« 【ヲタ目線地震教室05】引っ張られて正断層(#973) | トップページ | 【寄付先リンクつき】ネパールでM7.9の巨大地震(#975) »

2015年4月24日 (金)

南米チリで大規模噴火(#974)

Photo_2

日本時間の4月22日、南米、チリ南部のカルブコ火山が大規模に噴火しました。

カルブコ火山(スペイン語でボルカンカルブコ)はチリ南部の人口約17万人の都市、プエルトモントから北西方向に約35kmにある2000m級の成層火山で、54年ぶりの噴火だそうです。

街に近くて見通しが良いために、壮絶な噴火映像ばかり話題になっていますが、我々が注目すべきは、そこではないのです。


【巨大地震後には火山噴火が】
当ブログでも何度も触れていますが、人類の観測史上、マグニチュード9クラスとそれに近い規模の地震が発生した後には、例外なく近隣の火山が噴火しています。それも、ひとつの例外を除いて地震発生から1年半までの間に噴火が起きています。その唯一の例外となっているのは、東日本大震災です。

チリでは、2010年2月にマグニチュード8.8の巨大地震が発生しており、日本にも三陸地方に約1m程度の津波が到達しました。今回のカルブコ火山噴火も、その地震の影響と考えることができます。しかし、地震後の噴火は今回が初めてではありません。

地震発生から約1年4ヶ月後の2011年6月、チリ南部のコルドンカウジェ火山群にあるプジェウエ山が約50年ぶりに噴火しました。

さらに今年2015年3月には、同じくチリ南部のピジャリカ山が15年ぶりに噴火していますから、すでに3回目の大規模噴火となるのです。どちらの火山も震源域近と地殻プレート境界に近く、巨大地震の影響を受ける場所にあります。

ちなみに、前記のプジェウエ山は1960年5月にチリ南部沖で発生した、人類の観測史上最大となるマグニチュード9.5の直後にも噴火しています。その時の噴火は、地震発生からたった38時間後でした。


【誰もが気になるあの山は】
プレート境界型巨大地震の後には震源域近隣の火山が噴火する。それはある意味で“当たり前”なのですが、東日本大震災後には、震源域周辺にあるどの火山も、事実上沈黙を続けています。震源に近い宮城県の蔵王に、小規模噴火の兆候がわずかに出ているくらいです。

あのような巨大地震の後に、何故噴火の兆候すらほとんど無いのか。震災の影響によってこの先どこかが噴火することがあるのか、それとも噴火が無くて、人類初の経験となるのか。それは専門家にも判然としません。ただ、基本的にはいずれどこかが噴火するという前提で考えておかなければなりません。

ちなみに、特に専門家の見解は見当たらないものの、管理人としては小笠原諸島の西之島の噴火が震災の影響を受けたものではないかと考えています。

それでも、噴火したのは震災から3年も経ってからでした。しかし現在も続く西之島噴火は、規模、期間共に陸上で起きていたら巨大被害をもたらすレベルなのに、遠い海上の無人島のせいで、誰も気に留めていないようですが。

では、富士山はどうなんだと。富士山は、1707年に発生した現在で言う東海地震の49日後に、最後の噴火をしています。ということは、再び東海地震が発生した時には、噴火の可能性が高まると考えて良いでしょう。プレート境界型大地震の後の噴火が、我が国でも過去にはしっかり起きているのです。

東日本大震災による地殻変動の影響を富士山が何らかの形で受けていることは確実ですが、現時点では噴火に繋がるような具体的な兆候は皆無です。それに、東日本大震災震源域付近の地殻プレート構成と富士山近隣の地殻プレート構成が異なっているために、連鎖噴火する可能性は理論的にも説明できません。

一部で言われるような富士山噴火の「兆候らしきもの」は、ほとんどが裏付けのないデマ、個人的印象、エセ科学そして商業メディアのアオリです。地温が上がって氷穴の氷が溶けたとか山体膨張して亀裂が入ったとか言われていますが、それらを裏付けるような観測データは、現時点では全く無いのです。


【日本列島付近と似た構造】
話をチリに戻しましょう。南米大陸西岸のチリ周辺の地殻構造は、日本列島周辺と似ています。陸側のプレート(南アメリカプレート)に対し、海側のプレート(ナスカプレート)が東向きに動いてきて、南アメリカプレートの下に潜り込んでいます。

南米大陸周辺の地殻プレート構成と、巨大地震震源とカルブコ火山の場所を図にまとめてみました。縮尺の関係で割愛しましたが、上記のプジェウエ山とピジャリカ山は、カルブコ山の北方に位置します。
Photo_3

チリ南部の沿岸では、この他にもかなり大規模な地震が多発している、世界有数の“巨大地震の巣”です。図には、人類の観測史上最大となる、マグニチュード9.5の震源域もオレンジ色で示しました。


このように、地殻プレート境界域で巨大地震が発生すると、境界に沿って並んでいる火山のどこかが噴火するということが、少なくとも人類の観測史上はあまねく繰り返されて来ました。

しかし、東日本大震災の影響を最も受けているはずの、北海道の太平洋岸から東北地方の各火山は、あれから4年以上経つというのに、ごく一部の軽微な噴火兆候を除いて不気味なほど沈黙したままです。

今回のチリ、カルブコ火山噴火は、文字通り“対岸の火事”ではありません。本来ならば、とっくに日本で起きているはずの出来事なのです。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。


« 【ヲタ目線地震教室05】引っ張られて正断層(#973) | トップページ | 【寄付先リンクつき】ネパールでM7.9の巨大地震(#975) »

火山災害」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543100/61484969

この記事へのトラックバック一覧です: 南米チリで大規模噴火(#974):

« 【ヲタ目線地震教室05】引っ張られて正断層(#973) | トップページ | 【寄付先リンクつき】ネパールでM7.9の巨大地震(#975) »