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2015年6月

2015年6月30日 (火)

箱根山の噴火警戒レベル引き上げ(#1020)

6月30日、神奈川県の箱根山でごく小規模の噴火が発生したと思われ、気象庁は箱根山の噴火警戒レベルをこれまでの2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げました。

周辺の居住地の一部には、避難指示が発表されています。

箱根山では、今年の4月から噴気孔がある大涌谷周辺を震源とする火山性地震が増加や噴気の増加などが認められていましたが、29日の夜から有感地震の回数が増えはじめ、30日早朝から連続的に発生しています。

さらに、地下でのマグマの動きに伴う火山性微動も観測されました。

このような動きの中、大涌谷の噴気孔周辺に火山灰の堆積が認められたために、ごく小規模の噴火が起きたと判断されました。

気象庁によれば、今後大涌谷周辺の半径700m程度に噴石の飛散などの影響を及ぼす程度の小規模噴火が起きる可能性があるため、噴火警戒レベルが3(入山規制)に引き上げられました。

現時点では大規模噴火に発展するような兆候は見られていませんが、近隣の方は自治体からの情報に留意し、すぐに避難できる体制を取られることをお勧めします。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。

2015年6月29日 (月)

【シリーズUDL07】水編5・手軽で頼れる化学力(#1019)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

ここまで、簡易濾過装置で水の濁りを取り、中空糸膜フィルターで濾過して、さらに煮沸消毒もしました。

でも、火を使えない場合もありますし、中空糸膜フィルターもあるとは限りません。もっと手軽に、水を消毒できないでしょうか。そして、保存水の持ちをもっと良したい。そんな方法は無いのでしょうか。

さらなるハイブリッドの方法、もちろんあります。


【こんどは化学力】
水道水は、『塩素消毒』されて微生物、細菌、ウイルスが除去されています。それを自分でやることができるのです。

水道水に添加されている『塩素』とは、『次亜塩素酸ナトリウム』のことです。これはプールの消毒にも使われているもので、いわゆる『プールの臭い』の正体です。

人が身体ごと浸かるプールの場合は、水道水よりはるかに強力に消毒しなければならず、かなり高い濃度になっているので、あのような臭いがするわけです。

東京都の水道水の場合、『次亜塩素酸ナトリウム』の濃度が、家庭の蛇口部分で0.1ppm以上1ppm以下になるように添加されています。ppmは100万分の1を表す単位ですから、水の量に対して1000万分の1の濃度があれば、消毒効果があるということです。

ちなみにWHO(世界保健機構)による世界基準では、一生飲んでも健康に害を及ぼさず、かつ十分な消毒効果がある『次亜塩素酸ナトリウム』濃度は、5ppmとなっています。これに比べると我が国は大丈夫なのだろうかと心配になりますが、世界には恐ろしく悪い水質の水を飲まなければならない人々が多く、そのような場所を基準としているからです。

“水の国”日本は、とても恵まれているわけです。同時に、それくらい濃い目で消毒しても、仮に、それを一生飲んでも健康には影響が無いということですから、あまり神経質になる必要はありません。


【安価で多用途、一家に一本】
『次亜塩素酸ナトリウム』は、薬局や通販で入手できます。当ブログでお薦めしているのは、液体タイプの『ケンミックス4』(商品名)です。
Kenmix_2

入手しやすい類似の製品として、『ピューラックス』(商品名)もあります。
Purax


これら製品は食品添加物として認可されているもので、飲料水の消毒に安心して使えます。有効塩素濃度はケンミックス4が4%、ピューラックスが6%となっており、適量を水に混ぜるだけで消毒できます。

これが一本あれば、UDLでの水の消毒はもとより、後の衛生編でも大活躍します。衛生状態が劣悪なUDLだけでなく、普段の生活でインフルエンザ、ノロ、ロタなどウイルス感染症対策としてもとても有効です。もちろん、MERSウイルスにも効きます。

これを水に混ぜるだけで、細菌、微生物、ウイルスに関する問題はほぼ解消できるのです。最悪の場合、川の水や雨水を汲んでからしばらく置いて泥やゴミを沈殿させ、上澄みに少し濃いめに混ぜるだけで、急場をしのぐための飲料水を作ることもできます。

自分で備蓄していた水道水や、給水車からもらった水でも、容器の滅菌ができていないので長時間の保存は不安ですし、使う時に細菌などが入ることもあります。

そこで、備蓄水は先に『次亜塩素酸ナトリウム』を加えておくだけで、より長く安全な状態に保つこともできます。

細かい使い方は後述しますが、ポイントは時間。水に添加したら、よく混ぜて30分ほど放置します。十分な効果を発揮するためには、それくらいの時間が必要です。


【まず、生きるために】
想像してみてください。猛暑の夏場に大災害に襲われ、備蓄水が無くなり、救援も来ない。そんな中で、自ら“安全な水”が作れるかどうかの差を。

これまで紹介した装備があれば、飲料水の備蓄が無くても、例えば雑用水としてタンクに溜めておいた水や、最悪は風呂の残り湯やトイレの水さえも、とりあえず飲める水にできます。そんなことをしなければならない状況では、水を飲むこと=生きることそのものなのです。

管理人としては、水の消毒手段は防災用備蓄の筆頭に挙げたいのですが、巷で言われるのは飲料水の備蓄ばかり。

過去の大災害で、個人が備蓄した水で十分足りたという話がありますか?水を備蓄していても、それを失うことも多かったのです。

それでも、『防災の専門家』はこういう指導をほどんどしない。1週間分は備蓄せよとか無責任に言うけれど、家族全員分の水を1週間分も備蓄できる人が、どれだけいるのですか?

しかも、巨大災害では1週間後に十分な救援が来るとも限らないのです。


【こんな時に一滴】
ペットボトル水を開けたけれど、しばらく残っている。そう言えば一度ラッパ飲みしてしまった(口の中の雑菌が確実に混入している)

水道水をタンクに溜めてあるけれど、何ヶ月も放置してあったから飲めるか不安。

マンションの配水タンクから水を分けてもらったけど、断水してからしばらく経つので、そのまま飲むのは不安。

防火用水槽の水が使えるけれど、雑用だけではなく飲用にできないか。

雑用のために雨水を溜めたが、飲み水にしたい。

近くに、結構きれいな川が流れている。

水を煮沸したり、中空糸膜フィルターで濾過したけれど、なんだか不安。さらに確実に消毒できないか。

雑用水で食器などを洗いたいが、かえって細菌などがつかないか。


そんな場合のトドメのハイブリッド方式が、『次亜塩素酸ナトリウム』の添加だと言えるでしょう。

これまで紹介した複数の方法を状況によって併用することで、実際に安全度が上がるだけでなく、安心感もアップします。

ただでさえ不安が多いUDLで、生命の根幹である水が安全であり、しかも自分で安全な水を作れて、その方法を複数持っていること。その効果は絶大です。

ちなみに、小見出しの“一滴”というのは、その程度という表現であり、もちろん適量があります。しかし、多少多めに混ぜても、健康がどうのという影響はありません。それはWHOの基準にもあるように、科学的に証明されています。

ぷんぷん臭うプールの水をがぶっと飲んでしまっても、別に問題はありませんし。


【実に低コスト】
ここまで、家庭で安全な水を作るための装備として、自作浄水器を除いて3つの製品を紹介しました。この3つをハイブリッドして使えば、UDLでも渇きに苦しむことも、水が原因で健康を害することもほぼ無くなるのです。防災セットとか言う前に、生きるための根幹となる装備を揃えませんか。

参考価格を見てみましょう。

カセットコンロ 2500円
ガスボンベ9本 1000円
スーパーデリオス 2600円
ケンミックス4 600円

あくまで最安値レベルの概算ですが、ざっと7000円弱。しかも、みんな他の用途にも、平時の暮らしにも幅広く使えるものばかりです。カセットコンロは言うに及ばず、ケンミックス4は平時の殺菌、ウイルス消毒にも使えますし、スーパーデリオスは、水道水が不安な地域の海外旅行にはぜひ持って行きたいものです。国内旅行でも、備蓄を持たない旅先での被災時に絶大な威力を発揮します。


【次亜塩素酸ナトリウム溶液の使い方】
ケンミックス4の場合
水20リットル(灯油用などの大型ポリタンク1つ分)に対し、原液1滴を添加し、かき混ぜて30程度置く。それで有効塩素濃度0.1~0.4ppmとなる。
(ケンミックス4製造元サイトより)

しかし、UDLではもっと少量の水に添加することが多くなりますので、一旦高濃度の希釈液を作ってから、それを添加するようにする方が現実的です。

下記に、有効塩素濃度6%(ビューラックスに相当)の溶液による、少量の水の消毒方法をリンクしますので、是非ご覧ください。なお、ケンミックス4の有効塩素濃度は4%ですので、約1.2倍の希釈液を添加します。

液体消毒液を使った水の消毒方法(愛知県ウェブサイトpdfファイル)

なお、リンク先にもありますが、次亜塩素酸ナトリウム希釈液は作り置きができません。時間と共に消毒効果が失われますので、基本的には使う直前に希釈液を作るようにします。


次回は、水編の最終回として「水の保存と運搬」を考えます。

※当ブログ及び管理人は、記事内で紹介している製品の製造元及び販売元等とは一切の関係はありません。

■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


2015年6月26日 (金)

【シリーズUDL06】水編4・ハイブリッドで安全な水を(#1018)

■UDLとはUnder disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

前回は、水の濁りがひどい場合の簡易濾過装置を紹介しました。しかし実際のUDLでは、そんなに汚れた水を飲まなければならないケースは少ないでしょう。あくまで、最後の手段です。

しかし、UDLでは保存水や配給水でも不安が残ることもあります。そんな水を安全にするためには、それなりの装備が必要です。


【汎用性の高い装備】
水の濁りがなければ、一番確実と言って良い方法があります。それは煮沸。

インフラ停止下で煮沸消毒をするためには、カセットコンロが最適です。水を5分以上沸騰させれば、微生物、細菌、ウイルスを死滅させて安全な水にすることができます。

言うまでもなく、カセットコンロは調理や暖房など幅広い用途に使えるUDLのマストアイテムと言っても良いものですから、家で鍋ものなどをしない場合でも、用意しておくべきでしょう。安いものは2500円くらいからあります。

ちなみに、暖房の場合はやかんでお湯を沸かすと効果的です。

問題はガスボンベですが、とりあえず3本パックを3個、9本は備蓄しておきたいもの。器具や気温などによっても異なりますが、1本当たりざっと1時間は使えます。安売りのものならば、3パック9本でも1000円以下で入手できます。


【もっと簡単な装備】
しかし、水を使う度に煮沸して湯冷ましを作るのも大変ですし、一度煮沸して浄化した水も、滅菌していない容器に保存すれば、いずれ雑菌が繁殖します。そして、ガスもなるべく温存したい。そこでお薦めしたいのが、中空糸膜フィルターです。

既に水道の蛇口につけていたり、据え置き型のフィルターを使われているお宅も多いでしょう。据え置き型の売り文句には、災害時は取り外して別の場所で使えるというものもありますが、実はそうでもありません。

中空糸膜フィルターは、ミクロの穴が空いたパイプに水を通して、不純物や細菌などを濾過するものですから、『水に圧力をかける』ことが必要なのです。

残念ながら、水道から外したら事実上使いものになりません。

であれば、やはり専用の装備が必要になります。


【手頃なものはこれに尽きる】
当ブログでは過去何度か紹介していますが、UDLで使える中空糸膜フィルターで、価格やサイズなどを考えると、手頃なものは事実上ひとつしかありません。

それは『スーパーデリオス』(下画像)
Delios
この製品は、容器の中に水を入れて押し出すことで、キャップの中の中空糸膜フィルターで水を濾過します。

付属の容器はマヨネーズの容器と同じ軟質プラスチック製で容量も小さいのですが、実はこのキャップのねじは、一般的なペットボトルの口にもぴったり合うのです。

2リットルのペットボトルにつければ、効率的に水を濾過できます。

濾過能力は、水に濁りが無い場合、例えば水道水にいるかもしれない雑菌を除去したい場合は約200リットル、ドラム缶1本分にもなりますから、長期保存した浄水に不安がある場合などに最適です。

水が濁っている、すなわち目に見えるような不純物が多い場合は、中空糸膜のミクロの穴が詰まってしまってどんどん濾過能力が落ち、最後には水が通らなくなります。

ですから、中空糸膜フィルターを使う前には、できるだけ水の濁りを取り除かなければなりません。

当シリーズ前記事で、最初に簡易濾過装置を紹介したのは、川の水や雑用水を浄化したい場合、中空糸膜フィルターを使う前の前処理として必要だからでもあります。もっとも、フィルターの寿命が短くなるのを覚悟すれば、泥水でも一気に透明にして、除菌も完了するのです。

なにしろ、とりあえず『スーパーデリオス』があれば、保存水の不安はほとんど解消できます。ちなみに管理人は3個備蓄しており、旅行にも持参します。

最近は、近い価格帯でイオン吸着式(良くわからないのですが)の米国製濾過ボトルも販売されています。一応、細菌や不純物を99.9%除去するそうですが、とりあえず当ブログのイチ推しは『スーパーデリオス』です。


【限界もあるし不安も残る】
しかし『スーパーデリオス』があれば万全でもありませんし、まだ不安が残る場合もあります。

まず、中空糸膜フィルターではウイルスの除去はできません。ウイルスは中空糸膜の穴より小さいので、フィルターを通ってしまうのです。

化学物質や放射性物質の混入にも効果はありませんが、これは前記事で書いた通り、浄水場でも除去は不可能です。そんな危険な水は何をやっても飲めませんから、ここでは考えません。

UDLで飲む機会が多い、密閉して保存されたペットボトルやタンクに入った水道水ならば、開封当初はウイルスや化学物質などの混入の心配はありませんから、『スーパーデリオス』だけで大丈夫でしょう。

それでも不安な場合は、濾過した水を煮沸してやれば、細菌や微生物、ウイルスに対しては万全です。ハイブリッド方式です。

しかし、火が使えない状況だったら。


【さらなるハイブリッドへ】
火が使えず、煮沸ができない場合でも、安全な水を作ることができます。

そのためにかかるお金はたった1000円程度で、1~2年は十分に使えて、平常時にも非常に役に立つものが手に入ります。

それは次回へ。


とりあえず1つ欲しいスーパーデリオス

イワタニのカセットコンロがこの価格

ガスも純正でなければこの程度

※当ブログ及び管理人は、記事内で紹介した製品及び販売先リンクした製品の製造元、販売元等とは一切の関係はありません。

■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


2015年6月25日 (木)

【シリーズUDL05】水編3・本当に作れる?自作ろ過装置(#1017)

Muddy
もしこんな水を飲まなければならなくなったら?

