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2015年4月 8日 (水)

【青函トンネル発煙事故】旅先で命を救うもの(#963)

Tappi
竜飛海底駅構内へ避難する乗客。この画像だけでも3つのライトが確認できる
(NHKテレビからのキャプチャ画像をお借りしました)


4月3日、JR北海道の特急電車が青函トンネル内で発煙事故を起こし、乗客が下車避難しました。まず事故の状況を考察し、報道からわかった点についても考えてみます。


【海底トンネルは急勾配】
長大山岳トンネルならば、湧水が片方の出口に向かって流れるように一方に向かって勾配をつける『片勾配』や、両方の出口に向かって流れるように、山形の『拝み勾配』と呼ばれる形になっています。

一方、海底トンネルはその性格上必然的に、海底部分に向かって坂を下り、そこから陸上へ向かって坂を上る『突っ込み勾配』という形になり、勾配の角度はかなり急になります。

余談ながら、海底トンネルはこのような形状のために自然の排水ができず、湧水はポンプで汲み上げて排水しなければなりません。このため、海底トンネルを遮断しようと思ったら、トンネルの破壊などは必要ありません。ポンプを止めさえすれば、海底部分から染み出す湧水で短時間のうちに通行不能になってしまうのです。ですから、海底トンネルのポンプ室は厳重に警備されています。もちろん、テロ対策です。


さておき、海底トンネルはこのような形状のために、ほぼ半分の長さに渡って急勾配を延々と上らなければなりませんから、動力車のモーターやディーゼルエンジンなど機器に大きな負荷がかかります。世界トップクラスの長大海底トンネルである青函トンネルは、列車にとって非常に過酷な場所なのです。

今回の発煙事故も、海底部分から青森県側に向かう上り勾配で発生しました。その原因はまだ明らかではありませんが、高い負荷によって機器が異常を起こしたということでしょう。


【なぜすぐに停まったか】
トンネル内で発煙や火災が発生した場合、旧国鉄の運行規定では、すぐに列車を停車させることになっていました。しかし1972年に福井県の北陸トンネル(13870m)で発生し、死者30人、負傷者714人という大惨事となった『北陸トンネル火災事故』を契機に運行規定が見直され、車両の通気をできるだけ遮断した状態で、トンネル外まで走り抜けてから停車するよう変更されました。

今回の青函トンネル事故では発煙が発見されてすぐに停車していますが、これには青函トンネルならではの理由がありました。

長大海底トンネルや長大山岳トンネルでは、列車や車が走るトンネル(本坑)の脇に、もう一本トンネルがあることがあります。これはトンネル掘削時には『調査坑』と呼ばれるもので、本坑を掘る前にまず小さなトンネルを掘り、土質などを調査するためのものです。本坑完成後は『作業坑』などと呼ばれ、保守作業や緊急避難用に使われています。

青函トンネルは超長大トンネルであり、発煙地点から出口までまだ相当の距離があったこと、上り勾配のほぼ中間点にある『竜飛海底駅』を通過した直後であったことなどから、すぐに停車して乗客を作業坑経由で竜飛海底駅に避難させるのが最良と判断されたのでしょう。

本坑と作業坑は防煙扉で遮断でき、竜飛海底駅からはケーブルカーと階段で地上へ出ることができるのです。今回の事故では発煙だけで済みましたが、これが火災に発展していても、乗客は無事避難することができたでしょう。


【防災EDC意識は高まった?】
管理人は鉄道ヲタでもあるので前置きが異常に長くなりましたが、ここからが本題です。

この事故のテレビ報道では、竜飛海底駅の監視カメラ映像が流されました。作業坑から続々と駅に入って来る乗客の姿が映っています。なお、青森県側の竜飛海底駅と北海道側の吉岡海底駅は保守用の拠点であって客扱いはしておらず、かつては行っていた見学会も、現在は行われていません。


ニュースで監視カメラ映像を見た管理人は、正直なところ意外に思いました。カメラに映る30人のひとり以上くらいの割合で、かなり強力なLEDライトを手にしていたのです。LEDライトであることは、光の色でわかります。

車両から出て非常口から作業坑に入るまではほぼ真っ暗なので、その段階でライトを点けてそのまま来られたのでしょう。でも、照明がある作業坑内で仕舞った方も多いでしょうから、実際にはもっとたくさんの方がライトを持っていたと思われます。


【アウェイでこそ!】
発煙事故を起こしたのは特急電車で、乗客の多くは観光や仕事で旅行中の方だったはずです。その旅装備にLEDライトを入れている方があんなにいるんだなということに、管理人はちょっと感動しました。あの列車は北海道から青森に行く特急でしたので、乗客に東日本大震災を近くで体験した方が多かったせいもあるかもしれませんが、ライトを持った人があれだけいるんだと。

旅装備はできるだけ軽くしたいものです。でも、イザという時のためのEDCという意識がずいぶん浸透して来ているのだなと。防災EDC装備は、不案内な旅先などのアウェイでこそ威力を発揮するものであり、十分な明るさのライトは、アウェイ用EDC装備の筆頭に挙げられるものです。

あれだけの数のライトがあれば、仮に何百人もの人が真っ暗なトンネルの中を避難することになっても、かなり視界が確保できたでしょう。もちろん、持っている本人の安全と安心感は絶大です。暗闇の中で、自分の『周囲3m』の危険を発見し、行く先の状況を確かめるために不可欠の装備なのです。


今回の事故は、『世の中こういうこともある』という、ひとつの教訓として受け止めるべきでしょう。これがもし巨大地震だったら、照明が完全に失われたかもしれませんし、長さ10kmを超えるような長大トンネルでなければ、普通は作業坑もありません。停電すれば電車は動けなくなります。鉄道に限らず、車で同じような状況に遭う可能性の方が、むしろ高いでしょう。

というわけで、日常生活はもちろん、アウェイに出られる際にも、是非とも防災EDC装備をお忘れなく。ここではライトのことだけですが、他に欲しいものがいろいろあります。


【ご参考までに】
実は管理人、先日東京から博多や大阪をまわって、3日半に渡る鉄道の旅をしてきました。

その旅に持参した管理人の鉄道旅行用EDC装備を、次回記事で紹介します。ぜひご参考にされてください。EDC装備の撮影を口実に、まだ旅装を解いていないのです。本当は面倒なだけかもですがw


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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