日本列島の地下で何が?(#991)
現在、神奈川県の箱根山で小規模噴火の兆候が見られていますが、その他でも日本列島のあちこちで、気になる動きが続いています。
【奄美大島付近で震度5弱】
過日5月22日、鹿児島県の奄美大島近海、深さ21kmを震源とするマグニチュード5.1の地震が発生し、奄美市で最大震度5弱を観測しました。
気象庁の発表によると『北北東-南南西に張力軸を持つ型』となっていますので、正断層型地震と思われます。
この付近は大陸側のユーラシアプレート内で、東側のフィリピン海プレートとの境界に沿って、台湾付近まで続く列島線、南西諸島を形成しています。
東日本大震災による地殻変動では南西諸島周辺でも数cm以上の変位を観測しており、その後地震の発生回数が増えています。震災の影響はここまで確実に及んでいるのです。
ここ3ヶ月程の間、台湾付近から沖縄本島付近付近での地震発生回数が増える傾向が見られていましたが、かなり静かだった奄美大島付近で比較的大規模な地震が発生しました。
このような傾向からして、南西諸島付近はこの先もしばらく警戒が必要な地域と言えます。
【口永良部島で噴火の恐れ】
縄文杉で有名な屋久島の西12kmに位置する鹿児島県の口永良部(くちのえらぶ)島では、噴火の恐れが高まっています。
口永良部島は昨年(2014年)8月に噴火していますが、この5月23日には島の地下、ごく浅い場所を震源とするマグニチュード2.6、最大震度3の地震を観測するなど、火山性地震が多い状態が続いています。
さらに、火口周辺からの噴気や地温上昇も観測されています。
気象庁によると、今後『爆発力の強い噴火や規模の大きな噴火が起きる可能性がある』として、これまでの噴火警戒レベル3(入山規制)を維持して警戒しています。
大量の噴石、火山灰の放出や、火砕流などが発生するレベルの噴火が起こる可能性があるということです。
なお、噴火警戒レベル3は『居住地の近くまで重大な影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)』レベルの噴火が起こる可能性があるとされる状態です。
【桜島の活動が活発化】
2015年に入ってから、桜島の活動が特に活発化しています。日常的に噴火を繰り返している櫻島ですが、5月21日にはかなり大規模な噴火を起こし、噴煙は上空4300mにまで達しました。
現在、桜島の地下ではマグマだまりの蓄積量が増え、その圧力によって山体膨張が観測されています。このため今後も活発な活動が続くことが予想されており、近い将来にさらに大規模な噴火が起こるかもしれないとする説もあります。
なお、現在の桜島は噴火警戒レベル3(入山規制)となっています。
【西之島がさらに拡大】
西日本だけではありません。
2013年11月から大規模な噴火を続ける小笠原諸島の西之島は、現在も活発な活動を続けています(画像)
5月20日の西之島(撮影:海上保安庁)
火口では1分間に2~3回以上という激しい噴火が続いており、流出した大量の溶岩が海に流れ込んで、島の面積が拡大し続けています。5月20日の時点で、東京ドーム55個分の面積になっているとのこと。今後も、当分は活発な活動が続くと思われます。
西之島はたまたま小さな無人島ではありますが、日本列島に連なる火山のひとつであり、我々と決して無関係では無いのです。
【浅間山で火山性地震が増加】
群馬・長野県境の浅間山では4月下旬から火山性地震が増加しており、5月21日には1日当たり50回超と、4年ぶりとなる高いレベルに達しています。
浅間山は、近年では2009年ごく小規模の噴火をしています。1973年には小規模とされる噴火をしていますが、この時は火砕流が発生し、関東地方の広い範囲でかなりの降灰が観測されました。噴火のタイプは噴石や火山灰を激しく噴出するブルカノ式で、噴火の規模が大きくなると、火砕流の発生も懸念されます。
現時点の観測では山体膨張などすぐに噴火に繋がる兆候は見られていませんが、突発的に噴火する可能性が無いとは言えず、しばらくは警戒が必要です。現時点の噴火警戒レベルは1(活火山であることに留意)です。
なお、噴火警戒レベル1は、以前は『平常』と表記されていましたが、木曽御嶽山が警戒レベル1で噴火したことを受けて、『活火山であることに留意』という表記に変更されています。特に水蒸気爆発の場合、突発的な噴火も有り得るということです。
【全体的に活発化している】
ここでは、最近の主だった動きのみをピックアップしました。日本列島各地で様々な動きが集中的に起きていると言って良いでしょう。そして、この他にも噴火の兆候が見られる火山はたくさんあります。
さらにここ数ヶ月、日本列島全体で地震の発生回数が増える傾向が確実に見られています。
地震と火山噴火には密接な関係がありますから、これらの動きが無関係とは言えません。
日本列島の地下で、何か大きな動きが起きつつあると考えるべでしょう。そしてその動きが、地震や火山噴火という形で突発的に現れる可能性が高まっているのです。
世界的な大規模地震の多発も、決して無関係では無いはずです。
このような最近の状況は、感覚的には「そろそろ何かありそうだ」と警戒を強めるレベルにあるのではないでしょうか。警戒とはもちろん意識だけではなく、具体的な行動と備蓄によって、初めて意味を持ちます。
“次”がどこなのか、何が起きるのか。現代の科学では解明仕切れないということだけは確かです。
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