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。


安全な水を作るということは、主に水の濁り(不純物)、細菌、ウイルス、微生物を取り除くということです。特にUDLでは、水の味や臭いを無視してでも、とにかく安全でなければなりません。

そのためにはいろいろな方法がありますが、複数の方法を併用する、すなわちハイブリッド化することで、より安全性が高められるわけです。


【水の濁りを取るには】
まず最初に、濁りを取ります。しかしこの状況はかなりシビアであり、実際のUDLでもあまりお目にかからないでしょう。

見かけ上濁っている水を飲用にしなければならないのは、かなり長い間浄水の補給が受けられない中で、川の水や雑用水などを飲まなければならない状況だからです。

そこで我々ができることは、2つあります。市販の濾過装置を使うことと、自分で濾過装置を作ることです。

ここでは、まず濾過装置を作ることを考えましょう。そこでネット検索してみると、災害時にも応用できるとして、濾過装置の作り方はたくさんヒットしますね。でも、実際のUDLではほとんど使えない。

なぜなら、大半がアウトドアの方法を流用しているに過ぎないからです。まあ、アウトドアレジャーでも川の水を濾過して飲む人も滅多にいないでしょうから、実際には机上の空論に近いものです。


【濾過資材はどうする?】
良く見るのは、ペットボトルの底を切って中に濾過資材を入れる方法。

目の細かいものからだんだん荒いものへと積み重ねて、大きなゴミから細かい不純物まで濾過するわけです。

問題は濾過資材。良くあるのが小石、砂などを積み重ねた中に、木炭の層も作るスタイル。特に木炭は分子レベルの不純物も吸着するので、水の臭いや味を改善するとか、いかにものトリビアが添えられていたりもします。

でも、もうおわかりですね。そんなもの、災害下の街中でどうやって調達するのでしょうか?まさかホームセンターで売っているとは言いますまいw

それ以前に、小石や砂をまず大量の水で洗わなければ、いつまで経っても泥水しか出てきません。浄水が無いというのに。


【アリものを使い倒す!】
しかし濁った水しか手に入らず、なんとか濾過したい。家にあるものでなんとかならないでしょうか。


・・・なんとかなります。アウトドアの知識など必要ありません。

まず容器。やはりペットボトルの底を切ったものが便利です。2リットルサイズがいいですね。

なお、ペットボトルの切り口はかなり鋭くささくれ立ちますので、怪我防止のためにビニールテープやガムテープなどを貼っておくと良いでしょう。衛生状態が悪いUDLでは、小さな怪我ひとつでも防ぐよう気を遣うべきです。

そして、底に近い部分にふたつ穴を開け、そこへ紐や針金を通して吊れるようにします。


さて、そこに何を入れましょうか。

当ブログがおすすめするのは、上から
・タオル
・洗濯ネット
・コーヒーフィルター

これだけで良いのです。大抵のご家庭にありますよね。コーヒーを飲まないお宅では、防災備品として業務用の安いフィルター100枚とか備えておきましょう。大して場所も取りませんし、UDLでは何かと使い道があります。

本題から外れますが、コーヒーフィルターはいろいろ濾過するだけでなく、濡れても溶けない、毛羽立たない、破れにくいという性質から、いろいろなものを拭いたり、さらに怪我の清拭や圧迫止血パッド代わりにもなります。

使用直前までパックされていて衛生的ですから、水気の無い食品を包んだり、小分けするなどにも使えます。

ビニール袋にまとめて入れれば、応急簡易トイレにもなります。吸収力もかなりありますから。

上記の3つを下からペットボトルの半分くらいまできっちりと詰め込めば、実に簡単に濾過装置ができるわけです。

コーヒーフィルター層は、水の汚れ具合で調整してください。厚すぎると、水がなかなか落ちてきません。基本的には、3~4枚重なるくらいで良いでしょう。フィルターを通らない水が落ちないように、ペットボトルに密着させて、しっかりと敷いてください。

そして、ナイロンの洗濯ネット。これが実に良いのです。くしゃっと丸めてある程度の厚さにきつく詰め込めば、泥などはかなり濾過できます。

素材がナイロンですから濾過した汚れもしみこまず、少量の水で洗うだけで再使用できるのもありがたい。

最上層のタオルはフタ代わりのようなもので、大きなゴミが入っていたりしなければ、無くてもかまわないでしょう。


【まだある裏技】
でも、この方法では水の濁りはかなり取り除けるものの、味や臭いは全く改善されません。しかし木炭など家には無い。ならば。

冷蔵庫の消臭剤など、臭いを取る製品の中には、『椰子殻活性炭』が入っています。最近は竹炭を使っているものもありますが、早い話が木炭の一種です。

もしそれがあれば、中身の黒い顆粒を取り出して、コーヒーフィルターの上に1cm以上の層を作りましょう。本当は最後の濾過層にしたいのですが、ペットボトルの口からこぼれてしまいます。ペットボトルの口にティッシュを詰め込むやり方もありますが、水の通りが極端に悪くなります。

水を通す不織布などでパックされているものならば、最後の濾過層にすることができます。

これで、水の味と臭いが多少は改善されるでしょう。


【これは第1段階】
では、こうやって濾過した水が安全に飲めるかというと、当然ながらまだです。

濁りがひどい水だったら、きっとまだ完全に透き通ってもいないでしょう。

その場合は、コーヒーフィルターのみを厚めに敷いた装置で濾過を繰り返せば、かなり改善されます。

でも、さすがに代用資材ではここまでです。水の濁りを取り除いただけで、殺菌もしていません。

ここからは、専用の装備が必要です。その装備があるかないかで、UDLでは天地の差となるでしょう。


実際のUDLでほとんどの被災者がやったこともない、トリビア的な自作濾過装置の話から入ったのは、実はここから先の『本当に必要なこと』への前フリなのです。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年6月24日 (水)

【シリーズUDL04】水編2・UDLの水に潜む危険とは(#1016)

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ラッパ飲みは水に細菌を混入させる(画像はイメージです)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。


さて、防災用備蓄の基本として、まず家族の3日分の飲料水を確保しました。しかし、長期のインフラ停止下では、 当然ながら全く不足します。

しばらくすれば、給水車などによる水の支援も受けられることもあるでしょうが、それでも量的にも足りませんし、別の問題もあります。


【ずっと安全ではない】
仮にある程度の飲料水を確保できたとしても、停電で冷蔵庫が使えないUDLでは常温で保存しなければなりません。

ペットボトルの水も、一度フタを開けてしまったら細菌が混入する可能性がありますし、ボトルに直接口をつけて飲んだら、確実に雑菌が混入します。給水車からもらった水でも、容器が滅菌できていませんから、時間が経過すれば細菌が繁殖します。

ペットボトルの天然水には消毒のための塩素が添加されておらず、給水車の水は塩素消毒されているものの、消毒効果は時間と共に消えて行くのです。

特に暑い夏場には、状況によっては2~3日で飲むのは危険なレベルになることもあります。

バケツなど密閉できない容器の場合はさらに危険で、空気中の細菌が混入するだけでなく、そこから水を汲むたびに容器や手についた細菌が混入しますし、空気に晒されていると消毒用塩素の効果が落ちるのも早くなります。

細菌類やウイルスに汚染された水は、健康体の大人には影響が無いレベルでも、子供、お年寄り、病人など免疫力が低い人の健康にとっては、大きな脅威となるのです。

なのに、防災用品として密閉できない水容器が堂々と売られていたりして、しかも「被災者の声を反映」とか唱っていたりして、ほとんど悪いジョークのようなものです。


そんなUDLにおいて、当初の保存水が尽きた後に必要なことは以下の2点。

■手に入った水を安全に保存する
■飲む前に安全な状態にする(浄化)

ということです。


【飲料水の危険とは?】
では、我々の健康に悪影響を及ぼす、飲料水の危険とはなんでしょうか。それは、主に以下の3点です。

■微生物、細菌、ウイルスによる汚染
■異物の混入(水の濁り)
■毒物、化学物質による汚染

『安全な水を作る』ためには、この3つの危険を取り除かなければなりません。ただしUDLにおいては、危険なレベルの毒物や化学物質による汚染を取り除く方法はありません。もっとも、原水に危険な毒物や化学物質が混入していたら、浄水場でも浄化はできません。水質を常にチェックしていて、危険な場合は取水を停止するだけです。

毒物や化学物質に関しては、かなり汚い川の水を飲まなければならない場合でもなければ、特に気にする必要はないでしょう。


【ウイルスは繁殖しない】
水の汚染のうち、もっとも恐ろしいのはウイルスと言えるかもしれません。十分な治療が受けられないUDLでノロウイルスなどに感染すると、激しい下痢などで生命の危険さえあります。

それ以前に、下痢をすると大量の水を飲まなければなりませんから、ただでさえ足りない水を減らすことにもなります。 さらに、排出されたウイルスが他の人に感染しやすくなります。

しかし細菌や微生物と違って、ウイルスが空気中や水中で繁殖することはありません。ウイルスが繁殖するのは、人間など生物の体内、さらに言えば細胞内に入ってからなのです。

問題となるのは、手などについたウイルスが飲料水に入ったり、水の容器に付着することです。忘れないでください。UDLでは、外出から帰ってもトイレに行っても十分に手が洗えないのです。 そして、周りの人の多くがそういう状態だということを。

どこかに付着したり水に混入した状態で、ウイルスは数時間から条件によっては数日間も生き続けることもあります。ノロウイルスなど感染力が強いウイルスは、ほんの数個が体内に入っただけで感染・発病することもありますから、まず第一に水や容器を媒介としてのウイルス感染を防がなければなりません。

水はみんなが飲むものですから、ウイルスが混入していると、一気に感染が広がる可能性があるのです。

なにしろ、ウイルス対策は、まず『混入や付着を防ぐ』のです。それに対し、繁殖を抑えるのは細菌や微生物。どちらの理由でも、前述の通り水の容器からラッパ飲みするのは厳禁です。


【水対策はハイブリッドで】
まとめますと、UDLの水対策で必要なことは、『安全な保存と浄化』です。

さらに、浄水が手に入らなければ、雑用水などからも安全な水を作らなければなりません。

次回からはそれらの具体的な方法に入って行きますが、その方法はいろいろあります。そして、これひとつやっていれば安心というものでもありません。

水対策は複数の方法を併用する、すなわちハイブリッド方式で行うことで、より安全性が高められるのです。

特に、家族の健康を預かる方には是非覚えておいていただきたいことです。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


2015年6月22日 (月)

【ヲタ目線地震教室15】不思議な符合もある(#1015)

今回は昭和40年の長野から、昭和21年の高知へタイムスリップしてきました。

軽い頭痛を感じますが、タイムスリップによるセロトニンの異常分泌によるものと思われます。ブログには支障ありません(←すいませんネタですわかる方は笑ってくださいw)


【地震前の異常な暖かさ】
昭和21年(1946年)12月21日の午前4時19分頃、高知県潮岬南方沖の深さ約24kmを震源とするマグニチュード8.0の大地震が発生しました。昭和南海地震です。

太平洋戦争終戦直後の混乱期だったために、被害などの記録もあまり詳細とは言えません。

そんな中で、民間研究者の手によってこの地震を体験した人々の証言が採録され、近年出版されています(下画像の書籍 文末に販売先リンクあり)
Nankai_002

何十年もの長い年月を経てからの証言なので、誤認、誇張、思い違い、記憶の変化などがある程度紛れ込むのは仕方無いとしても、その証言には非常に興味深い共通点がみられるのです。


【3つの不思議な共通点】
まず一つ目は、異常潮流。地震が発生する前に潮が異常に引いたり、沖で異常な流れが起きたということ。

二つ目は、異常発光。午前4時過ぎの地震発生前に、沖の夜空の一部が「絵の具か口紅のようなべったりとした桃色や紅色に染まった」ということ。

そして三つ目は、異常な暖かさ。地震の数日前から12月とは思えない、経験したことの無い暖かさが続いたが、地震後すぐに平年並みに戻ったということ。

その他にも沖からの爆音、異常な臭い、海からヘドロ状の沸き上がりなどの共通点も多いのです。文末に記載本の販売先をリンクしますので、興味のある方はどうぞ。

どの証言も、地元で長く暮らしている漁師とその関係者からのもので、言わば地元と海を知り尽くした人々の証言ですから、その信憑性は高いはずです。

しかし、どれも当時だけでなく現代の科学でもその理由が説明できず、公式には「あり得ないこと」という扱いです。


【暖かさの理由とは】
さて、ここでは地震前の異常発光と異常な暖かさに着目したいと思います。

証言によれば、地震の数日前から風も止まってべったりとした凪で、どんよりと「蒸し風呂のように」、12月と言うのに暑いくらいだったということです。

風が止まっていたという部分は、昭和40年の松代群発地震の発光現象時と共通していると言えるでしょう。


暖かさの理由として、書籍でも述べられていますが、地震前の海底から何からのガスが放出され、それが海岸部に滞留することで、局地的な温暖化現象のようになったのではないかというものです。

このことは、地震前に海底からヘドロ状のものが沸き上がって漁具に絡まり、異常な臭いがしたという多数の証言とも関連がありそうです。

これは、松代群発地震における発光現象の仮説として挙げられている、ラドンなどの放射性希ガス類が地中から“揺り出される” 現象と共通するようにも見えます。


しかし、一般的な気象学では、そのようなガス類が滞留することによる局地的な気温上昇など「あり得ないこと」になっています。でも少なくない、それも離れた場所にいた人々が証言しているのです。相関はともかく、異常に暖かかったというのは事実でしょう。

そして地震直前に沖、すなわち今で言う南海トラフの方角の夜空が赤く染まったと。


【エセ科学的手法で組み立てる】
ここで、敢えて科学的事実を無視して、証言だけから仮説を組み立ててみましょう。ある意味で、エセ科学的手法です。

エセ科学の場合、そのような仮説が「そうに違いない」と一人歩きを始めてしまうのですが、管理人はもちろんそのつもりはありません。

・地震の数日前から地中(海底)から何らかのガスが放出された。

・ガスが沿岸の海上や海岸部に滞留して、局地的な温暖化現象が起きた。

・地震直前に地中から放出された電磁波の影響で滞留したガスが電離(プラズマ化)して赤く発光した。

という感じになります。なお、発光が赤く見えたのは、光自体が赤かった可能性と、滞留したガスやエアロゾルの影響で赤く見えたという両方の可能性があります。

別の地震における発光の目撃証言では、同じ発光の場合でも光が赤かった、白かったと証言が異なっている例もあります。

そのような証言の差異は観測場所の条件や記憶の混乱、観測者の主観の差などによって普通に起こることでもありますが、昭和南海地震の場合は、採録されたすべての証言が、表現は多少異なるものの「空が赤かった」となっています。

