『猛烈な』台風6号本州接近コースへ(#985)
5月11日の午後9時時点で915ヘクトパスカルという『猛烈な』勢力を保っている台風6号が、先島諸島及び南西諸島を直撃し、その後本州の太平洋沿岸に接近するコースを取りそうです。上陸する可能性も出てきました。
【季節外れの勢力とコース?】
近年、日本列島付近に接近する台風が大型化する傾向が明らかです。これはフィリピン沖付近から南西諸島付近へかけての海水温上昇が顕著で、台風に供給される水蒸気量が増えているためです。
さらに、台風のコースも随分変わってきました。今回の台風6号のようにフィリピン沖で東向きに針路を変え、日本列島に沿うように北上するコースは、かつてならば8月後半から9月くらいの、いわゆる『台風シーズン』に良く見られるものでした。
その前、8月前半ごろには、太平洋高気圧の影響で「夏台風は迷走しやすい」などと言われ、実際にジグザグに迷走するような台風も珍しくありませんでした。
さらに前の6月~7月前半くらいまでは、台風は日本列島のはるか南方沖で東寄りに針路を変えて、日本に接近することは滅多になかったのです。
しかし近年、そのような過去の『常識』は全く通用しなくなりました。まだ5月前半だというのに、かつては海水温が上がる8月以降にしか見られなかったような強力な台風が、本州直撃に近いコースに乗っているのです。海水温が、既にかつての8月以降のようなレベルに達しており、さらに台風の進路に影響する偏西風も、まるで夏のような吹きかたに変わってしまったようです。
これはもう『季節外れ』と驚く状況ではなく、これからはこれが当たり前となるでしょう。台風の勢力はさらに強くなり、早い時期からの日本列島接近が増えて行くはずです。その原因が、悪化する一方の地球高温化(当ブログでは、温暖化ではなく高温化と表記しています)の影響であることは疑いありません。
【地震や火山ばかり気にしている場合じゃない】
その原因はともかく、我々にとっては被害を受ける可能性が高まることに他なりません。もはや台風対策は、5月から10月くらいに渡って半年間も考えなければならない時代です。
台風対策というと、イメージ的には防風対策がメインになりそうですが、実際には付帯的に記録的豪雨を伴うことが増えていますので、むしろ豪雨に伴う洪水や土砂災害対策に重点を置くべきでしょう。
さらに、台風の接近時に竜巻が発生することも確実に増えています。竜巻への対応も考えておかなければなりません。
加えて、台風の季節が長くなるということは、そこで他の災害との複合災害が起きる可能性も高まっているということです。暴風雨や豪雨の中で火山噴火や大規模地震が起きないとは、誰にも断言できません。
全く、難儀な時代になりつつあります。しかしそれを嘆いても始まりません。考えすぎだと笑い飛ばすことは自由ですが、何もしないで泣きを見たくなければ、自らの力で備えなければならないのです。それは言うまでもなく、出来合いの防災セットを買うとかで完結するものではありません。
【台風6号の予想進路】
さておき、5月としては異例の勢力とコースで迫りつつある台風6号の予想進路を掲載します。最初に米海軍の調査機関Naval Research Laboratory(NRL)発表のもの、次に日本の気象庁発表の予想進路を転載させていただきます。
先島諸島から南西諸島はほぼ直撃、その後本州の太平洋岸に沿って北上が予想されており、上陸しなくても各地に大きな影響を及ぼしそうです。
現時点より勢力は弱まるでしょうが、かなり強力なまま北上しそうですので、厳重な警戒が必要です。では厳重な警戒とは何かということですが、継続的な情報収集を行い、危険と判断したら早い段階で安全な場所に避難する、現実的にはそれが最優先事項です。
そして、その時に必要なものを最短時間で準備できるように、事前に備えておくことが必要です。
気象情報を見ながら厳重な警戒をしているつもりでいても、普段と同じ行動では、何の意味もありません。
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