【ヲタ目線地震教室07】水平にズレる横ずれ断層(#984)
今回は横ずれ断層です。いつも断層の話からどんどん脱線していますが、なにとぞご容赦を。ヲタ目線ですから。
【横ずれ断層は2種類】
実は、2種類と言う意味にも2種類あります。
まず、横ずれ断層の形状による分類。右横ずれ断層と左横ずれ断層の2種類です。でも、これは観測点から見た断層がずれる方向、すなわち力がかかっている方向による分類ですから、ここでは無視させていただきます。
もうひとつは、横ずれ断層が形成されるメカニズムによる分類です。
【水平方向に横向きの力がかかる】
典型的な横ずれ断層は、一部の地殻プレート境界域で見られます。地殻プレートが水平方向に動いている場所です。
ある地殻プレートが、接している他の地殻プレートに対して横向きに動いている場所では、その境界は横ずれ断層となります。
アメリカ西海岸にあるサンアンドレアス断層は、横向きにズレている地殻プレート境界が地表面に現れている、非常にわかりやすい場所です(下画像)
断層線に沿って連なっている小さな丘は、強い力でこすり合わされている断層面にかかる横向きの力によって、岩盤表面にシワが寄るように形成されているわけです。
この力はもちろん地下にも作用していて、横ずれ断層面に直交するような形で多数の逆断層が形成されています。このため、サンアンドレアス断層があるアメリカ西海岸地域は、地震の多発地帯になっています。
阪神・淡路大震災のちょうど1年前、1994年1月17日にはこの地域で『ノースリッジ地震』が発生し、サンフランシスコを中心に大きな被害が出ました。
この先も、サンフランシスコやロスアンジェルスなどアメリカ西海岸の大都市が、巨大地震に襲われることが危惧されています。
【岩盤がX型に割れる】
横ずれ断層が形成されるもうひとつのメカニズムは、どこでも起きる可能性があります。
岩盤に水平方向の圧縮力がかかった時、岩盤が圧縮力に対して斜め方向もしくはX型に割れることで、逆断層ではなく横ずれ断層が形成されることがあります。
上図では簡易的に一方向のみの横ずれ断層を表しましたが、同時に赤い点線のようにもヒビが入り、横方向にズレることがあります。
【日本には少ない?】
日本列島で確認されている断層は正断層と逆断層が多く、横ずれ断層は比較的少なくなっています。
しかし絶対数が非常に少ないかというとそうでもなく、研究機関のデータベースには、かなり多くの横ずれ断層が掲載されています。 ただ、横ずれ断層が動いて大きな地震が起きた例が少ないために、我が国では珍しいタイプの断層だと認識されていることもあるようです。
過去の地震発生記録によれば、少なくとも日本列島付近においては、大規模地震が発生する危険はあまり大きくないタイプの断層だと言って良いかもしれません。ただしそれは確率論であって、横ずれ断層で絶対に大規模地震が起きないとは言い切れませんが。
【日本の横ずれ断層の例】
宮城県亘理郡から福島県いわき市の海岸線に沿って伸びている双葉断層は、横ずれ断層(左横ずれ)です。なお、横ずれと同時に断層の西側(内陸側)が隆起するという、逆断層的な性質も併せ持っています。
2013年2月25日に栃木県北部の群馬県境近くで発生し、日光市などに被害をもたらした最大震度5強の地震は、横ずれ断層によるものでした。この断層帯は、2014年9月3日にも最大震度5弱の地震を起こしています。
埼玉県入間郡名栗村から東京都青梅市、立川市を通って府中市に至る立川断層帯も、基本的には断層線の北側が隆起している逆断層ですが、北西部の埼玉県下では横ずれ(左横ずれ)も伴っているとのことです。
この辺りが、最近の我が国での横ずれ断層関連情報として目立ったところでしょう。
【特別に危険ではないけれど】
我が国においては、横ずれ断層による大規模地震の例はほとんどなく、横ずれ断層だからと言って、特徴的な地震が起きるわけでもありません。
ただ、横ずれ断層は地下の浅い部分に形成されることが多いようなので、そこが動けば浅い震源の直下型地震となって、震源直上周辺では特に強い揺れに襲われることになります。
ですから特に意識する必要は無いでしょうが、内陸直下型地震が起きる可能性がある場所のひとつとして考えておくべきでしょう。
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