昭和南海地震の場合、目撃場所はすべて海岸か沿岸の海上であり、そこから沖の方向、すなわち発光が起きたと思われる南海トラフ上空方向を見ているので、観測条件がかなり似通っていたせいもあるかと思われます。


【どれも認められていない】
しかし前述の通り、上記のどの要素も科学的な理由付けはできません。ですから、それを「そうかもしれない」という印象で繋ぎ合わせても、何の補強にもなりません。なんとなく整合性があるように見える、というレベルです。

ついでに言えば、他の証言にある『地震のかなり前(管理人註:津波の前ではない)から潮が異常に引いた』などの異常潮流に関しても、現代科学では「あり得ないこと」とされています。

それでも、『そこで何かが起きた』ということは否定できません。現実に、地震前には世界各地で発光現象が目撃され、松代群発地震では、科学者による観測と撮影も成功しているのです。

そして、それらの情報に偶然とは思えない共通点が見いだせるということも、また事実なのです。

次回へ続きます。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年6月21日 (日)

【ヲタ目線地震教室14】電磁波と希ガスの仮説(#1014)

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松代群発地震時に観測された発光現象。夕焼けや朝焼けではない(気象庁松代地震観測所ウェブサイトより)

今回は、結論が出ていないことに関する管理人の考察です。

【地震前は暖かい?】
これも、『宏観現象』と呼ばれる地震の前兆現象として語られることがあります。

ネット上でも、「今日は冬なのに暖かいから地震が来るかも」などという書き込みが見られたりしますが、そういうレベルの話でもありませんが。

まず大前提として、気象条件を理解していなければ意味がありません。暖かくなるべくしてなっているのならば、何も問題ありません。

問題は、暖かくない季節や気象条件の中で、異常な暖かさが「しばらく続く」場合です。


【発光現象とも関係ある?】
この話は、実は発光現象とも関係があるのでは?と管理人は考えています。

当シリーズ前記事で挙げた、松代群発地震でのふたつの発光現象の記録には、実は興味深い共通点があります。

それは、どちらも発光現象が起こる直前または直後に、『弱い寒冷前線が通過したらしい』と記録されていることです。

寒冷前線とは、暖かい空気の中を、冷たくて密度が高い、重い空気が地を這うように進んで来るようなものです。空気の温度差が大きく湿度が高ければ、その境目には積乱雲が発生し、雷雨になったりします。

前記事の赤色光の画像は冬の2月中旬で薄曇り、白色光の画像は秋口の9月下旬で良く晴れていますので、寒冷前線による雲が発生するほどの温度差や湿度差は無かったようです。弱い寒冷前線が通過すると、冷たい空気が地表近くに溜まり、通過後しばらくすると風も収まります。

地形の影響もあります。松代群発地震は、長野市北西端の山間部を中心に発生しています。長野市は盆地状の地形で、低地に冷たい空気が溜まりやすいのです。

実は、松代地震における発光現象の調査報告書にも、下記のような表記があります。

「発光現象は地震の際大気下層の電導度が大きくなり,気象上からも弱風で不連続線の通過の頃に,電位傾度の大きい山頂でよく生じている」

なんだ暖かくないじゃないかと突っ込まれそうですが、もう少しお待ちを。


【発光の仮説とは?】
最終的には科学的に説明がつかないのですが、地震前の発光現象には大きく分けて二種類の仮説があります。

ひとつは、地中から放出される電磁波によって空中放電のような現象が起こり、大気が電離(プラズマ化)して発光するということ。

しかし、地震の前や最中に空気中でそのような現象を起こすほどの強い電磁波が発生することを説明できる確かな理論も、観測結果もありません。

空中放電を起こすためには、雷レベルの大電圧と大電流が必要なのです。もし地中からそんな電磁波が放出されれば、雷と同じように他にも様々な影響が出なければおかしいはずです。

雷が発生すると、AMラジオに「ザッ」という雑音が入ります。あれは雷から発生する電磁波による空電現象というものですが、発光時の記録によれば、赤色光の時は空電現象が観測されず、白色光の時は発光時及び前後に数回、空電現象が観測されたとのこと。

それによれば、空電現象と発光との直接の関係は無いのかもしれません。


もうひとつの仮説は、ラドンなど放射性の希ガス類が地中から放出されて地表近くに溜まり、それに地中からの電磁波が作用することによって発光するというもの。すなわち、蛍光灯の中のような放電現象が起きるということです。

しかし、こちらも空気中の希ガスが自然レベルの弱い電磁波で発光するというメカニズムを説明することはできません。どちらも、決定的にエネルギー不足です。 空気には強力絶縁効果があるのです。

一部の地震研究者は、地震前にラドンガスなどが放出される可能性に着目し、その濃度を観測しています。しかし、現時点では地震発生とのはっきりとした相関を見いだせていません。仮に放出されることがあるとしても、「ごくまれに」というレベルなのでしょう。


【それでも仮説を進めれば】
管理人が着目したのは、気象条件との関係です。

当シリーズ前記事の、松代群発地震で発光現象が観測された時は、どちらも弱い寒冷前線が通過した前後で、比較的冷たい空気が地表近くに溜まりやすく、風が無いか弱い、穏やかな気象条件だったと思われます。さらに、地形的にも冷気が低地に溜まりやすい場所です。

もし地中から希ガス類が放出されていたら、それが地表面近くに溜まりやすく、風で流されることもあまり無かったはずです。

もし仮に希ガスが発光現象と関係するならば、まずその条件のひとつは整っていた可能性が高いということです。

また、寒冷前線が通過する前には赤色光、通過した後には白色光が観測されているのは、もしかしたら光の色はガスの滞留状態や濃度に関係しているのかもしれません。

これはあくまでも事象面からだけの推測ですが、さらに別の発光現象との比較しながら、考察を進めてみます。


【時代をさらに遡ります】
なんだか地震前は暖かいことがあるという話からどんどん離れて行ってしまいますが、大丈夫ですw

次回は、昭和40年の長野から、昭和21年の高知へタイムスリップします。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年6月18日 (木)

【ヲタ目線地震教室13】地震前の赤い光とは?(#1013)

古くから、大地震の直前に地面近くや空が光ったという話がたくさんあります。

当シリーズ前回記事で触れた真っ赤な夕焼けは、あくまで“夕焼けが出るべき時間と場所”に見られたに過ぎませんが、発光現象は地震発生の直前~数日前くらいの間に、時間を問わずに観測されています。

もっとも、人の目に見えるのは暗い時間に限られますから、目撃報告は夜間がほとんどです。


【光の無い場所が光る】
前述の通り、真っ赤な夕焼けは出るべき時間に、出るべき場所に出ているだけです。

しかし、不思議な発光現象が見られるのは夜間の空だったり、人家の無い山の中だったりします。しかも、その持続時間は数十秒~数分程度が多く、明らかに太陽光によるものではありません。


昭和21年(1946年)に発生した昭和南海地震の直前には、四国の太平洋沿岸部各地で、沖の海上に不思議な発光現象が見られたという証言が数多く記録されています。

その多くは、夜明け前から出漁していた漁師からもたらされたもので、地元の海を日常的に見ているプロからの報告ですから、その信憑性は非常に高いのです。

光が見られたのは、まだ夜が明け始める前で真っ暗な時間であり、方角も太陽が上る方向、つまり朝焼けが出る方向ではありませんでした。しかも短時間で光は消え、再び暗くなっているのです。

目撃談に共通するのは、沖合の空の一部が、朝焼けより濃い、光というより絵の具や口紅の色のようにべったりと濃い桃色や紅色に染まって見えたというものです。

そこで何か異常な発光があったことは間違い無いと言えるのですが、現時点ではその原因やメカニズムを科学的に説明することができないために、公式には誤認もしくは誇張、有り体に言えば「無かったこと」にされています。

その他にも、地震前に不思議な光を現象を見たという証言や記録はかなりあります。しかし、ほとんどが「そういう話もある」というレベルの扱いです。


【公式記録に残る事実】
そのように、下手をするとエセ科学扱いの発光現象ですが、決定的な記録が公式に残され、それが公開されていることをご存じでしょうか。

昭和40年(1965年)、長野県の松代地方を群発地震が襲いました。『松代群発地震』と呼ばれます。強い地震が狭い範囲で集中的に発生し、かなりの被害も出ました。

その際、不思議な発光現象が何度も目撃されているのです。そして翌1966年、群発地震の継続中に、ついに地震研究者が光の撮影に成功しました。それが下画像です(気象庁松代地震観測所ウェブサイトから転載させていただきました)
Matsuhiro1
1966年2月12日 午前4時17分頃

Matsuhiro2
1966年9月26日 午前3時25分頃

二枚の画像は、それぞれ別の時に撮影されたものです。研究者による観測ですから、時間はもとより見えた方位角、気象条件、月齢なども同時に詳細に記録されています。それによれば、夜明け前の真っ暗な時間でもあり、他の自然光を誤認した可能性は無く、もちろん人工光でもありません。

それに、これらの光は30~90秒程度で消えてしまったのです。

記録では、観測された諸条件から光の正体について様々な科学的考察が行われており、いくつかの仮説が提示されていますが、どれも実際にそれが発生することを説明できません。現代科学の範疇では、「あり得ないこと」なのです。しかし、発光があったことは事実です。

何より、この記録は気象庁の出先機関である『松代地震観測所』が、公式記録として公開しているものなのです。


【赤い光の謎】
ここで、もう一度上の画像を良く見てください。空がまるで夕焼けか朝焼けのように、赤っぽく光っています。 下画像の白っぽい光の中にも、赤く見える部分があります。

ここで、上の画像について観測者がまとめた記録を、一部引用をさせていただきます(下記太字部分)

4時17分地震直後松代町西方妻女山付近が仰角5°ぐらいまでかなり広い範囲(数km幅)に夕焼けのごとき色を示し、夕焼けの中でももっとも複雑などすぐろい色に見えた。継続時間は35秒
(管理人註:文中に「地震後」とあるが、群発地震の最中であり直前の地震と発光との個別の関連が考えられる状況ではない)

『複雑などすぐろい色に見えた』という部分に注目です。これは上記の昭和南海地震前に多くの人が見たという、「絵の具や口紅のような紅色」に近いものではないでしょうか。

なお、写真は、一眼レフカメラによるスローシャッターまたは30秒程度の長時間露光で撮影されていますので、実際の見え方よりは明るく写っているものと思われます。


次に、下の画像の記録からの抜粋(下記太字部分)

3時25分、(中略)ノロシ山一帯が96秒間白色蛍光灯のごとく山に沿って光った。光帯の仰角は5~15°、光帯中心部は(中略)白色半球状に見え、付近のちぎれ雲はかすみに帯赤色に着色しており、最輝時の40秒間は満月の明るさの3倍ぐらいだったと思う。腕時計の秒針がはっきりと読めた

こちらは「白色蛍光灯」のような光でしたが、その中でも雲が赤く見えたということです。

どちらの発光も午前3時から4時過ぎという、まだ真っ暗な時間に観測されているというだけでも、太陽や月の光の誤認ではないことがわかります。


【発光は起きている】
地震と関係がありそうな発光現象がここまで詳細に記録されているのは、管理人が知る限り我が国では唯一のものかと思います。

ただし、大きな地震の前に必ず発光現象が起きるわけでもなく、ごくまれに起きるレベルのようですから、恒常的に地震予知に使えるものでもありません。何より、夜間でなければ目視での観測はまず不可能でしょう。

でも、もしこんな不思議な光を見てしまったら、その直後から数日くらいの間は、大きな地震が来るという前提で行動すべきでしょう。

気をつけなければならないのは、夕焼けや朝焼け、雷、人工光などと誤認することです。


【なぜ光るのか】
前述のように、なぜ発光現象が起きるのかは、現代科学では説明できません。しかし、発光が観測された時の条件には、興味深い共通点があるのです。

次回は、それについて考えてみたいと思います。

■引用元リンク
気象庁 松代地震観測所トップページ
松代群発地震資料
※下のページで、画像も含めた松代群発地震についての詳細記録がご覧いただけます。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年6月17日 (水)

鉄ヲタと防災ヲタがまとめて怒った話(#1012)

自称『乗り物ヲタ』で、もちろん鉄道も大好きな管理人が以前から気になっていたことがあるのですが、またありました。


【日本は全部東京じゃない】
東京近郊で暮らしていると、東京の話が全国で通用するような錯覚に陥ることがあります。

管理人は群馬県出身で東京暮らしも長く、それから転勤で全国をあちこちへ行きました。地方都市で暮らして感じたことは、メディアには東京発信の情報が多すぎやしないか、ということです。

全国展開するコンテンツの多くが東京で制作されていますから、ある意味で致し方ないのかもしれません。東京はネタにも事欠きませんし。

しかしエンタメならともかく、全国が対象ならば、それでは済まないこともあります。


【東京を制する者は商売を制す】
小見出しは、以前記事内で皮肉として使ったフレーズです。商業ベースの『防災の専門家』は、やたらと東京を含む関東の危険をアオります。

東京直下型地震、東京湾大津波、立川断層地震、富士山噴火の火山灰被害等々。東京を含む巨大都市圏の危険をアオるのが、いちばん『数字』取れますからね。

そんなバイアスがかかっているのに加えて、恐らくは不勉強もいいところという実例がまたありました。


【不勉強とやっつけ仕事】
facebookページの方でも久々にちょっと書いたのですけど、有名週刊誌『G』(何故かこちらではイニシャルw)の防災記事で、大地震における地下鉄の危険をテーマにしたものがありました。

その内容はさておき、例によって地下鉄の危険について『防災の専門家』がコメントしています。当ブログ記事でも良くネタにさせていただく、お馴染みの面々です。


地下鉄の防災ネタになると、必ず登場するのが『第三軌条』という話。線路の脇に高圧電流が流れている3本目のレール(第三軌条)があり、そこから集電して電車を走らせる方式です。

そんな路線では、災害や事故が起こった時、乗務員の誘導がないうちに線路に下りたりすると、第三軌条に触れて直流600~750Vで1000A以上の大電流を食らい、一発で感電死の危険があるわけです。

そういう話の例として登場するのは、ほぼすべて東京メトロの銀座線と丸の内線です。過去の地下鉄防災系記事でも、これ以外が例に出たのを、管理人は見たことありありません。ほとんど枕詞のように、第三軌条と言えば銀座線と丸の内線を「挙げておけばいい」という感じです。

今回の週刊『G』記事のコメントでもそうでした。でも、あれは全国誌ですよね。


【他の地域は無視、関東さえも】
実は、第三軌条方式の鉄道は、東京以外にもあちこちにあります。

まず、ゴムタイヤ方式で有名な札幌地下鉄の南北線。名古屋地下鉄の東山線・名城線・名港線。大阪地下鉄の御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線。そして、大阪地下鉄に乗り入れる近鉄けいはんな線と北大阪急行南北線。

