地震が起きた、という理解をされている方も多いと思います。

でも、それは違います。×印の場所は、あくまで断層のズレが始まった地点に過ぎないのです。確かに最初は×印の場所、深さ約24kmでかなり大規模に断層(地殻プレート境界面)がズレる、大きな地震が起きました。でも、それだけではマグニチュード9.0には達しません。

その大きなズレに誘発されて、ズレの範囲が主に南方へ、一部は北方へ拡大して行き、約100秒の間に東西約200km、南北約500kmという広大な範囲で、断層のズレや破壊が連鎖したのです。破壊が及んだ範囲が、震源域と呼ばれる区域です。

そして、最初に起きた一連のズレや破壊が一段落するまでの約100秒間に放出されたエネルギーの総量が、人類の観測史上5番目の規模となる、マグニチュード9.0というわけです。それ以後に震源域内で発生した地震は、余震として区別されています。


このようなメカニズムは、東日本大震災のようなプレート境界型(海溝型)地震だけではありません。内陸直下型地震を引き起こす、浅い断層でも同様です。

1995年の阪神・淡路大震災では、野島断層帯が動きました。野島断層帯の断層面は淡路島を縦断するように伸び、その先は神戸市街の直下まで続いています。

まず最初に、淡路島北端部に近い海底、深さ約16kmの断層面で、岩盤のズレが始まりました。その後、神戸の街に向かっ続く断層面で、連鎖的に岩盤のズレが発生して行ったのです。つまり、始まりは海底だったものの、神戸市街直下でも断層のズレが連続して起きているのです。

それら一連の断層破壊で放出されたエネルギーの総量がマグニチュード7.3となり、動いた断層面の直上付近では、観測史上初の震度7を記録しました。つまり、淡路島付近の海底で起きた地震が近くの神戸の街を破壊したのではなく、淡路島付近の海底から始まって神戸市街の直下まで達した断層のズレによる、文字通りの内陸直下型地震だったわけです。


このように、大規模地震は一点で起きるものではありません。多くの断層や断層面の破壊が連鎖的に発生することで、大きなエネルギーが放出されて大規模地震となるのです。震源または震央として示される場所は、あくまで断層の破壊が始まった場所に過ぎません。一般に、地震の規模が大きくなるほど、広い範囲での断層のズレや破壊が起きているわけです。

ここでひとつ用語の意味を確かめておきましょう。震源とは、地下で断層の破壊、すなわち地震が起きた地点のことで、さらに詳しく言えば、断層の破壊が最初に始まった場所です。これに対して震央とは、震源の直上に当たる地表面の地点のことです。ですから、一般的に目にする二次元の震源図は、厳密には震央図というわけです。


【活断層ってなんだろう?】
ところで、断層の話になると必ず出るのが、活断層という言葉。イメージ的には、なんだかいますぐ動きそうな、危険極まりない断層のような感じです。

でも、内陸直下型地震を起こすような中小規模の活断層は、実は滅多に動きません。断層ひとつあたりで見れば、一般的には数万年に一度くらいの頻度に過ぎないのです。

では、なぜ特定の地域に地震が集中して起きるかというと、そこに断層がたくさんあるから。岩盤が弱く、力が集中する場所にはたくさんのヒビ、すなわち断層が集中しているのです。それがちょこちょこ動くことで、中小規模地震が頻発することがあるわけです。

また、大きな断層が存在する場所でも、その中の小さなヒビがひとつふたつ壊れただけならば、小規模地震で終わります。上記のように、大規模地震とは断層の一ヶ所で起きるものではありません。


【定義ははっきりしない】
では、活断層とはどんな断層のことなのでしょうか。

実は、厳密な定義は存在しないのですが、原則的には『過去のある時期から現在までに動いた、もしくは動いた可能性のある断層』ということになります。

ただし、『ある時期』という部分に約200万年前から数万年前まで、研究者によってその定義には実に広い幅があります。でも、一般的には、数十万年前(20~30万年)までに動いた可能性のある断層、ということで良いかと思います。

しかしまあ、人間が判断するのがおこがましくなるような悠久の時間軸を扱う話ではありますね。人類なんか影も形も無い頃からの歴史を遡るのですから。

ともあれ、過去に動いたことがある断層は、またいずれ動く可能性が大きい。だから、“活きている”断層、活断層と呼ばれるわけです。ただし、火山噴火と同じように人間世界の時間軸内で必ず動くかというと、そうとは言い切れません。あくまで、可能性の問題です。


さらに、ある場所に断層が見つかっても、それが活断層かどうかは、厳密には断層面を掘り返してみて、地層のズレなどから過去の動きの痕跡と時期を調べなければなりません。現実的には、それは地表面にごく近い断層でしかできませんし、ボーリング調査もできる場所が限られますから、大抵の場合はあくまで「活断層の可能性がある」というレベルの判断となります。

ただし、そこに断層があるということは、過去には大きな力がかかっていたということで、その力が現在も続いていることがはっきりしていれば、そこは間違いなく活断層と言うことができるでしょう。


でも、活断層かどうか以前に、日本列島だけでも未だ見つかっていない断層がどれだけあるのか、それさえも良くわかっていないというのが現実でもあります。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

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