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2015年4月 2日 (木)

夢か精神論か?首都直下地震減災基本計画(#962)

カテゴリ【日記・コラム】の前回記事(#960)では、政府が策定した南海トラフ地震災害応援計画について記事にしました。今回は、同じく政府が閣議決定した、首都直下地震の減災基本計画についてです。


【1日早かった?】
この閣議決定は、3月31日に行われました。その報道を見た管理人は、「あれ、今日は4月1日だったっけ?」くらいに思ったのです。これ、ジョークでしょう?と。

基本計画は主に10年後の2024年度末での達成を目標にしていますが、その骨子について要約します。

■想定死者数
2万3千人 → おおむね半減させる

■想定全壊・焼失家屋数
61万棟 → おおむね半減させる

■住宅の耐震化率
79%(全国・2008年))→ 95%(2020年)

■木密地域での感震ブレーカー設置率
ほぼ0% → 25%

■東京、神奈川、千葉、埼玉の危険な密集市街地
2500ヘクタール → 100%解消に近づける(2020年)

■家具の固定率
40%(2013年) → 65%

■東京、神奈川、千葉、埼玉の公共防火拠点耐震化率
92%(2013年) → 100%


首都直下地震における予想死者数は、その7割が火災によるものと想定されているために、家屋の倒壊を減らして出火も減らすことと、『通電火災』を減らすことに重点を置いた内容になっています。

皆様は、この計画をどうご覧になりますか?管理人としては、達成できるのは最後の防火拠点100%耐震化のみ、後は半分も達成できないどころか、2~3割も達成できれば良いのではないかくらいに思っています。


【雑巾は乾ききった】
企業のコスト削減努力を『乾いた雑巾を絞る』ようだと比喩することがありますが、この計画はまさにそれではないかと。

市民の防災意識の著しい向上は、事実上20年前の阪神・淡路大震災に始まり、そして東日本大震災を経験してピークに達し、それから4年が経過して、早くも下降線をたどっているのが現実でしょう。個人レベルでの災害対策は、“やる人はとっくにやっている”のです。つまり、雑巾は乾ききってしまった。

その中で、個人に小さくないコスト負担と大きな手間を強いる対策を劇的に進めて行こうというのが、この計画なのです。過去10年だけを見ても、例えば住宅の耐震化率はほとんど向上していません。

危険な住宅密集地に至っては、10年どころか事実上数十年も手つかずなのです。なのに、あと10年で耐震化をほぼ完成させようと。

企業のコスト削減目標ならば、達成しなければ明日の仕事は無いのですから、文字通り『死守』が至上命題です。でも、首都直下型地震の発生確率が今後30年のうちに70%と聞いたところで、現時点で手をつけていない層が動き出すとは思えません。

これが独裁国家ならば、『国民の安全のために』強制移住させてでも達成するのでしょうが、民主的法治国家においてできる手段は『対策のお願い』と『補助金制度』くらい。強制力は全く無く、仮に条例などで強制力を持たせても、未達による罰則があるわけでもなし。

ここで、管理人が公開しているyoutube動画をひとつご覧ください。過去記事の【バーチャルシミュレーション】用に制作したものですが、東京都内で最も倒壊・火災危険度が高い場所のひとつとされている街の(ごく一部の)映像です。

東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で、このような場所の危険を10年でほぼ100%無くそうというのが、今回の計画なのです。

youtube動画 『東京地震災害危険地帯を行く(その2)』(6分10秒)
https://youtu.be/GpRT4fbG5-k

計画では、このような場所での対策として『建て替えや移転を促す』とされていますが、建て替えられないから昔からこのままなのだし、街全体の危険を減らすという理由で、長年馴染んだ街を離れる人がいるでしょうか。もちろん、行政が代替地を用意してくれるわけでもありません。

移転する人がいたとしてもごく僅かなのは確実で、大勢にはほとんど寄与しないことは明らかです。


【壮大な机上の空論】
企業ならば、こんな壮大な計画をブチあげてほとんど達成できなければ、普通ならば責任者のクビが飛びますね(普通じゃないことも多いですがw)

この計画を、敢えて解りやすい実名を挙げて比喩すれば、伝統的にトヨタが圧倒的に強い名古屋周辺で、日産が『10年で50%のシェアを取る』と言い出したに等しいというか、それ以上困難というか。

もしそれをやろうとすれば、まずは販売補助金攻勢は不可欠なわけですが、行政にはその財源が十分にあるかどうかも不明確で、補助金があっても、皆が「これはやっておいた方が得だな」と思えるような額ではないでしょう。

もし破格の補助金が出せたとしたら、今度は自助努力で対策を進めた人との不公平がハンパなくなるという問題も出てきます。あり得ない話でしょうけど。

残念ながら、今回の基本計画は未達必至どころか、ボロボロの結果になるでしょう。壮大な机上の空論としか言えません。責任論?バカバカしくてそんな議論もしたくない。誰かのクビが飛んだら、犠牲者が減るわけでもなし。


【批判だけじゃなんですから】
当ブログのスタンスは、「巨大災害からあなたや大切な人を救うのはあなた自身だ」というものです。

もちろん、行政の努力によって改善されることも多いのですが、それはあくまでマクロの話。あなたを傷つけるのは、言うなればあなたの『3m以内』にある、ミクロの危険要素なのです。

ならば結局、巨大災害から『生き残る』ためには自分の周りの危険を知り、その避け方を知り、危険要素をできるだけ取り除き、そして『生き延びる』ために十分な備蓄をせよ、という『自助』に行き着くしかないのです。

防災・減災のために必要なのは、自ら備える『自助』、近隣のコミュニティで助け合う『共助』、そして行政による『公助』の3つです。

そこで、当ブログとしては『自助8割』を提唱します。

共助と公助は、基本的に無くて当然、あったらラッキーくらいに考えましょう。でも、スポーツ選手が言う「練習は裏切らない」と同様に、『自助は(絶対に)裏切らない』のです。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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