これだけあるのに、全国誌の記事で東京メトロだけ挙げとけばいいという発想、どうでしょうか。他の都市の住民は知らんということですね。

とりあえず関東中心の記事だと言い訳されたとしても、実は関東にもまだありますよ。横浜地下鉄ブルーラインが。大地震のリスクは東京と変わらない、大都市横浜の利用者も蚊帳の外ですよ。代表的な東京だけ挙げとけば格好がつくという、やっつけ仕事がアリアリですな。


【他にも危険はある】
第三軌条云々という話ではありません。この手の話の重点は、鉄道で『勝手に線路に下りたら危険』ということです。ならば、他にも怖いものがある。

いわゆる新交通システムに多く採用されている、『側方接触式・三線剛体架線方式』という方式です。主な例では、東京の「ゆりかもめ」、大阪の「ニュートラム」、神戸の「ポートライナー」、埼玉の「ニューシャトル」など。

この方式も、走行路盤の脇に三相交流き電用レールがむき出しになっています(下画像)
Yurikamome1
車体の右下に見える3本のレールがき電用レール

Yurikamome2
三相交流き電レールのアップ(ジョイント部)

このように、地下鉄だけでなく新交通システムも勝手に車外に出ると大変なことになります。知っているんですかね?『防災の専門家』さんたちは。


【この声を聞け】
ところで、ここでは敢えて電気車両に電力を供給する意味の専門用語である、『き電』という言葉を使っています。漢字で書くと『饋電』ですが、当用漢字ではないので、『き電』と表記されます。

なぜわざわざこんな書き方をしたかというと、電車に乗っていて車外避難が必要になった時のことを考えています。

第三軌条方式などの鉄道や交通システムで乗客を車外に誘導する時は、原則として『き電停止』状態にしなければなりません。該当区間への送電を止めるのです。

それを確認してから、避難誘導が始まります。その際に、「き電停止!」という発声による確認がされるはずですので、それを聞くことができれば感電の心配は無いということです。

もちろん、そんなことは知らなくてもいいのです。でも、「キデンってなんだ?」と思うより、知っているとちょっと安心できる、どうでもいいトリビアとして紹介しましたw

大切なことは、特に第三軌条方式など側方集電方式の場合、『き電停止』が確認されるまでは、車外に出るのは非常に危険である、ということです。

もし、一刻を争うような緊急事態に陥り、自分の判断で車外避難をする場合にも、上記のような知識があるのと無いのでは、安全度が大きく違って来るわけです。


【上にあれば大丈夫という話でもない】
念のため付け加えますが、地面近くにある第三軌条だけが危険なわけではありません。高い場所に張ってある架線(正式には架空電車線)の場合でも、事故や災害で切れて垂れ下がっていたりすることもあります。

そうでなくても、ホームでも無い場所で車外に出て電車の床下機器に触れてしまうと、感電ややけどをすることも普通にあります。電車の床下機器は、高圧電流と高熱だらけなのです。

ですから、鉄道などで移動中に事故や災害に遭った場合、一刻を争う緊急事態で無い限り、避難誘導が始まるのを待つのが賢明と言えます。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2015年6月16日 (火)

【シリーズUDL03】水編1・まずはとりあえず3日分(#1011)

Faucet
UDLでは、この“当たり前”が消える(画像はイメージです。

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

さて、当シリーズ前回記事ではUDLの”できないづくし”を挙げました。時間の経過と共に少しずつ復旧しては行きますが、やはり最低でも1ヶ月は不自由な暮らしを強いられることを想定しておかなければなりません。

水道や電気などのインフラ幹線が復旧しても、自宅への引き込み部分が損傷していることで、それらが利用できない可能性も大きいのです。

これから、そんな状況の中でいかに自分と家族が安全、健康に過ごすかについて考えて行きます。まず最初のテーマは、人が生きるための根幹である、『UDLの水対策』です。


【ひとり1日2リットル?】
この文句、どこでも見かけます。最近は3リットルとされていることも多くなっています。言うまでもなく、水は多ければ多い方がいい。でも、UDLでも本当にそうなのでしょうか?

お気づきの方も多いと思いますが、これは平常時の生活における発汗、排出量を基準に考えた最低限の量です。

当然、夏場は必要量が多くなりますが、断水下では誰もがギリギリまで節約するでしょう。ひとり2リットル以上あれば理想的ですが、それを厳密に考えると無理だらけになります。


ひとつだけのっぴきならないのは、授乳中の赤ちゃんのミルク分。人工授乳の場合、赤ちゃんがいる家庭では1日当たり約200cc×12回で約2.5リットル、その3日分で7.5リットルと考えて、最低でも2リットルペットボトル4本は、赤ちゃん用に備蓄しておかなければなりません。それ以上は、できるだけということになります。

しかし、いつものようにほ乳瓶を煮沸する水も、使った後に洗う水もありません。よく、非常持ち出しにほ乳瓶を忘れずにとか言う『指導』がありますが、消毒や洗浄のことは完全に無視されていますね。

ママさんなら誰もが知っている。でも、主に男性が理屈で考えた話では、本当に大切なことが抜け落ちていることもよくあります。当シリーズでは、後の『衛生編』でその対策も考えます。


UDLで赤ちゃんに十分なミルクを与えることは、無駄に泣かさないということにも繋がります。特に避難所のような場所では、赤ちゃんの泣き声は周囲はもちろん、家族にも大きなストレスになりますから、これはとても大事なことです。

ちなみに、管理人は今で言うイクメンでした。勤め人をしながら深夜の授乳とか普通にやっていましたから、この辺りは実感しています。 それもあって、平然と片手落ちの情報を流す『防災の専門家』とかに、やたらと腹が立つのです。

さておき、とにかく飲料水はできるだけ備蓄しておきたい。では、実際にはどうしたら良いのでしょうか。


【どこに何を置いておく?】
ここでは、家族4人と考えます。

とりあえずひとり1日2リットル、その3日分ならば6リットル。その4人分で24リットル。2リットルペットボトル12本です。6本入り段ボール箱2つです。水は備蓄品の中で一番重く、かさばるのです。

それを『取り出しやすい場所』に備蓄しておける場合は、是非そうしてください。スーパーの安売りならば、2リットル当たり数十円で買えるでしょう。

でも、安いのを見つけても、車ででもないとまとめ買いは難しいですね。6本入り箱ひとつで約12kgです。そんな場合は、宅配してくれるお店に頼みましょう。

なお、安い水でも水質や保存性はほとんど変わりませんから、基本的に心配いりません。


しかし、備蓄水は長期間置いておくことになります。1年ごとに総入れ替えを勧める『指導』もありますが、いきなり24リットルの水、使えますか?

普段から少しずつ入れ替えろ、なんてもありますが、やれる方はやってください。管理人はやりません。めんどくさい。普通は、何年もそのままになりますね。水は大丈夫なのでしょうか。


【やりようはあります】
備蓄水を飲んだらお腹をこわしてしまった、となったら大変です。

特にUDLでは、下痢になるとただでさえ少ない体内の水分を大量に失いますし、栄養も十分でない中で、体力も激しく消耗します。トイレの環境も劣悪ですから、衛生的にも問題です。何度も不快なトイレに行くだけでも精神的にもキツい上に、手もろくに洗えないのです。感染症の危険も大きくなります。

ですから、それは絶対に避けなければなりません。

そうなると、市販されている『○年保存水』みたいのが思いつきます。問題は、非常に高コストだということ。500cc当たり170~200円くらいします。

それを十分な量備えられるなら、そうすべきでしょう。500ccで170円としても、24リットルで8160円です。仮にそれが5年分だとしても、一度に払いたい額ではないですね。次善の策として、非常持ち出し用や赤ちゃん用だけでも保存水にするという方法もありますが。


管理人も、水にそんなにお金はかけたくありません。備蓄はすべて2リットル数十円の水です。それを、長いもので3年以上置いてあります。

それでも、日の当たらない暗い場所に置いてあるので、とりあえず水に濁りなどは出ていません。震災後に福島のボランティアに行った時は、飲料水はすべて2年以上備蓄したペットボトル水でまかない、一日2リットル以上飲みましたが、全く問題はありませんでした。

しかし、何年置いても絶対安全とは言い切れません。気持ち的にも、古い水を飲むのは気が引ける、特に子供には飲ませたくない。管理人は実際に見たことはありませんが、もし備蓄水に濁りが出ていたら完全にアウトですし、見かけはキレイでも菌類が繁殖していることも無いとは言えません。

でも、UDLでは備蓄水を飲まなければなりません。ならば、安全な水を作ってしまえばいいのです。そのための方法は、いろいろあります。


【復旧を待ちながら】
ここでは、とりあえず3日分の備蓄を考えました。節約しても1週間は持たないでしょうし、4日目までに支援が受けられるとも限りません。特に都市部では、そういう前提で考えるべきではない。

しかも当シリーズで想定しているのは、1ヶ月のインフラ停止なのです。その間にある程度の支援は受けられるにしても、不自由なことに変わりはありません。

飲料水を3日分備蓄することは、とりあえず最初の混乱期を乗り切るための方策に過ぎません。その後は、支援が受けられるまでの間、安全な水を作り出して行かなければならないのです。

それには、出来合いの『防災セット』では全く対応できないことは、おわかりいただけるでしょう。

次回は、安全な水を自ら作り出して行く方法を考えます。これから全部揃えても、1万円でたっぷりお釣りが来る額で、安全な水を作る方法が何種類も手に入ります。それも水専用ではなく、UDLで他にもいろいろ使える方法ですから、実際には大したコストではないのです。

■2015/6/21 タイトルを変更しました。

■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


北関東各地で竜巻被害(#1010)

昨日6月15日は、日本列島上空に大陸からの冷気が流れ込みました。それに対して日射が強く、地表近くの空気が暖められることによる上昇気流が強く発生したために、各地で大気が非常に不安定になりました。


【北関東で突風被害】
このため、特に北関東各地で非常に強い積乱雲が多数発生し、突風または竜巻によると思われる被害が多発しました。

このうち、群馬県伊勢崎市付近で発達した積乱雲が特に強力でした。伊勢崎市に突風被害が発生した約1時間後のレーダー画像をご覧ください。
Cell02
赤い部分は激しい降雨域で、強力に発達した積乱雲の大きさと、ほぼ重なると考えて良いでしょう。一番幅広い部分で約15kmに達する、『スーパーセル』と呼んで良いレベルの積乱雲です。このクラスが、あちこちで発生していました。

この積乱雲は東から南東方面に向けて移動中で、約1時間前には西の伊勢崎市上空にありました。この画像の時間ではそれでも少し勢力が弱まっており、1時間前にはさらに巨大だったと思われます。

この積乱雲により、突風、降雹そして竜巻と思われる被害が発生しました。伊勢崎市の被害は、公式にはまだ竜巻と認められていませんが、車が道路から吸い上げられて路外へ飛ばされている、倉庫の大きな屋根がかなり遠くまで運ばれているなどのことから、竜巻と考えて良いでしょう。

報道映像で見る被害状況から、管理人は伊勢崎市の竜巻は藤田スケールでF0~F1クラスと判断しています。昨日は、このように強力な積乱雲が各地に発生していました。突風、竜巻、落雷、降雹や豪雨による被害が、どこで発生してもおかしくなかったのです。


【気象災害のハイシーズンがやって来た】
最近は、夏場でなくても被害をもたらすレベルの積乱雲が発生することも多くなりました。

その原因はさておき、そんな中でもやはりこれからの夏場は気象災害のハイシーズンと言うことができます。梅雨前線による豪雨、台風の襲来、強力な積乱雲の発生による突風、竜巻、落雷、降雹、豪雨被害などです。

そのような気象災害の場合、その襲来はほとんどの場合は事前に予測できます。しかし大きな被害に繋がることはそれほど多くありませんから、つい日常の延長線上で「多分大丈夫だろう」と、根拠も無く考えてしまいがちです。

しかし、現実はそれを許してはくれません。我が国における気象災害は、近年急速にその頻度と規模を増しているのです。

関東の感覚で言わせていただければ、例えば冬に雷が鳴って落雷したりするのは、かつては日本海側の特徴とも言えるものでした。しかし、今はもう関東でもそれが起こることもあります。それは、それだけ強力な積乱雲が発達しやすくなっているということです。であれば、さらに夏場ならば何をかをいわんや、ということ。


【情報でセルフディフェンスを】
気象災害は、普段よく見る現象があるレベルを超えたときに、突然起こります。実際に遭遇した時の対処方法を知っていることも大切ですが、それ以前にできることがあります。

現代は、ありがたいことに携帯デバイスでも多くの情報を得ることができます。しかも大地震と違って、気象災害の場合には情報が途絶えることはほとんどありません。いつでも、必要な情報が得られるのです。

自分から情報を取りに行かなくても、危険がある時に警報を発してくれるメールサービスもいろいろあります。

であれば、情報を得てそれを行動に反映させるのは、あなたの意思ひとつ。まず広い範囲の状況を知り、その上であなたの居場所に及ぶ危険を考え、危険を避ける行動を“危険が迫る前に”するのです。

例えば、携帯デバイスで気象レーダー画像ひとつ見られるようにしておくだけでも、少なくとも積乱雲に関わる気象災害のほとんどを避けることができるのです。

突発的な気象災害の危険から遠ざかるためには、あなたの気持ちと事前の行動が大半だと言っても過言ではありません。


■当記事は、カテゴリ【気象災害】です。


2015年6月13日 (土)

【ヲタ目線地震教室11】真っ赤な夕焼けを見たら・・・(#1009)

当シリーズ前回記事では、いきなり大きく脱線して人工地震について述べました。脱線ついでに、今回は『真っ赤な夕焼けは地震の前兆か?』ということについて考えてみます。


【阪神・淡路大震災前の夕焼け】
一般に真っ赤な夕焼けが大地震の前兆ではないかと言われるようになったのは、1995年の阪神・淡路大震災後からと言って良いでしょう。

地震の前日、1995年1月16日に神戸付近から見えた夕焼けが、不気味なくらい真っ赤だったというのは事実です。管理人が個人的に伺った話によると、1月15日の夕焼けもかなり赤かったそうです。

1月16日の夕焼けは、震災後これも『地震雲』ブームのきっかけともなった、一見竜巻状に見える雲の写真と共に、地元新聞(神戸新聞)にカラーで掲載されました(下画像)
Akashi
シルエットは、当時建設中だった明石海峡大橋です。真っ赤な夕焼けの中に見える一見竜巻状の雲については、当ブログ過去記事で解説していますので(下記リンク)、ここでは触れません。

地震雲ってなに?【6】
地震雲ってなに?【7】

早い話が、地震雲なんてものは誤認と思い込みと勝手な解釈の結果に過ぎません。では、真っ赤な夕焼けは。


【理由ははっきりしている】
夕焼けが真っ赤に見える理由は、はっきりしています。

まず、夕焼けの光は太陽光であるということ(これ、とても重要なことです)。それが赤く見えるのは、太陽光のスペクトル(いわゆる虹の七色)のうち、紫から青に近い成分が拡散され、観測者の目に届きにくくなっているということです。

