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2015年6月 9日 (火)

【ヲタ目線地震教室10】人工地震って本当にある?(#1005)

さて、今回は根本的に脱線したいと思います。

前の記事では、マグニチュードをイメージするのに、爆薬の爆発に置き換えてみました。

あれは、実は今回記事への壮大なフリでもあったのですw


【人工地震は起こせるか】
世間には、巨大地震はどこかの国の陰謀であり、人工的に起こされていると主張する方々もいます。

そのような方々は、断層の中に爆薬や、ついには核爆弾を埋め込んで地震を発生させていると主張しています。爆薬の爆発力だけでなく、その力で断層の大破壊を引き起こすのだと。

はたしてそれは可能なのかを、笑わずに検証してみますw


【人工地震は簡単】
そうなんです。要は地表面もしくは地下で巨大な衝撃が発生すれば、その衝撃が地盤を伝わって地震が起きます。

地表面の例では、広島に落とされた原爆のエネルギー(TNT爆薬換算20キロトン=2万トン相当)は、マグニチュード値に換算すれば6.1に相当したと言われます。

かつて南米で兵器庫が大爆発を起こした時は、地震観測システムがマグニチュード2.0相当を検知したと。

このように、人工の爆発が自然地震並みのエネルギーに達することはあります。しかし、地表面の場合は衝撃エネルギーの大半が空中に拡散してしまうので、地面の揺れはそれほど大きくなりません。

では地下の場合は。

その場合、エネルギーの大半が地盤に作用しますので、“効率良く”地震を起こすことができます。

実際に、例えば鉱山の爆破(発破)でも小さな地震は起きますし、地質調査のために地下に爆薬を埋め込んで爆発させ、人工地震を起こすことも行われています。

人工的に地震を起こし、地震波の速度や伝わり方を震源の周りで計測することで、地下の状態が推測できるのです。

ちなみに、地震波は固体より液体の方が伝わる速度が遅くなったり、構造が不連続の場所で反射や屈折が起こったりするので、それを解析して推測するわけです。

なお、最近は爆薬を使わず、専用の大型重機で地面に振動を与え、それを計測する方法もあります(下画像)
Vibrator
地質調査用のバイブレーター車。車体中央部の装置で地面を震動させる

これは好ましく無い例ですが、北米大陸で行われているシェールガスの採掘では、高圧の水を地層内に注入しているので、周辺地域で小規模の地震が多発していると言います。

高圧の水が小規模の岩盤破壊を引き起こすことで地震が起こっているわけで、これも広い意味で人工地震の一種と言えなくもありません。

このように、小規模の人工地震は珍しいことではありません。近所を大型トラックが通るとドドドっと揺れる、それも人工地震と言えなくもありませんし。


【人工巨大地震は起こせるか】
理論的には不可能ではありません。仮に、大きなストレスが加わっている断層付近で巨大な爆発を起こせば、その衝撃で断層の大きな動きが誘発されることも無いとは言えせん。

現実にも、それと似たようなことが何度も行われています。地下核実験です。

もっとも、地下核実験は大規模な断層が無い場所で行いますし、爆発させる深さもずっと浅いのです。それでもかなり大きな地震が起きますし、近くの断層の動きを誘発して、中規模の自然地震を誘発したこともあります。

それでも、地上に大被害をもたらすような規模の地震は起きていません。

しかし、理論的に可能ならば、それも“秘密の技術を使った大国の陰謀”ならば、可能なはずだとお考えの方もあるかと。

でもまことに残念ながら、核爆弾も含む爆薬で起こされた地震と自然の地震では、とても明らかな違いがあるのです。


【地震波を観測すれば】
その違いとは、地震波。

2013年2月、朝鮮半島で地下核実験が行われました。その地震波は日本にも到達し、気象庁の観測システムでも検知されました。

ちなみにその時、震源の推定位置と深さは核実験施設の場所をピンポイントで示していたのです。我が国の地震観測システムの優秀さを、図らずも示したと言えましょう。

以下に、その時気象庁から発表された資料から引用させていただきます。

この資料では、その時検知された核爆発による地震波と、過去に核実験施設付近で起きた自然地震の地震波を比較しています。 なお、波形図は上から垂直動成分、南北の水平動成分、東西の水平動成分となります。

