火山性地震の要警戒情報二題(#979)
昨日5月3日、火山に関係する事象及び発表がありました。
【鳥島近海で津波発生】
5月3日午前1時51分ごろ、本州のはるか南、八丈島から南へ約180kmの鳥島近海で、『ごく浅い』場所(地下5km程度より浅い)を震源とするマグにチュード5.9の地震が発生し、小規模ながら津波が発生しました。伊豆諸島各地で最大50cm程度の津波を観測しましたが、幸いに被害は発生していないようです。
この地震の震源付近では、通常ならば震源深さが10kmより浅い地震が起きるようなメカニズムはあまり考えられません。東日本大震災後にも、同様の地震は発生していないはずです。
気象庁がこの地震の地震波を解析したところ、通常の断層型地震ではなく、火山性地震らしいということです。気象庁の見解によれば、海底火山活動の影響によって海底が急激に隆起したために、地震と共に津波が発生したのではないかと考えられています。なお、その火山活動が噴火や噴気などに発展したかどうかは、当記事執筆時点では確認されていません。
今後、今回の震源付近で海底火山活動が継続した場合、さらに大規模な地震や津波が発生する可能性もありますから、当面は活動状況を注視する必要があります。
なお、今回の震源はフィリピン海プレート内であり、東日本大震災の直接的な影響による活動である可能性は高くないと思われます。しかし、東日本大震災による大規模地殻変動は、広い範囲に大きな影響を及ぼしているために、広い意味において影響を受けていないとは言い切れません。
続いてもう一件。
【箱根山で火山性地震が増加】
5月3日の気象庁発表によると、神奈川県箱根町の大涌谷付近の浅い場所を震源とする、火山性地震が増加しています。
4月1日以降、大涌谷付近の火山性地震は約150回発生しており、特に4月26日以降は急増しているとのこと。
このため、箱根町では遊歩道『大涌谷自然研究路』を大涌谷から300mの範囲で、周辺のハイキングコースも大涌谷から半径3kmの範囲で閉鎖しました。
気象庁によれば、5月3日時点では『直ちに噴火する兆しは見られない』として、噴火予報は『平常』(レベル1)のままとしており、規制区域以外の温泉街などには特に影響は無いとしています。
【大涌谷付近では震度5強も】
箱根町の大涌谷付近では、2013年2月10日に局地的な強い地震が発生しています。大涌谷付近のごく狭い範囲では震度5強程度に達し、建物被害も出ました。この地震も火山性地震(マグマの上昇による地震)だったと思われ、気象庁の公式記録にも地震としては記録されていません。
気象庁の震度計は大涌谷から8km程離れた箱根町役場に設置してあるものの、そこでは有感地震(震度1以上)を観測しなかったために、地震の記録としては残されていないのです。この地震は、それくらいごく局地的な地震でした。
この地震の前にも、前月の1月11日頃から約1ヶ月に渡って、火山性地震が増加していたとのことです。
今後の火山活動の状況によっては、同様の強い地震が発生するかもしれません。また、噴火に繋がる可能性も皆無ではありませんので、こちらもしばらくの間は活動状況を注視する必要があります。
箱根山系は東日本大震災前より火山活動が若干活発化しているという説もありますので、より注意深い監視が必要かと思われます。
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