それが朝や夕方に多いのは、太陽の高度が低いために、光が観測者に届くまでにより厚い大気層を抜けてくるからです。その大気層に、青色系の光を拡散するものがたくさんあればあるほど、青色系光が遮られて赤く見えるわけです。

では、青色系光を拡散するものは何かというと、大気中の水蒸気、チリ、火山灰、黄砂などの、いわゆるエアロゾルと総称されるものです。


青色系の光は赤色系に比べて波長が短く、空気中の障害物にぶつかると拡散されやすい性質を持っているのです。このため、大気中にエアロゾルが多いほど、夕焼けが赤く見えるわけです。このメカニズム自体は、エアロゾルの正体がなんであろうと変わりません。

他の例では、高度の低い月が赤く見えることがあるというのも、同じ理由です。高度の低い月の光(太陽光の反射です)は、観測者の目に入るまでに、より厚い大気層を通るからです。

さらに、空が青いのも同じ理由。昔は宇宙の色が透けて見えるから、なんて話が子供向け科学雑誌に載るなんてこともありましたが、実は太陽光が大気層を通る時に拡散されて、空全体が青く見えるというわけです。

逆に、宇宙から見た地球が青いのも同じこと。地球が見えるのは、太陽光が地表面で反射しているからであり、そのうち青色系の光が大気層を通る時に拡散されて、青く見えているということです。空や地球の場合、青色光を拡散する主なエアロゾルは、大気中の水蒸気です。


【では、地震との関係は?】
あくまでほとんど裏付けの無い、仮説とも言えないレベルなのですが、地震の直前に大きなストレスがかかった岩盤が小さく割れ始め、そこから電磁波が空中に放出されて大気をイオン化(マイナス電荷)する。そこにプラス電荷を持ったエアロゾルが引き寄せられてクラスター(固まり)となり、青色系光を拡散する。そのため、地震前の夕焼けが赤く見えるというような主張があります。

一見科学的ですし、高い圧力がかかった岩盤に電荷が発生し、電磁波が放出されることがあるというのも事実です。ただし、実際に発生する電磁波の強さ、到達範囲や持続時間、地震が起きた断層と夕焼けが赤く見えた場所などとの整合性は全く無く、あくまで素人考えレベルの、トンデモ科学の話です。

仮に、真っ赤な夕焼けが地震と何らかの関係があるのだとしても、そのような理由では無いことは間違いありません。

なによりも、真っ赤な夕焼け自体は比較的日常的な現象です。でも、真っ赤な夕焼けが出たからといって、周辺で地震が起きているわけではない、何も起きないことが『ほぼ全て』であるという事実だけでも、夕焼けと地震の間には、基本的には関係が無いということの証明でしょう。


【多数の証言は何を意味するか】
阪神・淡路大震災の前日、神戸付近で見えた真っ赤な夕焼けに対しては、「あんなの初めて見た」、「血のような色だった」、「不気味だった」というような、いかにもそれっぽい話が多くあります。

但し、このケースに限らず注意しなければならないのは、実際に大事件が起きた後にピックアップされた“その前”の情報は、大事件と関連付けやすいものがフィルタリングされているということです。

「何も感じなかった」という情報より、「あれは前兆だったのか?」という情報の方がピックアップされやすく、しかも印象に残りやすいわけです。


さらには、情報の出し手にも、大事件後には自分の見たものを大事件と関連付けようとする、無意識のバイアスがかかります。「あれはきっと○○の前兆だったんじゃないか」という、もしかしたら自分は“特ダネ”に触れたんじゃないかという意識が、事実に尾ヒレをつけることがあるだけでなく、情報を創作してしまうことも普通に起こります。

もちろんそれは悪意ではなく、ごくありがちな人間心理の働きに過ぎません。例えば、大事件の目撃情報の場合は、その事件が怒りを買うものであるほど、大げさになるのです。自分の情報を役に立てたい、犯人検挙に結び付けたいという意識が、無意識のうちに見てもいないディティールを創作してしまうことも少なくありません。


詳細には触れませんが、最近またちょっと話題になっているあの酒鬼薔薇事件で、現場付近にある荒物屋に南京錠を買いに来た『中年男』についてのやたら鮮明な目撃証言、覚えていますか?誰が聞いてもそいつが真犯人というような情報でしたが、事実は全く違いました。

あれなど、事件に怒り心頭の方々が、自分の見た情報にそれまでの報道による想像を加味した“犯人像”を重ねて、無意識に創作してしまった部分が大きいのでしょう。そういうことも、珍しくないのです。

あるベテラン捜査官の言葉に、『目撃証言の8割は信用できない』というものもあります。もちろん完全な間違いばかりではなく、何らかの誇張や創作が紛れ込みやすいという意味なのでしょうが。なにしろ、それが現場の偽らざる感覚ということです。

というわけで、巨大地震も大事件であって、その前の情報、特に発生後にまとめられた情報には、集め方にも内容にも、ものすごいバイアスがかかっているというわけです。ですから、『みんなが言うのだから本当だ』とは全く言えないのです。


【結局、夕焼けはどうなんだ】
という話ですね。阪神・淡路大震災の場合で確かなことは、地震の前日の(おそらくその前々日も)夕焼けが、普段あまり見られないほど赤かった、というだけです。

その時の気象条件、エアロゾルの量などもわからずに、しかも他の大地震の場合との比較対照もせずに、それだけで関連ありと判断するのは、ナンセンス以外の何物でもありません。

では、管理人は地震と夕焼けは全く無関係と考えるのか。

普通ならばそうです。実際に、ほとんどそう考えています。統計的には、無関係と言って良いかと思います。しかし、そうとは言い切れないこともあります。


ここでは、夕焼けや朝焼け、月の光など、太陽光で起こる現象について述べました。しかし、『太陽光以外の現象』も存在するとしたら。

もっとも、それが夕焼けを赤くする理由だとは考えませんが、多少の関連はあるかもしれません。なにしろ、起こったことは事実であり、詳細な記録もあるのですが、その理由は現代科学では説明がつかないのです。


【続きは次回に】
実は、今回記事はまたもや次回への壮大なフリだったのですw

地震前に起きた、事実だけど説明がつかない、現代科学が未知の領域なのかもしれない現象とは。

それが確認されたのは、昭和40年(1965年)の、日本です。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年6月11日 (木)

浅間山の噴火警戒レベル引き上げ(#1008)

6月11日、気象庁は浅間山(群馬・長野県境)の噴火警戒レベルを、レベル1の「活火山であることに留意」から、レベル2の「火口周辺規制」へ引き上げました。


【火山性地震とガスが急増】
浅間山は、今年4月から火山性地震が多い状態が続いていましたが、ここ数日さらに増加傾向が見られていました。

マグマの上昇を示す二酸化硫黄ガスの噴出も、11日には8日観測量の3倍以上と急増したため、噴火警戒レベルが引き上げられたものです。

今後、火口から2キロ程度まで噴石などが飛散する噴火が起こる可能性があるので、火口周辺への立ち入りが規制されました。


【関東最強の活火山?】
私事ながら、管理人は群馬県出身でして、実家からは浅間山が良く見えます。子供の頃、昭和48年(1973年)2月の噴火を目の当たりにしました。

冬の澄み切った空に湧き上がる灰色のカリフラワーのような噴煙(下画像)とかなり激しい降灰に、火山の強大なエネルギーを感じました。それ以来、浅間山は管理人の中では“関東最強”の活火山となっています。それでも、噴火の規模としては小規模だったのですが。
Asama

それ以降も、ごく小規模なものも含めれば7回も噴火を繰り返している、非常に活発な火山なのです。

今回の警戒レベル引き上げにおいては、ここ数十年の噴火を上回るような規模になるような兆候はありませんが、当分の間は状況を注視する必要があります。


【火山活動が活発化しているが】
最近、全国的に火山活動が活発化している印象があり、「浅間もまた噴くか!」という感じではあります。

しかしその一方で、2000年に雄山噴火で全島避難となった伊豆諸島の三宅島は、去る6月5日にそれまでの噴火警戒レベル2から、レベル1の「活火山であることに留意」に引き下げられました。

雄山噴火以来14年ぶり、2008年の噴火警戒レベル制度運用開始から初めて、レベルが平常状態に引き下げられたのです。


また、宮城県の蔵王山では今年4月から火山性地震が増加していましたが、最近は活動が沈静化してきており、近いうちに現在の「火口周辺危険」が解除される見込みです。

なお、蔵王山では噴火警戒レベルが適用されていないので、「火口周辺危険」という事実上噴火警戒レベル2に相当する規制が行われています。

このように、火山活動が活発化しているように見える中でも沈静化している山もありますから、一概に危機的状況とも言えません。

“地震・火山大国”であるわが国にとって、ある意味でこれくらいが普通の状態なのかもしれません。

印象だけで騒がず、ここぞとばかり危機をアオるメディアにも惑わされず、それぞれの火山の情報に留意しながら必要ならば必要な対策をするという、冷静な対応が必要です。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。

【シリーズUDL02】UDLは“できないづくし”(#1007)

Sets_2
「非常持ち出し」で検索するとヒットする諸々の一部。本当にこれでいいんですか?


■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

シリーズ2回目の今回は、UDLで『できないこと』を考えてみたいと思います。

すべての対策は、UDLでできないことをできるようにするか、次善の策または代わりとなる方法で行うために考え、備えることなのです。

なお、このシリーズでは最長1ヶ月程度間は何らかのインフラや都市機能が復旧しないことを前提に考えて行きます。 過去の大規模災害の教訓から、それくらいの間は耐久する必要があると考えます。


【できないことがあまりに多い】
さて、インフラ停止下のUDLで起こることと、それによってできなくなることを列挙してみます。

■断水
・水が飲めない
・水洗トイレが使えない
・手が洗えない
・調理できない
・食器洗いや洗濯ができない
・入浴できない

■停電
・照明できない
・家電製品、パソコンなどが使えない
・携帯機器に充電できない
・冷暖房できない
・調理できない
・入浴できない

■ガス供給停止
・調理できない
・冷暖房できない
・入浴できない

■通信途絶
・電話やメールができない
・インターネットに接続できない

■家の損傷
・風雨を防げない
・侵入者を防ぎにくい
・プライバシーが守れない

■下水道損傷
・汚水を流せない

■ゴミ収集停止
・ゴミが出せない
・ゴミステーションの衛生状態悪化

■燃料供給停滞
・車やバイクが走れない
・車の冷暖房が使えない
・灯油ストーブなどが使えない

■交通機関麻痺
・通勤・通学できない
・買い物などに行けない

■物流停滞
・商店にモノがなくなる

■銀行業務停止
・預金をおろせない


・・・ざっと考えても、UDLではこれだけのことができなくなります。細かく見れば、他にもいろいろあるでしょう。

例えば、家電製品が使えないとひとことに言っても、それによるできないことは多方面に渡ります。


【なにができて、なにが必要か】
ここで、まず考えてみてください。出来合いの『防災セット』の内容や、自治体などで推奨されているような内容で、上記の状況にどれだけ対応できるでしょうか。期間は、最長1ヶ月です。UDLは、アウトドアレジャーではないのです。

これだけでも、『防災セットがあれば安心ではない』ことがおわかりいただけるかと思います。

セットの中に、水と食料以外で何か不可欠なものがありますか?あるなら、実際に使う上での問題はありませんか?足りないものはありませんか?必要の無いものは入っていませんか?

本当にそれで良いのですか?


【安全・健康を第一に】
人が健康に生きるためには水分を補給し、栄養のあるものを食べ、暑さや寒さを避け、衛生を維持し、正しい情報を得て、危険を避け、肉体に過度の負荷をかけず、心理的な負担も軽くする必要があります。

できないづくしのUDLで、上記のような条件を満たして家族が安全に、健康に過ごすためにはどうするか。そのためには、どんな知識と備蓄が必要か。それを、様々な角度から考えて行きます。

他の防災関連情報では見られない内容も、少なからず出て来ます。それらはすべて、実際のUDLの教訓から導き出された、本当に必要なことなのです。

耳目を引く情報だけをピックアップしたトリビアごっこは、もう終わりにしましょう。

■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年6月10日 (水)

【シリーズUDL01】本当のUDLから学んだことを発信します(#1006)

Hanshin
損傷した屋根に張られたブルーシート(阪神・淡路大震災)ひとつひとつの屋根の下に、それぞれのUDLがある

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する、被災生活の概念です。

さて、無理矢理1000号記念新シリーズの1回目です。これから、大災害下で実際に多くの人が体験する被災生活をいかに安全、健康に過ごすかについて、様々な角度から考えて行きます。 まずは、このシリーズの精神から。


【本当のことは伝わらない】
大災害が起こると、膨大な情報が発信されます。しかし、メディアのカメラが向くのは『最も大変な被災者』ばかり。

住む家を失い、着の身着のままで、命からがら避難した人々です。語弊を承知で言えば、最も“画になる”からです。

しかし数的に最も多いのは、インフラ停止下の自宅や、それに準じる自主避難場所のような場所でUDLを過ごしている人々なのです。すなわち、あなたもそうなる可能性が一番高い。

そしてそこでは、情報も公的支援も届きにくく、基本的にしばらくは『自力でなんとかしなければならない』のです。


人の出入りが多くて注目される公的避難場所は、ある意味で安全です。でもそれ以外の場所は人目が少なくなりがちで、様々な危険要素も増えます。

世の中善人ばかりではありませんし、被災家屋が多くなる大災害下は、確実に犯罪者を引き寄せます。これも語弊を承知で言えば、被災地は“稼ぎどころ”でもあります。

しかし、少し損傷しただけの家が並ぶ街並みは全く“画にならない”し、自宅で過ごせている人々は大してニュースバリューも話題性も無いので、メディアも目を向けません。


我が国だけではありません。過日のネパール地震の報道でも、テレビだけ観ているとカトマンズ市街が壊滅したような印象を受けますが、実際に大被害があったのは、市街地の1~2割に過ぎないと言ったら、信じられるでしょうか。

管理人は、現地調査団のレポートを拝見できましたので、それがわかりました。カトマンズでも、家を失ってテント暮らしをしている人々より、インフラ停止下の自宅で過ごしている人の方が、はるかに多いのです。


このように、災害被災地で起こった『本当のこと』は、良くも悪くも想像以上に外部の目に触れていません。

言うなれば、UDLでの完全な“非日常”はネタになるけれど、そこまで行かない“半日常”は、ほとんど忘れ去られているのです。ネタにならない、注目も集めないから、商業ベースの『防災の専門家』も採り上げない。


この【シリーズUDL】では、そのような“半日常”にフォーカスし、UDLでもいかにして“日常”を維持して行くか、そのための意識と方法を、徹底的に考えて行きます。

出来合いの『防災セット』は、家を離れて3日間なんとかしよう、くらいのものでしかありません。(それにも不足ですけど)

それどころか、とりあえず自宅にいられたら、最初の3日でも、『防災セット』さえほとんどいらないとしたら?