まず、自然地震の震動波形。
Quake2
次に、核爆発による震動波形。
Nuke

明らかな違いが見られます。解説文も引用させていただきます(太字部分)

今回の震動波形はS波が不明瞭であるなど、平成21年や平成18年の震動波形(管理人註:過去の核実験時の震動波形)と類似した特徴があり、これらの波形の比較で見れば、今回の地震が自然地震ではない可能性があります。

専門外の気象庁が震動波形だけから判断しているので、「自然地震ではない可能性があります」と婉曲に表現しているものの、つまり自然地震と爆発による地震の波形は全く違うということです。P波がかなり強い割にはその後のS波には目立ったピークがなく、確かに不明瞭です。自然地震とは全く違います。

仮に、爆発が断層の動きを誘発したとしても、断層破壊によるP波より前に爆発による地震波が到達しますから、その場合でも自然地震との違いは一目瞭然というわけです。

ということで、秘密の人工巨大地震を引き起こすことは不可能です。もしやったら、すぐにバレます。

それ以前に、巨大断層がある20kmより深い場所、それも大きなストレスがかかっている場所を検知してピンポイントで爆弾を埋め込む技術など、人類は未だ持ち合わせていないのですが。

もしそれができるようになれば、地震予知技術は飛躍的に向上するのですけどね。


【この話はここまで】
こういう話になると、“信者”の方々の反応は予想できます。

きっと、『発表された記録が改竄されている』ということになるのでしょう。

でも、当ブログとしてはここまでにします。あくまで、『人工巨大地震って本当に起こせるの?』と思っている方の疑問にお答えするということで。

それでも、と思われる方々には何も申しません。なお、一方的なコメントや誹謗中傷の類にはお答えしませんし、削除させていただきます。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


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コメント

確か「空想科学読本」か何かで読んだ、「街中でウルトラマンと怪人が戦うと、震度○(数字は忘れました)クラスの地震が!」というのを思い出しました。
空想科学読本の方は笑いをとる目的の本なので良いのですが、人工地震の方は…(^_^;)

地震関連で言えば「人工地震」「地震雲」「異常な夕焼け」は御三家ですね。
ここのところ雲が多い夕空が確かに壮観な紫色だったりしますが、あれって火山灰の影響なんですよね。だから原因と結果を取り違えてるし、地球がぐるぐる回ってる以上、場所を特定できる類のものでもない。
紫色の夕空を見て「地震が来るぞ!」と騒ぐのは、ゲロした後を見て「大変だ!バケツ用意しなくちゃ!」とオロオロするようで滑稽ですね。

>ぼたもちさん

私もあのシリーズ大好きでした。地震以前に、何万トンもある怪獣の重量が足裏の面積にかかったら、地面が陥没してズブズブ埋まって行くってのもありましたねw

記事のバイブレーター車でも、その震動は地下3000mまで届くとのこと。ウルトラマンと怪獣の何万トンもが暴れたら、きっと断層の大破壊を誘発しますよw

当ブログには変なコメはほとんどありませんけど、たまたま見ちゃって腹立ててる向きもあるでしょうねww

>tntさん

ゲロバケツの例え笑いましたw

真っ赤な夕焼けは、火山灰も含めた大気中のエアロゾルが多いときに、青色系光線が強く拡散されて赤色系が強く到達するわけで。

夕焼けはともかく、地震直前の赤色も含めた発光現象は実際にあります。そのメカニズムが良くわからないので公式には取り沙汰されませんが、過去の地震で詳細に観測され、記録もされているんですよ。

後記事でそれにも触れますが、結構びっくりされるんじゃないかと思います。もちろん画像もあります。それも気象庁公式の。

震災後は、いつのまにか彩雲まで地震雲にされちゃってw昔の人は、彩雲を見ると良いことが起こると考えた吉兆現象なんですけどね。

それも記事で触れますが、まあこれも単純に否定できる話で。本物の専門家がバカバカしくて手をつけないジャンルなので、ヲタの私がやりますww

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