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2015年4月15日 (水)

【アシアナ航空機着陸失敗】ほとんど盲目着陸だった?(#970)

今回も広島空港で発生したアシアナ航空機着陸失敗事故の関連記事です。連投になってしまい、興味の無い方には大変恐縮ではありますが、判明する状況がどんどん変わってくるために、解析内容を修正せずにはいられないことをご容赦ください。


【視程はかなり悪かった?】
事故直後の報道では、広島空港周辺の視程は6000m以上あったとされてました。しかしその後、低高度では霧が発生しており、視程は1800m程度だったとの報道がありました。

広島空港に事故機と同様に東側から進入する場合、最終進入時の視程が1600mを切ったら着陸を中止して着陸復航(go around)するように規定されており、着陸可能なギリギリの視程だったとされました。

さらにその後、着地直前には視程が500~300m程しかなかったのではないかとの報道も出てきました。

それが事実ならば、本来は着陸不可能の視程不良の中で着陸を強行したことが、事故に繋がった最も大きな原因だということができるようです。

着陸をやり直せば到着が大幅に遅れますし、燃料も余計に消費します。パイロットとしては、多少の悪天候でも「一発で下ろしたい」わけで、その理由は前回記事で述べた通りです。しかし、これはもちろん重大な規定違反です。


【ダックアンダーに陥った?】
報道に登場した『元日本航空機長』氏の見解では、視程不良の最終進入時、パイロットは滑走路を良く見ようとしてつい前のめりの格好になり、そのまま無意識に操縦輪を押して頭下げ姿勢になって高度を失ってしまうことがあるそうです。

これを、アヒルが頭を下げる行動になぞらえて『ダックアンダー』と昔から呼ぶそうですが、その見解には疑問符がつきます。

ほとんどの旅客機は、パイロットの正面に自動車のハンドルと似た操縦輪があり、それを前後に押すことで機首を上げ下げします。椅子から伸び上がって前のめりの姿勢になれば、確かに操縦輪を押してしまいやすい格好になります。

しかし、事故機のエアバスA320型は操縦輪方式ではなく、パイロットが片手で操作するジョイスティック型の操縦棹方式です。下画像で、赤い矢印で示したのがA320型機のジョイスティック型操縦棹です。
A320
果たしてこの操縦装置で『ダックアンダー』が発生するのかは、検証されていないはずです。

このコメントしたのは、日本航空の元機長でした。過去記事でも触れたことがありますが、日本航空にはこのような操縦装置を持ったエアバス機は過去から存在しておらず、すなわち日本航空の元機長は、このタイプの操縦経験は無いのです。

いずれにしろ、異常な低高度に下りたのがどんな理由だとしても、それをチェックして警告できなかったもうひとりのパイロットの責任も重大です。それはもちろん着陸時のプロシージャ(手順)を無視したものなのです。もっとも、過去にも他のパイロットの警告を無視して事故に繋がったケースは少なくなく、今回もそうかもしれませんが


【DFDRの解析を待つしかない】
事故機の機長はどこかに雲隠れしてしまったそうで、全く言葉もありません。あとは、機体から改修されたデジタルフライトデータレコーダー(DFDR)の解析により高度・速度・操作内容などが判明すれば、どんな飛行が行われたのが明らかになりますから、それを待つしか無さそうです。

明らかなことは、何らかの事情で異常な『アンダーシュート』の状態に陥り、本来は40~50mの高度で通過するローカライザーアンテナ上を、アンテナの高さ6.5mよりも低い、地面すれすれの異常な低高度で進入したということです。

管理人としては、やはりその裏でパイロット心理、時間や燃料の節約のために視程が悪くてもなるべく一発で下ろしたいということと、視界が悪く滑りやすい気象状況下では、なるべく早く着地したいという考えが影響したものと考えています。

乗客の証言にも、降下率が高かったとか急降下したとかの声がありませんから、おそらくかなり早い段階からグライドパス下の異常な低高度に下りていた可能性が高いと思われます。


【次回は対処法です】
とりあえず事故原因の解析めいたことはこれで終わりにし、後は事故原因が明らかになるのを待ちたいと思います。もしとんでもない理由が出てきたら、また書くかもしれませんが。

今回の事故は、アンテナへの衝突時や滑走路逸脱時の衝撃で負傷した方が多く出てしまいましたが、同様の事故でも、例えばアンテナ衝突時に主翼燃料タンクが破損していたら空中で爆発炎上した可能性もありますし、叩きつけるようなハードランディングになっていたかもしれません。

また、着地後も主翼やエンジンが地面に強くひっかかれば、そこを支点にして『グラウンドロール』と呼ばれる状態になって機体が転覆し、さらに爆発炎上したかもしれません。

この程度の被害で済んだのは、ひとえに幸運だったと言えるのです。

では、我々が乗っている飛行機がこんな状態に陥ったらどうするか。次回はそれについて考えます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


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