【拠り所はリアルUDL】
『防災の専門家』も含めた、防災を商売にしようとする人には確実に嫌われるw、この【シリーズUDL】は、あくまで現実のUDLの教訓から、『本当に必要なこと』を導き出して行きます。

大災害を『生き残る』ために必要なのは、モノより行動。そして『生き延びる』ためには、正しい知識に加えてモノの重要性がより増して行きます。

当シリーズでは、知識や概念に加えて、『防災セット』に入っていないモノもたくさん登場しますよ。でも、商売で真似されることも無いでしょう。ここで紹介するのは、『防災セット』に入れるにはコスト的に絶対に合わないモノばかりですから。

しかし、そんなに高価なモノも出てきませんし、誰でも手に入れやすいものばかりです。でも、2~3万円かけてひとり分の『防災セット』を買うならば、そのお金で家族4人が何週間も使えるものが手に入るとしたら、どちらにしますか?

あくまで皆様の自助努力のために、【シリーズUDL】をお送りします。

それでは、次回から本編に入ります。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年6月 9日 (火)

【ヲタ目線地震教室10】人工地震って本当にある?(#1005)

さて、今回は根本的に脱線したいと思います。

前の記事では、マグニチュードをイメージするのに、爆薬の爆発に置き換えてみました。

あれは、実は今回記事への壮大なフリでもあったのですw


【人工地震は起こせるか】
世間には、巨大地震はどこかの国の陰謀であり、人工的に起こされていると主張する方々もいます。

そのような方々は、断層の中に爆薬や、ついには核爆弾を埋め込んで地震を発生させていると主張しています。爆薬の爆発力だけでなく、その力で断層の大破壊を引き起こすのだと。

はたしてそれは可能なのかを、笑わずに検証してみますw


【人工地震は簡単】
そうなんです。要は地表面もしくは地下で巨大な衝撃が発生すれば、その衝撃が地盤を伝わって地震が起きます。

地表面の例では、広島に落とされた原爆のエネルギー(TNT爆薬換算20キロトン=2万トン相当)は、マグニチュード値に換算すれば6.1に相当したと言われます。

かつて南米で兵器庫が大爆発を起こした時は、地震観測システムがマグニチュード2.0相当を検知したと。

このように、人工の爆発が自然地震並みのエネルギーに達することはあります。しかし、地表面の場合は衝撃エネルギーの大半が空中に拡散してしまうので、地面の揺れはそれほど大きくなりません。

では地下の場合は。

その場合、エネルギーの大半が地盤に作用しますので、“効率良く”地震を起こすことができます。

実際に、例えば鉱山の爆破(発破)でも小さな地震は起きますし、地質調査のために地下に爆薬を埋め込んで爆発させ、人工地震を起こすことも行われています。

人工的に地震を起こし、地震波の速度や伝わり方を震源の周りで計測することで、地下の状態が推測できるのです。

ちなみに、地震波は固体より液体の方が伝わる速度が遅くなったり、構造が不連続の場所で反射や屈折が起こったりするので、それを解析して推測するわけです。

なお、最近は爆薬を使わず、専用の大型重機で地面に振動を与え、それを計測する方法もあります(下画像)
Vibrator
地質調査用のバイブレーター車。車体中央部の装置で地面を震動させる

これは好ましく無い例ですが、北米大陸で行われているシェールガスの採掘では、高圧の水を地層内に注入しているので、周辺地域で小規模の地震が多発していると言います。

高圧の水が小規模の岩盤破壊を引き起こすことで地震が起こっているわけで、これも広い意味で人工地震の一種と言えなくもありません。

このように、小規模の人工地震は珍しいことではありません。近所を大型トラックが通るとドドドっと揺れる、それも人工地震と言えなくもありませんし。


【人工巨大地震は起こせるか】
理論的には不可能ではありません。仮に、大きなストレスが加わっている断層付近で巨大な爆発を起こせば、その衝撃で断層の大きな動きが誘発されることも無いとは言えせん。

現実にも、それと似たようなことが何度も行われています。地下核実験です。

もっとも、地下核実験は大規模な断層が無い場所で行いますし、爆発させる深さもずっと浅いのです。それでもかなり大きな地震が起きますし、近くの断層の動きを誘発して、中規模の自然地震を誘発したこともあります。

それでも、地上に大被害をもたらすような規模の地震は起きていません。

しかし、理論的に可能ならば、それも“秘密の技術を使った大国の陰謀”ならば、可能なはずだとお考えの方もあるかと。

でもまことに残念ながら、核爆弾も含む爆薬で起こされた地震と自然の地震では、とても明らかな違いがあるのです。


【地震波を観測すれば】
その違いとは、地震波。

2013年2月、朝鮮半島で地下核実験が行われました。その地震波は日本にも到達し、気象庁の観測システムでも検知されました。

ちなみにその時、震源の推定位置と深さは核実験施設の場所をピンポイントで示していたのです。我が国の地震観測システムの優秀さを、図らずも示したと言えましょう。

以下に、その時気象庁から発表された資料から引用させていただきます。

この資料では、その時検知された核爆発による地震波と、過去に核実験施設付近で起きた自然地震の地震波を比較しています。 なお、波形図は上から垂直動成分、南北の水平動成分、東西の水平動成分となります。

まず、自然地震の震動波形。
Quake2
次に、核爆発による震動波形。
Nuke

明らかな違いが見られます。解説文も引用させていただきます(太字部分)

今回の震動波形はS波が不明瞭であるなど、平成21年や平成18年の震動波形(管理人註:過去の核実験時の震動波形)と類似した特徴があり、これらの波形の比較で見れば、今回の地震が自然地震ではない可能性があります。

専門外の気象庁が震動波形だけから判断しているので、「自然地震ではない可能性があります」と婉曲に表現しているものの、つまり自然地震と爆発による地震の波形は全く違うということです。P波がかなり強い割にはその後のS波には目立ったピークがなく、確かに不明瞭です。自然地震とは全く違います。

仮に、爆発が断層の動きを誘発したとしても、断層破壊によるP波より前に爆発による地震波が到達しますから、その場合でも自然地震との違いは一目瞭然というわけです。

ということで、秘密の人工巨大地震を引き起こすことは不可能です。もしやったら、すぐにバレます。

それ以前に、巨大断層がある20kmより深い場所、それも大きなストレスがかかっている場所を検知してピンポイントで爆弾を埋め込む技術など、人類は未だ持ち合わせていないのですが。

もしそれができるようになれば、地震予知技術は飛躍的に向上するのですけどね。


【この話はここまで】
こういう話になると、“信者”の方々の反応は予想できます。

きっと、『発表された記録が改竄されている』ということになるのでしょう。

でも、当ブログとしてはここまでにします。あくまで、『人工巨大地震って本当に起こせるの?』と思っている方の疑問にお答えするということで。

それでも、と思われる方々には何も申しません。なお、一方的なコメントや誹謗中傷の類にはお答えしませんし、削除させていただきます。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年6月 8日 (月)

【ヲタ目線地震教室09】マグニチュードってなんだ?(#1004 )

今回は、地震のエネルギーを表す単位、マグニチュードについて考えてみます。

ちなみに、英語圏諸国ではこの単位を考案した人物の名前から、リヒター・スケール(Richter scale)もしくは英語の発音でリクター・スケールと呼ぶ方が一般的だそうです。


【地震の規模を表す単位】
マグニチュードとは、断層の破壊によって放出されたエネルギーの大きさを表します。すなわち、あらゆる地震の規模を同列で比較できる単位ということです。

しかし、放出されたエネルギー量が同じでも、地表面の揺れの大きさや周期などは震源の深さ、震源との距離、地盤の状態など多くの要素によって左右されますので、マグニチュードと震度の間には一定の相関関係はありません。

例えば、同じマグニチュード5の地震でも、地震が起きた場所が違えば地表面の揺れは震度4のこともあれば震度5強のこともあるというわけです。

逆に、同じ場所と深さで発生した地震ならば、マグニチュード値と震度の間にはかなり密接な相関関係が見られます。地震の発生メカニズム、震源の深さ、地盤の状態などが同じか近いからです。

ですから、当シリーズ冒頭に書いたように、管理人は「あの場所が震源でこの揺れならば、マグニチュードはこれくらいだな」と推定できるわけです。もちろん、その場所で地震が繰り返し発生していることと、観測者に経験値の蓄積が必要です。

もっとも、マグニチュード値の個人的推定など防災的にも学術的にも何の意味もありません。あくまでヲタ趣味の世界です。


【目に見えないエネルギー量】
震度ならば、体感的に判断できます。しかし放出されるエネルギー量は、掴みどころがありません。そこで、無理矢理こじつけてイメージしてみたいと思います。

ここでは、断層の破壊を爆薬の爆発に置き換えます。非常に乱暴なのですが、ここでは爆薬1トンの爆発で発生するエネルギーをマグニチュード1と考えます。実際には、自然の地震のエネルギーは爆薬とは比べものにならないくらい強大です。


以下は、例え話です。ある場所の地下深くで、爆薬5トンが爆発しました。ここでは、マグニチュード5の地震が発生したと考えます。

爆発によって放出された衝撃波やガスの圧力で周囲の地盤が破壊され、その衝撃が地盤の中を伝わって地表面に届き、地震が起きました。

自然の地震では、これと同じようなエネルギーの放出が、断層の破壊によって引き起こされるわけです。もちろん、自然の地震でガスは発生しません。

ところが、それでは終わりませんでした。なんと、最初の爆薬の周りにも、爆薬がたくさん埋まっていたのです。

最初の爆発の衝撃で周りの爆薬も次々に誘爆して行き、地震はどんどん大きくなって行きました。 最終的に、爆発した爆薬の量は9トンに達しました。マグニチュード9に相当する大爆発(大地震)となったのです。

なお、爆薬は化学反応である爆発によって化学エネルギーが解放されるものですが、地震のエネルギーの元は、岩盤に加わった圧力や張力という物理的な力です。力に耐え切れなくなった岩盤が割れたりずれたりした時に解放されたエネルギー量が、マグニチュード値として表されるわけです。


【震源と震源域の違い】
ここでなぜ爆薬9トンにしたかと言えば、やはり東日本大震災のイメージです。

東日本大震災は、マグニチュード9.0の超巨大地震でした。その震央として、宮城県沖に×印がつけられた図が良く見られますので、その場所でマグニチュード9.0の地震が発生したとイメージされている方も多いかと思います。

しかし、1カ所の断層破壊でマグニチュード9.0もの巨大エネルギーは放出されません。

東日本大震災は、例の図の×印で最初の断層破壊、上記の例え話で言えば最初の爆発が発生し、そこから周囲の断層破壊が連鎖、例え話では周囲の爆薬の誘爆が起こり、それらで放出されたエネルギーの総量がマグニチュード9.0という数値であり、そのエネルギーによって、巨大な地震となったわけです。

東日本大震災では、南北約500km、東西約200kmという広大な範囲で、約90秒ほどの間に連鎖的に断層破壊が起きました。これが震源域と呼ばれる範囲で、その範囲から放出されたエネルギーの総量が、マグニチュード9.0というわけです。

マグニチュード7を超えるような大規模地震は、1ヶ所の断層破壊で起きることはまずありません。過日発生したネパール地震(マグニチュード7.8)は南北約120km、東西約160kmに及ぶ震源域でした。阪神・淡路大震災(マグニチュード7.3)も、最初の地震は淡路島北側の海底でしたが、そこから南側は淡路島をほぼ縦断、北側は神戸市直下まで続く震源域による地震だったのです。

このように、大規模地震の場合は連鎖的に広い範囲の断層破壊が起きることで、膨大なエネルギーが放出されるわけです。 その場合、震央図の×印は最初に断層破壊が始まった場所を表しているに過ぎないのです。


【マグニチュード値は対数】
こんな小見出しをつけましたが、数学にはからきし弱い管理人は、良く理解していませんwとにかく、マグニチュード値は累乗で大きくなって行くということです。

マグニチュード値が1上がればエネルギー量は約32倍、2上がれば32の2乗で約1000倍、3上がれば32の3乗で約33000倍と増えるわけで、ちょっとした数値の違いでも、地震の規模は全く違うのです。


そのことを感覚的にイメージするための図表を作ってみました。
Magnitude
この図では、円を球体と考えてください。球体の体積で比較しています。

6月5日に起きたボルネオ地震(M6.0)は、東日本大震災(M9.0)の約33000分の1の規模に過ぎなかったということです。

東日本大震災は、本当にものすごい地震だったわけですね。

このように、マグニチュード値が1増えたら約32倍、細かく見れば0.2増えただけで約2倍になると聞いたら、この先マグニチュード値を見る目が変わって来ませんか?


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年6月 7日 (日)

“地震が無い”ボルネオ島でM6.0(#1003)

日本時間の6月5日、マレーシアのボルネオ島北部でマグニチュード6.0の地震が発生しました。震源深さは約10kmの、いわゆる直下型地震です。

この地震で震源近隣のキナバル山では多数の落石が発生し、登山客に犠牲者が出ています。


【地震が少ない地域】
人的被害はさておき、気になることは今回の震源付近は地震が非常に少ない地域だということです。

ボルネオ島の西から南に連なるスンダ列島からニューギニア島に至る線は、オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界域であり、2004年のスマトラ沖地震(マグニチュード9.1)をはじめ、何度も巨大地震が発生しています。

ボルネオ島の東側はフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界域であり、こちらも地震が多い場所です。

このように、ボルネオ島の西、南、東を取り巻くようにプレート境界があるのですが、そこから外れたボルネオ島を震源とする地震はごく少ないのです。

下図は、理科年表2002年版より引用させていただきました。1975年から1994年の20年間に起きた、震源深さが100kmより浅いマグニチュード4.0以上の震央図です。
Quake2
図のほぼ中央、緑色に着色したのがボルネオ島です。周囲を囲む超多発地域の中で、ぽっかりと空白になっている静かな場所なのです。

本題とは離れますが、日本列島付近も見てください。南西諸島と小笠原諸島も含め、真っ赤です。日本列島はそういう場所であるということも、改めて認識しましょう。もちろんこの図は、震災前のデータです。


さておき、今回の震源となったボルネオ島北部は、マレー半島やボルネオ島南部に比べれば少し地震が多いのですが、その差はわずかであり、大きな被害が出るような大規模地震が起きた記録も見当たりません。

ボルネオ島北西側のマレー半島も含めて、一般には地震が無い場所と認識されているくらいです。

しかし地震が全く無いわけではなく、ざっと調べたところ1990年代にはかなり揺れの大きな地震が2回起きているようで、道路に少しヒビが入るくらいの被害はあったようです。

もっとも、それがボルネオ島を震源とする地震かどうかはわかりませんでした。周辺で大地震が頻発していますから、ボルネオ島も大きく揺れることはあるでしょう。

いずれにしろ、今回のように山が大きく崩れるような規模の地震は、事実上初めてと言って良いのではないでしょうか。


【東側で多発している】
ボルネオ島の東側に当たるニューギニア島付近では、このところプレート境界型の大規模地震が多発しています。

今回の地震は、広い意味でその地震の影響を受けたものではないかとも考えられます。

地震が極端に少ないボルネオ島でも、やはり活断層は存在するのです。そして、そこに僅かでもストレスがかかるメカニズムがあるからこそ、断層が動いて地震が発生したわけです。

近隣のプレート境界域での地震多発も含め、プレート相互の動きにかつてと違いが出てきたのかもしれません。一説に、2004年のスマトラ沖地震、2011年の東日本大震災、そして他の地域での大規模地震多発傾向が、地球的規模での地震活動期に入ったためとも言われています。

今回のボルネオ島地震は、プレート境界域における動きの変化が、近隣の浅い活断層にストレスを与えて動きを誘発したという見方もできるかと思います。

それが正しいかどうかに関しては長期的な評価が必要ですが、仮に正しいとすれば、“地震が少ない”と言われる地域でも、再びこのような地震が起きる可能性があるということでしょう。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年6月 5日 (金)

MERS上陸間近か?(#1002)

Sars
画像は2009年のSARS騒動における韓国・仁川空港での発熱者検知対策。今回のMARS感染拡大でも、韓国では既に同様の対応が行われている。

我が国へのMERS(マーズ)上陸の脅威が迫っています。


【中東からやってきた】
MERS(中東呼吸器症候群)は、2012年にサウジアラビアで初めての死者を出した、比較的新種のコロナウイルス感染症です。MERSのMEはMiddle East、中東の頭文字です。

主に中東地域で流行していましたが、感染地域はじわじわと拡大し、アジア地域では中国から香港を経由し、韓国で大規模な流行が始まりつつあると言って良いでしょう。

2015年5月30日時点では、全体での感染者数が1149人で死亡者が431人と、致死率が40~50%にも上る恐るべき感染症です。かつて騒動となったSARSよりも、はるかに危険です。SARSの死亡率は、9%前後に過ぎなかったのです(それでも大変な死亡率ですが)。


【時間の問題か】
実は管理人、かなり以前からそちら方面に詳しい読者様の協力を得て(いつもありがとうございます)、MERSの拡大状況をモニターしていました。

MERSは、いずれ我が国にも脅威となるはずだと考えていたのです。

中国で感染拡大した時は、我が国でもいよいよかとも思ったのですが、限られた情報の中でも、なんとか封じ込められていると思われたので、当ブログでは触れませんでした。

しかし昨今の韓国での感染拡大を見るに、いよいよ我が国も直接の脅威に晒される段階になったと考えます。

残念ながら、韓国では感染の封じ込めに成功しているとは言えません。完全に後手に回っています。彼の地との人的交流を考えると、既に我が国にも上陸している可能性もあります。


【空気感染はしない?】
WHO(世界保健機構)の見解によると、現時点では空気感染はしないようです。韓国では、主に病院内で患者と濃密に接触した医療関係者に感染が広がりました。

しかしその後、対策の甘さもあって外部へも感染が広がりつつあります。そして今後、ウイルスの突然変異によって空気感染するようになる可能性もあります。

MERSの脅威は、確実に迫っています。かつてのSARS騒動では、我が国でも空港などでサーモグラフィーで発熱者を検知する、いわゆる『水際作戦』が展開されました。

それが効果的かどうかはさておき、現時点ではまだ何の対策も取られていません。


【どうしたら良いか?】
韓国や中国の感染地域へ渡航する場合はもちろん、国内で感染者が出て、封じ込めができていないと思われる場合には、個人的に対策をする必要があります。

もちろん、今から無闇に過敏になる必要はありません。今後のMERS関連の報道に留意し、必要ならば対策をしてください。


具体的なMERS感染対策は、基本的にインフルエンザなど他のウイルス感染症と同じです。

まず、石鹸による十分な手洗いが基本。ウイルスが付着した場所をさわって、その手で目などの粘膜や食品などにさわらないようにするためです。

消毒にはエタノール、イソプロパノール、次亜塩素酸ナトリウムが推奨されています。ウイルスの中には、アルコール系の消毒が効かないものもありますが、MERSウイルスには有効です。

手を十分に洗った後、これらを手に擦り込むようにすると良いでしょう。また、ドアノブやまな板などに噴霧して消毒するのも有効です。

人体や食器などに使用する場合、次亜塩素酸ナトリウムは希釈が必要です。また、有毒な塩素ガスが多少発生しますので、使用法を良く確かめてください。

これらの薬品は、薬局で市販されています。通販でも入手できます。文末にAmazonの販売ページをリンクします。

なお、台所周りの消毒は希釈した塩素系漂白剤(商品名キッチンハイターなど)も使えます。主成分が次亜塩素酸ナトリウムだからです。こちらは安いもので600ミリリットル100円以下のものもありますので経済的ですが、水酸化ナトリウムや界面活性剤など他の成分も含有していますので、人体への使用はできません。


マスクの使用は、ごく近くに感染者がいた場合に、咳やくしゃみによる飛沫を吸い込みにくいくらいで、効果は限定的です。

仮にマスク表面にウイルスが付着した場合、表面を手で触ったり、使い回しをすることでかえって感染を拡大することがありますので、使用や廃棄の際には十分な配慮が必要です。

家庭内では、トイレのタオルなど共用するものをこまめに換えると良いでしょう。ウイルス感染症の場合、ウイルスが便に排出されることが多いので、公共のトイレを使用した際には、特に手を良く洗うようにしましょう。


MERSに限らず、ウイルス感染症対策の基本は十分な手洗いと有効な薬品による消毒です。最大の感染経路は、口や鼻から吸入するよりも、手についたウイルスが粘膜などに移ることなのです。

MERSに関しては、現時点では感染者のごく近くにいた人だけが感染しているようですし、それ以前にまだ我が国への上陸は確認されていません。

ただ、いつ上陸してもおかしくない状況ではありますので、今から備えておくことをお勧めします。


なお、前記の消毒薬類は感染症対策だけでなく、普段の生活や災害下での衛生維持にも非常に有効なものですから、揃えておいても無駄にはなりません。

その他の使用方法は、当ブログ過去記事でも触れていますし、これから始まる新シリーズ【シリーズUDL】内でも解説して行きます。


【怖れすぎないこと】
MERSウイルスがいくら恐ろしいと言っても、ウイルスが体内に入ったら必ず感染・発病するわけではありません。免疫によってブロックされるのです。

ですから、まずは健康を保って免疫力を強くしておくことが、何よりの対策ということが言えるでしょう。

とりあえず、これからしばらくの間はMERSが我が国にも上陸するという前提で、報道を良くチェックしておいてください。

そして、必要になったらすぐに対策できるように、今から必要なものを備えておきましょう。ちなみに、かつてのSARS騒動では、マスクがあっと言う間に品不足になりました。

でも、マスクよりも優先すべきことがあります。無闇に怖れず、しかし十分な備えをしてください。

MERSに関しては、今後も注視して行きたいと思います。


以下、MERSウイルス消毒に効果のある薬品類の販売リンクです。
消毒用エタノール

消毒用イソプロパノール

消毒用 次亜塩素酸ナトリウム

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2015年6月 4日 (木)

釧路地方中南部で震度5弱(#1001)

本日6月4日の午前4時34分頃、釧路地方中南部の「ごく浅い」場所を震源とするマグニチュード5.0の地震が発生し、釧路市阿寒町で最大震度5弱を観測しました。

この地震では、震源の深さがごく浅かったために強い揺れの範囲が局限されており、震央のすぐ南側に当たる阿寒町周辺のごく狭い範囲で強い揺れとなったようです。


【ここも地震が少ない場所】
今回の震源となった釧路地方中南部は、非常に地震が少ない場所です。

過去の記録を見ると、2011年は有感地震が8回発生、そのうち東日本大震災後は5回ですべて震度1、2012年には年間2回のみでいずれも震度1、2013年には増えたものの13回で、すべて震度3以下です。2014年は4回しか起きておらず、震度3と震度1が2回ずつ。

そして今年2015年ですが、今回の地震はなんと釧路地方中南部としては今年に入って初めての有感地震でした。本震の後、震度1~2の余震が何回か発生しています。


【2種類の地震が起きている】
釧路地方中南部周辺では、2種類の地震がおきています。

ひとつは今回の地震のタイプで、震源深さが「ごく浅い」から10km程度の、浅い断層が動く地震。気象庁発表によれば、今回の地震は『西北西-東南東に圧力軸を持つ逆断層型』とのことですので、浅い場所にそのような断層が存在し、たまに小さく動いていたわけです。

過去10年の記録を見ると、この付近では震度4が2回起きていますが、その他はすべて震度3以下でした。その震度4も別のタイプの地震だったので、浅い断層が動いた地震としては、過去10年で最大ということです。


もう一種類の地震は、震源深さ70~100km程度で起きるスラブ内地震です。発生回数はむしろこのタイプの方が多く、震源が深いだけに揺れは比較的広範囲に及びます。過去の震度4はこちらのタイプでしたが、2005年に1回、2009年に1回のみという程度です。

今回の震源のすぐ北側、気象庁の区分では『釧路地方北部』とされる震源域でも、「ごく浅い」から10km程度の地震が時々起きています。6月3日には震度3が起きていますが、年間10回以下程度、ほとんど震度3以下の“静かな”震源域です。


【近い場所で増えていた】
ここしばらく管理人が気にしていたのは、北海道の根室付近から国後島沖付近での地震が、少し増える傾向だったことです。それほど極端ではありませんが、ちょっと目立って来たな、くらいですが。

今回の地震も、第一報で北海道と聞いた瞬間、「根室か?」と思いました。しかし実際は、もっと内陸の直下型地震でした。

根室付近の動きと今回の地震が関連しているかどうかはわかりませんが、地震が増え気味の場所の近くにある、地震が少ない場所で強い地震が起きたのは事実ですから、何か関係があるかもしれないという前提で、しばらくは周辺地域の動きを注視したいと思います。


■6/4 11:30追記
震度5弱を記録した阿寒町の地震計は、周辺より揺れやすい場所に設置されているかもしれないとのことで、現在気象庁で調査しているとのことです。このため、周辺の揺れより大きめの震度が出た可能性もあります。

先日の小笠原諸島西方沖の深発地震で、本州で唯一震度5強を観測した神奈川県二ノ宮町の地震計も、周囲より揺れやすい軟弱地盤上にある消防署に設置されていたとのことです。

このように、震度は地震計が設置されている場所の状態によって左右されることがあります。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

1000号記念新シリーズ開始のお知らせ(#1000)

Hinanjyo
過酷な被災生活をどう乗り切って行くのか?(画像はイメージです)

というわけで、1000号記事でございます。日頃からの皆様のご愛読に感謝します。今後とも『生き残れ。Annex』をどうぞよろしくお願いいたします。


【1000号記念新シリーズ】
かなりこじつけ的ではありますが、1000号の節目に新シリーズを始めることにしました。

新シリーズは、過去記事の中で断片的に触れてきた、大災害を『生き残ってから』のことをまとめた内容となります。

メインタイトルを発表する前になんですが、強いてサブタイトルをつけるならば水とカンパン信仰は卒業しよう!という感じでしょうか。


【本当の過酷さは後から来る】
あなたは、大災害の第一撃を首尾よく切り抜けました。

居場所は、都市部の自宅近隣の避難所もしくはインフラ停止状態の自宅です。その自宅も、損傷しています。

災害直後のショックも落ち着いて来て、周辺の状況もわかってきました。広い範囲に被害が及び、この先、かなり長い間インフラは復旧しそうにありません。

さあ、これからどうしましょうか。

新シリーズでは、そんな状況の中であなたとご家族ができるだけ安全に、そして健康に過ごすためにはどうしたらいいか、それを考えて行きます。

水とカンパンがあれば、とりあえず安心ではありません。一旦落ち着いた後に長く続く生活でこそ、様々な知識と備蓄が大きな意味を持つのです。

出来合いの防災セットは、あくまで被災直後に役立つものに過ぎません。本当の過酷さは、その後です。そこで必要になるのが、まず様々な知識とそれに見合った備蓄なのです。

そこで必要な知識の範囲は、人が生きる上で必要になるすべて。それは、ざっと挙げても生理学、医学、栄養学、衛生学、心理学、情報学、行動学、そして犯罪学など広範囲に及びます。

それらの中から、実際の被災生活を踏まえたエッセンスを抜き出し、具体的な対処法を考えて行くシリーズです。


【新シリーズタイトルです】
災害直後の混乱を乗り切ってから始まる生活の概念を、管理人はUDLと名付けることにしました。

もうおわかりの方も多いと思いますが、UDLとはUnder Disaster Life(アンダー・ディザスター・ライフ)の頭文字です。直訳すれば『災害下生活』、いわゆる被災生活のことです。

情報もモノも不足し、様々な脅威と強いストレスに晒されるUDLでいかに安全に、健康を維持して過ごすか。そのためにはどのような知識とどのような物資が必要なのか。

拠り所とするのは、実際の被災生活の経験。管理人は実際の被災経験はありませんが、いろいろな情報に触れるうちに、本当に必要なことがいかに一般化されていないかということに気付きました。


【すべては日常の延長線上】
教訓は、いくらでもあります。しかし、それが広められいない理由は単純です。耳目を集めるインパクトに欠け、広範囲に及ぶので簡単にまとめるのが困難だからです。

すなわち、商業ベースにはまったく馴染まない。儲からないことは、誰も手をつけない。メディアも、多くの『防災の専門家』でさえ。受け側にしても、複雑で膨大な情報からはつい目を逸らしてしまいやすい。

でも、例えば家族の健康を預かるあなたは、日々栄養のバランスを考えて献立を決め、家族が外出する時は無事帰ることを祈り、雨が降りそうなら傘を持たせ、病気になれば看病しながら、心から快復を祈っているはずです。何より、家族が安全で健康に過ごして欲しい。

すべては、そんな気持ちと行動の延長線上にあるのです。それをUDLの困難な状況の中で、いかに効率良く実現して行くか。そのためには何が必要か。それが新シリーズの精神です。

過酷なUDLで必要な情報をできる限り詳細に、徹底的に、かつわかりやすく解き明かして行きたいと思います。

長いシリーズになりそうなので、独立した新カテゴリを作ることにしました。カテゴリ名は【シリーズUDL】とします。


非日常の中で、日常を創り出すためにできることを考える。それが【シリーズUDL】です。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年6月 2日 (火)

1000号記事直前・管理人の雑感とお願い(#999)

999
ついに、という感じで999号記事となりました。

上画像は、この記事をアップ後の当ブログ管理ページの一部です。本当にあと1本で1000号ですw

2012年1月12日のスタート以来、約3年と5ヶ月ほどでここまで来ました。

次号はいよいよ1000号ですが、スポーツ選手のようにちょっとカッコつけてコメントさせていただければ、1000号は節目ではあるけれど通過点に過ぎません。これからも、できる限り『本当に役に立つ防災情報』をお伝えして行きたいと思っております。


【のんびりはしていられない】
950号くらいを迎えた頃には、シリーズ記事を主に書きながら、まったりと1000号を迎えようくらいに考えていたのですが、現実はそれを許してくれませんでした。

その頃から季節外れの大型台風は来るは、火山は動き出すは、あちこちで大きな地震は起きるわと自然災害が立て続けに起きて、関連記事を書いているうちにあっと言う間です。災害は、加速度的に“身近に”なって来ています。

この先、こういう状況がどんどん当たり前になって行き、そしていつかは、また巨大災害が起きるのでしょう。いや、『いつかは』などとのんびり構えてはいられません。管理人としては、『そろそろ』という感覚を持っています。


【人間のためだけでなく】
当ブログは、基本的に『人間のため』にやっています。一方で、管理人は福島の被災動物救援ボランティア団体SORAのお手伝いもさせてもらっています。

東日本大震災の2ヶ月後くらいから福島の津波・原発事故被災地域に入って救援活動も行い、報道されない過酷な現実も目の当たりにしてきました。最近はなかかな現地に行けないのですが、後方支援のような形で関わらせていただいています。

大災害で人間が命からがらの時に、動物の面倒なんて見ていられないというのも、ある意味で正論ではあります。愛玩動物ならまだしも、家畜の保護となると事実上お手上げです。

それでも、ひとつの命でも救おうとする活動は、今も続いています。そして、この先また新たな必要が生じるのでしょう。


犬好きの管理人は、街中でかわいい犬が散歩しているとつい声をかけてかまってしまうのですが、管理人が動物ボラやっているというと、「この子は震災の被災地から来たんですよ」という返事が、想像以上に多くて驚きます。

ちなみに、自分が動物ボラをやっていることを明かすのは、いきなり怪しいオッサンに声かけられた飼い主さんが不安がらないようにと、管理人なりの涙ぐましい努力ですw お散歩しているのは女性が多いですし。

なにしろ、そうやって離れた場所でもいろいろな形で支援してくれている方が多いのを実感しています。

でも、誰もが里親になれるわけでもありません。かく言う管理人も、マンション住まいで動物は飼えません。だからというわけではありませんが現地へ行き、その後はチャリティグッズ販売などでお手伝いしています。


そこで皆様にお願いしたいのが、被災動物を支援している団体への寄付なのです。

フードやペットシーツなどの物資もありがたいのですが、一番必要なのが、現金です。被災動物を保護・飼育する上で最もお金がかかるのが、医療費。保護動物にはきちんとした医療を受けさせているので、その費用が膨大です。そのための支援を、是非皆様にお願いできればと思います。

医療費は病気の場合だけでなく、犬猫の去勢・避妊手術代でもあります。行き先のない不幸な動物を増やさないための手段です。

文末に、管理人がお手伝いしている福島のSORAへの支援先を記載しますので、わずかでもかまいません、ぜひともご支援をお願いいたします。もちろん、他の団体でもかまいません。何らかの形で、行き先の無い動物たちへのご支援をお願いできればと思います。


【愛する気持ちは同じです】
ひとつ残念なのが、被災地に動物を残したまま避難した住民に対して、非難する声がいまだにあることです。

今回の口永良部島からの全島避難に際しては、動物の同行避難が禁止されたわけでは無いようですが、それでも多くの動物が取り残されました。そうするしか無いほどの緊急事態だったということです。

そのような状況は、動物を愛するあなたが仮にそこにいたとしても、動物を置いて避難せざるを得ない状況だったということです。その辛さ苦しさは、動物を愛するあなたならばおわかりいただけるでしょう。

福島の原発事故被災地でも状況は同じというか、さらに過酷でした。すぐに戻れるつもりで、それでも断腸の思いで愛する動物を残して避難したら、そのまま警戒区域が設定されて立ち入りが禁止されたのです。

そうでなくても、避難先から自力で戻れる手段を持たない人が大半でした。口永良部島では、すぐに一時帰島が実現したのが幸いですが、それでも完全ではありません。


愛玩動物でも生活の糧である家畜でも、それを愛する、その命を家族同様に大切に思う気持ちは、被災者とて我々と何ら変わることはありません。 しかし、避難者を我が身大事と動物を省みないで逃げ出した冷血人間のように非難する声が少なくないのです。

災害被災者とそれ以外が違うことは『その時どこにいたか』、ただそれだけなのです。 被災者は、テレビの中にいるかわいそうな人々ではありません。いつ、あなたがそうなってもおかしくないのです。


しかし現実に動物を残して来た人は、世間の非難に反論できません。一方的に傷つけられています。さらに、人が大変な時に“動物ごとき”などという『正論』にも反論も現実的な対処もできず、じっと耐えるしか無いのです。

そのような状況を、ぜひご理解ください。そして、災害で愛する家族と離ればなれになった動物、行き先の無い動物たちへのご支援を、ぜひともお願いいたします。


【次回、1000号です】
そんなわけで、999号は管理人の雑感とお願いを記させていただきました。

次回は、無理矢理1000号記念にこじつけた新シリーズ、UDLについてお知らせしたいと思います。


■福島市の被災動物救援ボランティア団体SORA関係のリンクです。
NPO法人 SORAアニマルシェルター公式サイト
支援関連ページ

SORA公式facebookページ
SORA公式Twitterアカウント


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年6月 1日 (月)

やはり誘発地震は起きていた(#998)

管理人は、小笠原諸島で深発地震・最大震度5強(#995)の記事内で、5月30日に伊豆諸島西方沖で発生したマグニチュード8.1の巨大深発地震が近隣の浅い地震を誘発する可能性を指摘していたのですが、やはりそれに該当するような地震が発生しています。


【2回の誘発地震】
まず翌日の5月31日午前2時22分頃、硫黄島近海の深さ70kmでマグニチュード5.6の地震が発生しました。小笠原諸島の母島で震度1を観測しています。

そして同日午前3時49分頃、今度は鳥島近海の深さ10kmでマグニチュード6.3の地震が発生し、東北から関東の太平洋沿岸で震度1を観測しました。

どちらの場所もそれほど地震が多い場所ではありませんが、マグニチュード8.1深発地震の6~7時間後に連続発生していることから、強い地震波の伝播によって誘発されたものと考えるのが自然でしょう。


【津波の危険もあった】
特に鳥島沖の地震は震源深さ10kmでマグニチュード6.3とかなり大きく、もう少し規模が大きければ津波が発生した可能性があります。

一般に、震源深さが10kmより浅い海底でマグニチュード6台後半以上の地震が発生すると海底の変形を伴いやすく、津波発生の可能性が高まります。

今回、マグニチュード6台前半だったのは幸運と言えます。


【位置関係にも注目】
今回の深発地震の約6時間後に発生した地震の震源は、深発地震震央のほぼ南方となる硫黄島付近の震源深さ70kmでした。

このことから、フィリピン海プレート内のスラブ内地震かと思われます。もしくは、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界付近で発生した可能性もありますが、該当海域でのプレート境界深さがわかりませんので、管理人には詳細な判断はできません。

その地震の約1時間後に起きた鳥島付近の地震は、深発地震の震央から北東方向、深さ10kmの太平洋プレート表層で起きました。太平洋プレートの深い部分から同プレート内表層に到達した地震波が、そこに溜まっていたストレスを開放したのでしょう。

地震のタイプからして、正断層型アウターライズ地震の性質もあるかと思われますが、発生のトリガーとなったのは最初の深発地震と考えられます。


【まだ続くかもしれない】
このふたつの誘発地震で終わりでは無い可能性もまだありますので、しばらくの間は様子を見る必要があるかと思います。

誘発地震がさらに発生する可能性が高いのは、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界近く、具体的には南北に並ぶ小笠原諸島の東側海底にある伊豆・小笠原海溝周辺の海域になるかと思われます。

もし、その付近に大きなひずみエネルギーが蓄積されている場所がある場合、今回の深発地震がトリガーとなって開放される可能性は否定できません。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

最良の緊急地震速報システムとは(#997)

Mini
ケーブルテレビ緊急地震速報受信機の一例


現在、家庭で受信できる緊急地震速報は、主に以下の5種類です。

1・テレビ・ラジオ放送

2・パソコンソフトによる受信

3・携帯電話・スマホに配信されるエリアメール

4・FMラジオ放送の専用受信機

5・ケーブルテレビの専用受信機


このうち、1と2は日本全国どこかで緊急地震速報(警報)が発報された場合、すべて受信することができます。2のパソコンソフトは予報の段階でも受信できますが、どちらもテレビ・ラジオをつけていない、パソコンを立ち上げていない場合には受信できないのが難点です。

一方、3~5は常時受信することができるものの、3と4は気象庁が緊急地震速報(警報)を発報しないと受信できません。


【予報と警報の違い】
ここで、緊急地震速報の予報と警報について知っておきましょう。

5月30日に発生した、小笠原諸島西方沖深発地震後の気象庁発表にある文言を引用させていただきます(下記太字部分)

この地震に対し、地震検知から3.4秒後に緊急地震速報(予報)を発表しました。なお、緊急地震速報(警報)については、深発地震では正確な震度の予測が困難であることから発表していません。

今回の地震では、テレビ、ラジオや携帯電話からは緊急地震速報は流れませんでした。上記引用の通り、緊急地震速報(警報)は発報されていないのです。

今回の深発地震のような特殊なケースを除いても、地上の揺れが震度5弱以上になることが予想されない場合は、緊急地震速報(警報)は基本的に発報されません。

しかし震度3程度の小さな地震の場合でも、地震計が最初のP波(たて揺れ)を感知した直後に、緊急地震速報(予報)は発報されています。


【家庭用として最良のシステム】
緊急地震速報(予報)のみ発報の場合、受信できるのは2のパソコンソフトと5のケーブルテレビの専用受信機のみです。

しかし、前記の通り2はパソコンが立ち上がっていないと受信できません。すなわち、震度3以上の緊急地震速報(予報)まで常時受信できるのは、5のみということなのです。

なお、ケーブルテレビ等の契約に加入していない場合でも、緊急地震速報システムのみの契約ができる場合もあるようですから、詳しくは各ケーブルテレビ会社にお問い合わせください


【何よりも気持ちの余裕】
管理人宅は、東日本大震災前からケーブルテレビの緊急地震速報受信機を導入していました。

これは「CATVブロードキャスト方式緊急地震速報データ配信システム」と呼ばれ、 震度3以上が予想される緊急地震速報(予報)をすべて受信しますから、東日本大震災直後の余震多発期には昼も夜も文字通り鳴りっ放しの状態でした。


このシステムは、音声によって予想される震度と主要動(S波 横揺れ)の予想到達時間を知らせてくれます。文字で表現すると、管理人宅に導入しているシステムでは下記のようになります。

『ピロロ ピロロ(注意喚起音) 地震 震度5弱 ピロロ ピロロ 地震 震度5弱・・・』

これが、主要動到達予想5秒前まで繰り返されます。

今回の深発地震では、上記引用の通り小笠原諸島の地震計が初期微動を検知した時刻の約4秒後から鳴動を始め、2分近く繰り返されました。ですから、避難体制を取るには十分すぎる時間がありました。あまりにも長いので誤報じゃないかと思ったくらいです。

そして主要動到達5秒前になると、

『ご、よん、さん、に、いち、ぜろ』

と、カウントダウンを始めます。今回の地震では、この段階で既にヘルメットをかぶって靴を履き、ドアを開けて「さあいつでも来い!」という状態で待機していました。このカウントダウンは非常に精度が高く、いつも『ぜろ』とほぼ同時にグラっときます。何より、その前段階で地震を知り、気持ちと対処時間の余裕が得られるのが最大のメリットなのです。


【抜き打ち訓練効果も】
もちろん震源が近い地震の場合はそれほどの時間はありませんし、ごく近い場合には揺れと鳴動がほぼ同時というようなこともあります。それでも、震度3以上が予想される地震のほとんどすべてを事前に感知できる安心感は絶大です。

それは普段から全く予期できない抜き打ち訓練を仕掛けられるようなもので、震度3でもすぐにコンロの火を消し、危険物から離れ、必要ならば玄関に移動してドアを開けるなどの行動を繰り返しておくことが、いつの日か

『ピロロ ピロロ 地震 震度7・・・』

というような音声を聞いてしまった時、最短時間で必要な行動に移るための最良の訓練となるのです。ご家族、特にお子さんの自主的な避難行動とその訓練のためにも、最良のシステムと言えるでしょう。


普段は、予想震度3程度の発報では「あー来るか」くらいに思うだけでコンロの火を消すくらいしかしませんが、それでも「でかかったらこうしよう」といつも考えるだけでも命の1秒を稼ぎ出すための訓練になりますし、それが家庭で常時できるのは、事実上ケーブルテレビの緊急地震速報システムだけなのです。

さらに、パソコンの場合は注意喚起音が鳴るだけですが、ケーブルテレビの速報は夜中でも叩き起こされるくらいの大音量で鳴動するのも魅力です。震度3で叩き起こされても、何も無ければいいじゃありませんか。

なお、予想震度とS波到達予想時間は、家庭の各専用端末ごとに震源地からの距離、地震の大きさ、地盤の強度などをふまえて計算されるので、精度はかなりのものです。それは震災直後の余震多発期に十分に体験することができました。


【そして、とにかく速い】
ケーブルテレビの緊急地震速報システムは、その発報の速さも魅力です。専用のケーブルを使い、電波やネット回線など輻輳の可能性があるシステムを使いませんから、とにかく速いのです。

管理人宅では4つの速報を受信できますが、常にケーブルが最初に発報し、その1秒後くらいにテレビと携帯電話がほぼ同時に受信、そしてパソコンという順になります。特にパソコンは回線速度や混雑状況によって数秒の遅れが出ることもありました。

たかが1秒ではありません。その差が、まさに命の1秒となることもあるのが、現実の災害なのです。


というわけで、ネットでケーブルテレビ 緊急地震速報と検索すれば、いろいろ情報がありますので、是非検討してみてください。経費は、機器レンタル料金を含めても1ヶ月千数百円程度で済むはずです。


■当記事は、カテゴリ【防災用備品】です。


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